異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

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健全黒字経営目指します!

お熱い初魔法体験

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第17話 お熱い初魔法経験



「罰則はどうする?ありきたりだが片目にするか?」

 罰則…?片目…?

「口外禁止だと他は舌切りって言うのもあるが…。コウとキス出来なくなるのは嫌だな。」

 なんか罰則不穏ワードしかないが??しかもまたサラッとエロい事しようと企んでるよね、この人!!

「…そこまで求めてないんで。もっとライトな罰則は無いんですか…?一部の記憶が無くなるとか、そう言う感じの…。」

「あー、精神系は俺の専門外だなあ。街に行けば公証こうしょう契約人けいやくにん役場やくばで出来るがね。」

 へえ、精神系が苦手なんだ、ってまさか罰則の片目とか舌切りって魔法の力じゃなくセルフカットなのか…?!
 その契約魔法、本当に魔法?!

 異世界契約魔法is何…?

「…じゃあ、違反したら金銭でいいです。罰金で。都度つど、10万トニーお支払い頂くって言う契約でお願いします。」

「随分生温なまぬるい罰則だな。コウがそれで困らないならいい。まあ、俺はもとより契約破るなんて不義理はしないタチだ。安心してくれよ。…つーか俺以外と契約する時は命くらい取るんだぞ?なんだかコウはすぐ騙されそうな気がする。」

 命を罰則って…。どんだけ重い罰則だよ。
 ってそう簡単に騙されませんからー!!元営業マン舐めるなよー!!俺を騙していいのは可愛いお嬢さんだけだからね!!

「…お気遣いありがとうございます。次回の参考にさせていただきます。じゃあ、契約魔法の続きお願いしますね。」

にっこり

 お願いスマイル。別名はよやれやスマイル。
 主に雑談オヤジの雑談を完封しハンコ押させるスペシャル営業スキルだ!!喰らえ!!にっこり!!

「はあ、その顔…。本当に心配になるな。…まあいい、契約始めるか。コウ、左手を前に。」

 おっ、始まるな!
 いそいそと正座に座り直して左手を差し出す。レオさんも左手を出してきたが、そのてのひらには一枚コインらしきモノが乗っていた。コインらしきモノと言っても、丸い金属枠に透明なガラスが嵌っている不思議なヤツだ。契約魔法の媒体みたいなものだろうか?

「今回コウが契約しゅだから、コウが俺のてのひらに手を被せてくれ。」

「あ、はい。」

 へえ、重ね順とかあるのか。面白いな。
 差し出した手をひっくり返し、上からレオさんのてのひらに重ね直す。

けいしゅコウ・スズキから、われレオナルドへ「今から話す仕事内容は関係者以外へ口外しない」をけいくさびとす。けいに反する時、我が"所持金10万トニー"を"反する度支払う"を代償とす。刻め、レクルト。」

 レオさんがレクルトと言った瞬間、一瞬てのひらの中のコインが驚きにケツが浮くレベルで熱くなった。が、本当に一秒に満たない瞬間だったので合わせた手はそのままに出来た。ちょっとケツは浮いたけどね…。

「出来たぞ。ほら、しゅあかし。」

 無事契約できたらしい。
 祝、初魔法体験!でもあの一瞬熱い以外はピカーっと光ったり手に不思議文字が浮き出るとかのいかにも魔法エフェクトはなかったなあ…。少し期待の不完全燃焼…。
 レオさんが先程のコインを渡してきた。

「あれ、これ指輪?」

 渡されたコインは真ん中のガラスが無くなっていて、金属の輪っかになっていた。
 もしかして魔法で見えなくなってるかもと摘んでみたが、真ん中に指の突き抜けをとめるようなガラスはやっぱりなく、普通に輪っかでまるで指輪のようだった。

「ん?コウは今まで直接契約した事が無かったのか?」

「こう言う契約はあんまり必要無い仕事だったので。ところで、これ、真ん中のガラスはどうなったんですか?」

 アッチ(地球)の仕事は書面契約ですからね…。魔法契約はちょっと…。

「そうか。…ふむ、奥方おくがたは契約あんまりやらねえから知らないのも無理はないか。」

 ひとりでふむふむ言いながら頷くレオさん。

 つーか、なんか奥方おくがたとか聞こえましたけど?!
 こっちの奥方おくがたって事務方じむかたみたいなモノですよね?!嫁とかの意味じゃないですよね?!
 ぐぬぬ、後でしっかり説明せねば!

「これはな、契約の命環めいかんって言う俺達マーシナリー御用達の魔道具だ。誰でも使えるようにハナっから真ん中の魔石に魔力がこもってて、契約魔法の詠唱をすると魔石に文言が刻まれるんだ。刻み終わると溶けて受け皿になったヤツの魂まで染み込む。んで、残ったリングは契約しゅあかしな。このあかしがある限り契約は続くぞ。契約を締める時は、また命環めいかんと手を合わせて詠唱すれば、魔石が命環めいかんに戻って終わりってヤツだな。」

 おおっ、溶ける石に魂縛り!契約魔法めっちゃ異世界ファンタジー!
 溶けるとこ見たかったな~。絶対ファンタジーでしょ、それ。

「へえ!真ん中の石はレオさんに溶けてるんですか!なんか凄いですね。」

「昔は契約のあかしをお互いに交わすだけが普通だったらしいがね。昔っから傭兵なんてモンはあかしとかあってもすぐ無くすヤツばかりでなあ…。あかしを失くされまくった昔のお偉い魔術師サマが盛大にブチ切れて、バカ共の魂にあかしを失くさないよう直接刻みつけたってのが契約の命環めいかんの始まりだそうだ。」

 うわあ、魔道具導入って残念バカが理由かよ…。ファンタジー度下がるわぁ…。

「へ、へえ、そうなんですか…。それは簡単に失くさなくなっていい事ですね…。…えっと、このあかしって指輪っぽいですけど、常に嵌めてたほうがいいんですか?」

「ん?嵌るなら指に着けても構わないぜ。勿論失くさないよう箱にしまっても問題ないが、契約破棄や違反罰則でも使うから身につけるヤツの方が多いな。契約数の多い軍人とかは専用のあかし通しの紐を腰につけたりしてる。」

 レオさんがそう言いながら、自然に俺の手をとり薬指に指輪を嵌めようとしたが、……ハイッ残念!サイズでかいです!
 レオさんから包まれるように囲われた俺の手をススッと取り戻し、薬指から命環めいかんを引き抜きとりあえずポケットへしまう。

「ちょっとコウの指にはデカいな。後であかし通しの紐か袋でも買うか。もしくはチェーンで首から下げるのもいいな。ムーンシルバー(※独自の鉱石。プラチナに似た銀)のチェーンなら細身だしコウの首にも映えそうだ。知り合いの細工師に声かけて見繕ってもらうか。」

 想像上の鎖を撫でるように俺の首筋へ指をツイっと走らせた。
 …この人、何でナチュラルに恋人ムーブキメようとしてくるん…??語りかけでは仲間になっただけの暗示よな…??

 チェーンは、…ああそうだ、思い出した。
 高校卒業あたりに当時流行ってたシルバーアクセをバイト増やしてまで買った思い出…。
 シルバーのドッグタグがついたネックレスな…。 
 あの当時の若者は猫も杓子も兎も角にそのドッグタグ付きのネックレスを下げてたんだ。そりゃもうドヤ顔でな。そんなめっちゃリア充アイテムだったから、やはり俺も若気の至りっちゅーヤツでね…ゲフンゲフン!
 確かあれ、流行りモノの割にまともなシルバーでイイお値段だったから捨てるの勿体無くてしまってた気がする。ドッグタグ外せば使えそうだな。異世界に十数年前の流行りモノを知る人などいないから、今着けても恥ずかしくない!よし、いける!

「チェーンはあるので新たに買わなくても大丈夫です。では、仕事の説明に入ります。」

 バッサリ恋人ムーブ斬り捨て御免!

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