異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

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健全黒字経営目指します!

その動悸どこから

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第55話 その動悸どこから



コンとビールをぶつけて乾杯した。

「プハーッ、きくー!」

「…グフッ!…んおお、これもなかなかシュワッとするな!…だが苦味があっていい。このびーると言うヤツはコッチのバレイ酒と似てるぜ。」

「へえ、ビールに似た酒あるんだ。今度街に行ったら酒飲みに行くのもアリかな。って言っても俺、あんまり酒強くないけどね~。」

 飲み会は好きなんだけど、アルコールは程々にしか飲めないんだな~。加減しないと二次会はグダグダになるタイプ。一回酔っ払いすぎて、気づいたら乗った事ない電車の終点、隣県にいた事あったね…。その電車、終点折り返しだったから野宿しなくてすんだけど…。折り返し終電を教えてくれた優しい駅員さん、ありがとうございます…。

「酒弱いのか?だと、コウにはバレイ酒はキツい酒かもしれんな。まあ果汁割りの弱い酒もあるから、明日は夜メシ食いがてら飲むか。」

「こっちもカクテルあるんだ。いいねえ。俺、強い酒はこれくらいで充分だから助かるな。」

 俺はビールを片手にお手上げポーズをきめた。

「…かわい…、ッ、ンンッ、そうか。コウの言う、かくてるってのはわからんが、酒場のオヤジには弱い酒出せと言っとくな。」

 いまカワイって言った??カワイってカクテルでもあんのかな??

「お、いい匂いしてきた。焼けてきたのかな?あ、塩いる?一応、塩胡椒は準備してきたよ。」

「どれ?…ん、まだ半生はんなまってとこだな。もう少し待ってくれ。ああ、塩くれ。あとこしょーってなんだ?」

 おや、コッチは胡椒はないのかな?コーヒーとかあるのに珍しいね。

「胡椒はね、スパイスってジャンルの調味料かな。地球には胡椒の実ってあるんだけどそれを粉にして辛味をつけたりするんだ。あと、味関係ないけど、粉を吸うと刺激でクシャミがでる。」

 なんか漫画みたいだけど、一回やらかしてばら撒いた時ほんと出たんだよね。胡椒ヤバい。

「…気つけ薬みたいだな。その粉は舐めてみても大丈夫か?」

「いやあ、さすがにそのままはオススメできないなあ。あ、そこの隅の小さい肉、それ焼けてない?それにかけてみて。」

 テーブルに準備した塩胡椒とつまみ食いように皿を手渡した。あ、箸、じゃなくてフォーク、

「ロックス。」

 なんと土魔法で串が出来ました!って土魔法万能すぎん??確かロックスってあの石の柱出すやつよな??串にも出来るのか…、土魔法しゅごい…。

 串にこっそり驚きつつ塩胡椒をほんのりかけてやる。レオさんは豪快にブスリと肉を刺してパクっといった。

「…おおっ、塩だけとは全然ちがうな!こしょーはコッチの山椒やカラシとは辛味の種類が違うんだな。こしょー、こっちにも欲しいもんだ。」

 え、山椒やカラシあるんだ!俺はそっちの方が驚きなんだが?!
 …もしかしてイタリア人どころか日本人の転生者もいるんじゃないか…?パスタに山椒だぞ…?地球知識チートしてるんじゃないの?!
 う…羨ましい…。
 後でリアムさんあたりに聞いてみよう…。

「山椒やカラシがあるなら、コッチにも胡椒あるかも。胡椒って温暖な地域に生えてるらしいよ。もし南国の商人さんが集まる場所があったら胡椒探すのもアリだね。」

 あったら絶対商談に持ち込んで輸入しちゃうぞ!だって大航海時代には黄金より価値があったって言うじゃん?ダンジョンで胡椒を売り出せばウハウハ…なーんてな 笑。

「なんだか楽しそうだな。…コウはそうやって楽しそうに笑ってんのが1番良い。」

 レオさんがふっと緩く微笑んだ。
 
ドキっ…

 な、なんだ、これ?!なんで今ドキってした?!
 え?なんで、…俺の心臓どうした…、

 …いや、ニヤニヤしてんのバレたから…だよね?
 うん、コレ恥ずかしいだけだ!!あー、恥ずかしい!!ほら、俺すごい赤面してるもんな!!

