異世界如何様(チート)冒険記 ~地球で平凡だった僕が神の記憶を思い出して世界を元に戻すまで~

Condor Ukiha

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第一章 ネウイの町

#7 冒険者ギルド

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 冒険者ギルド前で借金取りの奴らを返り討ちにした後、騒ぎを聞いて駆けつけてきた衛兵に事情聴取されることになってしまった。しかし、以前から問題行為を繰り返していたようで聴取はずいぶん僕に親身になって聞いてくれたし、街中で禁止されている魔法の使用に、借金の形にわいせつな行為を求めていたことで言い争いになったという証言もあったことで一時間程度で終わった。最後の方は衛兵の皆さんとの彼らに関する愚痴の言い合いみたいになってしまったし。ちなみにレナに手を出そうとしたことを思い出して、再び怒りが沸き上がってきたが、衛兵の皆さんに諭されて怒りを抑えることができた。衛兵の人たちに葵さんは妹さんのことを大切に思っているんですねと言われて恥ずかしい思いもしたが、実際にこの世界でただ一人の家族でめちゃくちゃ大切にしているので何も言えない。
 そんなこんなで僕らは再び冒険者ギルドの前にやってきた。僕らがやってきたことで周囲が多少ざわついたが、特に何があるでもなく僕らはすんなりとギルドの中へと入ることができた。先ほどの騒動を見ていた人たちもいたようで、僕たちにからもうとした人たちを止めているのが分かる。と言っても聴覚も強化さえているので何を話しているのか丸聞こえなのだが。僕たちがカウンターの前へ来た時には半分以上の人がギルドを出て行ってしまっていた。それでも残っている人たちへ、絶対にアイツの妹には絡むなよ、と言い残して。

「ようこそ、冒険者ギルドへ。何の御用でしょうか」

カウンタ―にいた受付の少女が答えてくれる。観察する限り緊張と恐怖、そしてあきらめが混ざっているように感じる。ステータスもそこまで高いわけではなく、ほかの受付嬢と比べても低いように感じる。絶対に僕たちの相手を押し付けられたのだな。そんなに怖いのだろうか。

「僕と妹の冒険者登録とそこの二人とのパーティー申請をしたいのですが」

「かしこまりました。それではこちらの用紙に必要事項を記入していただいて、その後にこの水晶に触れてください」

「分かりました」

僕は言われた通り必要事項を記入していく。名前、年齢は必須。戦闘スタイルや武器、出身地などは任意。そういえば、この世界の言語は日本語ではない。だけど、普通には話せてるし、文章も書ける。さすが神様、僕の思っていた通りの機能をつけてくれた。

「できました」

「ではこちらの水晶に順番に触れてください。ではレナさんから」

そういわれてレナが前に出て水晶へふれる。すると、水晶は甲高い音を立てながら虹色に光り輝きだした。十秒ほど輝いていたが、それが終わっても何の反応も帰ってこなかったのでそちらを見てみると、少女はそんな顔していいのかという表情でたたずんでいた。

「あの?大丈夫ですか?」

あまりに反応がないので心配になったのか、僕が言う前にレナが聞いていた。

「はっ、すみません。大丈夫です。ただあまりに非常識な結果だったので驚いてしまって」

「普通はどんな感じなんだ?」

気になった僕は隣にいたラーシャに聞く。

「えっと。ふつうは、あの水晶に触れても、わずかに光り輝く程度で、私みたいな、魔法使いが触れても、白く光るので。えっと、その、私は、こんな現象は、見たことも、聞いたことも、ありません」

「となるとこれはもっている魔力量が平均から大きく外れてたのかな?」

「というか、わずかに光るのが大半であたしたちみたいに白く光るのでも貴重なのよ。それを越えた存在なんて世界でレナちゃんぐらいしかいないんじゃない?」

ラーシャはわたわたしながら答えてくれた。それを聞いて冷静に考えていたら横からザーシャの呆れが混じった突っ込みがやってきた。なるほど、レナは貴重な存在なのか。変な奴に利用されないよう気を付けよう。

「では、アオイさん。この水晶に触れてください」

呼ばれたので僕も水晶へと手を伸ばす。しかし、それに触れることはできなかった。なぜなら、僕か触れる前に水晶はこれ以上ないぐらい光り輝き、それどころかカタカタと揺れだす始末だったからだ。

「えっと、僕はレナより魔力量が多いのかな?」

と、まあそれは置いておいて。今、僕は自分の中に変身するときに使う力とは違う力を自分の中に感知できるようになった。これが魔力なのだろう。となると、僕が変身するときに使っていた力は何なのであろうか。すぐさま脳内検索してみる。・・・なるほど。これは神気というものらしい。本来、神様のみが持つ力で創造神様が間違えて与えてしまったと言っていたやつだ。

「アオイさん?あなたがたは何者なんですか?」

「うーん、別に特別な家系とかそういうんじゃないんだけどね。まあ、機会があったら話すよ」

ラーシャからの追及をあいまいにかわしながら、僕らは無事に冒険者登録を終え、宿へと戻るのだった。
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