異世界如何様(チート)冒険記 ~地球で平凡だった僕が神の記憶を思い出して世界を元に戻すまで~

Condor Ukiha

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第一章 ネウイの町

#12 秘密露呈?

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※すみません。今回の話も短めです。

「さて、あとは任せますか」

 僕はAランクの魔物たちと戦闘を開始している冒険者たちを眺めて、そんなことをつぶやいていた。

「いいの?手伝わなくて?」

 横でレナが戦闘を見たまま尋ねてくる。

「いいのさ。彼らに戦ってもらうためにアイツらを残したんだから」

「えっ。葵さん?それはどういうことですか!?」

 それを聞いたラーシャが僕に問いただす。何とも言えない迫力が・・・

「そのまんまだよ。魔力を吸い取る量をぎりぎりあいつらが生き残れる量に調整しておいたんだ。・・・別にそんな設定せずに僕がすべて倒してしまってもよかったんだけどね。でも、それをやると彼らから文句が出るだろう。お前がすべて倒したせいで俺たちの報酬が少なくなっただの、別にお前が倒さなくても俺たちで倒しきれただのね。ならば、少し苦労してもらった方がいい。なぁに、見殺しもしないし、誰も死なせはしない。危なくなったら助けるさ」

 それからしばらく時折雑談をはさみながら僕たちは戦闘を見ていた。というか、みんな戦闘に参加しようとしたけど僕が認めなかった。戦闘に出られると守れない可能性が高まるからね。僕が守れるようになるまで絶対に危ないことをさせない。
 そのうち、全身傷だらけになった一体が追い詰められ、暴れだし冒険者たちへ襲い掛かった。

「おっと、危ない」

 僕はそれだけを対象に威圧する。そうすれば一瞬それの動きが鈍り、その隙に冒険者たちがとどめを刺した。

「ちょっと、今のもアオイがやったんでしょ?」

 ザーシャが僕の目を見ながら聞いてきた。聞かれるのは想定してたけどなんで僕の目を凝視しているんだ?

「そうだけど、どうしてわかったの?」

「目の色が変わってたのよ。今はもう元に戻ってるけどね。・・・ねぇ、もう一度聞くわ。あんたたちいったい何者なの?」

 そう聞かれた僕は目をそらし、そらした先にいたレナを見る。当のレナは僕を見て任せる、とアイコンタクトとしてきた。どうしよっかな・・・

「ここじゃあ教えられない。終わったら教えてあげる」

「わかったわ。宿に戻ったら教えてもらうわね」

「絶対に人に聞かれないところがいいな。まあ、それはこっちで用意するよ」

 結局僕は二人に打ち明けることにした。いつまでも隠しておけるとも思えないし、ずっと話さずにいてばれた場合の気まずさなんかを考えるとこっちのほうがいいだろう。

「(どこで話すの?私は誰にも聞かれないような場所知らないよ)」

「(大丈夫。いい場所がある)」

 レナが心配そうな顔をして僕を見る。僕も行ったことはないが、誰にも秘密が聞かれない場所に心当たりがある。まあ、二人を連れていく前にレナと一度見に行っておく必要があるかもしれないが。

* * * *

 しばらくして誰も致命傷や引退になるようなけがを負うことなく無事にすべての魔物を討伐することに成功した。多くの冒険者が勝利を喜び、冒険者ギルドに併設された酒場で騒いでいる。僕とレナはそっとその場を抜け出しとある場所へ向かう。
 転移した先は周り一体ごつごつとした岩でできた空間だった。

「ここは?」

「ここは創造神様が用意してくれた洞窟で、僕たちが生まれてから旅に出るまで暮らしていたところってことになってる。場所的にはあの大陸の中央付近にそびえる最高峰、ガホンフニク山の中腹にあ。龍の姿でも生活できるようになっていて、人の姿での生活空間も扉を設けて別に用意してある。それに神様の計らいで家具、食料、状態維持と快適化の魔法付き」

「・・・ねえ、お兄ちゃん?」

「なに?」

 真顔のレナにこちらも真顔で返事をする

「ここって偽装用だよね」

「そうだね」

「いたせりつくせりだと思うのは私だけ?」

「・・・僕もそう思う」

 僕は聞こえるかどうかの小声で返す。それから気まずい空気が流れる。

「ま、まあ、私たちのために張り切って用意してくれたってことでしょ」

「そ、そうだね。あははは」

「ははは」

「・・・」

「・・・」

『やりすぎです!神様ぁ!』

 後日聞いた話だが僕ら二人の声は洞窟内だけでなく山頂まで届いていたそうだ。
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