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第一章 ネウイの町
#4 先代世界の管理者
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「はじめまして、私は先代世界の管理者です」
そう言われた僕の中では様々な想像が渦巻いていた。
確かにパソコンの起動時にいろいろあって世界の管理者になってるけどこれは神様から与えられたのか?それとも別の誰かが僕に譲渡してくれたのか?後者なら、目の前の少女が決めた可能性が高いが想像の域を出ない。それに・・・
「あの、聞いていますか?」
「えっ、あ、はい。聞いてます」
「改めまして、私は先代の世界の管理者です。名前はレナと言います。最初にあなたを世界の管理者に選んだのは私ではありません。世界の管理者は適合者が現れたときに世界が勝手に選びます。新たな管理者が現れた時、今までの管理者はその役目を終え、天界へと導かれます。私もそのはずだったのですがなぜかここに飛ばされてしまい、あなたと出合いました。ちなみに、世界の管理者には寿命というものが存在しません。私も管理者ではなくなりましたが、寿命はないと思います。あと、姿は自らの意志である程度変えることができます。私の場合は体の大きさまでならば好きに変えることができます。最後に一文無しで放り出されてしまったので保護してもらえると助かります」
なるほど、神様はあまり関係なさそうだ。しかし、この少女の本心って・・・
「最初から、最後の部分が目的だったでしょ」
「えっと、その、あの・・・はい、保護してもらいたくて。私、王都に住んでたんですけど騙されてしまって住んでたところを追い出されてしまって。その時に新しい管理者が決まったって通知が来て、これで一安心って思ってたんですけど、こんなことになってしまって、このままだと野垂れ死んでしまうとこだったんです」
そんなこと言われても困ると言えば困る。僕も働いてないし、神様からもらったお小遣いにも限度がある。地球に居た時の生活をできるだけ維持するとして、一人ならば4,5年過ごせただろが二人となると長くても2年持たないであろう。でも、この少女をこのまま放っておくこともできないしなぁ・・・
「レナは何が得意なんだ?」
「えっと、私は攻撃魔法が得意です」
「なるほど。僕も魔法使えるようになるかな?ってこれは置いといて。僕も戦闘系が得意なんだよなぁ。どうしようか?」
正確には神様に得意にしてもらったのだが。
「それなら冒険者ギルドに行きませんか。冒険者ギルドなら討伐依頼なんかでお金を稼げますし、カードが身分証にもなりますから」
「なるほどね。ちなみに王都にいた時は何をしてたの?」
「王都にいた時はお店で売り子をしていました。だけど、ある時に厄介な相手に目をつけられてしまって・・・」
ここまで言うとレナの顔が急に暗くなった気がした。
「言いたくないなら言わなくていいから」
後で自分で調べられるからね。
「そうですか?それなら心の区切りがついたときに改めてお話します」
「それじゃあ、これから言うことを守るなら保護してあげる。一つ、僕と一緒にお金稼ぎをすること。二つ、僕と一緒に行動してくれること。三つ、宿の都合で一緒の部屋になってしまっても文句を言わないこと。四つ、勝手にどっかに行かないこと。ちゃんと行き先を伝えてほしい。五つ、勝手に何か買ったり約束したりしないこと。どう、守れる?」
はたから聞くとずいぶんと行動を縛るようなことを言っているように聞こえるだろうが、さっき騙されて追い出されたとか言っていたのでそれでこっちまで被害を被るようなことにはなりたくない。特に後半部分はそのために言ったようなものだ。直感がレナはいい人であると言っているが、旅のお供としては危険人物だと思われるのでしっかりと見張ってはおきたいと思う。
「分かりました。今言われたことはちゃんと守るので連れて行ってください」
「ああ。じゃあ、とりあえずさっき話題にでた冒険者ギルド・・・の前に宿を取り直す必要があるか」
「あの、名前は?」
「え?ああ、まだ言ってなかったか。新名 葵。葵が名前ね」
「アオイさんですか」
「葵さんって呼ばれると他人行儀な感じがするから別の呼び方にしてもらえない?」
「じゃあ、お兄ちゃん」
「えっ!?」
「ずっとお兄ちゃんが欲しいと思ってたんです。私の周りには身内で頼れる人がいなくて、お兄ちゃんにあこがれてたんです。あ、お兄ちゃんならこんな感じでしゃべってもいいかな?」
「別に好きにしてくれて構わないけど」
「じゃあ、お兄ちゃん。これからよろしくね!」
こうして僕に美少女の妹ができた。
―――*―――*―――
修正履歴
2021/09/13
レナのセリフ内の誤解を招きかねない表現を修正
旧:私の場合は体の大きさまで好きに変えることができます。
新:私の場合は体の大きさまでならば好きに変えることができます。
2021/10/12
生活の基準の追加と所持金額で生活できる期間を修正
旧:一人ならば2,3ヵ月過ごせただろが二人となると長くても2ヵ月持たないであろう。
新:地球に居た時の生活をできるだけ維持するとして、一人ならば4,5年過ごせただろが二人となると長くても2年持たないであろう。
