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健全黒字経営目指します!
異世界勘違い
しおりを挟む第37話 異世界勘違い
「見た感じコウは20そこそこってトコだよなぁ。それに比べてたら25なんてオッさんだな。」
あははは、とレオさんがまるで口元に皺でもあるかのように顎を撫でながらちょっと困ったように笑う。
「…オッ…サン…、」
…お、お、お主、25歳なのかあああ?!
まさか高橋(28)より年下って言うか、山川田世代なのかああああ?!?!
俺より全然年下やんけえええーーーッ!!!!
俺がオッサンだよ、この若モンめがーーーッ!!!!
衝撃の事実に白目を剥きそうになった。
でも、でも、よく見ると…、ホリが深いだけで確かにお若いお顔面ね…。肌ツヤいいね…、25歳…。
「ごめん…、俺さんじゅういっさい、デス…。」
「は????」
レオさんがパードゥン?顔してるぜ…。
そりゃハタチそこそこと勘違いしてたら、パードゥンしたくもなるよな。俺もさっきそうだったよ、25歳の人…。
「俺、31歳なんで…、レオさんより随分オッサンだけど…、前と同じように接してくれると助かるなぁ…、なーんて…。」
…なーんて、レオさんが俺に気を遣って敬語使い出したら、マイオッサンメンタルが死んでしまうので牽制球よ…。
「さんじゅういっさい…。コウが31歳…。は?31?」
トイレのドアに壁ドンスタイルになってしまったレオさん。多分31歳の概念が間に壁ドンされてる。なんかもう31歳がゲシュタルト崩壊し始めてますよ?
…ソイツはもう諦めて飲み込んでしまえよ、レオさんや。
「俺の故郷って他国から見ると背の小さい人が多いから、年齢の勘違いはよくある事かな。よく子供扱いされちゃうんだな。あはははは…。」
主に異世界ラノベでな!
地球じゃ最近そんな事ないんだよね。メディアの力でアジア人顔が広まったせいか、まあまあ年相応の認識になってきたと思う。体格だってそんな子供体型じゃないのに。不思議!
むしろ身近…。経理の大御所お姉様方に孫扱いされて、飴ちゃんをポケットに突っ込まれる日々…。くっ、せめて息子扱いにして…。
「…そうか。よくある事なのか。まあ俺が勝手に20くらいと勘違いしただけだからな…。ふぅ、コウは年上か…。それはエロいな…。」
おい、今なんでエロいって言った?
年上にエロを求める方向の方角が間違ってるぞ!普通のオッサンはエロくない!
「ちょっとオッサンだけど、これからもよろしくお願いします。あっ、敬語は癖でたまにでるから気にしないでね。」
「ああ、俺も突然畏まった喋りは出来ねえから気にしねえさ。」
トン。
おんやぁ~?何で壁ドンされてるの、俺~?
いつの間か、レオさんとドアの間にいた31歳の概念さんポジションに俺が収まっていた。何やらこちらをねっとり見つめるレオさんが、如何わしい雰囲気出しまくりなんだが…。
「この顔で年上って言うのもいいな。…最初若い嫁が年寄り旦那から逃げてきたと思ってたが、実は未亡人か離縁されて追ん出されたクチか?」
ちょ、お前、俺の設定どうなってんの?!?!
あとそのチュウしそうな距離やめい!!!!
「違うから!全然違うから!俺は最初っから独身ですって前から言ってるでしょ?!まだ生涯一回も結婚してません!!」
「ん?旦那がいないしか言ってねえぞ?」
え?そうだっけ??
「…ンッ!」
油断した瞬間、顎を掴まれた。あっと言う間に唇が割られ噛みつかれるように深くキスされる。口を閉じようと頑張るが、あの厚い舌で歯列を犯すようにされると、逃げたいのに逃げられなくて思わず口が開いてしまう。
その隙を逃す事なくこじ開けられ、奥にいる舌をじゅっと吸われてしまう。それダメだ、そんな舌を絡められると、俺、
ってちがーう!!そうじゃなーい!!
掴んだ顎から胸へと降りてきたレオさんの手をパパッと払い、壁と腕の間から無理矢理抜け出した。心臓がバクバクいってる。
「と、とりあえず誤解が山のようにあるので、ちょっと落ち着いて話しよ??あ、そうだ!風呂入って綺麗になってからゆっくり話そう!!ほら、こんな汚いし!!ね?!」
逃げの一手!!
