777番目に転生した俺の職業はチャラ男でした！ -隠しスキル777で俺は理想の彼女をゲットし大商人になり上がる-

VSキングデビルクラーケン

　……それからしばらくして……。

「レノア……」
「うん！　間違いない！　敵が数体来てるね！　ドラネスっ！」

　どうやらギルド長とレノアが敵を感知した模様。

(レノアの視線を追うと、帆の上に誰か昇っている⁈)　

「おいっ！　敵襲だっ！　……クラーケン1体とデビルシャークの群れだ。しかもクラーケンはいつもの奴よりデカイ！」

　見上げるとダイヤモンドの透明な鎧が月光で光輝いて見え、手には同じく透明で二メートルはある巨槍を持っている……。

(ん？　この人もしかして、あの時2人いたギルド門番の1人か？)　

　ドラネスと言われた人の激とほぼ同時にドラの音が船内に鳴り響く！

　途端、全員が素早く戦闘態勢を整える。

　前衛は武器を抜刀し、後衛は魔法の詠唱を始めている。

「デビルシャークは勝手に死ぬだろうが、巨大クラーケンは厄介そうだな……」

　装飾両手剣を持つギルド長の重い言葉に緊張感漂う空気が周囲に生まれる……。

　その言葉と同時に何かが船底にぶつかる感覚が振動として伝わって来る！

「ギ、ギルド長っ、こ、この振動は何ですか！」
「船底に仕掛けてあった対デビルシャーク専用のスクリューにそいつらが砕かれている振動だろう。時期やむ」

(な、成程そういう……)　

　と、その時、高波……い、いや⁈　海中から何かが顔を出す！

　……黒い漆黒の巨大なそれ……。

「で、デカイ……」
「25メートルはあるな……」

「キングデビルクラーケン……水魔龍エウムの腹心か……」
「皆っ！　ギルド長とドラネスに強化魔法を！」

　ウィンフィルさんの言葉と同時に後衛の司祭などが強化魔法を優先的に2人に唱えていく！

「女神アルタナよ！　【月光の加護】を前方の戦士達に与えたまえ！」
「後衛アタッカー呪文が完成するまで、手あたり次第弾幕を！」

　レノアの言葉通り、俺はありったけの矢を無造作に放っていく！

「雷槍よ！」
「氷矢よ！」

　他の後衛も弾幕目的の詠唱が早い呪文を唱え打ち込んでいっている！

　くぐもった気持ち悪い叫び声と共に、お返しとばかりにその太く長い触手を船内に向け放つキングデビルクラーケン。

　が……先日デビルクラーケンとの戦闘で大体の行動と射程距離は把握済みの俺らだったりする。

(最も、こいつのがデカくて攻撃は鋭いけどね……)　

　なので当然その攻撃は当たらない。

　逆にギルド長はじめとする猛者達は、その攻撃をよけると同時に各々の武器で切りつけていたりする。

　そのカウンター攻撃にたまらず悲鳴を上げるキングデビルクラーケン！

「今だドラネス！」

　ギルド長の大声と共に月光下を華麗に飛翔するドラネス……。

　強化魔法【月光の加護】を受けているからか、その姿はまるで闇夜に飛翔する小型の光龍のようで……。

　鋭利な槍をデビルクラーケンに向け大空を急降下していくドラネス！

　が、キングデビルクラーケン……。

　多少怯んだものの名前の通り流石はキング！　残った2本の触手でドラネスを振り払おうとする！

「あ、危ないっ！　ドラネスさん！」

　俺は咄嗟にありったけの矢をキングデビルクラーケンに向けて放っていく！

　多少は効いて怯んだものの、悲しいかな2本の触手でドラネスを振り払ら……。

　……。

(……あれ？　ドラネスさんの姿が見えない？)　

　海に落ちた波しぶきも見えないし、一体何処へ？

　気が付くとキングデビルクラーケンの唸るような凄まじい悲鳴が聞こえて来る！

　何と良く見るとキングデビルクラーケンの巨大な右目にドラネスさんの巨大な槍が深々とぶっ刺さっているではないか！

「流石はドラネス……【風龍に選ばれし騎士】。相手も空中で人間が軌道変化を行えるとは思わないだろうしな……」　

(な、成程……これは凄い……)　

　しかも今の攻撃はかなり効いている模様。

　実際苦しそうにのたうち回っているしね……。

「良し！　皆っ！　今がチャンスだいけーっ！」
「おおーっ！」

　ギルド長の号令と同時に皆がありったけの攻撃を叩きこむ！

「神の雷よ！　御身の一撃を我に預けこの愚かなるものに神罰を下したまえ！」
「うおらあっ！」

　後衛は必殺の呪文を唱え放ちの繰り返し、前衛はその隙を見て必殺の一撃を叩きこんでいく！

　……ほどなくして、鎮まる海に静かに浮かび上がる巨大な巨大な黒い物体……。

　一つ目のそれは焦点の合わない濁った目で月をまるで見つめているようで……。

「……や、やったぞ！」
「ああ……キングデビルクラーケンを倒したぞーっ！」
「おおーっ！」

　俺達はありったけの喜びの感情を込め、勝利の雄叫びを月夜に向い放つのだった……。