異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

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健全黒字経営目指します!

異世界転職先でモテ期な訳だが

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第51話 異世界転職先でモテ期な訳だが



「…え、ええと、レオさん、俺、「ご褒美貰ったぜ。ありがとな。」…はい?」

 見上げたレオさんはニカッと笑い、また俺の髪をクシャクシャにかき混ぜた。
 俺が身じろぐと体を離し、ベッドから抜け出た。

「この後はやる事ねえだろ?俺はちょっとまた出てくる。エイトールのアホが荒らした場所見てくんの忘れたから行ってくるな。夕方には戻るぜ。…ああ、そうだ、夜メシはこめがいい。あれ、また作ってくれ。」

 いってくると、手を振りレオさんは颯爽さっそうと出て行ってしまった…。

「…ええ???」

 どうなってんの…?
 俺、どうなっちゃってんの…?
 急展開す…、

ボボボボッ

「ッウハアアアアアッ!!!!こ、告白された?!?!レオさんに?!?!なんで?!?!」

 思い出したらよくわからない赤面に襲われて、顔を押さえながらベッドでゴロンゴロンと転がる。
 …何で突然こんな事に?!
 意味がわからないが?!
 二度ある事は三度なレイプまがいのアレから何故告白に?!

 …つーか、一目惚れって…。

 レオさんの真剣な顔。
 すげえ目力あった。強すぎて思わず黙ってしまったもんな…。
 …そう言えば瞳はグリーンだったな。少し顔にかかる濃茶の癖っ毛にしっくりくる感じ。ラテン系で彫りが深くて唇は厚めで、今日は少し不精髭が生えてた。でもそんな感じがセクシーラテン系だよな。キス顔もエロ…、

「おい落ち着け、俺。」

 正気に戻れと、パンと両手で頬を叩く。
 ふー、やれやれ、ちょっと数年ぶり、いや十数年ぶりの告白に動揺してしまったな!男からだけど…。
 しかし、レオさんが俺に告白なあ…。一目惚れ言っても、まだたった2日だぞ?

 だぞ?

 いくらラテン系と言えども会って2日で告白いくか?普通はいかな…い、
 …ん?んん?あれ??2日って、

「2日って2日前、レオさん、リアムさんに洗脳されてね??」

 思い出した!あの時、レオさんに怪しい暗示をかけて仲間にしてるわ!!あれだわ!!

 ベッドからガバリと飛び起き、隣りの部屋に落としてきたタブレットを引っ掴み作業机に設置した。

『鈴木: お忙しい所すいません。
 プライベートな事で質問がありまして、メッセージをリアムさんに送っていいですか?』

 タタッとメッセを打つとすぐ返信が返ってきた。相変わらず早いな…。

『総括チーム: オッケーです。
 今、リアム先輩からプライベートトークのインバイト出します。そちらにメッセージをどうぞ。』

ピコン

『リアムといっぱいお話ししよ?部屋 に招待されました。承認/拒否』

 リアムさん、意外に面白いひとだな…。承認、と。

ピコン

『リアム: 本日はご指名ありがとうございます。リアムです。』

 …ホストかな?

『鈴木: リアムさん、お忙しい中すいません。
 あまり仕事に関係ない事なので申し訳ないのですが、少し気になる事がありリアムさんの分かる範囲でお答え頂ければ助かります。』

『リアム: そんなかしこまらなくていいよ~。
 今このトークは俺しか見えないし、ログは俺とコウさん両方の承認がなきゃ公開されないから(サムズアップの絵文字)
 何か困り事?』

 あれ?リアムさんて、あの渋いい声の人だよな?声から堕とす系の。
 …なんか軽い。いや、今はソコは置いとく。

『鈴木: ありがとうございます(土下座絵文字)
 少し困ってるっちゃ、困ってます。
 この前の洗脳の事で質問です。』

『リアム: ちょ、洗脳って 笑。
 催眠か暗示って言って 笑。』

 …あれはやっぱり洗脳なのか。

『鈴木: レオさんに仲間になれって暗示笑。をかけたと思うんですけど、あれってどんな効果の暗示なんですか?』

『リアム: あれはその言葉のまんま仲間になるって効果だよ。敵対心がなくなって、仲間、昔からの知り合いみたいな感じかな。
 もしかしてレオナルドくんの洗脳とけた?』

 洗脳、言っちゃった…笑
 違う、そうじゃなくて!

『鈴木: いや、解けてないです。
 むしろ洗脳が拗れた感じで困ってます。』

『リアム: 解ける訳ないよな!良かった!(泣き笑い絵文字)
 アレが簡単に解けたら、俺の必殺技がただの技になっちゃうからね~。立つ瀬無し~。
 で、拗れたってレオナルドくんどうしたの??』

『鈴木: 凄く言い辛いんですが、何故か俺に好感度MAXになってしまったんです。
 リアムさんの洗脳が効きすぎたみたいなんですよ。』

 拗らせ過ぎて告白してきたんです…。
 しかもエロも拗らせてるんですぅ…。

 までは、さすがに書けなかった…。

『リアム: え?ちょ?マジで?
 ごめん、ちょっと席外す。データ見てくる。』(少々お待ちくださいと入った作業員猫スタンプ)

 データって…、あの洗脳ちょっとヤバいヤツなのかな…?
 レオさん、実はかなり脳やられちゃってたりして…。いや、あのスピード告白恋愛脳ありえる…。

 返信を待つ間、軽く拠点の整備をする。主に昨日ぶっ壊した風呂修理だけどね!
 ついでに買ってた蛇口もキッチン、風呂、洗面台の水回り系につけた。やっぱ垂れ流しは湿度が気になるからねぇ。ここ地下みたいなもんだから。
 ポチポチやってたら返信がきた。

ピコン

『リアム: お待たせ。今あの時の俺の音声データ見てきたけど、特におかしな数値は出てなかったな。
 過去比較見ても俺の通常値だった。』

 え、マジで?おかしくないの?
 でもレオさんはおかしいよ??

『鈴木: データに異常無しなんですか。
 それだとこうはならないって事ですか?』

『リアム: 俺の洗脳って、言葉通り、なんだよね。
 日本で言うコトダマ?かな?言った事が本当になるって話のあれ。それに近い。
 でも言葉以上の効果はないね~。なかったね~。
 と、言う訳で!
 レオナルドくんの好感度MAXはコウさんのせいかな!
 ワーオ!モテるね!(ハートに矢が刺さった絵文字)』

ゴンッ

 ショックがデカくて作業机に突っ伏した…。
 瀕死だ。ライフがゼロった。心が赤ゲージです。
 瀕死のまま返信する。

『鈴木: 調べて下さりありがとうございました。』

『リアム: また何かあったら相談のるよ!
 こちら恋愛相談もオッケー 笑。
 あとルーカスから伝言で、
 早めにダンジョンコアを設置して下さい。との事。
 じゃ、頑張って!(サムズアップの絵文字×3)』

 文を返す気力がなく、メッセ内にあったデフォルトスタンプのありがとうございますを返し、メッセを閉じた…。


「…聞かなきゃ良かった、洗脳の秘密…。」

 あの洗脳は言葉通り。
 確かに言葉通りに仲間になった。しかもフレンドリーな仲間だ。マーシナリー契約もスムーズだった。

 …やたらスムーズだったんだよなぁ、あの時!

 今思い出したけど、すでにあの時からやたら恋人ムーブきめてたな、レオさん…。あの時にはもう惚れて…?いやいや、アレは多分おふざけだ!おふざけだよね…?

「はあ、これからどうしよ…。レオさんと仲間はアリなんだけどなあ…。熊倒せるくらい強いし、護衛仕事も真面目にこなすし、筋肉の割に結構気遣いできるし。でも恋人は…、まだ早い、じゃなくて!…はああ、異世界転職先でモテ期な訳だが…ってラノベのタイトルかよ…。意味わかんねえ…。」

 出会って2日だぞ…?
 いくら洗脳で仲間になってもさ、普通はお友達から始めましょうねってより、はじめましてこんにちは、明日からよろしくお願いしますの段階だろ…。

ゴンッ

 もう一度机に突っ伏す。

「あー、アタマいたい…。」

 
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