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健全黒字経営目指します!
ベストバウト
しおりを挟む第77話 ベストバウト
「ワハハハ、嬢ちゃんモテるなぁ。これは横から掻っ攫うってより正面から頂くっつーのもアリだな。おらエイトール、ケツの殻が取れたか見てやるよ。」
ジュードさんがカウンターに腕をドンとつく。
もう片方の手でこいよ、と挑発してきた。
あ!これは!あの展開じゃ!!
「はんっ、老人は墓でシコって寝てな。おいレオナルド、一丁よろしく!」
ジュードさんと同じく、師匠も腕をドンっとカウンターにつき、ジュードさんの手をガシッと握りこむ。
そう、アレです! 表でやらなくても出来るある意味平和的勝負、
腕 相 撲 だ っ ! !
わー! 外国の映画みたい!パブで力自慢の男同士が腕相撲…、ヤバっ、そんなのめっちゃ盛り上がるじゃん!!
尚、実際盛り上がっていた 笑。
背後に騒ぎを聞きつけた野次馬が集まってきて、ジュードさんやっちまえーとか、剣聖、男をみせろーとかワイワイしていた。ちなみにニックさんが賭けの胴元をやっていて、ジュードさん有利です。
「エイトール、ついでにその手癖が悪りぃ腕へし折っちまえ。じゃあ、お互い公平に魔法と強化は無しだ。…はじめっ!」
掛け声と同時にパンッと2人の手を叩いた。
グワっと瞬間的に2人の腕が膨らむ。ビキビキと音が聞こえてきそうだ。
どちらも様子見なのかビクとも動かない。
「はっ、オヤっさんトシじゃねえの? 全然手ごたえないんだけどぉ? これじゃあ秒で終わっちまうぜぇ?」
師匠がゲス顔で煽る。
「あー、剣聖サマはお優しいっこった。こんな老人に手加減してくれるなんて、なぁ!」
ジュードさんがまるで力なんて入ってませんと言う様な涼しい顔でググっと師匠を押す。
「ちっ! あぶねーあぶねー、あんまりにもヒマで居眠りしてたぜ。っと!」
減らず口を叩きながら開始位置まで押し戻す。周りは、剣聖寝てんじゃねー、ジュードさん腕折っちまえー、とヤジに大盛り上がりだ。
よし、俺も混じるゾ!
「ジュードさ~ん、師匠~、2人とも頑張れー! 」
2人に声援を送る。
師匠とジュードさんはこっちをチラリと見て、お互いニヤリと笑い今度は拮抗状態をぶち壊すよう力を込めて押し合いを始めた。周りの人々はその様子に大興奮で、歓声をあげ続ける。
「おおッ、やっぱジュードさん強ええ!」
「いやいや、剣聖も負けてないぜ!」
「やっちゃえ所長ー!5ラルも賭けてんだから勝てー!」
ニックさん、あんた胴元でしょ…。
「くっそ! 剛剣なんてぶっ潰してやんよっ!」
「久しぶりだな、そのセリフ、っぉら!」
師匠が一気にキメようと畳みかけた所から、カウンターと言うようにひっくり返すジュードさん。周りからウオオと大歓声が響く。
ふああ、めっちゃ手に汗握るんですけど!!
俺は興奮で口が乾きサフル酒で喉を湿らそうと、カップに口にした瞬間、溢した…。手に汗がね、滑って…。
あわわ、ちょっとシャツに掛かっちゃったよ。これシミになるかな??
ペタッと肌に張り付いた所をパタパタとする。
「…お、透けて、…ウグっ!!」
ダンっ!
「エイトール、勝利。」
レオさんが師匠の手を掲げた。
「っしゃあああああっ!!!!オレの勝ちいいいいっ!!!!」
師匠が勝鬨の雄叫びを上げる。
周りの野次馬達も歓声やブーイングをあげる。尚、ニックさんはブーイング側だった。
勝ち組は剣聖サマにカンパーイとカップを掲げ、ワイワイと席に戻って行った。
…あー、最後見逃しちゃった。
ジュードさん結構攻めてたのに、師匠はアレをひっくり返したんでしょ…。見たかったなあ…。くっ、酒さえ溢さなきゃ…。
「…はあ、まさかアレで負けるとはなあ。」
ジュードさんがよっこいしょと椅子に座り葉巻に火を点け、バレイ酒(勝ち組提供)をぐいっとあおる。
「スケベ心だすからだ、エロジジイ。」
ざまあと笑い、レオさんもバレイ酒を飲む。
「コウちゃ~ん、ありがと~! オレの為にまさか色仕掛けなんてしてくれるとは思わなかったぜえ~!」
師匠がガシッと俺の手を掴み、手の甲にキスの真似事をする。
…ん? 色仕掛け? なんの話だ?
