異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

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健全黒字経営目指します!

それは素敵な贈り物

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第53話 それは素敵な贈り物
 


 よし、場所は管理小部屋の上水槽横だな。上水槽も見える仕様に改造して、デカい水槽部屋風にしよう。木を隠すなら森ってね。
 リビング部屋の作業机に戻り、改造開始…、

「あれ?メッセきてるじゃん?」

 メッセ通知が一件入っていた。
 メッセを開いてみるとイケオジからだった。

『イケオジ: 全然コウ君からメッセ来ないんだけど~(泣き顔絵文字)
  リアム君ばっかりズルい~(泣き顔絵文字』

 …この人、本当に偉い神なんだろうか…?

『鈴木: すいません、リアムさんの能力で質問があったものですから。
 何かありましたか?』

 イケオジのメッセに一応お返事してみた。
 すぐ返信きた 笑。どんだけ話したいの、イケオジ 笑。

『イケオジ: それ塩対応ですから!まあ、コウ君だからいいですけど!
 そんな塩対応なコウ君に素敵な贈り物が届いているよ。』

 え、贈り物?イケオジから?まじ?

『イケオジ: 違うよ!私からの贈り物じゃないよ!』

 …何故返信前に返信するんだ、イケオジ!
 メッセなんだからメッセ使って!無駄に心読まないで!

『鈴木: 贈り物とは??』

『イケオジ: ダンジョンコアを設置するって聞いたシン君から初ダンジョンのお祝いの品が届いたんだ。
 その贈り物とダンジョンコアを合わせて設置すると、拠点のシン君の加護が増大するんだよ。
 素敵な贈り物だよね!』

 おおー、お祝いに神の加護!すげえ!

『鈴木: そんな凄い贈り物を?
 ありがとうございます!』

『イケオジ: チームがストレージに送ったから後で見てね。
 私自身はそちらにあまり干渉する事は出来ないけど、チームを通して協力する事は可能だからいつでも相談して欲しい。コウ君もチームの一員だからね!』(推しと真ん中に入ったデッカいハートのスタンプ)

 …推しって、イケオジは何処からそのスタンプ買ったんだ?むしろ神、スタンプ買えるのか…?

『rinrin村長: ありがとうございます。
 これからもよろしくお願いします。』

 って、また!!なんで名前変える?!どんだけファン?!

 ため息をつきながら名前を直してメッセを閉じた。

 それはそうと、こっちの神様の贈り物ってなんだろ?うっかり中身を聞き忘れてしまった。
 ストレージを開いてリストを探してみる。
 中身がわからないからジャンル不明なんだよなぁ。イケオジはダンジョンコアと配置って言ってたからインテリアかな??

「お、インテリアにあった。この『素敵な贈り物』ってヤツだな。試しに出してみるかー。」

 リビングにポチっと出して…、

ズンッ

「…マジかよ。」

 目の前に現れたのは2メートルの巨大な白い像。だがただのインテリアな像ではない。


 ギリシャ彫刻風のパンイチイケメンマッチョ像…。


 ダブルバイセップス・フロントって言う、上にあげた両腕をグッと曲げて上腕をアピールするボディービルダー御用達、マッチョ高橋の好きなあの筋肉ポーズの像だ…。全身筋肉バッキバキにキレてるです…。

「神の贈り物、なんかおかしくね?!?!」

 なんでこのマッチョ像を贈り物にした??こっちの神のお祝いってマッチョ像がスタンダードなの?!?!マッチョおめでたいの?!?!

 …コレ加護が増大するって言われても、このマッチョ合成で加護の何がどうなるのか全く想像つかない。コレの加護でダンジョンは一体どうなってしまうのか…。
 マッチョダンジョンとかになったら嫌なんですが…??

 コレ、久しぶりに頭を抱え案件なんですけど…。
 助けて、総括チーム…。マッチョが怖くて合成できないよ…。

 しかし、せっかく神から貰った贈り物。

「…覚悟決めるか。」

 マッチョに震えながら、神の『素敵な贈り物』を箱庭に突っ込みストックの中にあるダンジョンコアと合成を始める。
 …ロストも失敗もしなかった。高レア合成なのに(チッ)

 そしてついに完成した『ダンジョンコア』。
 丸い玉のグラが像に変化していた。
 めっちゃグラがアレになってるんだけど!アレになってるんだけど!

