1 / 21
第1話 婚約破棄、そして家からの追放
しおりを挟む
「ユリナ、お前に婚約破棄を言い渡す」
オメルダ公爵家の長男、ブリックス様がそうおっしゃいます。
「あの、それは……なぜですか?」
「俺はお前よりも、妹のアメリアの方を愛しているのだ」
ハッキリと言われてしまいます。
そう、私、ユリナ・バラノンは伯爵令嬢。見た目は決して悪くないと思いますが、ハッキリ言って地味な女だそうです。一方、妹のアメリアは華やかな装いで、社交界でも人気があります。なぜなら、彼女は私よりも両親から溺愛されており、欲しいドレスもネックレスも何でも、手に入ってしまうからです。
「話はまとまりましたかな?」
まるで図ったかのように、部屋の中に私の家族が入って来ます。
父のニック、母のヒルダ、そして、妹のアメリアです。
「これはこれは、バラノン伯爵ご一行。たった今、そちらの長女さまに婚約破棄を言い渡したところです」
そう言って、ブリックス様はもう私には目もくれず、サッと立ち上がってアメリアの下に向かう。
「アメリア、今日から君が僕の婚約者だ」
「まあ、本当ですか?」
「すぐにでも君と結婚したいが、色々と段取りがあるからね」
「いえ、とても嬉しいですわ」
まるで、この世界で私だけ1人ぼっちのように、他のみんなで盛り上がっています。
「……と言う訳だから、ユリナ。お前はもう用済みだ。本日をもって、我が家から除籍する」
「えっ?」
「つまりは、追放だ。今すぐ出て行け」
父を初め、私の家族は……いえ、元家族たちは、容赦なく睨みを利かせて言います。
「早く、立ち去りなさい。もうあなたは、私の娘ではりません」
「お姉さま……いえ、元お姉さま。あなたがいなければ、最初から私がブリックス様と婚約者になれたのよ。全く、余計な回り道をしてしまったわ」
「まあまあ、アメリア。けどそのおかげで、僕らは愛を育むことが出来たじゃないか」
「ブリックス様……もう、惚れ惚れしちゃいますわ」
「今さらかい?」
「いえ、とっくの前から」
「おいおい、親の前ではしたないぞ、君たち」
「まあまあ、良いじゃないですか、あなた」
ワハハ!とまた私を置いてけぼりにして、盛り上がる元家族と元婚約者たち。
私はスッと黙って、その場から立ち去ります。元より、あまり持ち物は無いので。最低限の衣類などをリュックにまとめて、家を出ました。
オメルダ公爵家の長男、ブリックス様がそうおっしゃいます。
「あの、それは……なぜですか?」
「俺はお前よりも、妹のアメリアの方を愛しているのだ」
ハッキリと言われてしまいます。
そう、私、ユリナ・バラノンは伯爵令嬢。見た目は決して悪くないと思いますが、ハッキリ言って地味な女だそうです。一方、妹のアメリアは華やかな装いで、社交界でも人気があります。なぜなら、彼女は私よりも両親から溺愛されており、欲しいドレスもネックレスも何でも、手に入ってしまうからです。
「話はまとまりましたかな?」
まるで図ったかのように、部屋の中に私の家族が入って来ます。
父のニック、母のヒルダ、そして、妹のアメリアです。
「これはこれは、バラノン伯爵ご一行。たった今、そちらの長女さまに婚約破棄を言い渡したところです」
そう言って、ブリックス様はもう私には目もくれず、サッと立ち上がってアメリアの下に向かう。
「アメリア、今日から君が僕の婚約者だ」
「まあ、本当ですか?」
「すぐにでも君と結婚したいが、色々と段取りがあるからね」
「いえ、とても嬉しいですわ」
まるで、この世界で私だけ1人ぼっちのように、他のみんなで盛り上がっています。
「……と言う訳だから、ユリナ。お前はもう用済みだ。本日をもって、我が家から除籍する」
「えっ?」
「つまりは、追放だ。今すぐ出て行け」
父を初め、私の家族は……いえ、元家族たちは、容赦なく睨みを利かせて言います。
「早く、立ち去りなさい。もうあなたは、私の娘ではりません」
「お姉さま……いえ、元お姉さま。あなたがいなければ、最初から私がブリックス様と婚約者になれたのよ。全く、余計な回り道をしてしまったわ」
「まあまあ、アメリア。けどそのおかげで、僕らは愛を育むことが出来たじゃないか」
「ブリックス様……もう、惚れ惚れしちゃいますわ」
「今さらかい?」
「いえ、とっくの前から」
