異世界転職先がダンジョンな訳だが?

そーまこーた

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1.転職!転勤!→異世界

それでは業務開始!!

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第5話 それでは業務開始!!



 タップすると見慣れたロード画面。に何故かGOD ver.の点滅するラベル。
 神、これパクり…いやいや、多分箱庭好きの俺への配慮だ!気にしない!キニシナーイ!
 スタートの文字をタップすると、馴染みのローテク3D表示でここの洞窟が表示された。現在のビュー(※視界)はどうやら俺の目線と同期してるらしく、タブレットを見下ろしてたのでほぼビューは地面だ。
 全体を見れるようタブレットを視線の高さに持つ。試しにその場でぐるりと回転してみると、ちゃんと視界と画面が同期して回転した。

「おー、ビューがちゃんと視界だわ。これめっちゃ楽しい。ジャイロ操作みたいだ。」

 うーむ、これってARと言うのかVRと言うのか…?ある意味画面の中に入ったみたいだけどね。あ、二次元に入りたいオタク諸兄しょけいの夢をある意味叶えているな 笑。
 でもタブレット持ち上げっぱなしはちょっと腕が疲れる…。
 ビューなどの設定は作業台で変えられるろしいから、さっさと作業台を設置する事にした。

 その前に!

「まず入り口塞ぐでしょ~!」

 大事な事なので!!
 箱庭では何も無い状況から身を守る為、1番最初に行うのは四方を囲む壁を設置する事!!
 壁があれば無問題モーマンタイ!!外敵に襲われない!!

「土ブロック、カモン!!配置!!」

 ポチり!と入り口に土ブロックを置くと、ドサっと音とともに土壁が現れ入り口を塞いだ。
 案の定ゲームと同じ様に真っ暗になってしまい慌てて松明たいまつを壁に設置する。
 リアル松明たいまつを見て気づいたが、ゲームでは密室内の空気の概念がなかったので気にしてなかったけれども、現実に四方が壁に塞がれたら窒素死するよな…と。でも、松明たいまつがパチパチ赤くと燃えてるところを見ると多分空気の流れがある。うーん、この洞窟の何処に空気穴あるのかな??
 あ、もしかしてこの土ブロックは空気を通す不思議仕様、かもしれない。異世界だし。
 試しに触ってみるとスコップで崩れる程度だが完全に土壁だった。空気は通しそうも無い。
 やっぱ後でちゃんと調べてみよう。隙間からバット(※コウモリ型モンスター)が入ってくるかもしれんな。うん、箱庭あるある。

「ま、とりあえず掘ってみるか。」

 目の前に土ブロックあったら掘るのが箱庭民だ。またもや箱庭あるある~。
 ふふ~んと鼻歌まじりにスコップツール(勿論最高級ランクのヤツ!)を画面上でポンと使うと、リアル土壁はすうっと溶けるように消え、画面上のストック欄に土ブロックが追加されていった。
 箱庭だと建造物などを破壊すると、その元になった素材ブロックが周りに飛び散る仕様で再利用するなら拾って回収だったが、これは散らからなくて便利。

 しかし、アレだわ…。ちょっとアレだわ…。

「うええ……。」

 もう一個分掘ってみたけど同じエフェクトだ。
なにコレ、違和感すごい。
 全然便利だけどさ、ちょっとイメージと違うんだよ…。なんかもっとこうさ、土がザクザクっといく感じって言うか、土木工事現場的なアレでさ、…やっぱ溶けるのは無しじゃないの…?
 まあリアルで土塊つちくれをスコップで除けたりはしたくないけど。事務社畜は筋力虫ケラレベルなのでね!
 はー、マッチョ同僚のお誘いに乗ってジムくらいは通えばヨカッタナー…このふわっとした我が二の腕よ… (モミモミ
 
 すんっとなりながらも掘った土壁を元に戻した。

 さて、ここから本命だ。
 基本を作りだす作業台を設置するターンですよ。

「はいっ!作業台ポチっとな!」

 入り口の左手側の壁に作業台を設置。
 すると作業台がリアルに出現!!

