異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

文字の大きさ
上 下
57 / 101
健全黒字経営目指します!

確かにそう言う

しおりを挟む

第57話 確かにそう言う



「酒は知り合いがいる所でしか飲まないほうがいいぞ。」

 ………あ、これ脱ぐ以外にもなんかやった。

 いつぞやの飲み会で俺の面倒みてくれた川田と同じセリフ…。何やったかは教えてくんなかったけど、しばらくの間俺を残念なイキモノを見るように生ヌル~く見つめられた思い出…。

「お酒、自重致します…。」

「ま、俺がいる時はいいさ。ちゃんと面倒みてやるよ。」

「…お手数をおかけし誠にすいませんでした…。」

 酒、ほんと自重しよ…。

「あと1タトくらいしたら準備すっぞ。起こしてやるからもうちょい寝てな。」

 レオさんは一度頭をふわりと撫でてから腕枕を抜き、よっと起き上がってベッドから出た。そのまま上着を着はじめる。

「え、レオさんはもう寝ないの?」

「便所。あと軽く日課の鍛錬してくるわ。」

 …あ、便所。お引き止めして申し訳ない。
 しかし、鍛錬が日課ってカッコいいなぁ。さすが筋肉だわ…。

「じゃあ、ちょっとお言葉に甘え寝てます。」

「おう。ちょっと行ってくる。」

「いってらっしゃい。」

 だらしがないが布団の中から手を振る。
 レオさんは何故か嬉しそうに手を振りかえし、リビングから出ていった。

「…寝てるって言ったけど、ちょっと目が冴えてしまった…。どうしよう…。」

 体力温存したいのはヤマヤマだけど、やらかした?ショックもありもう簡単に寝付く事が出来ないでごさいますよ…。

「ひとっ風呂浴びっかなぁー。レオさんが鍛錬から帰ってきたら風呂ですっきりしてもらうのもアリだろうし…。」

 だいたいもう俺パンイチだしな…。着るより脱ぐ方が早いんだぜ…。

 ムクリと起きて、床にあった服(キチンと畳まれてた…)を抱え風呂に向かう。
 スマフォ操作で風呂に湯を満たす。

「次のamazooではシャワー付きのカラン買おう…。風呂はいいけど、朝イチでこの作業は面倒すぎる…っ!」

 シャワーの件は後でリマインダーにいれとこ!半年後なんて絶対忘れてるからな!

 服と履いてたパンツを洗濯機に突っ込み洗濯をスタートさせ、俺は朝風呂に突入した。


 朝風呂で身だしなみを整えサッパリする。
 着替えを出すのを忘れて自室まで全裸でうろついたが、レオさんが戻ってないからセーフ!
 とは言え、今日はどんな格好がいいんだろうか…?コッチで浮かない貴族っぽい格好ってどんなの??
 とりあえずの貴族な感じで、シンプルにカッターシャツと黒のカラーデニムをチョイス。上は高校の時着てたグレーのカーデでも羽織っとこう。ま、あとはレオさんが来たら相談か。
 着替え終わり、レオさんが帰って来る前にもう一度風呂を沸かす。沸かしてる間に洗濯も終わったので、屋上へ行って洗濯を干した。昨日のは帰ったら取り込むぞ、うん。そのままリビングに戻ったね!

「さて、お次は朝メシだな。デリバリーにしよっと。」

 俺はあんまり食べなくても大丈夫だが、レオさんにはボリュームがあるほうがいいよな。
 さて、どこかいいとこないかな~。うーん、まだ朝早いからデリバリーやってるとこ少ない…、おお、ナックあるじゃん!
 うん、朝ナックでハンバーガー決定。
 ポチってデリバリーオッケー!
 
 到着まであと30分あるからスマフォの充電しよ。モバイルバッテリーも念の為充電だな。
 …あ、今日の外出を総括チームさんにメッセしとかないと。
 コンソールからメッセを呼び出し、一泊ありの外出のメッセを送った。勿論、秒で返信だった…。もしかして俺担当って24時間交代制?フォロー手厚すぎん??
 総括チームさんからは道中充分気をつけるようにと、拠点に帰着したらメッセして欲しいとの返信だったので、了解と返しメッセを閉じた。

「ふう、疲れた…って、体力温存…全然してないな!ヤバい、ちょっと横になろう。」

 毛玉のふっかふかラグにゴロリと横になる。ふう、相変わらずよいふかふか加減。
 ふかふかにスリスリしてたらちょっと眠気が出てきた。ごめん、少しだけ寝ます…。おやすみ…。



