7 / 50
第一章 ネウイの町
#6 悪人退治
しおりを挟む
あれから僕たちはカフェをでて冒険者ギルドへ向かっていた。
「おいてめぇら!さっきは部下が世話になったようだな!」
ギルドの入口まで来たときに前に先ほどの男たちを伴って、十数人の男たちがやってきた。ほら、やっぱり来たよ。さっきいかにも下っ端って感じだったからこうなるとは思ってたんだけどさぁ。昔からこういう予感は外れないんだよなぁ。後ろではレナたちが迷惑そうにしている。
「一応聞くが、君ら誰?」
「そこの嬢ちゃんたちに金貸してたのは俺たちだ。金回収するはずだったのに、それを横からお前らが入ってきて邪魔したようだな!」
「ああ、ありゃお前らが悪い。法で禁止されているはずなのに形にわいせつな行為を求めてんだから、文句ある?」
「ああ、あるさ!てめぇのせいでお頭に怒られっちまうだろうが」
こいつ、バカだな。今自分で借金の形にそういう行為を求めたことを暗に認めたぞ。いや、認めてはないがこれで論破することが確実にできる。
「そんなことしらないがな。君らが勝手にしたんだろうが」
「そんなことどうでもいいわ!お前らやっちまえ!」
そうリーダーとおぼしき奴が言うと、後ろにいた奴らが僕たちに襲いかかってきた。
しかしそれは技術などなく、力任せに武器やこぶしをふるっている、あまりにもつたないものであった。
「じゃあ、宣言通り容赦なく叩き潰してあげようか」
視認できない速さで近づき、一番近かった男の意識を手刀で狩る。
「まず一人」
その横にいた男を真上に蹴り上げる。そいつは空中で体勢を整えようとしたものの、できずに地面にたたきつけられて意識を失う。
「二人」
二人目が空飛んでる間に蹴り上げた足を横に払い、男を二人、建物の外壁へたたきつける。もちろん、建物へ被害が出ないように調整はしてある。骨折ぐらいはしてるかもしれないが。
「三人、四人」
その体勢から勢いをつけて腹へこぶしを突き出す。腹パンを食らった相手はその場で蹲り、動けなくなる。
「これで五人」
ここまでの時間10秒かかってない。
「お前、何者だ!?」
「別に何者でもないさ。あえて何者かといえば、ただの妹を守りたい兄っていうのが一番しっくりくるかもしれないかな」
そんなことをしゃべりながら僕は上へ飛び上がり、着地ざまに下から蹴りをいれる。見事に股間へあたり、そいつは上へ吹き飛びながら痛みに悶絶することになる。
「六人」
ここで、パンチをかまそうと腕を伸ばしながらやってくる奴がいたので腕をつかみ一本背負いをしてやる。このままでは気絶しそうにないので投げる途中で手を放して首から落ちるようにしてやった。打ち所が悪いと死ぬ可能性があるがそうならないようには調整してあるので心配はない。
「七人」
あまりの速さで無力化したために理解が追い付かず周りで呆けた状態になっていた三人を真ん中の一人へ飛び膝蹴りを食らわせ、両隣へ後ろから一撃して気絶させる。
「八人、九人、十人」
【ファイアーランス】
リーダーの前にいた(僕は初期位置からリーダーを挟んで反対側に来たので最初は僕から一番遠かった)男が魔法を使う。
「こんにゃろ」
それは僕ではなくレナの方へ向かっていく。僕はすれ違いざまにそいつを叩き落としながら炎の槍へ右手を差し出す。
〈delete〉
僕の入力したコマンドによって世界が作り変えられる。目の前に迫っていた炎の槍は一瞬にして世界からその存在を消される。これまでこんな力を使った事は無い。だが、僕にはこれの使い方が手に取るように分かった。これは世界に干渉して無理やり変えてしまう。今回は魔法だったがこれは非生物だろうと生物だろうと、たとえ理であろうとも変えることができてしまう。今回は使ってしまったがこれからは使うことのないようにしていきたいな。
「十一人、あとはお前だけだな」
「ヒッ」
「お仲間がこんな目にあったんだ。お前だけ無事でいられるなんて思ってないよな?」
