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第十一夜 星空と

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第十一夜 星空と



 俺のエルフアバだと髪の毛が無駄に長すぎてめんどくさい、エルの獣人アバもやはり抜け毛問題があるのでアバ解除して露天風呂に突撃した。
 一応、温泉(と言うか銭湯)マナーをエルに説明したがそこは大丈夫だった。
 向こうも公衆入浴施設はあるとの事だが、但し公衆と言っても防疫ぼうえき上入る時は個室にわかれたユニットバスにひとりだけもしくは介助者とだけなそうで…。
 所謂いわゆる銭湯や温泉にある複数人が入れるでっかい風呂に匹敵はするのは温水プールくらいらしい。しかしそれも大会とか公共イベントで事前審査有りの選ばれし者しか入れないとの事。なかなか大変である。
 大体文明レベルは同じだけど、ちょっとした事が微妙に違うんだなあ。パラレル奥深い。

 腰にタオルを巻きつけ、ヒャッハーいざ露天!と勢いよく脱衣所からでるとそこはシャワールームだった。シャワールーム(内風呂)経由で外に出るタイプの露天風呂でした…って当たり前ですね…。なんかはしゃぎすぎてしまって恥ずかしい…。
 シャワールーム内は座って洗える洗い場付きだったのでどんと各自座って体を洗う。二人で仲良くお背中流しましょうかな洗いっこなんかしたら、風呂にも入らずヤられそうだったので洗い場では別行動だ。
 体や頭を洗う横からチラッチラッとエルのスケベ力がこもった視線が刺さるが完全に無視した。諦メロン。

「んん~、サイコ~!」
「ヤバぁ~、温泉気持ちいい~。」

 チャプ~ンと二人並んで乳白色の湯に浸かる。

 乳白色と言えば硫黄泉だが、ここの湯は硫黄の匂いはしなかった。ちょっとフローラルな香り…、まさかアルラウネの液…いやいやそれは無いか。無いよね? ここちゃんと温泉だよね…?
 
 頭から危険植物を追い出し、ふぁ~と溶けるように肩まで浸かり温かい湯に癒される。
 上を見上げれば、丁度夕暮れから夜になる時間でほんのり赤い空に薄く月が出ている。夕暮れの涼しい風にのり、どからともなくリーンリーンと虫の音(?)が聞こえてきた。

 はあ、ココすんごい癒し空間…。最高…。

「…露天風呂ってすごいなあ。空を見ながら風呂に入れるんだ。顔にあたる自然の風も気持ちいい。ハマりそう。」

「俺も露天風呂好きだなぁ。スーパー銭湯行ったら絶対入ってた。夏はさ、風呂から見る星空が綺麗なんだ。もう少し暗くなったら…、ほら、出てきた。」

 夕日の色を失った端からじわりと星空が浮き出てくる。地球ではないから空を横断する天の川はないが輝きと数はすごい。

「…綺麗だなあ。」

 エルは風呂の縁に頭を乗せ、はあと深く息を吐き出す。

「風呂に入りながらっていうのがまたいいよな。海程浮力はないけどちょっと浮いてる感と、それに湯のあったかさが心地いいって言うか…。あ、エル、露天風呂はのぼせやすいから気をつけてな。」

 露天風呂って外気温で顔だけ涼しいから、うっかり浸かりっぱなしになりのぼせるからなぁ…。

「確かにお湯のおかげでふわぁとする。…サーイ、」

パシャン

 エルが俺を抱き寄せ膝に乗せた。湯を挟んで肌と肌が触れ合う。

「…気持ちいいね。」

「ッ、ちょっ、風呂で、あ、ダメだっ…から、」

 エルは首筋にキスをしながら俺の薄い胸を撫でる。撫で回す度パチャパチャと湯が跳ねる。
 乳白色の湯の中では熱い塊がゆるゆると擦るよう尻に当てられていた。見えないのにそのいかがわしいカタチがはっきり想像出来てしまい、腹の奥がキュウと疼いてしまう。

「ふふ、白いお湯のせいでサイの乳首がいつもより赤く見えてエッチだ。こんなエッチな乳首、もっとクニクニしてあげないと…、」

「ひんっ!」

 豆粒みたいな俺の乳首を言葉通りクニクニと摘み、エロ漫画さながらハアハアするエル。

 ちょっ、おま、イケメン台無しだが?! 