5億円ないぐらいで2,3ヵ月しか持たないのはさすがにおかしいですよね・・・
そう言われた僕の中では様々な想像が渦巻いていた。
確かにパソコンの起動時にいろいろあって世界の管理者になってるけどこれは神様から与えられたのか?それとも別の誰かが僕に譲渡してくれたのか?後者なら、目の前の少女が決めた可能性が高いが想像の域を出ない。それに・・・
「あの、聞いていますか?」
「えっ、あ、はい。聞いてます」
「改めまして、私は先代の世界の管理者です。名前はレナと言います。最初にあなたを世界の管理者に選んだのは私ではありません。世界の管理者は適合者が現れたときに世界が勝手に選びます。新たな管理者が現れた時、今までの管理者はその役目を終え、天界へと導かれます。私もそのはずだったのですがなぜかここに飛ばされてしまい、あなたと出合いました。ちなみに、世界の管理者には寿命というものが存在しません。私も管理者ではなくなりましたが、寿命はないと思います。あと、姿は自らの意志である程度変えることができます。私の場合は体の大きさまでならば好きに変えることができます。最後に一文無しで放り出されてしまったので保護してもらえると助かります」
なるほど、神様はあまり関係なさそうだ。しかし、この少女の本心って・・・
「最初から、最後の部分が目的だったでしょ」
「えっと、その、あの・・・はい、保護してもらいたくて。私、王都に住んでたんですけど騙されてしまって住んでたところを追い出されてしまって。その時に新しい管理者が決まったって通知が来て、これで一安心って思ってたんですけど、こんなことになってしまって、このままだと野垂れ死んでしまうとこだったんです」
そんなこと言われても困ると言えば困る。僕も働いてないし、神様からもらったお小遣いにも限度がある。地球に居た時の生活をできるだけ維持するとして、一人ならば4,5年過ごせただろが二人となると長くても2年持たないであろう。でも、この少女をこのまま放っておくこともできないしなぁ・・・
「レナは何が得意なんだ?」
「えっと、私は攻撃魔法が得意です」
「なるほど。僕も魔法使えるようになるかな?ってこれは置いといて。僕も戦闘系が得意なんだよなぁ。どうしようか?」
正確には神様に得意にしてもらったのだが。
「それなら冒険者ギルドに行きませんか。冒険者ギルドなら討伐依頼なんかでお金を稼げますし、カードが身分証にもなりますから」
「なるほどね。ちなみに王都にいた時は何をしてたの?」
「王都にいた時はお店で売り子をしていました。だけど、ある時に厄介な相手に目をつけられてしまって・・・」
ここまで言うとレナの顔が急に暗くなった気がした。
「言いたくないなら言わなくていいから」
後で自分で調べられるからね。
「そうですか?それなら心の区切りがついたときに改めてお話します」
「それじゃあ、これから言うことを守るなら保護してあげる。一つ、僕と一緒にお金稼ぎをすること。二つ、僕と一緒に行動してくれること。三つ、宿の都合で一緒の部屋になってしまっても文句を言わないこと。四つ、勝手にどっかに行かないこと。ちゃんと行き先を伝えてほしい。五つ、勝手に何か買ったり約束したりしないこと。どう、守れる?」
はたから聞くとずいぶんと行動を縛るようなことを言っているように聞こえるだろうが、さっき騙されて追い出されたとか言っていたのでそれでこっちまで被害を被るようなことにはなりたくない。特に後半部分はそのために言ったようなものだ。直感がレナはいい人であると言っているが、旅のお供としては危険人物だと思われるのでしっかりと見張ってはおきたいと思う。
「分かりました。今言われたことはちゃんと守るので連れて行ってください」
「ああ。じゃあ、とりあえずさっき話題にでた冒険者ギルド・・・の前に宿を取り直す必要があるか」
「あの、名前は?」
「え?ああ、まだ言ってなかったか。新名 葵。葵が名前ね」
「アオイさんですか」
「葵さんって呼ばれると他人行儀な感じがするから別の呼び方にしてもらえない?」
「じゃあ、お兄ちゃん」
「えっ!?」
「ずっとお兄ちゃんが欲しいと思ってたんです。私の周りには身内で頼れる人がいなくて、お兄ちゃんにあこがれてたんです。あ、お兄ちゃんならこんな感じでしゃべってもいいかな?」
「別に好きにしてくれて構わないけど」
「じゃあ、お兄ちゃん。これからよろしくね!」
こうして僕に美少女の妹ができた。
―――*―――*―――
修正履歴
2021/09/13
レナのセリフ内の誤解を招きかねない表現を修正
旧:私の場合は体の大きさまで好きに変えることができます。
新:私の場合は体の大きさまでならば好きに変えることができます。
2021/10/12
生活の基準の追加と所持金額で生活できる期間を修正
旧:一人ならば2,3ヵ月過ごせただろが二人となると長くても2ヵ月持たないであろう。
新:地球に居た時の生活をできるだけ維持するとして、一人ならば4,5年過ごせただろが二人となると長くても2年持たないであろう。
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