 実物を見ないといけないよな…。はあ。

ズンッ

 サイドチェストをキメたマッチョ像出現…。
 小脇にダンジョンコアを抱えてます…。

「…ポーズが変わるとか全然意味わからんから…。」

 コレをどうしろと…。

 さっきまで水槽建設ヤル気満々だったが、一気にトーンダウンだよ…。はあ。
 遠い目でパンイチマッチョ像を眺める。しかしどう見ても主張が激しい。ムキムキも去ることながらそのギラッギラした良い笑顔、地底奥深く隠される気ゼロなんだが…。
 …あー、いっそコレ、守護神とか言って飾ってしまうか…?堂々とダンジョン守護神って看板立てたなら拝むヤツしかいないんじゃね…?

「よし、方向性が決まったぜ!これからこのマッチョ像はダンジョン守護神とする!」

 決まったからには俺はヤルぜ!俺はヤルぜ!

 上水槽部屋の改造はやめて、元仕事部屋を改造する。   
 この元仕事部屋はいずれエントランスにする予定だったから、そこの目玉としてバーンと置く事にするぞ!
 部屋に残っていた家具類をストレージに収め、何もない空間を作る。像がデカいので圧迫感を感じないよう天井も高めにした。
 さて、ここでただ像だけ設置するのは芸がない。
 さっき検討していた多重水槽を使って、像が水中にいるように見せる擬似アクアリウムを作っちゃう!
 まず大理石で台座を作りマッチョを設置。天井に自然発光のライト石素材をつけ、これで上からほんのりダウンライト。それをガラス板で囲う。次はその周りにまたライト石を配置。さらに外側にガラス板を張り、ライト石の上に水ブロックをめいいっぱい詰め込んでライトアップ水槽にする。
 実はただの水と水ブロックの違いがあって、水ブロックだと中に気泡がぷくぷくと湧くんだ。湧水ってイメージなんだと思う。
 その気泡の湧き出しとライトが良い感じに合わさって、水槽の見た目に動きが出るハズ。多分。
 ふふ、なかなかお洒落だろ?さっき思いついた(ドヤ)
 一層目はこれでよし。つぎ二層目。今回は罠ではないので隙間は作らず、そのまま二層目のガラス板を水ブロックひとつ分の厚さで張ってしまう。今回は水ブロックは下段のみで、その上は湧いた水で満たす。外周の水槽はこれで完成!
 最後にガラスにうっかり近づけないよう、周りを水と大理石で囲む。ちょっとした噴水みたいだな。

 完成形を直に見にリビング部屋から移動した。
 ドアあけるとマッチョ水槽(尻側視点)がバーンと迎えてくれた。空間に余裕はまだあるはずなのにやたら圧迫感がすごい…。何故だ…。

「うーん、ま、ちょっとデカいけどこんなトコか。水槽自体はまあまあ良い出来かな!」

 水もガラスも透明度が高く、二層ガラスの境がわからない。急遽思いついた気泡がぷくぷくする水もいい感じだ。ライトの加減もほんのりだからアップもダウンもゆるく浮かび上がるっぽくて良い。そして中心のマッチョ像…。

 なんだろう、この全くハマらなさ感…。
 ムーディーがムキムキに変換される…。

「…返品してえな…。」

ガチャ

「戻ったぞ…、って、は?!?!」

 ドアを開けたレオさんがドアノブを押した形のまま固まった。

 まあ、わかる。
 帰ってきたらいきなりマッチョ像だもんな…。

「おかえりなさーい。」

 パタパタとレオさんの所まで行き、正気に戻れとポンと肩を叩いた。
 ギ、ギ、ギ、ギ、と音が鳴りそうな動きでコチラをみるレオさん。

「あー、あれ、今日からこのダンジョンの守護神。お祝いに貰ったから飾ってみたよ。」

「お祝いに、貰った…。ちなみに様からだ…?」

「…様かな、ここの世界の。」

 レオさんはガクーッと膝から崩れ落ちた。
 …もしかしてこのマッチョは、

「こんな見事な天上神てんじょうしんの像、教会にもねえよ…。コウはここに神殿でも作る気か…?」

 (イケオジ呼びで)シン君か!!
 ちょ、神様!なんでお祝いの品に自分の像贈っちゃってんの?ナルシストなの?

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