 とか思いつつもやたら無駄に乳首で感じてしまい、エロ漫画さながらビクンビクンしちゃう…。く、悔しい!

「乳首、そ、そんな、 クニクニしちゃ、…っ、や、んんッ♡」

 思わず声が出てしまい恥ずかしくて顔が熱い。

「…はあ、サイかわい。露天風呂でお風呂エッチ…、ヤバいね。めっちゃ興奮する。」

 チュッチュッと熱くなった頬にキスされる。

「…ん、あ♡ え、エルッ、…ダメ、のぼせちゃ…アッ♡」

 お湯で温められた肌はやたら感度が上がっていて、触られている所からジンジンと気持ち良さが湧き上がってくる。頬から耳へ唇が這い、耳穴を嬲られる水音に体がフルリと震えた。

 乳首をクニクニと弄りながら、尻の位置を調整して俺の股の間にチンコを差し入れるが湯の中なのでなかなか滑らない。ほんの1、2センチ程度は動くが、ほぼムチっとタマと穴の中間でフィットしてる。…ちょっともどかしい。

「うう、やっぱお湯の中じゃ滑んない。」

「…エル必死すぎ…。ほら、諦めて風呂からあがろ? あがって夜ご飯食べて…、ヒッ♡」

 ザバァッとエルが俺を抱え立ち上がり、正面に抱え直してお湯からでた俺のチンコと自身のチンコをしごきはじめた。

「あは、外ならヌルヌル出るよ。」

 ほんと必死すぎるんだが?!

 しかし所謂いわゆる兜合わせはめちゃくちゃに気持ち良く…。
 すぐカウパーでドロドロになり、バシャバシャと湯を跳ねさせお互い腰を振り擦り合わせた。

「んあっ♡ あっ♡ エル、裏っかわ気持ちイッ♡」

「サイ、サイ、俺も気持ちいいっ、すぐイキそっ、」

「ん、イく、俺もっ♡ あっ、あっ、あああ♡ イッちゃう、イッちゃあああああ♡♡♡」

 恥ずかしながら最初に俺がイき、すぐ後にエルもイって、お互いぶっかけ状態のまま抱き合いキスをした。
 吐き出した後のじんわりとした快感にしばらく身を任せて抱き合っていたが…

 よく考えたらココは公共(?)の風呂…。

 賢者タイムで冷静になってようやく気づいたぜ…。ここは高級温泉旅館であって、ラブホじゃないから…。

 エッチするとこじゃありません!

 湯を汚さないように、ぶっかけられた精子を不本意ながら身体にヌルぅとのばしそっと湯船から上がる。
 しかしエルはニヤニヤしながらそんな残念の俺を眺めている。ついでにエルのが復活しようとしてる。

 いや、お前も早くあがれ。湯に精子垂れる。

「…エル、湯に精子垂らしたらダメだ…。ここはそう言う所じゃない。垂らさず洗い場にゴー、だ。はやくしろ。」

 あああ、垂らさないようのばしたから早く洗わないとカピカピしちゃうぜ…。
 ため息をひとつつき洗い場に急行した。

「…えっ、待って、それエッチのお誘いじゃ…、」

 
 エル は こんらん した !


