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第一章 ネウイの町
幕間1 そのころ神界では
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すみません。今回短いです。改めてみると誤解されそうな箇所があったのでその補足もかねて幕間にしました。
―――*―――*―――
葵たちが洞窟で秘密を打ち明けているころ、神界では神たちが談笑していた。
「しかし爺さん、なんであんなウソをついたんだ?別にアイツに本当のことを話しても支障はなかっただろ」
筋肉隆々のいかついおっさんって感じの男神が話しかける。
「別にこれといった理由はないわい。じゃがな、彼はあのお方の転生体。それなのにあの頃の記憶はなく純粋にヒトとしての生を満喫しておられるようじゃった。それを儂が記憶を呼び起こさせて邪魔をするのはまずいじゃろう。それに今の彼は神ではない。ならば神の現界への干渉制限に引っかかるはずもない。神の力を持ちその力を存分に発揮することができるのじゃ。あの問題を解決するにはうってつけの人材ではないかの」
「うはー。爺さんも人が悪いというかなんというか。彼に授けたって言った力も実際には彼自身がもとから持っていた力を使うきっかけを与えただけで何もしてないんだろ。そんなことしてあとから彼に叱られないか?」
「きっかけを与えただけって・・・まあそうなのじゃが。ああ、知識が欲しいと言い出した時は焦ったのう。神気なくして世界のすべてを知ることはできんからの。まあそもそもの話じゃが、あの方のお力をわしがいじるなんて、できるわけがなかろうが。いじろうとしたら儂のほうが精神をやられてしまう」
「そのあたりの話はおいておいて、彼らにあの問題を解決させるおつもりなのですか?」
今度は優しそうな雰囲気の女神が話す。
「そうじゃ」
「そのために世界に干渉して世界の管理者にまで任命したのか!?」
「というか、もう彼らにしか解決できないであろうよ。儂の力でも及ばなくなりつつあるからのう。とはいえ、もともと儂らのせいで転生してしまったのに、また儂らの力が及ばずに起きたことの始末を彼らにしてもらうのは情けなくもあるがの」
「そんな・・・」
「まじか!爺さんでもダメなのか・・・」
創造神の発した言葉に他に二人は衝撃を受ける。創造神というのはこの世界のトップであり最強の存在。その創造神でも敵わないということはこの世界では何者も敵わないと言っているのと同義なのだから。
「じゃから彼らには本来の力を取り戻してもらう必要があるのじゃ。まあ、周りも本人たちを含め気づいてないようじゃが、徐々に感覚を取り戻しつつあるようじゃの。だんだんあの頃のあの方々の言動に近づいてきておる。それでも、確実に取り戻してもらうためにも協力しておくれ」
「分かりました」
「いいぜ。それに俺たちもこの世界が好きで、それだけにあの問題には頭を悩ませていたからな」
それから神々は解散し、二人の神はそれぞれの持ち場へと帰っていった。集会が行われていた場所には一人になった創造神の言葉が響き渡る。
「ぜひとも、我らの世界を守るために力をお貸しくださいませ、万能神様」
※次回は本編に戻ります
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葵たちが洞窟で秘密を打ち明けているころ、神界では神たちが談笑していた。
「しかし爺さん、なんであんなウソをついたんだ?別にアイツに本当のことを話しても支障はなかっただろ」
筋肉隆々のいかついおっさんって感じの男神が話しかける。
「別にこれといった理由はないわい。じゃがな、彼はあのお方の転生体。それなのにあの頃の記憶はなく純粋にヒトとしての生を満喫しておられるようじゃった。それを儂が記憶を呼び起こさせて邪魔をするのはまずいじゃろう。それに今の彼は神ではない。ならば神の現界への干渉制限に引っかかるはずもない。神の力を持ちその力を存分に発揮することができるのじゃ。あの問題を解決するにはうってつけの人材ではないかの」
「うはー。爺さんも人が悪いというかなんというか。彼に授けたって言った力も実際には彼自身がもとから持っていた力を使うきっかけを与えただけで何もしてないんだろ。そんなことしてあとから彼に叱られないか?」
「きっかけを与えただけって・・・まあそうなのじゃが。ああ、知識が欲しいと言い出した時は焦ったのう。神気なくして世界のすべてを知ることはできんからの。まあそもそもの話じゃが、あの方のお力をわしがいじるなんて、できるわけがなかろうが。いじろうとしたら儂のほうが精神をやられてしまう」
「そのあたりの話はおいておいて、彼らにあの問題を解決させるおつもりなのですか?」
今度は優しそうな雰囲気の女神が話す。
「そうじゃ」
「そのために世界に干渉して世界の管理者にまで任命したのか!?」
「というか、もう彼らにしか解決できないであろうよ。儂の力でも及ばなくなりつつあるからのう。とはいえ、もともと儂らのせいで転生してしまったのに、また儂らの力が及ばずに起きたことの始末を彼らにしてもらうのは情けなくもあるがの」
「そんな・・・」
「まじか!爺さんでもダメなのか・・・」
創造神の発した言葉に他に二人は衝撃を受ける。創造神というのはこの世界のトップであり最強の存在。その創造神でも敵わないということはこの世界では何者も敵わないと言っているのと同義なのだから。
「じゃから彼らには本来の力を取り戻してもらう必要があるのじゃ。まあ、周りも本人たちを含め気づいてないようじゃが、徐々に感覚を取り戻しつつあるようじゃの。だんだんあの頃のあの方々の言動に近づいてきておる。それでも、確実に取り戻してもらうためにも協力しておくれ」
「分かりました」
「いいぜ。それに俺たちもこの世界が好きで、それだけにあの問題には頭を悩ませていたからな」
それから神々は解散し、二人の神はそれぞれの持ち場へと帰っていった。集会が行われていた場所には一人になった創造神の言葉が響き渡る。
「ぜひとも、我らの世界を守るために力をお貸しくださいませ、万能神様」
※次回は本編に戻ります
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