異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

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健全黒字経営目指します!

七不思議は大抵7個以上ある

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第44話 七不思議は大抵7個以上ある



「魔道具代わりになる便利な道具は色々あるんだけどね…。うーん、今持ってる家財道具は動力が電気だから拠点以外ではあんまり使えないかな。」

 とりあえずの魔道具代わりにコレと、ポケットに入れてたスマフォを取り出し、ささっと画面をスワイプして見せる。ついでにレオさんの写真もパシャッと一枚撮って、ほいっとみせた。ほーら、頬杖をついたレオさん本人だぞ。キメ顔じゃないのにイケメンだぞ。…ちっ、羨ましいぜ。

「…これはの魔道具じゃねえか。個人で持つレベルじゃねえし、道具自体が小さすぎる上、画が鮮明すぎんぞ…。」

 レオさんの手がスマフォの画面に伸びたが、指がチョイと触れた瞬間、スライド操作と感知した画面が小さくブレるエフェクトになってしまい慌てて手を引っ込めた。まあ、視覚エフェクト初だから相当びっくりするわな。
 わかってたけどやっぱスマフォはオーバーテクノロジーだよなぁ。そうすると…、

「もしかして動画はヤバい?…こんな感じなんだけど…。」

 ビデオボタンを押し、カメラをレオさんにジワリと近づけ横を向いてもらう短い動画を撮って見せる。
 レオさんは自分が映る動画に目を真ん丸にして驚き、そして動画が終わると遠い目になりそのまま目が死んだ…。

「…そんな魔道具はコッチにはねえ…。声付きの動く画とか完全に神の領域だろうが…。」

「うわ、動画は神の領域…?それはヤバい…。」

「…絶対、人前でその板は動かすなよ?そのたぶれっともだ。バレたらジジイ共がショックでおっ死ぬどころか、国か教会のお偉方に攫われて二度と表に出れねえ生活だ。もしかしたら尊い御神体にされちまうかもな。」

 レオさんが恐い顔でズビシッ!!とスマフォを指差した。

「ひえっ、何それ怖い…。」

 でも確かにラノベでそう言う展開読んだ事あるわ!地球知識やテクノロジー駆使しすぎで魔術のトップとかに貴重な実験体として監禁されるやつ。但し、大抵は俺TUEEE主人公だから自力で派手に脱出するんだよなあ!俺、何かやっちゃいました?ってな。…あ、でも俺TUEEEチートないじゃん。おあ、捕まったら自力脱出ヤバい…。これは詰んだ…。
 レオさんがそんな内心あわあわな俺をみて深いため息をつく。

「明日街に出るつもりだが…、絶対その神器について話すな出すな触るな、だ。」

 項目毎に指をひとつずつ立て、見猿聞か猿言わ猿的な勢いで言われた。
 俺も我が身が大事なんで三猿?了承ですよと、うんうん、頷く。

「あと、街ではコウは俺が護衛している貴族の扱いにするから庶民とは口をきかない事。何か話したい事がある時は俺に耳打ちするんだぞ?…うーむ、今はこんなモンか。他は街に行く途中で説明だな。」

「オーケー、わかった。」

 大丈夫、俺は貴族設定。よく映画なんかで身分が高い貴族の人が扇子で口元隠して隣りの執事にヒソヒソ喋ってるアレだろ?イケるイケる。…あれやってんのほぼ女の人だけどな…。

「よしじゃあ、たぶれっと、は?」

「話さない、出さない、触らない!」

「庶民と、」

「話したい時はレオさんへ耳打ち!」

「はい、良くできました。」

 レオさん、引率の先生か!
 いや、引率の先生ですね…。

 明日はレオ先生について行きますヨ!!たのんます、レオ先生!!

「さて、俺は一度窪地に行って赤足あかあしの討伐のあかしを取ってくる。ついでに荒らした後も戻してくるかな。まあ昼までには戻るさ。一応、入口の鉄の扉前にウォール3枚くらい張ってくぞ。何かあったらそのたぶれっとでぶっ壊して出てこい。」

「了解!…あ、そう言えば!」

 突然思い出した。ダーっと走り…、出せなくヨタヨタと風呂場へ歩き、バスケットに突っ込みっぱなしのジョガーパンツのポケットを漁る。

「あった、あった。これ、忘れてた。」

 目的の物を手にリビングに戻り、レオさんにハイッと差し出す。

「これ返すの忘れてたよ。誘導の魔道具なんでしょ?貸してくれてありがとな!」

 レオさんは受け取ろうと伸ばした手を止め、少しだけ口を引き結び俺の手の中を見つめた。

 俺の手にはあの青いビー玉。

「…いい。」

「え?なんて?」

 ん?声が小さいぞ?レオナルドくん?