「んー、色仕掛けはよくわかんないけど師匠おめでとうございます。腕相撲すごく面白かったです! 俺もあんな風に腕相撲でカッコよく勝負してみたいな~。はあ、筋肉いいな~。」
今更だが、高橋に付き合ってジム行けば良かったよ。このふわふわな腕…。いや、ちょっと力を入れたらポコって出るけどさ! 師匠のこの筋肉…、ウラヤマ!!
ペタペタと師匠の上腕二頭筋を触る。表面は柔らかくて中が硬い。うん、筋肉だなあ。
「ヤダ、コウちゃん積極的じゃん。これ勝ったご褒美? なんなら別なとこも触って…、「ほらコウ、俺の筋肉も凄いぞ?」、おいレオナルド、割り込んでんじゃねえ!」
師匠からレオさんの上腕二頭筋に移動させられた。うん、こちらはボリュームがあるね!
「ほう、嬢ちゃんのご褒美。これならもう一戦してもいいな。一晩触り放題でやるか?」
「…や、やらねえし! 次はぜってえ卑怯な手使う気だろ、オヤっさん!」
「人聞きが悪りい事言うな、小僧。強ければなんだっていいって、昔自分で言ってたじゃねえか。便所でションベンしてた時に襲いかかってきた事忘れてねえぞ?」
…師匠、それ最低ですわ。トイレ中はいくら何でもダメでしょう…。急には止まりませんから…。
あ、トイレの話したらなんかトイレ行きたくなってきたな。
「ご褒美って言われても何も出ないですからね? …あの、なんかついでみたいですけど、トイレってどこですか?」
「ん? トイレ…ああ、便所の事か。そこの戸だ。平民の便所だから小汚ねえが我慢してくれよ。」
カウンター脇に扉があった。
「あは、大丈夫です。じゃあ、ちょっと失礼。」
「コウ、俺も一緒に行く。使い方わからないだろ?」
レオさんがついてきてくれるみたいだ。確かにまだコッチのトイレは使った事ないんだよね。ちなみに道中は茂みで立ちションでした。とても解放的でした。
「ありがと。でも小だから大丈夫だよ。男子便所はどこも同じでしょ。」
「…まあ、そうだが。」
「レオナルド、過保護すぎんぞ~。つーか、コウちゃんのチンコでも拝みに行く気か? ならオレも混ぜろよ~。」
それ、セクハラです!
「死ねよ、エイトール。」
レオさんは首を切るジェスチャーをした。
「あはは、大丈夫だから。そろそろ限界だから行ってくるね。」
「…わかった。一応戸の前にはいるから、何かあったら呼べ。」
「はいはい。」
過保護な護衛さんを戸の前に待たせて、トイレに入る。中は2つの個室に分かれていて、片方が座る用に穴の空いた木箱とペーパーがわりの葉っぱ?の束があり、もう片方は石でできた小便器3つ並んであった。地球の小便器と違うのは、落ちる穴が大きく空いているくらい。多分どちらもボットンタイプだと思う。
さっさと用を足し、手を洗う…あ、手洗い場がない…。
まあ、昔のトイレ事情だと無いよな…。うーむ、でも俺的にはちょっとヤダ…。
…うん、タブレットからウェットティッシュを出そう。触ったタブレットは拭けばいいしね。
ゴソゴソとタブレットを引っ張り出し、ストレージからウェットティッシュを出し、手を拭いて、触ったタブレットも拭いた。幸いにも流せるウェットティッシュだったので、ボットンへポイさせていただきました。
んー、スッキリ! …あれ、スッキリしたけど、なんかふわふわしてきたかも?
トイレから出たらお水飲もうかなー。あ、でもサフル酒まだ残ってるから、それ飲んでからか。
ふわふわとしながら、トイレから出たら目測を誤ってレオさんにぶつかってしまった。
「あふ、レオさんごめーん。えへへ、なんかぶつかっちゃった。」
「大丈夫か?…もしかして、酔っ払ってきたか?」
レオさんがよろけた俺の肩を支えて、心配そうに覗き込んできた。相変わらず心配性イケメンだな、レオさん!
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