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ブルーイージスガーディアン
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近づくと、目前には縦5メートル、横幅2メートルくらいはあろうかと思われる灰色の大理石で出来た巨大な石碑があった。
「えっと……なにか文字が彫ってあるけど……。読めないなこれ」
「まあ、バグナウ語だしね。僕が読むよ、えっと、ふむふむ……」
レノアはじっくりと石碑を隅から隅まで眺めていくが……。
(おや? なんだこれは?)
俺はその時、巨大石碑の背後にひっそりと地面に埋まっている物を見つけてしまう……。
俺は石碑の背後に移動し、それがなにかを確かめる。
横幅は2メートルくらい? 材質は光沢があるので、なにかしらの金属で出来ている模様。
(……これはアルミニウムか? いや、そうだとしたらもうさびているハズだ……)
更によく見ると、地面近くの中央には、握りこぶし大の巨大なブルーダイヤモンドが怪しい光を放っている。
(半分くらい地面に埋まっているからあれだが、女神の模様が入った巨大な盾に見えるな……?)
「杉尾! 分ったよ!」
「お、流石レノア仕事が早いな! で、内容は?」
「えっとね……かの地に眠る数多の同胞と共に、魔族らの死を持ってそれらを鎮魂する。我らの技術の粋を結集し、永遠に再生するゴーレムらを我らの故郷に配置せん」
「そうか、やはりゴーレム達は魔族や侵入者を排除する為に作られたガーディアンだったか……」
おそらく魔法が使えないのは、生き物の魔力を遮断するもしくは上手く稼働できなくする何かがここにあるんだろう。
実際、俺らのマジックアイテム達、例えば風揺らぎのボーガンは効果を発揮していたしね。
ミニゴーレム達も火を吐いてたりした。
多分、魔族達侵入者排除の対策かなと。
(それを考えるとレノアがミニゴーレムのコアである宝石のカケラを回収していたのは、ある意味正解なんだよな)
「んと、あと少し続きがある」
「どうぞ?」
俺は引き続き、例のブルーダイヤモンドが埋まった巨大な盾をまじまじと見つめていく。
「この地を犠牲にし、我らは空色の女神の涙を持って最終兵器『ブルーイージスガーディアン』を完成し、魔族を完全に葬り去ることを願いここに眠る……だって……」
「さ、最終兵器だって?」
俺とレノアはその時、ブルーダイヤモンドが埋まった巨大な盾のコアが鈍い光を放つのを見てしまう!
「ブルーダイヤモンドのコア? えっともしかして、これって?」
「空色の女神の涙を使って作った、最終兵器『ブルーイージスガーディアン』じゃないかな」
「ウ、ウォン!」
俺達は地面に埋まっていた『ブルーイージスガーディアン』がゆっくりと立ち上がっていく様を呆然と見つめる……。
直径数メートルはある、未知の金属で作られた超巨大なカイトシールド型のゴーレム。
その中央には女神の紋様が彫られ、更には真ん中にはブルーダイヤモンドのコアが怪しい光を放っている。
当然、それには道中で出会ったミニゴーレムよろしく、手足がついてある。
更には『ブルーイージスガーディアン』はこちらをゆっくりと見つめ、戦闘態勢を取っているように見える!
(というか、ゴーレムのクセに、まるでパンクラティオンのような構えをとっているしなあ……)
「くそっ! レノア俺達も戦闘態勢を!」
「う、うん!」
俺達は慌てて、それぞれの武器を構える。
(構えたものの、魔族達を殲滅した力を持つ超古代最終兵器『ブルーイージスガーディアン』。コイツに果たして俺の力が通用するのか……?)
というのも、俺の777スキルは7魔将をも葬り去る事が出来る強力なものだが、あくまで女神の力を借りたスキル。
『ブルーイージスガーディアン』のコアはバグナウ族の伝承を信じると、女神の力の結晶であるもの。
下手をすると、スキルより女神の力の結晶の方が強い可能性がある。
つまりは777スキルを発動出来ても、負ける可能性が出て来たってわけだ……。
しばらく膠着状態が続き、俺達と『ブルーイージスガーディアン』は睨みあうって……?
「ね、ねえ? 杉尾の懐……。なにかオレンジ色に光ってない?」
「……あっ!」
レノアに言われた通り、俺の懐にしまっているもう一つの女神の涙、即ちオレンジダイヤの指輪が強烈な光を放っていたのだ!
その様子をまるで見守るように見つめる『ブルーイージスガーディアン』。
よく見ると『ブルーイージスガーディアン』の青いコアもまるで共鳴するように次第に光が強くなっていく……。
『オ前、モシカシテ女神様ノ使徒カ?』
「えええ? ゴーレムが喋った⁈」
「というか、もしかしてお前、知能があるのか?」
「ウォン!」
『喋レル。済まないがお前の音声を借りるぞ? もう一度聞くがお前は女神様の使徒か?』
「えええ⁈ 杉尾の声をコピーした? 凄いどんな仕組みなんだろう?」
レノアは最早恐怖よりも好奇心が勝っているようだが……。
(相手は女神の力の結晶体兵器、正直に話した方がいいな)
「俺の名前は杉尾。最近この世界に転生してきた777番目の転生者だ」
『……そうか、では確かめさせて貰う! はあっ!』
『ブルーイージスガーディアン』の青いコアは虹色の強力な光を辺り一面に放つ!
「うわっ⁈」
「眩しいっ⁈」
「ウォン!」
視力が戻り、俺がゆっくりと目を開くと、そこには不思議な空間があった……。
レノアもユキもなんと動いていない⁈
それだけじゃない、風で揺れていた虹色雪月花もピクリとも揺らめいていないし、空の雲も動いていない。
更には空から舞い降りる粉雪も、ピタリと動きが止まっているのだ⁈
そう、動いているのは俺と『ブルーイージスガーディアン』のみ。
「お前っ⁈ レノア達に何をした!」
俺はこの異常事態に、怒りで震える手で抜刀したサーベルの切っ先を『ブルーイージスガーディアン』に向ける!
「えっと……なにか文字が彫ってあるけど……。読めないなこれ」
「まあ、バグナウ語だしね。僕が読むよ、えっと、ふむふむ……」
レノアはじっくりと石碑を隅から隅まで眺めていくが……。
(おや? なんだこれは?)
俺はその時、巨大石碑の背後にひっそりと地面に埋まっている物を見つけてしまう……。
俺は石碑の背後に移動し、それがなにかを確かめる。
横幅は2メートルくらい? 材質は光沢があるので、なにかしらの金属で出来ている模様。
(……これはアルミニウムか? いや、そうだとしたらもうさびているハズだ……)
更によく見ると、地面近くの中央には、握りこぶし大の巨大なブルーダイヤモンドが怪しい光を放っている。
(半分くらい地面に埋まっているからあれだが、女神の模様が入った巨大な盾に見えるな……?)
「杉尾! 分ったよ!」
「お、流石レノア仕事が早いな! で、内容は?」
「えっとね……かの地に眠る数多の同胞と共に、魔族らの死を持ってそれらを鎮魂する。我らの技術の粋を結集し、永遠に再生するゴーレムらを我らの故郷に配置せん」
「そうか、やはりゴーレム達は魔族や侵入者を排除する為に作られたガーディアンだったか……」
おそらく魔法が使えないのは、生き物の魔力を遮断するもしくは上手く稼働できなくする何かがここにあるんだろう。
実際、俺らのマジックアイテム達、例えば風揺らぎのボーガンは効果を発揮していたしね。
ミニゴーレム達も火を吐いてたりした。
多分、魔族達侵入者排除の対策かなと。
(それを考えるとレノアがミニゴーレムのコアである宝石のカケラを回収していたのは、ある意味正解なんだよな)
「んと、あと少し続きがある」
「どうぞ?」
俺は引き続き、例のブルーダイヤモンドが埋まった巨大な盾をまじまじと見つめていく。
「この地を犠牲にし、我らは空色の女神の涙を持って最終兵器『ブルーイージスガーディアン』を完成し、魔族を完全に葬り去ることを願いここに眠る……だって……」
「さ、最終兵器だって?」
俺とレノアはその時、ブルーダイヤモンドが埋まった巨大な盾のコアが鈍い光を放つのを見てしまう!
