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第1話 バ……な王太子
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午前中の内にやるべき仕事を終え、午後はお庭でティータイムをたしなんでいました。
全く、これだから貴族は、良いご身分ねと言われるかもしれませんが、お許し下さい。みな様が思っている以上に、貴族、しかも最上位の公爵令嬢ともなれば、そんなのんびりしていられないのです。
得られる利益が多い分、いっぱい働かなくてはならないのです。それでも、私はなるべく自分の時間が欲しいから、仕事を効率化するように努めて、ようやくこうして束の間のティータイムを楽しめるようになったのです。
今は両親が不在です。仕事に出かけていらっしゃいます。妹は他の公爵家に出向いて色々と勉強をしています。
執事と侍女たちはいますが、今この時ばかりは、この空間は私だけのもの。
だから、どうか、誰も邪魔が入りませんように――
「――シアラ、いるか!?」
……と思った矢先、とんだお邪魔虫が飛んで来ました。それも特大級の。けど、露骨に無下な対応はできません。なぜなら、そのバ……彼は王太子であり、あろうことか私の婚約者なのですから。
「殿下、突然どうされたのですか?」
私は立ち上がって、薄らと微笑みを浮かべて言う。もちろん、歓迎などしない。何のアポも無しに、いきなりどういった了見ですか?
「ああ、一刻も早くお前に伝えておきたいことがあるんだ」
「では、手短にお願いします」
まさか、わざわざこんな所まで、愛を囁きに来た訳でもあるまい。なぜなら、王太子のホリミック・ストラティス様は、女としてそこまで私を求めている訳ではないから。この縁談は、あくまでも彼のご両親、つまりは国王と王妃様が我がマークレイン公爵家に頼み込んで成立したものですから。
「ああ、分かった。俺、他に好きな女が出来た、というかもういるんだ」
王太子は言う。
「それは……どなたですか?」
「マミ・ミューズレイだ」
その名は知っている。伯爵令嬢だ。彼女は乳のデカさで有名だった。その乳に全ての栄養が行った結果がアレだと。お察しの通り。
「ちなみに、もうキスもしてセッ◯スもした」
「は?」
「あ、もちろん、乳も揉んだぞ。あれはデカかったな~」
「あの、殿下? 先ほどから一体何を……」
既に頭が痛くなって来て、私がこめかみをグリグリしていると、このバ……王太子はさらなるとんでも発言をなさった。
「あと、子供が出来ちゃったみたいなんだ」
「……はぁ?」
こいつ、マジで何を言っているのでございましょうか?
全く、これだから貴族は、良いご身分ねと言われるかもしれませんが、お許し下さい。みな様が思っている以上に、貴族、しかも最上位の公爵令嬢ともなれば、そんなのんびりしていられないのです。
得られる利益が多い分、いっぱい働かなくてはならないのです。それでも、私はなるべく自分の時間が欲しいから、仕事を効率化するように努めて、ようやくこうして束の間のティータイムを楽しめるようになったのです。
今は両親が不在です。仕事に出かけていらっしゃいます。妹は他の公爵家に出向いて色々と勉強をしています。
執事と侍女たちはいますが、今この時ばかりは、この空間は私だけのもの。
だから、どうか、誰も邪魔が入りませんように――
「――シアラ、いるか!?」
……と思った矢先、とんだお邪魔虫が飛んで来ました。それも特大級の。けど、露骨に無下な対応はできません。なぜなら、そのバ……彼は王太子であり、あろうことか私の婚約者なのですから。
「殿下、突然どうされたのですか?」
私は立ち上がって、薄らと微笑みを浮かべて言う。もちろん、歓迎などしない。何のアポも無しに、いきなりどういった了見ですか?
「ああ、一刻も早くお前に伝えておきたいことがあるんだ」
「では、手短にお願いします」
まさか、わざわざこんな所まで、愛を囁きに来た訳でもあるまい。なぜなら、王太子のホリミック・ストラティス様は、女としてそこまで私を求めている訳ではないから。この縁談は、あくまでも彼のご両親、つまりは国王と王妃様が我がマークレイン公爵家に頼み込んで成立したものですから。
「ああ、分かった。俺、他に好きな女が出来た、というかもういるんだ」
王太子は言う。
「それは……どなたですか?」
「マミ・ミューズレイだ」
その名は知っている。伯爵令嬢だ。彼女は乳のデカさで有名だった。その乳に全ての栄養が行った結果がアレだと。お察しの通り。
「ちなみに、もうキスもしてセッ◯スもした」
「は?」
「あ、もちろん、乳も揉んだぞ。あれはデカかったな~」
「あの、殿下? 先ほどから一体何を……」
既に頭が痛くなって来て、私がこめかみをグリグリしていると、このバ……王太子はさらなるとんでも発言をなさった。
「あと、子供が出来ちゃったみたいなんだ」
「……はぁ?」
こいつ、マジで何を言っているのでございましょうか?
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