僕は自分の中で煮えかえる怒りを抑えながらリーダー格の男を見下げる。
「もうこれ以上、僕たちにかかわんなよ」
そういうとそいつは気を失ってしまった。
「さて・・・と。じゃあ、行こうか?」
僕が後ろにいる三人へ問いかけると三人とも呆然としているのだった。
▼△▼△▼△幕間▼△▼△▼△
私の名前はレナ。元はこの世界の管理者だったんだ。今は当代の世界の管理者であるアオイお兄ちゃんの妹として生活してます。昔話はまたの機会にするとして、今さっきお兄ちゃんが屈強そうな男たちを瞬殺しちゃいました。しかも魔法や管理者としての能力なしで。まあ、魔法の無力化だけは管理者の能力で消してたけど、普通はあり得ないよね。たった一人で十人以上の相手をしかも瞬殺してしまうなんて。しかも、お兄ちゃんは知らなかったかもしれないけど彼らはこの町では相当強い部類に入るんだからね。それをさくっと倒して、「じゃあ、行こうか?」って。呆然としない方が無理だよ。特に最後の言葉、私たちに向いてなかったけど、それでも肝が冷えるような冷たい声だった。正面からその声と殺気を浴びたあの男は相当だったと思う。それでも、殺気に耐えられてたのはあの男が強者であった証拠なのかもしれない。
隣を見ればザーシャちゃんとラーシャちゃんが同じような表情をしている。流石双子だと思うけど、たぶん私も同じような顔をしているんだと思う。これまでの言動で非常識な人だとは思ってたけど、ここまで異常だとは思ってなかった。しかも、なんであんなに怒ったの?って聞いたら、平然と「妹に卑猥なことをしようとしたり、変な事に巻き込もうとしたからだけど」だって!今日義兄妹になったばかりだけど、もうすでにシスコンになってない!?まあ、私もそういうお兄ちゃんのことを頼もしく思って好きになってしまってるからお互い様なのかもしれないけど。願わくば、こんな生活が長く続きますように・・・
レナのこの願いはある意味でかなえられないのだが、これはまだ先のお話。
「おいてめぇら!さっきは部下が世話になったようだな!」
ギルドの入口まで来たときに前に先ほどの男たちを伴って、十数人の男たちがやってきた。ほら、やっぱり来たよ。さっきいかにも下っ端って感じだったからこうなるとは思ってたんだけどさぁ。昔からこういう予感は外れないんだよなぁ。後ろではレナたちが迷惑そうにしている。
「一応聞くが、君ら誰?」
「そこの嬢ちゃんたちに金貸してたのは俺たちだ。金回収するはずだったのに、それを横からお前らが入ってきて邪魔したようだな!」
「ああ、ありゃお前らが悪い。法で禁止されているはずなのに形にわいせつな行為を求めてんだから、文句ある?」
「ああ、あるさ!てめぇのせいでお頭に怒られっちまうだろうが」
こいつ、バカだな。今自分で借金の形にそういう行為を求めたことを暗に認めたぞ。いや、認めてはないがこれで論破することが確実にできる。
「そんなことしらないがな。君らが勝手にしたんだろうが」
「そんなことどうでもいいわ!お前らやっちまえ!」
そうリーダーとおぼしき奴が言うと、後ろにいた奴らが僕たちに襲いかかってきた。
しかしそれは技術などなく、力任せに武器やこぶしをふるっている、あまりにもつたないものであった。
「じゃあ、宣言通り容赦なく叩き潰してあげようか」
視認できない速さで近づき、一番近かった男の意識を手刀で狩る。
「まず一人」
その横にいた男を真上に蹴り上げる。そいつは空中で体勢を整えようとしたものの、できずに地面にたたきつけられて意識を失う。
「二人」
二人目が空飛んでる間に蹴り上げた足を横に払い、男を二人、建物の外壁へたたきつける。もちろん、建物へ被害が出ないように調整はしてある。骨折ぐらいはしてるかもしれないが。
「三人、四人」
その体勢から勢いをつけて腹へこぶしを突き出す。腹パンを食らった相手はその場で蹲り、動けなくなる。
「これで五人」
ここまでの時間10秒かかってない。
「お前、何者だ!?」
