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1.転職!転勤!→異世界
朝イチにそれはどうかと思う
しおりを挟むこの小説はゲームやアプリを使うシーンが多々出てきますが、あくまでも小説内の架空のゲーム又架空のアプリですので詳細等を配信元へ問い合わせるなどのアクションはご遠慮下さい。
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第1話 朝イチからそれはどうかと思う
「じゃ、今日から君がダンジョンマスターだ。良い結果を期待してるよ! 頑張ってね!」
皆さんはじめまして、こんにちは!
つい数時間程前に面接?でこのダンジョンの管理人=ダンジョンマスター、略してダンマスへの異世界転職を果たした俺ちゃんこと鈴木航(31)です!
食品加工業の管理営業部出身で些か畑違いではありますが、はじめての業務 (ダンマス)張り切って頑張っちゃうぞ~⭐︎
「……なぁぁぁーーーんてッ!!!! 言うかぁぁぁーーーッ!!!! 畑違いどころか世界違いだわーーーッ!!!! つーか、ここもう異世界だったわーーーッ!!!! あーあーあーあーッ!!!!」
俺の魂の叫びと愛用の通勤カバンが足元に叩きつけられる音が洞窟の岩壁(多分新しい職場)に滅茶滅茶反響した。
(正直、ちょっと響きすぎてビックリした…)
「はあ、これからどうしよ…。」
叫んでも呟いても一人きりの洞窟内では返事もなく、俺は先程地面に叩きつけたカバンを座布団に座りこんだのだった…。
ーーーこの話は、転職先は新天地ともよく言うが、本当に転職で『新天地』に来てしまった俺の異世界転職よもやま話である。
よかったらダンジョンマスターに転職する時の足しにでも聞いていってくれ!
…いや、普通ダンジョンマスターにならねーから!!(セルフツッコミ強打)
§
事の始まりは、朝。
ピヨピヨピヨーッピヨピヨピヨーッ
「………うぅ、」(ポチッ)
しがない社畜サラリーマンな俺は毎朝定時の小鳥の囀り(スマフォのアラーム音)に起こされ、寝起きの冴えない身だしなみを洗面やらなにやらでなんとかし、テレビから流れる朝のニュースを脇目に昨日買っておいたコンビニパンをもそもそと食して、詰まらないよう買い置きの缶コーヒーで適当に流し込む。
『………今朝の関東地方は青空がひろがり、このまま夜まで久しぶりによい天気と………』
優雅の"ゆ"の字も何もない独身貴族の朝の時間は短く、お天気お姉さんの天気予報をBGMにまあまあ草臥れ気味スーツに身を包み、スーツ同様まあまあ草臥れ気味通勤バックを肩に掛け、本日も馬車馬の如くこき使われにアパートのドアを出たのだ。
数年住んで手に馴染んだドアノブをガチャリと回して…。
ーーーが、外に出た筈なのに気づいたらガラス張りの外資系謎オフィスに入室していた。
そこは落ち着いたグレーベースの内装、天板が木目の高級感溢れるオフィスデスク、机上にスタイリッシュなノーパソと多分家族の写真がはまった写真立て。壁には前衛的なモノクロのデザイン画がかかり、飾り棚にはモダンな天球儀のような金属オブジェと、まるで外国映画のセットのようなセレブオフィスだった。
そう、日本よくある、事務デスクを詰め込み、机上は絶妙なバランスの資料ファイルタワー、壁に地味な弊社ポスターな安狭いオフィスでは決してなかった。
「…えっ、は??」
俺はドアノブを押し開けた微妙なポーズで固まっていたようだ。わかりやすく例えると非常口のピクトグラムのポーズである。
姿勢を正しバッとあたりを見渡したが、先程出た筈の安アパートのドアなんてなく、俺の現在地はどう見ても知らないシャレオツオフィスのど真ん中だった…。
「………。」
思考停止から無意識にケツポケットのスマフォを取り出していた。
画面を見れば時刻は7時45分、ホーム画像はネットで見つけたネコチャンだ。あは、やっぱ香箱座りネコチャン可愛いなぁ………、
「って、いやいや! ここどこぉぉぉ?!?!」
癒しのネコチャン画像を持ってしても現状を受け入れる事は度し難かった。
だってアパートの外がシャレオツオフィスってどう言う事象?
