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第3話 素敵な家族
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帰宅した両親に事の顛末を伝えると、ひどく激怒しました。
私に対してではなく、王家と何よりもあのバカ王太子に対して。
「あちらの方から頼んでおきながら、よくもそんな理不尽な真似を……」
父は本来、優秀で冷静な人物。だから、ビジネスパーソンとしてとても信頼されている。普段の生活でも、家族に対して穏やかな口調で接してくれている。だから、そんな父がこんな怒った所を見るのは初めてでした。。
「よくも、私の自慢の娘をキズモノに……」
「あなた、落ち着きましょう。私も同じ気持ちよ」
普段は父の後ろに控えている母が、こういう時はしっかりと前に出てくれる。とても良いバランスが取れた夫婦だ。我が両親ながら尊敬します。
「シアラ、大丈夫?」
「ええ、お母さま。元より、あのお方は好いておりませんでした」
「当然だ。シアラには、もっとふさわしい相手を見繕って、何人か候補がいたのに……そしたら、王家が必死に頼んで来たんだ。バカ息子が王として立派になるのは、シアラのような優秀な女が妻になって欲しいと。だから、しぶしぶ受け入れたのに……」
「とりあえず、きっちり賠償金はいただきましょう」
冷静ながらも、何だかんだ母もキレていた。
「シアラ、お前はしばらく仕事は休んで良い。のんびり、旅行にでも行くか?」
「いえ、お父様。むしろ、仕事をしていた方が、嫌なことを思い出さずに済みますので」
「そうか。お前は本当に勤勉だな。娘として、誇らしいぞ。それから、母さんに似て美人だしな」
「うふふ、ありがとう」
「今度、エリーが帰って来たら、4人で食事でもしながら、今後のことをゆっくりと話そう」
「そうね、そうしましょう」
両親は笑顔を取り戻してくれた。私も小さく微笑んだ。
私に対してではなく、王家と何よりもあのバカ王太子に対して。
「あちらの方から頼んでおきながら、よくもそんな理不尽な真似を……」
父は本来、優秀で冷静な人物。だから、ビジネスパーソンとしてとても信頼されている。普段の生活でも、家族に対して穏やかな口調で接してくれている。だから、そんな父がこんな怒った所を見るのは初めてでした。。
「よくも、私の自慢の娘をキズモノに……」
「あなた、落ち着きましょう。私も同じ気持ちよ」
普段は父の後ろに控えている母が、こういう時はしっかりと前に出てくれる。とても良いバランスが取れた夫婦だ。我が両親ながら尊敬します。
「シアラ、大丈夫?」
「ええ、お母さま。元より、あのお方は好いておりませんでした」
「当然だ。シアラには、もっとふさわしい相手を見繕って、何人か候補がいたのに……そしたら、王家が必死に頼んで来たんだ。バカ息子が王として立派になるのは、シアラのような優秀な女が妻になって欲しいと。だから、しぶしぶ受け入れたのに……」
「とりあえず、きっちり賠償金はいただきましょう」
冷静ながらも、何だかんだ母もキレていた。
「シアラ、お前はしばらく仕事は休んで良い。のんびり、旅行にでも行くか?」
「いえ、お父様。むしろ、仕事をしていた方が、嫌なことを思い出さずに済みますので」
「そうか。お前は本当に勤勉だな。娘として、誇らしいぞ。それから、母さんに似て美人だしな」
「うふふ、ありがとう」
「今度、エリーが帰って来たら、4人で食事でもしながら、今後のことをゆっくりと話そう」
「そうね、そうしましょう」
両親は笑顔を取り戻してくれた。私も小さく微笑んだ。
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