「ってコレ、オフィス机やんけーーーッ!!」

 出現した作業台は箱庭の木工作業するような無骨な作業台ではなく、地球の俺の会社にもあった白のオフィス机だった…。椅子は何故かゲーミングチェアだった…。

「作業台とは…?」

 目の前に突如現れたオフィス机へ半眼で自問自答したが…、
 はい、事務系会社員の作業台はオフィス机です。
 全然間違ってない…。俺、会社に仕事しに来てたわ…。ただいま就業中です…。
 自己解決した。悔しい。

 またもやすんっとなりながらオフィス机に着席した。

 机には会社みたいな据え置きPC本体は載ってなかったが、キーボードとタブレットを置くスタンドがあった。タブレットをスタンドに置くと、

「ほあ!!こ、これがコンソール!!」

 なんとタブレットが消え、大きな画面が空中に浮かんでいた。さながらアニメや映画に出てくる仮想現実のコンソール。
 恐る恐る空中に浮いているメニューボタンへ触れると、ラテックス素材のスイッチっぽいのに触った感触と共にメニューがポチりと開いた。スワイプするように指を上に滑らせると、やはりガラスに指を走らせたようなするりとした感触と共にメニュー項目がスクロールする。
 まさに説明書通りのコンソールに『神の奇跡』を感じた。

「イケオジ様、まじ神じゃん…。」

 ボソッと呟いたらピコーンと目の前にバナーが現れた。お、メッセージだ。タップ!

『イケオジ: 神ですから!』
(どやっの文字入りニャンコスタンプ)

 スッと大きくスライドしてメッセージアプリをキル(閉じた)。
 さっきから返信してないのにメッセージがくるんだが?
 神、心を読まないで欲しい。
 あのイケオジ暇すぎるだろ…。神業務しろ…。神業務なんだか知らんけど…。
 気を取り直し箱庭作業に戻る。

 さて、まずは…、建築より設定だよなあ…。
 設定大事。効率的に仕事するには設定大事。

「んー、同期設定っと…、あったあった、…うん、確かこれ外部と…ああ、連携で…、よし、ビューはスマフォと切り替え可に……、」

 ポチポチと設定を俺カスタマイズに変更する。
 ビューは特に今後を考えると持ち歩きできるスマフォの連携は必須だ。やはり現地で色々な角度から見ないと仕掛けが上手くいかない場合がある。
 箱庭で言うと縦穴にブロックで橋をかけたつもりが、じつは死角が塞がってなくて落下→リスポーンコースだ。あるある。
 他、コンソール操作などの細かい設定を弄り、元の画面に戻った。

「ふぅ、こんなモンでしょ。後はやりながら調整だなぁ。」

 ギシッとゲーミングチェアに身体を預けた。

ピコーン

 またか…。
 イケオジ、またなのか…。
 仕方ないからバナーをタップしてやった。

『総括チーム: お忙しいところすいません!ちょっと聞きたい事がありまして!』

 イケオジ様じゃなかった 笑

『rinrin村長: いま丁度手が空いたところです。』

 あっ、名前変えてなかった…。つら…。

『総括チーム: 食料どうするって、ウチのボスなんか説明しました?』


 食料?!


『rinrin村長: 全く聞いてないです…。ストレージアプリに入ってるんですか??それとも箱庭で作るんですか??』

 地球の家財道具はストレージアプリって総括チームさんからは聞いたけど、食料の話はなんも聞いてなかった。
 あー…、箱庭の食料はあんまり食いたくないんだよな…。一応料理レシピは結構あるけど、正直アイコン的にあんまり美味しそうに見えないんだわ、アレ…。

『総括チーム: 本来は会社から金銭で食費が支給されて、食料は現地調達して貰うんですけど…。
 説明なかったんですよね…。すいません。
 しばらく生活が落ち着くまでウチのボスのポケットマネーでご飯デリバリーさせますから!』

 わあお、大事な事説明されてないじゃん…。

『総括チーム: いまタブレットにデリバリーアプリ入れましたから、そこから何でも好きな物を注文してくださいね。』

『rinrin村長: ありがたく利用させていただきます!寿司とか頼んじゃいます!笑』

『総括チーム: どうぞどうぞ 笑』

 メッセージアプリを閉じて新たにインストールされたデリバリーアプリを開くと、

「やったー!寿司確保ー!遠慮しないぜ!」

 勿論寿司あったね!
 頃合い的に腹が空いてた俺は遠慮なく有名店の高級寿司をデリバリーした。他人の金で食う寿司は最高である。
 到着まで30分と表示がでた(流石にあちらのアプリみたいに現在配達中地図は出なかった)ので、メシを食う為の場所作りを始めた。

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