「おいおい、親の前ではしたないぞ、君たち」
「まあまあ、良いじゃないですか、あなた」
ワハハ!とまた私を置いてけぼりにして、盛り上がる元家族と元婚約者たち。
私はスッと黙って、その場から立ち去ります。元より、あまり持ち物は無いので。最低限の衣類などをリュックにまとめて、家を出ました。
66
お気に入りに追加
934
あなたにおすすめの小説
【完結】溺愛してくれる夫と離婚なんてしたくない!〜離婚を仕向けるために義父様の配下が私に呪いをかけてきたようですが、治癒魔法で解呪します〜
よどら文鳥
恋愛
公爵家に嫁いだものの、なかなか子供が授からないミリア。
王族にとって子孫ができないことは死活問題だった。
そのため、旦那であるベイルハルトの両親からは離婚するよう圧がかかる。
ミリアもベイルハルトも離れ離れになりたくはなかった。
ミリアは治癒魔法の会得を試みて子供が授かる身体になることを決意した。
だが、治癒魔法は禁呪とも言われ、会得する前に死んでしまうことがほとんどだ。
それでもミリアはベイルハルトとずっと一緒にいたいがために治癒魔法を会得することに。
一方、ミリアに子供が授からないように呪いをかけた魔導師と、その黒幕はミリアが治癒魔法を会得しようとしていることを知って……?
※はじめてのショートショート投稿で、全7話完結です。
わたしを嫌う妹の企みで追放されそうになりました。だけど、保護してくれた公爵様から溺愛されて、すごく幸せです。
バナナマヨネーズ
恋愛
山田華火は、妹と共に異世界に召喚されたが、妹の浅はかな企みの所為で追放されそうになる。
そんな華火を救ったのは、若くしてシグルド公爵となったウェインだった。
ウェインに保護された華火だったが、この世界の言葉を一切理解できないでいた。
言葉が分からない華火と、華火に一目で心を奪われたウェインのじりじりするほどゆっくりと進む関係性に、二人の周囲の人間はやきもきするばかり。
この物語は、理不尽に異世界に召喚された少女とその少女を保護した青年の呆れるくらいゆっくりと進む恋の物語である。
3/4 タイトルを変更しました。
旧タイトル「どうして異世界に召喚されたのかがわかりません。だけど、わたしを保護してくれたイケメンが超過保護っぽいことはわかります。」
3/10 翻訳版を公開しました。本編では異世界語で進んでいた会話を日本語表記にしています。なお、翻訳箇所がない話数には、タイトルに 〃 をつけてますので、本編既読の場合は飛ばしてもらって大丈夫です
※小説家になろう様にも掲載しています。
望まない婚約破棄と望まない崩壊
岡暁舟
恋愛
誰も婚約破棄を望まない。そして、誰も帝国の崩壊を望まない。でも、少しほころびが出来てしまうと、簡単に崩れてしまう。令嬢だけど、本当は聖女。その力、無限大。前編、後編の2部構成です。
婚約破棄された令嬢の父親は最強?
岡暁舟
恋愛
婚約破棄された公爵令嬢マリアの父親であるフレンツェルは世界最強と謳われた兵士だった。そんな彼が、不義理である婚約破棄に激怒して元婚約者である第一王子スミスに復讐する物語。
【完結】小国の王太子に捨てられたけど、大国の王太子に溺愛されています。え?私って聖女なの?
如月ぐるぐる
恋愛
王太子との婚約を一方的に破棄され、王太子は伯爵令嬢マーテリーと婚約してしまう。
留学から帰ってきたマーテリーはすっかりあか抜けており、王太子はマーテリーに夢中。
政略結婚と割り切っていたが納得いかず、必死に説得するも、ありもしない罪をかぶせられ国外追放になる。
家族にも見捨てられ、頼れる人が居ない。
「こんな国、もう知らない!」
そんなある日、とある街で子供が怪我をしたため、術を使って治療を施す。
アトリアは弱いながらも治癒の力がある。
子供の怪我の治癒をした時、ある男性に目撃されて旅に付いて来てしまう。
それ以降も街で見かけた体調の悪い人を治癒の力で回復したが、気が付くとさっきの男性がずっとそばに付いて来る。
「ぜひ我が国へ来てほしい」
男性から誘いを受け、行く当てもないため付いて行く。が、着いた先は祖国ヴァルプールとは比較にならない大国メジェンヌ……の王城。
「……ん!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる