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第二章 王都と孤児院
#28 二度あることは三度ある
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「とりあえずここを改築しませんか?」
『はい?』
僕のことばに全員が何言ってんの、ってこっちを見てくる。というか、君たち息ぴったりだね。
「はー・・・アオイは元からこうだから、諦めてあとで詳しく今の言葉の意味を聞きましょ」
「そうですね。取りあえず中にはいりましょうか」
ラーシャがそういうとみんながカルラさんの案内で建物の中へ入っていく。僕もみんなに置いて行かれないように一番後ろからついていく。と、途中で立ち止まって後ろを見る。やっぱり物の見事につけられてるね。おそらくシャルとミリィの護衛が十人いないぐらい。そのほかにこちらに敵意もしくは害意を持っている者がざっと二十人と、興味深くこちらを観察しているのも一人いる。離れたり仲良くしているところを見せたりしてみた感じ、おそらく狙いは僕とレナ、ついででシャルとミリィといったところ。こちらを観察しているのは黒竜の一人。隠しているけど固有の魔力の特徴でわかる。護衛と黒竜はとりあえずほっておくとしてその他はどうするかな・・・このままじゃこの孤児院に被害が出るかもしれないし、なにか対策を考えなければ。いや、いっそここで叩き潰しておくのも手か。思い立ったが吉日。さっさとやってしまおうか。
「おい、隠れてるやつら全員出てこい」
当然、シャルたちの護衛と黒竜以外は出てこない。しかし、なぜこの護衛たちはこうもびくびくしているのだろうか。まだ何も言わず、自らの強大な気配すら感じさせていないのに、ここまでおびえさせるようなことはしていないはずなのだが。・・・って、思い出した。この人たちさっきの謁見の間にいた人たちだ。なるほど、さっきの威圧をもろに受けた人たちを護衛につけたのか。僕たちの力を知っているからか、はたまた万が一にも粗相がないようにするためか。まあ、どうでもいいけど。
それに黒竜はなんで出てきた?他にもつけている人間がいることは分かっただろうに。それとも分かっていなかったのか?
「あのぅ・・・その、ですね・・・今回、後をつけていたのは、そのぅ・・・」
「あなたがこちらをつけていた理由は後で聞きます。それよりも分かっていないと思っているのか。その他20ほどの愚か者ども」
黒竜の少女がめちゃくちゃ視線を泳がせながら弁解をしようとする。護衛の方はおびえすぎていろいろな面でお話にならない。本当にこれで護衛が務まるのか?
黒竜の弁解を止めてから出てこなかった者たちに向けて言葉と共に殺気を叩きつける。すると、ドタバタと物音が周囲から聞こえてくる。探ってみるにさっきの殺気に耐えられずに気絶したようだ。ふがいない。この程度で僕らのことを狙っていたのか。全く、あのバカと同じ。自分との差が分からないのなら警戒すべきだろうに。なぜそこまで気が回らないのか。
「はぁ・・・」
そこまで考えて、ついつい深いため息をついてしまう。まったくこんなことを考えてもしょうがないだろうに。それに、自分はこんなに過激で、人を見下して、突発的に行動するような人間だったのだろうか。これではまるでブレーキの利かない暴走列車だ。自分で自分が嫌になる。最近自分が自分でないような感覚に陥ることがある。何か自分以外の意思が混ざっているような気がしてならない。
僕はいったいどこに向かっているのか。いや、僕はいったい何者で何を担うのか。僕はまだその答えを知らない。
* * * * *
side???
ようやく本来の力をよみがえらせる前段階まできたようだね。まったく、君たちは本当に面白い。いつまでも僕のことを飽きさせないよ。・・・だが、そんなお遊びももうすぐ終わりだ。最後の時に一体どんなことを見せてくれるのか。実に楽しみだよ。今度はどんな遊びを始めようかな・・・アハハッ、ハハハハ!!
