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健全黒字経営目指します!
酔っ払いがせめてきた
しおりを挟む第78話 酔っ払いがせめてきた
相変わらず心配性イケメンだな、レオさん!
「大丈夫ー。まだお酒残ってるから飲まないと勿体ないよ! 」
心配性レオさんの腕をすり抜け、師匠の隣りの席に戻った。
「あれぇ? ジュードさんいない?」
「コウちゃんおかえりぃ。オヤっさんは厨房に戻ったぜ。あ、オヤっさんからサフル酒おかわりってな。」
師匠がサフル酒のカップをついと俺の前に置いてくれる。
「わあ、ジュードさん優しい! じゃ、遠慮なく!」
「おい! コウ、やめとけ!」
ゴクリっゴクリっ
「プハーっ! うまっ!」
美味い、もう一杯! なーんてね!
「おー、いい飲みっぷりじゃん。なかなかコウちゃん、イケるクチだなぁ。」
師匠が笑いながら自分のカップをあおる。
「…コウ、今日はそれぐらいにしとこう。明日に響くぞ。」
レオさんが頭痛いポーズをしている。
いやいや、まだ夜はこれからっしょ! まだ一軒目ですよ?
「えー、まだ2人ともそんな飲んでないよ? もうちょっと一緒に飲も?」
「そうだそうだー! なんならコウちゃん、これからオレの宿で一緒に朝まで飲んじゃう? 美味しい酒出しちゃうぞ?」
「…んー、それもアリかも!」
美味しいお酒って、皇子のお兄ちゃんの秘蔵のヤツだよな! 飲んでみたいかも!
「それはダメだ。ソイツの宿に行くくらいなら俺の家で飲もう。美味い酒は俺の家にもあるし、疲れたらすぐ休めるからな?」
確かにそのまま寝るならレオさんちだなー。
「じゃあ、レオさんちでいい。」
「なら、俺の家に帰るぞ。ニック、会計だ。」
はーい、とニックさんが返事をする。
「おいおい、何勝手に帰ろうとしてんだよ。コウちゃん、俺とまだ飲みたいって言ってんじゃん。」
「あー、コウはそろそろ限界なんだ。家で休ませてやんねえとダメだ。諦めろ、エイトール。」
「は?まだ全然飲んでねえじゃん。」
…まーた、この2人俺で争ってんの?
はー、これだからケツの青い小僧は 笑。
「ふたりともワタシの為に争うのはヤメテー!(棒読み)」
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「おい、コウ、」
「レオナルドんち? いいねー! 入ったことねえけど、デカいんだろ?」
「デカいね! お屋敷だよ! じゃあ、レオさんちで二次会しよ? レオさん、飲んだらちゃんと後片付けするから…いいよね?」
えーと、上目遣い、上目遣い~。肩は厳つすぎて揉めないから腕の筋肉モミモミしたろ! お、お客さん、いい筋肉してるねー! モミモミ!
「…くっ、色仕掛けか!」
色仕掛け? 店内にセクシーなお姉さんいたか?
「うわ、小悪魔こええ。」
「…小悪魔って、師匠ぉ、綺麗なお姉さんがいる店に行く? えへへ、それもアリ、「俺の家に行くぞ。不本意だが、エイトールも連れて行ってもいい。」…、えー、お姉さんの店行かないの。残念。」
魅惑の夜のリオガ、行ってみたかった!
「…レオナルド、オメエ意外と苦労してんだな。」
「ほっとけ。」
師匠が残念な生き物をみる目でこっちを見てた。レオさん、残念だなぁ。よくわからんけど。
ニックさんがお会計を請求しにきたので、2人は奢りだ、奢りじゃねえ、あーだこーだ言いながらお会計を済ませた。
「コウ、歩けるか? ダメなら負ぶうぞ?」
「ん? 大丈夫だよ? ほら。」
よっ、と椅子から降りて歩く。うん、頭がふわふわするだけで足には全然来てないね。
「あー、コウちゃん、オレに掴まりなよ。ふらふら通りを歩いたら迷子になっちゃうぜ? おい、オメエも店出たら片側捕まえておけ。」
俺の腕を掴まえ師匠がレオさんに顎で指示する。
確かに知らない夜の街で迷子は怖いな。師匠、お気遣いありがとうございます。
「まさかお前にそんな気遣いが出来るとは…、いや、何でもねえ。」
ご馳走様でした~、とニックさんに挨拶して店を出た。
そこから夜のリオガを堪能する間もなく、2人に腕をガッツリ組まれ、逮捕された犯人よろしくレオさんちまで連行された。身長差のせいで少し浮気味だったからあんまり俺の足が仕事してなかった気がする…。
「今酒出してやるから荒らすんじゃねえぞ、エイトール。」
2階のリビングのソファーに降ろされた。昼間お世話になったフカフカのクッションに顔をバフっとすると女優帽が取れた。うん、スッキリ。
「コウちゃん疲れたの?」
師匠が笑いながら床に落ちた帽子を拾ってテーブルに放る。
「ちょっとねー。でも二次会は秘蔵のお酒飲むんだー。師匠、お酒ー。はやくー。」
隣りにボスっと師匠が腰掛けてきたので、例の酒をせびる。どんな高級酒かな??