実際に払っただけの体は汚い事には間違いなく、正直風呂に入りたい故に風呂を作ったくらい俺が入りたいのです!そんな逃げ口上!
なんなら特別に冷蔵庫のちょろよいを出してもいいぞ?!
「(…チッ)」
コヤツ、舌打ちしやがった…!ちょろよいは出さん!
「じゃ、風呂準備する!すぐ出来るから、…あー、ちょっと待って、」
この共用スペースなんもないな!
ダーっと急いで隣りの部屋のコンソールに走り、ラグ、イスとテーブル、あと飲み水用に囲った水ブロックもだ。急ぎだから排水口は後で。
ポチポチ合成して配置。
ふと、画面に何か動くモノがある。少しビューを動かすと、
「わー!レオさんが箱庭にいる!」
なんとレオさんが箱庭グラで表示されてた!
レオさんがカクカクポリゴンキャラになってるよ!ヤバい、笑えるわ、これ!リアル箱庭凄すぎでしょ 笑!
…おや、なんかウロウロし始めたな。じゃあ俺もそっちに戻るか。
あ、レオさんの服!冷蔵庫に干したの乾いたっぽいから持ってかないとね!さすがにもう着るモンないからな…。
タブレットとレオさんの服を抱え、共用スペースに戻る。
「確かに、色々話し合ったほうがいいな…。」
戻ったらレオさんは遠い目でリビングを見ていた。小さな声で椅子…魔法…とかブツブ言ってる。
…目の前でやりすぎたわ。ごめんな。
「えーと、あっちのリビングで待っててね。横になっててもオッケー。お水はそこの水が飲料水だから。じゃ、パパッとやっちゃいます!」
バーっとひと通り伝えて、乾いた服を手渡しリビング側に追いやる。
俺は脱衣所に入りタブレットを風呂へ構えた。
さあ!湯を沸かすぞ!
水をたんまり入れた錬金釜を火にかけ、待つ事…
は?30秒?!
まんま箱庭のウェイトタイムじゃん!レンチンより早いってヤバない?!
…いや、便利だからいいか…。これこそ俺(タブレット)のチートだもんね!
釜ごと湯をストックに入れ、そのまま風呂にタップする。
ザッパー!!
風呂の三分の一へお湯が入る。
お、これも箱庭忠実だ。釜やバケツ等は別な入れ物の上に被せると、ちゃんと中身だけ入れ物に入る仕様だ。リアルGODver.もおんなじだった。
そのまま釜で湯を沸かし二つ分風呂に入れて、手作業でバケツで足し水をした。うん、良い湯加減。仕上げに洗い場用にもう一つお湯を沸かして、近くに水バケツも置いておく。
ふははは、素晴らしき和風風呂完成ー!
はあ、このふんわり漂う湯気がいい感じだよ…。
ウキウキでリビングに戻り、レオさんに声をかける。
「お風呂できましたー!」
「ああ、わかった。…って言うかふろって何だ?」
えええ?風呂、通じない?風呂文化ないの??
古代ローマは風呂あったけど、こっちはないの??
「えーと、湯浴み…?お湯に浸かる…?みたいな。」
「沐浴か?」
おー、沐浴ね。…すまん、俺には入浴と違いがわからん…。助けて、違いが分かるGoog先生…。
「多分そんな感じで。えーと、俺の故郷のお風呂の入り方教えるんで、レオさんも一緒に風呂場へどうぞ。」
俺には説明が出来ないので実践です。体で覚えていただきたい。
脱衣所に入り服をここで脱ぐ事を説明し、次に風呂場へ案内する。
「そこのお湯に浸かる前に、体をそこの洗い場で洗ってください。えーと、この白いボトルがボディソープ…、石鹸で、こっちの赤っぽいのがシャンプー、隣りのがコンディショナー、頭を洗う石鹸です。この上の部分を押すと出てくるので、」
「わからん。コウが手本を見せてくれ。」
「…え、俺?」
一緒に風呂入んの?マジで?
「わからなければ、体洗うだけで大丈夫…、」
「こんなの初めて見るんだ。」
ですよね…。風呂文化も違うし、ボディソープは地球産だもんな…。
しかし!
「もう、お風呂で変な事しないでくださいよ!」
ちょっとニヤついてんだよ、この人!!
風呂で何をしようとしてるんだ、お前は!!
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