え、夢? 実はまだ寝てて起きてない感じ? って言うか会社行く夢とか俺、社畜すぎん? でもシャレオツオフィスに出社とかそろそろ弊社社畜卒業の時……ついに来たる?!
なんて色々考えてみたが流石にちょっと変な夢すぎる。ので、自発的に起きようと決心した。
切り替えの早さには定評がある俺、よし、ここは一発セルフビンタ!を決めようと空いた片手を振り上げた、
その時ーーー、
「あははは、君面白いね! 実に面白いよ。なんでセルフビンタなの? 頬抓るとかじゃないの? そしてその猫ちゃんホームいいね!」
背後から突然楽し気なイケオジボイスをかけられた。
「ひぃわっ?!」
気づけばいつの間にか何者かに背後を取られていた! しかも覗き込まれる近さで背後を取られていた!
あまりの近さに驚き情けない悲鳴をあげながら、パーソナルスペース以上の距離へ飛び退いたのだが…、
「おやおや、そんな驚かなくてもいいじゃないか。」
「っうぐッ!!」
完全に飛び退く前にグッと通勤バックの紐を後ろから掴まれ、引かれた紐が胸に食い込んだ。そのまま前のめりに膝から崩れ落ちる。
「ああ、すまない。ちょっと引き過ぎたようだ。大丈夫かな?」
見上げた目線の先には、こちらへ片手を差し出す少し困った笑顔を浮かべたイケオジがいた。
ぱっと見でも仕立ての良さそうな黒スーツ黒ネクタイを纏った180センチ越えの長身に、少しウェーブがかった金髪を後ろに流した彫りの深い顔は明らかに日本人ではなかった。
少し目尻などに皺があり年齢は40代半ばくらいに見えるが、所謂黄金比的な配置の整った目鼻だちから顔面偏差値はハリウッド級男前激高値である。
まさに文字通りのイケメンオジ様だ。
「い、イエスッ! イエス! ノープロブレム!」
俺は何を血迷ったか片言英語?と大きく手振りをして無事をアピールしたが、イケオジ様がブッと吹き出した事により先程からずっと彼が日本語で話しかけていた事に気づいた…。
外国人苦手日本人あるあるをやらかしてしまった…。顔から火が烈火の如く噴き出しそうである…。
脳内で似非外国人風にオーマイガッ! しながら、目を合わせず急いで立ち上がった。切り替えの早さには定評が(略
「…大丈夫です…。どうもお騒がせしました。では失礼いたします。」
平静を装い速やかに退室!
と、出口らしきガラス戸へクルリと踵を返し向かおうとしたが、そうは問屋が卸さなかった。
「おっと、君、お帰りはまだだよ。」
「!?!?」
後ろにいた筈のイケオジ様は俺の前に瞬間移動?し退路を阻み、そのままガッチリと肩を組んで窓際のソファーまで(シャレオツオフィスなので定番の応接セットもあるよ!)連行の澱みない流れをキめられる。
勢いに流されるままにソファーに腰掛けさせられると、目の前のローテーブルに湯気がたつコーヒーが入ったにゃんこ柄の可愛いマグカップがセットされていた。
「サーバーのコーヒーだけど味は悪くないよ。あ、勿論君好みのミルク砂糖アリアリだから。」
向かいに座ったイケオジ様がウィンクしながら、どうぞと言うように自分用のにゃんこ柄マグカップをくいっと持ち上げた。
「………。」
なんで俺が甘党だって知ってるのだろうか…?
…いやそれよりまず、あのコーヒー…。この部屋、見た感じコーヒーサーバーのような物はないし、さっきまでコーヒーの香りなんかも一切しなかった。
…そしてイケオジ様は今の今まで俺と一緒で部屋から出なかった。
いまこのコーヒーどこから出てきた…?
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