―――*―――*―――
いよいよ黒幕登場?
『はい?』
僕のことばに全員が何言ってんの、ってこっちを見てくる。というか、君たち息ぴったりだね。
「はー・・・アオイは元からこうだから、諦めてあとで詳しく今の言葉の意味を聞きましょ」
「そうですね。取りあえず中にはいりましょうか」
ラーシャがそういうとみんながカルラさんの案内で建物の中へ入っていく。僕もみんなに置いて行かれないように一番後ろからついていく。と、途中で立ち止まって後ろを見る。やっぱり物の見事につけられてるね。おそらくシャルとミリィの護衛が十人いないぐらい。そのほかにこちらに敵意もしくは害意を持っている者がざっと二十人と、興味深くこちらを観察しているのも一人いる。離れたり仲良くしているところを見せたりしてみた感じ、おそらく狙いは僕とレナ、ついででシャルとミリィといったところ。こちらを観察しているのは黒竜の一人。隠しているけど固有の魔力の特徴でわかる。護衛と黒竜はとりあえずほっておくとしてその他はどうするかな・・・このままじゃこの孤児院に被害が出るかもしれないし、なにか対策を考えなければ。いや、いっそここで叩き潰しておくのも手か。思い立ったが吉日。さっさとやってしまおうか。
「おい、隠れてるやつら全員出てこい」
当然、シャルたちの護衛と黒竜以外は出てこない。しかし、なぜこの護衛たちはこうもびくびくしているのだろうか。まだ何も言わず、自らの強大な気配すら感じさせていないのに、ここまでおびえさせるようなことはしていないはずなのだが。・・・って、思い出した。この人たちさっきの謁見の間にいた人たちだ。なるほど、さっきの威圧をもろに受けた人たちを護衛につけたのか。僕たちの力を知っているからか、はたまた万が一にも粗相がないようにするためか。まあ、どうでもいいけど。
それに黒竜はなんで出てきた?他にもつけている人間がいることは分かっただろうに。それとも分かっていなかったのか?
「あのぅ・・・その、ですね・・・今回、後をつけていたのは、そのぅ・・・」
「あなたがこちらをつけていた理由は後で聞きます。それよりも分かっていないと思っているのか。その他20ほどの愚か者ども」
黒竜の少女がめちゃくちゃ視線を泳がせながら弁解をしようとする。護衛の方はおびえすぎていろいろな面でお話にならない。本当にこれで護衛が務まるのか?
黒竜の弁解を止めてから出てこなかった者たちに向けて言葉と共に殺気を叩きつける。すると、ドタバタと物音が周囲から聞こえてくる。探ってみるにさっきの殺気に耐えられずに気絶したようだ。ふがいない。この程度で僕らのことを狙っていたのか。全く、あのバカと同じ。自分との差が分からないのなら警戒すべきだろうに。なぜそこまで気が回らないのか。
「はぁ・・・」
そこまで考えて、ついつい深いため息をついてしまう。まったくこんなことを考えてもしょうがないだろうに。それに、自分はこんなに過激で、人を見下して、突発的に行動するような人間だったのだろうか。これではまるでブレーキの利かない暴走列車だ。自分で自分が嫌になる。最近自分が自分でないような感覚に陥ることがある。何か自分以外の意思が混ざっているような気がしてならない。
僕はいったいどこに向かっているのか。いや、僕はいったい何者で何を担うのか。僕はまだその答えを知らない。
* * * * *
side???
ようやく本来の力をよみがえらせる前段階まできたようだね。まったく、君たちは本当に面白い。いつまでも僕のことを飽きさせないよ。・・・だが、そんなお遊びももうすぐ終わりだ。最後の時に一体どんなことを見せてくれるのか。実に楽しみだよ。今度はどんな遊びを始めようかな・・・アハハッ、ハハハハ!!
―――*―――*―――
いよいよ黒幕登場?
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