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第5話 バカは救いようがない

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 国王と王妃に大説教を食らったホリミックが泣きながら駆け込んだのは……

「うわーん、マミ!」

「あら、ホリミック様? どうされました?」

 マミ・ミューズレイが侍女として働いている、公爵家だった。貴族といえども、働く者はちゃんと働く。乳がデカくマジメなイメージがないマミが意外にもちゃんとしているのかと思いきや、

『この乳を揺らせば、楽に稼げるから』

 とのたまう。あまりにもバカバカしい言い分だが、実際問題、それで稼げていた。週1で1時間しか働かないのに、たっぷりとお給料をもらっていた。しかも、休憩なんて必要ないのに、他の長時間労働の侍女たちと一緒に、まかないともちゃっかりといただく始末。

 そうやって周りの幸福を吸い取ってばかりいるから、あんなに乳がデカく育ったんだと揶揄される始末。けど、彼女は何も気にしていなかった。図太い女である。

 その幸福によって育った巨乳に、ホリミックは思い切り飛び込んだ。

「きゃっ」

「う~ん、俺のふかふかクッション~」

「うふふ、可愛いホリミック様。また、国王と王妃に怒られたのですか?」

「うん、そうなんだよ。俺はただ、マミとせっくすしたいから、そうして子供が出来ちゃっただけなのに」

「そうですよね~」

「ところで、俺のせっくす気持ち良かった?」

「ええ、とても気持ち良かったです~」

「わ~い!」

 と、ハシャぐ2人を見かねて、

「あの、殿下」

「お、ワーナル公爵。俺の可愛い嫁にセクハラしていないか? しているだろう?」

「うっ……いや、それは」

「まあ、良いだろう。ていうか、もう身ごもっているんだから、仕事は終わりだ。俺の嫁になる訳だし、もうここには来ないぞ」

「は、はぁ……」

 この時、ワーナル公爵は、もうあの乳を間近で拝めないと思うと、悲しい気持ちになっていた。男とは、げに愚かな生き物である。

 そして、バカ王太子ことホリミックと同じく、バカ扱いされているマミ。実際、貴族としての知識や作法は全くなっていないが、男にすり寄る知恵だけは一人前だった。いや、知恵というか、たまたま幸福に膨らんだ乳でメロメロにしているだけだから、どちらにせよ頭が空っぽなことに変わりはない。

「なあ、マミ。これから、せっくすしようよ」

「え~? でも、お腹に赤ちゃんいるし~」

「えっ? まあ、大丈夫だろう」

「じゃあ、ちょっとだけですよ~」

 こうして、バカップルは、どこまでも我が道を行くのだ。

 性格は極悪ではないが、やはりバカは救いようがないのだ。

 いずれ、きっと痛い目に遭うだろう、いや遭ってしまえと、みんな願うばかりだった。

((((((このクソ王太子が!))))))

 周りの侍女たちの痛い視線も、一切気にしないほどのバカである、この男は。




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