「別に何者でもないさ。あえて何者かといえば、ただの妹を守りたい兄っていうのが一番しっくりくるかもしれないかな」
そんなことをしゃべりながら僕は上へ飛び上がり、着地ざまに下から蹴りをいれる。見事に股間へあたり、そいつは上へ吹き飛びながら痛みに悶絶することになる。
「六人」
ここで、パンチをかまそうと腕を伸ばしながらやってくる奴がいたので腕をつかみ一本背負いをしてやる。このままでは気絶しそうにないので投げる途中で手を放して首から落ちるようにしてやった。打ち所が悪いと死ぬ可能性があるがそうならないようには調整してあるので心配はない。
「七人」
あまりの速さで無力化したために理解が追い付かず周りで呆けた状態になっていた三人を真ん中の一人へ飛び膝蹴りを食らわせ、両隣へ後ろから一撃して気絶させる。
「八人、九人、十人」
【ファイアーランス】
リーダーの前にいた(僕は初期位置からリーダーを挟んで反対側に来たので最初は僕から一番遠かった)男が魔法を使う。
「こんにゃろ」
それは僕ではなくレナの方へ向かっていく。僕はすれ違いざまにそいつを叩き落としながら炎の槍へ右手を差し出す。
〈delete〉
僕の入力したコマンドによって世界が作り変えられる。目の前に迫っていた炎の槍は一瞬にして世界からその存在を消される。これまでこんな力を使った事は無い。だが、僕にはこれの使い方が手に取るように分かった。これは世界に干渉して無理やり変えてしまう。今回は魔法だったがこれは非生物だろうと生物だろうと、たとえ理であろうとも変えることができてしまう。今回は使ってしまったがこれからは使うことのないようにしていきたいな。
「十一人、あとはお前だけだな」
「ヒッ」
「お仲間がこんな目にあったんだ。お前だけ無事でいられるなんて思ってないよな?」
僕は自分の中で煮えかえる怒りを抑えながらリーダー格の男を見下げる。
「もうこれ以上、僕たちにかかわんなよ」
そういうとそいつは気を失ってしまった。
「さて・・・と。じゃあ、行こうか?」
僕が後ろにいる三人へ問いかけると三人とも呆然としているのだった。
▼△▼△▼△幕間▼△▼△▼△
私の名前はレナ。元はこの世界の管理者だったんだ。今は当代の世界の管理者であるアオイお兄ちゃんの妹として生活してます。昔話はまたの機会にするとして、今さっきお兄ちゃんが屈強そうな男たちを瞬殺しちゃいました。しかも魔法や管理者としての能力なしで。まあ、魔法の無力化だけは管理者の能力で消してたけど、普通はあり得ないよね。たった一人で十人以上の相手をしかも瞬殺してしまうなんて。しかも、お兄ちゃんは知らなかったかもしれないけど彼らはこの町では相当強い部類に入るんだからね。それをさくっと倒して、「じゃあ、行こうか?」って。呆然としない方が無理だよ。特に最後の言葉、私たちに向いてなかったけど、それでも肝が冷えるような冷たい声だった。正面からその声と殺気を浴びたあの男は相当だったと思う。それでも、殺気に耐えられてたのはあの男が強者であった証拠なのかもしれない。
隣を見ればザーシャちゃんとラーシャちゃんが同じような表情をしている。流石双子だと思うけど、たぶん私も同じような顔をしているんだと思う。これまでの言動で非常識な人だとは思ってたけど、ここまで異常だとは思ってなかった。しかも、なんであんなに怒ったの?って聞いたら、平然と「妹に卑猥なことをしようとしたり、変な事に巻き込もうとしたからだけど」だって!今日義兄妹になったばかりだけど、もうすでにシスコンになってない!?まあ、私もそういうお兄ちゃんのことを頼もしく思って好きになってしまってるからお互い様なのかもしれないけど。願わくば、こんな生活が長く続きますように・・・
レナのこの願いはある意味でかなえられないのだが、これはまだ先のお話。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる