異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

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健全黒字経営目指します!

サシミはじめます

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第16話 サシミはじめます



「えー、只今からミーティングを始めます。」

 頭を抱えてても業務は始まらないのでね…。
 レオナルドさんとサシミ(サシでミーティングの略。前の職場ローカル語だよ!)です。

「とりあえずレオナルドさん、靴を脱いでください。ここ土足禁止ですので。」

 まずはそのゴリゴリなブーツ、脱いでもらうぜぇ?レオナルドさんよぉ?
 上手い事話しがまとまったら床掃除もしてもらうつもりだ!汚したひとが掃除する!大事!

「どそく禁止…?靴に土魔法の付加を禁止って事か?どそくと言う魔法聞いた事がないが…、コウが不安になるなら脱ぐな。」

 はい??土足通じないの???しかも土足、土魔法にされてるが????
 この言語チート、少しポンコツの気配がするぞ…?大丈夫なのか…?

「土足は魔法では無いんですが…、いや、いいです、脱いだらドアの横に靴を置く棚があるのでそちらに置いてください。」

 レオナルドさんはコンバットブーツ風のゴツいブーツを紐解き、入り口の靴箱へ置いてペタペタとこちらへ戻ってくる。

 へえ、こっちの靴下ってつま先と踵が出てるトレンカソックスみたいなのなんだなあ。…と言うかゴム素材あるのか!あのブーツの底といい、そのぴっちりしたソックスといい、中世のヨーロッパぐらいの文化レベルにはオーバーテクノロジーでは??仕事に関係ないけど気になるわ…。検索に出るかな?

 と、…おや、なんだかレオナルドさんが微妙に困ったような顔してんな??どうした??

「うーむ…、濡れた訳でもないのに人前で足を晒してんのは中々無い経験だなあ。コウは裸足でも平気そうだが、故郷ではよくある事なのか?」

 あっ、ここ裸足生活が恥ずかしい国かー!
 風呂とベッドくらいしか靴脱がないタイプの国かー!
 そりゃいきなり脱げと言われたら困るよな。なんだか開口一番羞恥プレイを強いて申し訳ない。

「すいません、変な事頼んじゃって…。俺の国では室内に入る時は靴を脱ぐのが普通だったんです。申し訳ないですが、ここに入る時は靴を脱ぐようお願いしますね。」

 遥か昔に買った来客用スリッパ1組あった気がするから、その内出してあげようかな。そのデカい足が入るかわからんが。

「ああ、わかった。コウに合わせるよ。ま、その内慣れるだろ。」

 そう言ってラグにドッカリ座り込む。
 席を勧められる前に流れるよう自然に席へ座っちゃうタイプだからすぐ慣れると思いますよ…。
 お茶出そうかと思ったけどやめました。はい、ミーティング!ミーティング!

「ええと、改めまして鈴木航です。ここで住み込みの仕事をしています。よろしくお願いします。」

ぺこり

 挨拶大事よ!
 いちいち挨拶とか古い考えと新人大卒後輩くんがくだ巻いてたが、挨拶はとても大事なのだよ。存在認識がしょぱな挨拶する事で上位に組み込まれるからね。対応が早くなる。
 所謂いわゆる、居たのになんで声かけなかったの~?!案件を回避できるんだなぁ!おっと閑話休題。
 俺が挨拶をするとレオナルドさんも挨拶してきた。

「おう、俺はレオナルドだ。平民だから家名は無い。気軽にレオとでも読んでくれ。普段はマーシナリーで食ってる。…あと、何で仲間になったかキッカケが全然わからんのだが、俺は現在コウの護衛って事でいいんだよな?」

 ですよねー。
 俺も何でレオさんが仲間になったかよくわかりませんものー。

「………、まあ、そう言う感じでお願いします。」

「なんだか適当だなぁ。ところで護衛についてだが、傭兵マーシナリー契約はどうする?」

傭兵マーシナリー契約…?」

 え、仲間にはなったけど正式雇用の契約しなきゃならんって事??
 ソレ、お金かかるヤツ…??

「俺は契約無くても問題ないが、守秘義務とか制限事項あるなら一応、な。ああ、報酬は気にすんな。なんか知らんが、ポケットに報酬手形で100万入ってた。コウのサインっぽいのが入ってるヤツな。」

 レオさんがお札のような薄緑色の紙をポケットから出して見せてくれた。
 
   レオナルド 様
 金 100万トニー 也
  但し 護衛代として
             
             鈴木航(鈴木の印)
 
 え…、これは領収書では…?
 文字こそ違う(言語チートさんのおかげで読める)けど、どうみてもJAPANな書式で毎度お馴染みの領収書だが??
 あとなんで俺の署名とハンコついてあんの??

「…これ、使えるヤツです?」

「ん?斡旋所のいつもの手形だが、なんかおかしいトコロあるか?」

 レオさんが紙をひっくり返したり、透かしたりして見ている。

 …アレって領収書じゃ無いんだ。
 俺も流石に手形取引は馴染みないから手形の書式まではよく分からんけど…。その領収書もどきが金になるのは異世界ファンタジー様だわ。カルチャーショック。こっちの領収書はどんなモンなんだろうな。

「いや、使えるヤツならいいです。払出しに問題あったら教えてください。発行元にクレーム入れるので。」

 あの支払い、会社持ちだと祈りたい。
 100万トニーがいくらかわからないが俺の財布からはもう無理です。会社経費でお願いします。ぴえん。

「おう、後で街で払出してくるわ。それで、契約はどうすんだ?」

「あっ…と、契約は…、したいです。けど、ちょっとだけ契約するの、待ってもらっても大丈夫です?一旦持ち帰って検討したい事があるので。」

 契約、何を盛り込んだらいいかわからない件。
 まずダンジョン関連は基本社外秘だよなあ。ダンマスの俺の素性もあんまりバレたく無いし。でも、何をどうしたらいいか、全く畑違いもとい世界違いすぎてわからんよ…。後で総括チームさんに相談メッセだわ。

「…なあ、コウは故郷で政治文官でもやってたのか?その固い喋り方とか、やたら丁寧な態度とか、ただの貴族っぽくないが?」

 えっ、まだ貴族説続行中なの?!
 
「…貴族じゃないです。」

「ふーん、ワケありってね。まあ、その、アレだ、嫁がされてきた身だろうし?言いたくない事も多いんだろうな。でも、護衛任務はもう少しコウの事を知らないと厳しんだがな…。」

 すっごく妙な誤解されてる気配しかないね?!
 嫁がされって…一体俺は何者扱いだ?!
 語りかけのプロ、マジ仲間入りの件しか語りかけしてないな?!

「…あの、ほんのちょっと待って貰っていいですか?」

「ああ、問題ない。」

 タブレットを拾い上げ、一応画面が見えないようレオさんに背を向けメッセを素早く打ち込む。

『rinrin村長: レオナルドさんにダンジョンの件をお話ししてもいいですか?
 なんだかすごく変な方向に誤解されてるっぽいので困ってます。』

 …ちっ、また名前直すの忘れた。あの不思議神パワー変換どうにかして欲しい…。

『総括チーム: (オッケーサインの絵文字)
 契約魔法って言う縛りがある世界なので、一旦「今から話す仕事内容を関係者以外へ口外しない」と言う縛りをかけて話をしてみて下さい。
 契約魔法のやり方はレオナルドさんが知ってます。すでに仲間の暗示はかかってるので、彼に任せても大丈夫です。』

『rinrin村長: 了解です。』

 契約魔法、一丁やってみますか!

「お待たせしました。本契約なんですけど、ちょっと複雑な事情がありまして…、事前説明してからでも大丈夫ですか?そちらも口外禁止の契約おねがいしてしまうんですけど。」

「ああ、構わない。いいぜ。」

「ありがとうございます。ええと、レオさん契約魔法をお願いします。内容は「今から話す仕事内容は関係者以外へ口外しない」です。」

 契約魔法、ちょっとドキドキする。異世界初魔法体験だ。どんな魔法なんだろう?

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