異世界如何様(チート)冒険記 ~地球で平凡だった僕が神の記憶を思い出して世界を元に戻すまで~

Condor Ukiha

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第三章 アオイと過去と存在意義と

#41 発覚

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『マスター、お伝えしたいことがあります』

『どうしたの?』

ナビーが声をかけてきたので、向こうの話し合いも終わったようだったし観察をやめて耳を傾ける。

『まず、MWOSに不正アクセスを行った者の一人を特定できました』

『それは朗報でいいのかな?とりあえず、ありがとう、ナビー』

『いえ。それで不正アクセスをしたのは先々代の世界の管理者です。次の世界の管理者が役目を終えた後、自由に過ごせるように様々な箇所に干渉したようです』

『じゃあ、レナが僕のすぐ側に飛ばされたのは先々代の世界の管理者のせいだったってこと?』

『そのようです』

 ナビーの返答を聞いて僕は考え込む。先々代の行動の意味が分からない。自分が役目を終えた後のことならば理解できる。だが、ナビーの報告を聞く限り次代以降にかかる部分への干渉であるようだし、自身は役目を終えた後すぐにこの世界こら去っている。そもそも世界の管理者なら不正アクセスなどしなくても変える方法があったはず。

―――いや、まずそんな簡単に世界の在り方を変えられるのか?

 世界の管理者の交代なんて世界の最重要事項に数えられてもいいようなことだ。通常の手続きだったら事前の許諾と複雑な手続きが必要になるし、不正アクセスで干渉しようとしてもはじかれて終わるはず。なのになぜ干渉できたんだ?そしてなぜその状態が是正されなかったんだ?もしかしたら、僕の知らない何かがこの世界の裏にいるのかもしれない。

『ちなみにナビーはこれ、どう思う?』

『私はレナさんが世界の管理者になることになったために干渉したのだと推測します。マスターはレナさんと先々代の関係をご存知ないと思いますが、先々代とレナさんの関係や干渉した時期が交代の前後であることからこの推測はそう外れていないものと思われます。この情報を詳しく説明いたしましょうか?』

レナと先々代の関係か・・・そういえば、僕と出会う前のレナについて僕はほとんど知らないな。今度レナに聞いてみよう。

『知らないけど、僕が本人に確認せずに勝手に聞くのは違うと思うから後でレナに確認するよ』

『わかりました。あと、これは不正アクセスとは関係ありませんが、マスターがこの世界へ認知されると同時に創造神からMWOSへ、マスターを世界の管理者に推薦した記録がありました』

『僕を推薦?世界の管理者は世界が独断で決めるんじゃなかったっけ?』

『原則的には世界の意思はいかなる影響も受けずに世界の管理者を任命することができることになっていますが、例外として何らかの異常が発生した場合に、その世界の最高位の神が世界の意思に対して、世界の管理者の推薦を行うことができます。ただし、この推薦によって世界の管理者が決定するわけではなく、推薦の内容を吟味したうえで最終判断は世界の意思が下します。今回は世界運営委員会を中心とした混乱の発生のため、創造神が世界の意思に対して推薦を行いました。その結果、世界の意思がマスターが世界の管理者として妥当であるとの判断を下したため、レナ様からマスターへ交代となりました』

 世界運営委員会とは世界を管理を行う神の中でも各神界の最高位の神が所属する神界の運営方針や規則などを決定する委員会である。例えるなら国連総会であろうか。
 神界の説明もすると、世界はたくさん存在するがそのすべてがいくつかの世界で共有した神界と呼ばれる神が生活する場を持っており、その神界のトップが委員会に所属する神となる。そしてややこしいことに、神界には複数の世界の神が集まるため、この「神界のトップの神(各神界・・の最高位の神)」と、ナビーの話にあった「世界に対して推薦を行える神(各世界・・の最高位の神)」は、必ずしも一致しているとは限らないのである。

『とりあえず、上でなにかまずいことが起こって、それを踏まえた上で僕が世界の管理者に選ばれたことは理解した。ちなみにその混乱の詳細はあるかな?』

『推薦を行った際の提出資料以上の情報は今のところ把握していません。また、この混乱と不正アクセスの関連についても不明です。調査を行いますか?』

『お願いします』

『了解しました。早急に調査を行います』

 これでナビーとの会話は終わった。しかし、不正アクセスというこの世界だけの問題かと思ったら、世界運営委員会を中心とした混乱というこの世界に収まりきらないトラブルが顔を見せるなんて・・・面倒なことになったなぁ。
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