 汚れとエッチな気分をスッキリ洗い流し、もう一度湯に浸かって普通に露天風呂を堪能した。あー、風呂サイコー。

 エルはそれはもう不完全燃焼ヅラだったが、最終的には露天風呂様に完敗し「あ゛あー」とか「気持ちいいー」しか語彙がなくなった。やはり風呂は正義である。

 のぼせる前に風呂からあがり、夜メシを食べに本館にあるレストランへ向かう。残念ながら部屋食は軽食しか出さないそうで…。まあ高級温泉旅館って言っても、中身は洋風リゾートホテルだし和食な御膳は世界観的に無しだろう。個人的には温泉饅頭あるのに御膳は無しかーい!ってツッコミたいね…。

 ロビーから奥まった場所にあったレストランは見た目ガチの高級フレンチレストランで、正直内装が高級すぎて庶民な俺はヒュッとなった。だがここはVIPは個室、それ以外は半個室になっていて、ドレスコードも素っ裸で来ない限りは特には決まりがないので周りを気にせず食事が楽しめると言う事だった。
 素っ裸…とドン引きしたら、たまに普段地元でほぼ裸の種族が風呂入って出てくるとそのまま服の存在忘れちゃう事案かららしい。(※服が着れない種族はまた別フロアにご案内だそうです)
 丁寧にレストランについての説明をしてくれた受付のリザードマンさんが、俺達をライトアップされた美しい中庭に面した半個室へ案内してくれた。
 席につきメニューを開いたが…、

 前菜からドリンクまでズラリと魔族メニューの謎料理名で遠い目になった!
 仔ギラスのベーにモリオンを添えて…、ってこのギラスのベーは部位なのか調理法なのか、モリオンイズ何…。
 マジわからねえよ…。

 しかしそこはできる男エルさん、人型でも食べやすい肉のコースで、飲み物はツレが酒を飲めない種族だから果実の物をとスマートに注文する。さっきまで「あ゛ー極楽ぅー」言ってたヤツとは完全に別の別人だヨ…。すげえな、イケメン力。

「…はあ、なんか王宮より緊張した。普段隠密で隠れての携帯メシかおウチゴハンだし、最近はアイツら野宿か酒場メシだったからなぁ…。客としての高級レストランっていつぶりよ…?」

「あー、神官君と魔法使い君のおめかしデートの時以来じゃない? あの時モブに扮してレストランについて行ったよね。でもアソコってフレンチかと思ったら中華で、ちょう見た目に騙された思い出。」

「確かに。あのフレンチの店的見た目は詐欺だったわ。ま、飲茶もどきは美味しかったけどね。」

 そうこうしている内にウェイターさんがやってきて、グラスに綺麗な桃色のジュース(魔界のベリー系フルーツのジュースらしい)が注がれた。

「サイ、乾杯しよ。」

「ん、じゃあ何に乾杯する?」

「それは決まってるよ。サイとの出逢いに、乾杯!」

 エルは俺に極上の笑みを向け、ウィンクした。

「ふふ、キザだなぁ。出逢いに乾杯。」

 二人で小さく笑い、軽くグラスを掲げ乾杯した。

 ナイミリ雑談をしながら和やかにコース料理を楽しみ、デザートに入ると言うところでちょっとトイレに行きたくなってしまった。すまん、食事中に失礼だけど…、

「ごめん、ちょっとご不浄に。」

「ご不浄…、ふふふ、サイはなかなか奥ゆかしいね。あっちの奥にトイレの表示出てたよ。」

 もー、せっかく気を遣ってぼやかして言ったのに! やっぱエルはエルだ!

 苦笑しながら席を立ちトイレに向かった。
 小用をたし、手を洗って鏡の前で少し身なりを整えていたら…、

「奇遇だな。其方もここに?」

 隣りに魔王ーーーッ!!



<次回予告>

心地よい湯に贅を凝らした夕餉。そんなひと時の癒しに微笑む。
しかし突然とさした不穏な影。
次回、狼は吠える。『第十二夜 嫉妬』
お楽しみに。

「俺の心に退社時間が走る!」

※次回予告はあんまり本編に関係ありません。
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