「ブルーダイヤモンドのコア? えっともしかして、これって?」
「空色の女神の涙を使って作った、最終兵器『ブルーイージスガーディアン』じゃないかな」
「ウ、ウォン!」
俺達は地面に埋まっていた『ブルーイージスガーディアン』がゆっくりと立ち上がっていく様を呆然と見つめる……。
直径数メートルはある、未知の金属で作られた超巨大なカイトシールド型のゴーレム。
その中央には女神の紋様が彫られ、更には真ん中にはブルーダイヤモンドのコアが怪しい光を放っている。
当然、それには道中で出会ったミニゴーレムよろしく、手足がついてある。
更には『ブルーイージスガーディアン』はこちらをゆっくりと見つめ、戦闘態勢を取っているように見える!
(というか、ゴーレムのクセに、まるでパンクラティオンのような構えをとっているしなあ……)
「くそっ! レノア俺達も戦闘態勢を!」
「う、うん!」
俺達は慌てて、それぞれの武器を構える。
(構えたものの、魔族達を殲滅した力を持つ超古代最終兵器『ブルーイージスガーディアン』。コイツに果たして俺の力が通用するのか……?)
というのも、俺の777スキルは7魔将をも葬り去る事が出来る強力なものだが、あくまで女神の力を借りたスキル。
『ブルーイージスガーディアン』のコアはバグナウ族の伝承を信じると、女神の力の結晶であるもの。
下手をすると、スキルより女神の力の結晶の方が強い可能性がある。
つまりは777スキルを発動出来ても、負ける可能性が出て来たってわけだ……。
しばらく膠着状態が続き、俺達と『ブルーイージスガーディアン』は睨みあうって……?
「ね、ねえ? 杉尾の懐……。なにかオレンジ色に光ってない?」
「……あっ!」
レノアに言われた通り、俺の懐にしまっているもう一つの女神の涙、即ちオレンジダイヤの指輪が強烈な光を放っていたのだ!
その様子をまるで見守るように見つめる『ブルーイージスガーディアン』。
よく見ると『ブルーイージスガーディアン』の青いコアもまるで共鳴するように次第に光が強くなっていく……。
『オ前、モシカシテ女神様ノ使徒カ?』
「えええ? ゴーレムが喋った⁈」
「というか、もしかしてお前、知能があるのか?」
「ウォン!」
『喋レル。済まないがお前の音声を借りるぞ? もう一度聞くがお前は女神様の使徒か?』
「えええ⁈ 杉尾の声をコピーした? 凄いどんな仕組みなんだろう?」
レノアは最早恐怖よりも好奇心が勝っているようだが……。
(相手は女神の力の結晶体兵器、正直に話した方がいいな)
「俺の名前は杉尾。最近この世界に転生してきた777番目の転生者だ」
『……そうか、では確かめさせて貰う! はあっ!』
『ブルーイージスガーディアン』の青いコアは虹色の強力な光を辺り一面に放つ!
「うわっ⁈」
「眩しいっ⁈」
「ウォン!」
視力が戻り、俺がゆっくりと目を開くと、そこには不思議な空間があった……。
レノアもユキもなんと動いていない⁈
それだけじゃない、風で揺れていた虹色雪月花もピクリとも揺らめいていないし、空の雲も動いていない。
更には空から舞い降りる粉雪も、ピタリと動きが止まっているのだ⁈
そう、動いているのは俺と『ブルーイージスガーディアン』のみ。
「お前っ⁈ レノア達に何をした!」
俺はこの異常事態に、怒りで震える手で抜刀したサーベルの切っ先を『ブルーイージスガーディアン』に向ける!
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