異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

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健全黒字経営目指します!

糖からの塩の流れは正義

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第34話 糖からの塩の流れは正義



 レオさんもラグにやってきたので、クッションを座布団にすすめる。
 よし、お客様になんか飲み物くらいは出すかね!
 レオさんコーヒーはいけるかな?だめなら水になっちゃうけど…。あ、ちょろよい(※抵アルコールな缶チューハイ)もあるけど酒飲みには水扱いされちゃうので出しません!勿体ない!

「レオさん、コーヒーってわかります?」

「ああ、知ってる。西の国境近くの現場で、眠気覚ましに飲んだ事があるな。あっちじゃよく飲むみたいで、しょっちゅう不寝番ねずばんに振る舞ってくれた記憶がある。やたら苦いがクセになる飲み物だった。」

 お、こっちにもあるのな。
 じゃあ缶コーヒー出しちゃいますか。俺好みの甘いカフェオレだけどね!
 おっと、手汚いな…。ちょっと手を洗ってだな。あー、座り込んだレオさんには濡れタオルを進呈だな。お手拭きをおもてなし!おもてなし!
 冷蔵庫からカフェオレ缶を出し、カシュっと缶の口を開けてからレオさんへ渡す。お手拭きもセットだよ!お客様!

「これ少し甘いですけど、疲れてる時には丁度いいと思いますよ。」

「…このまま口をつけていいのか?」

 オーケー、オーケー!そのままグッとお飲みよ!

ゴクリ。

 一口コーヒーを口に含んだレオさんが、一瞬眉を顰めたがすぐ二口目に入った。
 ふふふふ、美味しいだろう?その疲れた体に糖は染み渡るだろう?

「…凄く甘いが、美味い。俺が知ってるコーヒーと全然違うから驚いた。この鉄鍋みたいなコップも初めて見たぜ。コウの故郷くには随分変わった所なんだな。」

 ま、初めてだと思います。カフェオレ飲料もプルトップ缶も地球産ですからね…。

「俺の故郷は食に全力を注ぐ傾向があって、美味しい物や美味しく食べる為の保管容器が凄いんですよ。後でまたご馳走しますね。あ、お昼ちょっと待って貰えますか?先に会社に連絡しなきゃいけないので…。」

「ああ、メシの事は気にしなくていい。今は少し休みたいからな。」

 優しいぜ、レオさん。だがたまにお鳴きになられるそちらの腹の虫さんに悪いので、ストレージからポテチをだす。うすしお味は作業のお供なのでストック余裕っすわ!

「これ芋を揚げたおつまみみたいなモンです。待つ間摘んでください。」

「なんだか気を遣わせてすまんな。ありがたく頂くよ。」

パリッ。

「…?!」

パリッパリッ。

「うま…っ!」

 ふははは、ポテチくんレオさんの心鷲掴みオッケー!うすしおのとりこがまた1人増えたぜ 笑。
 
 さて、メッセするか!

『鈴木: 少し外出していましたので連絡遅くなりました。
 何か緊急の用件でしょうか?』

 総括チームさんに返信。総括チームさんのほうが緊急っぽいから、イケオジのは後でいっかな。

ピコン

『総括チーム: やっと繋がった!無事ですか?!』

 はやっ!レスポンス早!

『鈴木: はい。レオナルドさんと一緒の外出だったので、特に怪我とかありません。』

 あ、これ、返信おそすぎて心配かけたっぽいな。わー、なんか悪い事しちゃったな…。

『総括チーム: 外出してたんですか。怪我がなくて良かったです。
 今回はその外出の件ではなく、環境についての報告と確認になります。
 実はこの一時間半くらい、そちらとのメッセージ及び通話が出来ない不具合が生じていました。
 あとコレは事後報告で申し訳ないのですが、コウさんの安全の為に計測していたバイタル情報のリアルタイム取得、これも通信出来ていなかったです。
 現在不具合は解消されましたが、未だ原因は不明です。
 そちらで何か異変はありませんでしょうか?』

 な、なんですと?熊狩りに行ってる間にそんな不具合が…?

『鈴木: 確かにメッセージは繋がらなかったですが、他のアプリは正常に起動していました。
 大元の通信自体は出来ていたんじゃないかなと思います。
 大変申し訳ないのですが、丁度その一時間半の間外出していたので拠点内で異変があったかはわかりません。
 拠点に誰か侵入した形跡はないようですが、もう一度レオナルドさんと確認してみます。』

『総括チーム: 確認後、報告をお願いします。
 こちらも原因調査を早急に進めます。
 あとあのステーキ弁当とても美味しかったので、こちらからもお礼にオススメのピザ注文しときました(ボスのポケットマネーで)
 30分後にデリバリーされるので、是非ご賞味ください(スマイルの絵文字)』

 ヤッターーーっ!!ピザがくるーーーっ!!!!
 総括チームさん、最高か…!

 …あ、いやいや、ピザより拠点の確認ね。うん、ピザより先に確認だよね。あー、おすすめのピザ楽しみ…。
 30分後のお楽しみに思いを馳せながら、レオさんに声をかける。

「レオさーん、ちょっと拠点内の見回りに付き合って貰えますか?」

「お、いいぞ!」

 タブレットから目を上げると良い笑顔のレオさん。
 ポテチは無事腹の虫さんに収まったようだ。小腹を満たせたみたいで何より!

「いま会社に連絡したら、もしかしたらこの拠点に異変があったかもしれないそうなんです。俺も一緒に見ますが、何か出る時と違う箇所があったら教えて下さい。」

「そうか。何が入り込んだ気配は無かったが…。気配を消して隠れてる奴がいるかもしれんな。」

 え、侵入者パターンもアリ?俺的に何か電波障害起こす建造物の異変しか考えてなかったんですけど…?
 もうホラー殺人鬼フラグはお腹いっぱいだよ…。

 レオさんが先に立って隣りの玄関部屋に入る。一瞬レオさんから息が止まるような何かがブワッと飛び出して全身を突き抜けていった。が、すぐ普通に戻った。
 …確か師匠も似たような恐ろしい何かを出したけど、異世界人は体から何を出してるんだろうか…。ほんと謎だ…。

「…うーむ、隠れてないようだな。殺気に当てられて動揺した気配はない。」

 おっと、いきなりアンサーきたー!

 A.『殺気』です。

 こ、これがウワサの殺気!!ファンタジーだと思ってた殺気…!!
 はー、コレに当てられるとほんとに動けないし息もできないんだなあ。マジでびっくりだよ。
 でも何がびっくりってさ…、リアル殺気出せる人が身近にいるが一番のびっくりだわ…。
 
 殺気を知りひとつ大人の階段を登った。多分。

 レオさんが壁に手をつけ声をかけてきた。

「俺は壁に変化がないか確認する。コウは装置を中心に見てくれ。、俺には何が変わったかわからんからな。」

 チート発電を指差す。
 確かにこれは俺の受け持ちだな。と、言っても!
 実のところ中身がどんな構造かは作った俺にもわからんのよね…。作ったと言っても、画面上で素材ポチポチ合成からのオブジェクト爆誕だからな…。
 うーむ、一旦ストックに入れて名前の確認してみっか。なんか変わってたら名前が変わる筈だし。

「はい、じゃあそちらはお任せしますね。壁や床は花崗かこう岩で統一してますから、他の岩が混ざってたりしたら教えてください。」

 とりあえず損傷がないか外観の確認。
 ざっと見、コイル状の謎電線や発電の心臓部にあたる箱の部分に壊れた所はない。規則正しい振動音みたいなのも聞こえるから、中の装置も大丈夫そうだ。
 次はストックに収納っと。

シュッ

 ストック欄にチート発電をスワイプ。タップで名前を確認。ダーククりスタル発電装置。

「うーん、名前に変わりないなあ。」

 確認が終わったのでチート発電を元に戻す。早く電源戻さないと冷凍庫の氷溶けちゃうからな。大事、大事。

「こっちは何も異変はなかったです。レオさんのほうはどうですか?」

「念の為魔力も通したが、何も変わった所はないようだ。つーか、こんな中身が均一の石材の方が異常だぜ…。」

 そう言ってお手上げポーズ。
 …まあ、ゲームだとランダム生成の方が難しそうだからね。どうしてもクローンになっちゃうんじゃないかな?いや、俺もよくわからんけどな…。

「異変がなくてよかったです。じゃあ、部屋に戻りましょうか。」

「おう、そうだな。」

 次はピザパーティーだ!!!!

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