「コイツはまだ返さなくていい。街に戻るまでは貸しとく。覚えてるとは思うが、俺に何かあったらソイツが青い鳥になって街まで案内する、だ。一個しかねえから失くすなよ。」

 レオさんは少し困ったような笑顔でクシャリと笑い、ポンポンと俺の頭を軽く叩くように撫でた。また!すぐ撫でる!減るって言ってるでしょ!ぐぬぬ!

「失くしませんって!!」

 もう!緊急用とは言え、そんな一個しかない貴重な魔道具を俺に預けんな!!
 とりあえず失くさない言った手前、いきなり失くしたら大惨事なので部屋着のポケットにズボっと突っ込んどいた。

「ああ、一応教えとくが、もしこの森を出るなら西だ。コウは方角はわかるか?」

「え?多分。えっと、ちょっと待ってね。」

 スマフォのコンパスアプリを呼び出す。起動するとめちゃくちゃ北が回転しててびっくりしたが、手に持って軽く二、三回回してやると方角がきちんと調整された。…これ地球産ジャイロコンパスだけど、こっちもN極S極同じなのか。あとGPSどっから取得してんだろ…。G (ゴッド)P (ポジショニング)S (システム)だったらウケるけどな 笑。いやあ、異世界七不思議…。七つって言うかもう何個不思議あるかわかんないけどな…。

「オッケー。コッチでもコンパス使えるみたいだから方角わかる。」

「方角もそれでわかるのかよ…。相変わらず神レベルだな…。ま、それなら大丈夫だ。森から出るなら真っ直ぐ西。西に行けばいずれ森が切れて街道に出る。あとはどちらかに進めば村や街がある。それだけ覚えておけばいいさ。」

 んじゃあ、さくっと行ってくっかと、レオさんがテーブルに出した道具をしまいベッド脇で上着を着た。ベルトもしっかり締めて、冒険者いやマーシナリー様の出来上がり。

「いってくる。」

「はーい、いってらっしゃーい。」

 リビングの入口まで一緒に着いて行き、ヒラヒラと手を振って送り出した。
 何故かレオさんは何かをこらえるように口元へ手を当て、だがちょっと嬉しそうに手を振りかえし出て行った。

「さて、俺も業務開始しますか!」


 レオさん突撃寝起きドッキリで朝すっ飛ばした身支度をし、リビングの作業机に戻りタブレットを設置した。
 まずはメッセの確認からだね!チョイチョイとメッセを開くと総括チームさんからamazooの荷物第二弾到着のお知らせが一件入っていた。
 はい、昨日の荷物共々受け取りますよー!転送場所を元仕事部屋(最初に作った玄関隣りの部屋ね)に指定し返信した。しばらくするとドサっと音がしたので、隣りの部屋を見に行くとダンボール箱の山があった…。
 俺が全部頼んだヤツだけど、めっちゃ数あるな…。開けるの大変そう…。
 よし、レオさん帰ってから開けような!(レオさん使う気満々)

 山盛りダン箱は後回しにし、昨日やり残した拠点の整備に取り掛かる。地下に発電を移設だ。
 いま照明が落ちるのはキツいので、先に配線を引く。各部屋や廊下の照明、コンセントの配線を地下へ引き込む。うん、これで全部繋がったかな?
 テストでクリスタル発電を繋いでみる。

 これはチート発電よりかなり下のランクの発電装置。時限制で1か月しか持たないのだ。正直コストバリ高。動力のクリスタルは結構掘らないと出ないし、初心者でも初期から作れるほぼ永久発電の太陽発電があるので余計に人気がない残念発電なのだ…。
 ま、俺は地下都市を作った時に多用したがな!太陽発電だと地上から地下深くまで配線引くの面倒でね…。閑話休題だ!

 クリスタル発電のテストで配線の繋ぎ漏れ箇所を直し、本丸のチート発電を移設し配線を切り替える。テストで使ったクリスタル発電も予備電源にしとこう。さらに予備の予備ともう2個クリスタル発電を追加した。
 クリスタルに配線を繋がなければ発電はしないので、本線にチート発電とクリスタル発電の分岐点をつくり切り替えレバーをつけといた。よく災害で停電した時なんかで予備電源に切り替える、あのイメージ。チート発電だってリアルだったら壊れる可能性はあるしな。備え、備え!

 んふふ、地下管理施設っぽくなってまいりました!

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