「…い、コウ…、きろ、…おい、」

 肩をユサユサと揺さぶられる。

「コウ、起きろ。そろそろ準備するぞ。」

「…ふえ?じゅんび…?」

「街に行くんだろ?ほら、寝ぼけてないで起きろ。」

 ヒョイっと抱き上げられて強制的にダイニングの椅子へ座らせられた。おお、楽ちん…。勝手に椅子まで移動…。

「メシ食って準備すっぞ。メシは昨日の肉の残りでいいか?」

「…ん、ん?…あ、レオさんおかえり……ハッ、ごめん!めっちゃ寝てた!ご飯、今だすね!」

 うわ、めっちゃ寝ぼけてた…。
 
 慌ててタブレットを見ると、もう20分前からナックが到着のお知らせだしてる。急いで受取をポチりテーブルに朝ナックを広げた。

 朝ナックを食べながら、レオさんに今日の予定を聞く。

「今日はどんな感じになるの?」

「街まで30アーガくらいひたすら歩く。」

「ひたすら歩くんだ…。ってアーガ??それって時間?距離?」

「アーガは距離だな。」

「ほう、距離。…うーん、ちょっと想像つかないかも。」

 切実にメートル換算アプリが欲しい…。30アーガ、一体どれくらいなんだ…。

「そうだな…、俺のこの小指の爪半分くらいが1ウル、片腕ちょいくらいが1フィラ、アーガは1フィラの1000倍くらいだな。」

 おっと、メートル換算きた!ってまんまメートル法じゃん!と、言うことは…、

「さんじゅっきろ…。」

 …街まで30キロ、マジか。

「さんじゅっきろ?」

「え、ああっと、30キロメートルね。キロメートルは地球での距離。…俺、そんな距離歩いた事ないんだけど、…大丈夫?」

 流石に外回りでもそんな歩かないよ…。
 頑張って歩いて10キロが精々ってとこだわ…。

「…そうか。なら途中の村で馬でも借りるか。貸し馬屋がトズにあった筈。まあ、トズまで15アーガはあるが…、歩けなくなったら背負ってやるよ。」

 う、馬…。馬に乗った事ないんだが…。

「あの、俺、馬乗った事ないんだけど…。」

「…あー、そうか…、地球は動物少ないんだったな。馬も乗る程いない、か。」

 え、いや、確かに動物少ないけど、コレなんか違う方向に勘違いさせてる??
 すまん、お馬さんはレースあるくらいいるんだ…。俺が乗馬をした事ないだけだよ…。

「ええと、そうだな…。トズは確か乗り合い馬車の駅もあったから、そっちにすっか。うまく時間が合えば昼前にリオガに着けるしな。」

「リオガ…?」

「そう言えば教えてなかったな。リオガは今から向かう街の名前さ。この辺は田舎でリオガくらいしか大きな街がねえから、ついつい街ってしか言わねえんだ。」

 あ~、アレだ、ちょっと"駅"行ってくるってヤツだ。私鉄沿線の小さい駅は近所に何個かあるけど、駅ビルある駅は中心街のアレだけみたいな。
 俺も菓子折り買いに、ちょっと駅行ってきますってよく伝言残したもんなぁ。正式名称略わかるわぁ。

「りょーかい。申し訳ないけど今日は馬車でお願いします。」

「無理するよりはいいさ。」

 
 朝ナックを腹に収め、外出の準備を始める。
 レオさんには風呂を勧めといた。ひとっ風呂浴びて汗流してきてね!
 バックパックにタブレットやモバイルバッテリーを詰め、あとはカロリーバー、…は昨日から入りっぱなしか。追加でもう1つ入れた。コーヒーも入りっぱなしだがこれは抜いとく。かわりに水のペットボトルを1本。もう1本はレオさんに渡しとこ。

 20分も経たない内にレオさんが風呂から上がってきた。ほんとにひとっ風呂だよ 笑。
 丁度手に持っていた水を飲んでと手渡すと、グビリとひと口で半分くらい飲み干した。うん、風呂上がりだね。

「それ後でもう1本渡すから、レオさんの今日の飲み水にしていいよ。」

 しかしレオさんはちょっと渋い顔した。

「人前では出せんな…。高価なガラス細工と勘違いしたバカに盗まれちまう。」

 マジか…。ペットボトル、お宝か…。まとめ買いだから100円もしないんだが…。
 誰もいない所で飲もう…。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

俺が総受けって何かの間違いですよね?

彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。 17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。 ここで俺は青春と愛情を感じてみたい! ひっそりと平和な日常を送ります。 待って!俺ってモブだよね…?? 女神様が言ってた話では… このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!? 俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!! 平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣) 女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね? モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

処理中です...