「…あ!おつまみ!そうそうおつまみ缶があるんだったー!ビールももう一本だそっ!あっ、キンキンに冷えたビールは冷蔵庫だったな?ちょっと取ってくるね!」

 グイッとビールをあおり、レオさんに顔を見られないよう急いで階下のリビングまで走った。
 冷蔵庫から冷えたビールを取り出し火照ほてった頬に押し当てため息をつく。

「はあ、冷て。…ってどうした、俺…。」

 普段ちょろよいしか飲んでないから、久しぶりのビールに酔ったのかな…。ほら、酔うと心拍数上がるよな?あのドキドキって言うか動悸よな?俺、オッさんだから動悸息切れみたいな?…いや、ソレは別もんの病気だわ…。
 って落ち着こうぜ、俺ちゃん…。

「…レオさん待ってるから戻るか。」

 頬にくっつけ過ぎてちょっと人肌になってしまったビールを戻し、冷えたビールとお馴染みのちょろよいを取り出し気持ちゆっくり目に屋上に戻った。


「そろそろ肉焼けるぞ。こめの準備頼むな。」

 戻ると辺りは肉の焼ける良い香りに包まれていた。
 レオさんがロックス串とナイフを器用に使い鹿肉を丁度良い大きさに切り分けていた。しかも串を量産したらしく、しっかりバーベキュー風に串焼きにされた肉もある。

「オッケー!…って、その串に刺さったパプリカみたいなの何?野菜?」

 肉に混じって、黄色のパプリカみたいなのが刺さった串があった。JAPAN焼肉で言う野菜盛り代わりかな?意外と健康思考の焼肉??

「パプリカ、地球にもあるのか。これはパプリカに似てるが別モンな。サフルの実って言うんだ。甘酸っぱい実で肉と一緒に食うと美味いんだよ。試しに食ってみな。ちょっと熱いから気をつけろ。」

 ほれ、とサフルの実焼きを手渡される。フーフーしながら、小さく一口ぱくりといってみた。

「…ァツッ!…あ、これウマっ!」

美味うめえだろ?サフルは森ん中に生えてる実の中じゃ1番2番に美味うめえんだ。今の時期はその辺中になってるから食い放題だな。」

 サフル、見た目パプリカなリンゴ味のマンゴー食感??
 ヤバ、脳がバグる 笑。
 でも美味いわ、サフル!この酸味、お肉と一緒アリです!
 美味くてついついまたサフルに齧り付くが、中身がスカスカなパプリカと違いマンゴー並にびっちり身が詰まった実、齧ると果汁がジュワァと垂れてくる。…ひーん!手首まで垂れてきたー!袖に着くー!!
 焼石に水程度だがペロリと手首に流れた果汁を舐めとる。…布巾ふきん、ストレージから出さんと。すっかり目先のメシで、そう言うお掃除系の準備忘れたわ…。
 ぶつぶつ言いながら手首から目を上げたら、レオさんとばっちり目が合った。一瞬驚いた顔になったが、何も見なかった風にバーベキュー台の方へ向き直りしゃがんだ。チョイチョイとロックス串で肉を突いている。

 …俺はまた、またもや残念なトコ見られてしまったようだな…。
 大丈夫、今回は自覚あるから赤面しないぞ…。

「あはは、お行儀悪くてごめん。じゃあ、米とか準備すんね。このビールはレオさんのだから飲んでいいよー。」

 ビールとちょろよいをテーブルに置き、レトルトカレーを温めなおす。
 そうだ、今日はカレーはライスにかけない事にしよう。カレーソースって感じなら、肉も味変出来て楽しいかも!ウキウキでカレーを深皿にうつし、ご飯をお茶碗に準備。おつまみ缶もあけて、…ついでにちょっとライトアップしちゃいますか!
 自然発光のライト石をランタン風にテーブルに置き、インテリアとしてソファ横にもライト石を置いた。うん、焚き火とふんわりライト石、めっちゃ雰囲気でるなあ。雑誌で見るオシャレグランピングっぽい感じになったぞ、多分!

「よし!キャンプ飯完成!」

「コッチもいい感じに焼けたぜ。」

 こんもりバーベキュー串がのった皿替わりの石版をテーブルにドンと置かれる。

「じゃ、もう一回乾杯しちゃおう!本日のかて、美味しいシカ肉ちゃんにカンパーイ!」

「シカ肉に乾杯!」

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