「コウちゃん、意外に酒乱?…そうだなあ、コウちゃんがオレに可愛くおねだりしたら、秘蔵のアレ出しちゃおっかなぁ。ほら、飲みたいなら可愛くおねだりしてみ?」
…可愛くおねだり、ねえ。うーん、あのアイドルキャバ嬢はどんな感じでピンドンタワー(※ドンペリピンクのシャンパンタワー。なかなか高額。)おねだりしてたっけ…?
「んー、じゃあコレでどうだッ!」
師匠の腕に抱きついて、師匠のおっぱいをツウと指でなぞる。勿論俺のおっぱいは師匠の腕にスリスリさせてるぞ。…貧乳でな。
「今夜はエイトール君の…、いっぱい飲みたいな♡ コウのオ・ネ・ガ・イ♡」
そしてからの上目遣いのコンボーっ!(ドヤぁぁぁ)
「………。」
あれ? ダメ? めっちゃ真顔?
…師匠、もう少しツッコミとかアクションしてくれないと、俺のスベッた感ヤバツラいんですが…。
「…オレの…いっぱい…。」
ん? おっぱいが何したって? 師匠のおっぱいはレオさんよりは小さいけど、良い筋肉おっぱいだったですが?
しかし、2人共いい胸筋だよなー。俺も剣とか習ったら筋肉つくかな?
ガチャリ
「おら、酒だぞ…って、どうした? やけに静かだが?」
レオさんがワゴンに酒セットを乗っけて戻ってきた。
「レオさん、おかえり~。なんか俺の渾身のおねだりネタ失敗しちゃって、師匠がドン引きっぽい。やっぱいいトシこいたオジサンが可愛くおねだりって絵ヅラ的にしんどいもんな~。」
てへっと誤魔化してみた。うん、オジサン酔っ払って調子に乗りました。
「…おいエイトール、正気に戻りやがれ。」
ソファーにやってきたレオさんが師匠のアタマを小突く。ハッと師匠が正気?に戻る。
「…レオナルド、あれヤバい。マジヤバい。オレ、有り金全部貢ぎそうだったわ。」
「…お前、コウに何やらせてんだ。叩き出すぞ。」
レオさんが睨みながら、酒をテーブルにセットする。
「コウは一旦水だ。少し酔い覚ましてから酒飲もうな。そのほうが美味いぞ?」
そう言って俺に水のカップを持たせる。
オーケー、オーケー。俺もそろそろお水タイムだと思ってました。歩いたせいかふわふわ感がちょっとマシマシなんだよね。でも師匠の秘蔵の酒を飲むまでは潰れませんぜ?俺が潰れた後に2人だけでこっそり飲むなんて許しませんぜ?
「ありがとー。さ、レオさんも座って飲も。」
レオさんが隣りに座る。3人掛けのソファーだが、真ん中の俺ポジションやたら狭いですが…?
とりあえず水いただきまーす。
グビっと水を流し込む。うーん、さすが水! なんも味しない!
「レオナルドぉ、この酒もあけようぜー。オレの戦利品ー。」
師匠がカップを傾けながらテーブルの上の酒をさす。昼間からテーブルにのってた酒だ。
「…お前。チクショーめ、コイツは後でゆっくり飲む予定だったのに…。はあ、仕方ねえ。全部はあけねえからな。」
レオさんは入ってたカップの酒をぐいっと飲み干し、渋々テーブルの酒の封を切った。
師匠もぐいっと飲み干して空のカップを差し出したので、俺も一緒にカップを出してみた。
マスター! 水割りいっちょー!
「コウちゃん、これ結構キツいぜ? すぐ酔っ払っちゃうぞ?」
「コウ、これは諦めような? ほら、こっちのオレンジ割り飲もう。甘酸っぱくて美味いからな?」
「えー、俺もお高い酒飲みたいんですけどー。せめてひと口、舐めるだけでもいいからー。」
お高い酒、是非!
なんならオジサン、もう一回おねだりチャレンジしてもいいよ? 今度は俺の部署限定大人気宴会芸のストリップショウしちゃうぞ?おひねり貰えるレベルの完成度だからな!
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