再創世記 ~その特徴は「天使の血筋」に当てはまらない~

タカナデス

文字の大きさ
上 下
40 / 174
第2章

37 出発前に

しおりを挟む



シド公国に行くことが決まったが・・・

『ちょっと行きたいところ3つあるんだけど』

「おう。……俺ついていけばいい?」

『うん。それで大丈夫!ついてきて!』

「はいよ」


ってことで後ろをついていくと、
最初に着いたのはお高そうな洋服やドレス、生地が売ってるお店だった。

4階建てで、木枠の装飾が外に出ている木骨造りの建物。なかなかの大きさだ。他の店と比べても一目で高級店だとわかる。

「ここ?服買うのか?」

『今僕が来てる民族衣装を作ってくれてるんだよ』


   えーこんな良いとこのやつ着てたのー
   たっかそう。金持ちかよ。


シリウスの後に続いて中に入ると、お店に立っていたマダムがすぐ近寄ってきた。

「いらっしゃいませ。本日は…あ、大変失礼いたしました。すぐにオーナーを呼んでまいります。」

『よろしくー』


   ふぉー!顔パスか!さすがですねぇ


するとすぐに物腰柔らかだけど、芯の強そうな紳士が現れた。


   絶対この人が店主だ。
   しかも絶対…身分高い。


「お久しぶりですシリウス様。本日も、いつものでよろしいでしょうか?」

『うん。あ、それとね、お願いがあって』

「私にできることでしたら、なんでも仰ってください」

『この子、アグニ。この子の冒険者登録の後ろ盾になってくんない?』


   おっつ。急に俺の紹介。


紳士の前に立たされ、唐突の自己紹介タイムが始まった。

「初めまして。アグニと申します。今、シリウスと一緒に旅?…してます」

紳士は俺に少し驚きの表情を見せたが、すぐにこちらに礼をとった。

「初めまして、アグニ様。そしてご来店ありがとうございます。私、当店のオーナーをしておりますコール・ハーローと申します。立ち話も何ですので、奥へご案内いたします。こちらへ」

コールという名のダンディ紳士が俺とシリウスを奥へと案内する。歩いてる際、シリウスが小声で伝えてきた。

『苗字のある人は貴族だよ。あ、天使の血筋には無いけど。彼は男爵ね。』

「なっ!!やっぱそうなのか!なんとなくわかったわ…」




・・・・・・





奥の応接間に通され、紅茶と焼き菓子が出された。

「さて。それで、アグニ様の冒険者登録の保証人ということでしょうか?」

『そう。彼はスリーター公国の大公に直接剣を卸す鍛冶師だったんだ。けど僕が拾って、これからいろんな国見て回りたいの。だから各国に簡単に入れる冒険者登録がしたくて』

「…なるほど。保証人が市民か貴族かで入国の手続きの早さが違いますものね…」

『どうして僕に?って思ってる?』

「……お教え願えますか?」


   うん。俺も気になる。なんで?


『うーん理由はそんな大したものじゃないよ。旅の途中で素材を手に入れたら、欲しいでしょ?どう?今騒がれてるトラの芸獣の毛皮とか欲しくない?』


   え待ってそんな理由?!


『あとは…アグニね。来年君の娘と同じ学年に転入するよ』

「え?なに?転入?」


   急になんの話?


俺が質問するとシリウスは俺の方を向いて会心の笑顔を見せた。

『君、来年第一学院に転入しようね』

「なぁ?!!」


   ほんとうに急だな?!!


「第一学院って…たしか貴族の学校じゃなかったか?そこに俺、転入するのか?!無理だろ!」

『無理ではないよ。ただまぁ…難しいだけ』

こいつ何言ってんだ?と呆然としていると、コールは難しそうな顔でシリウスに話しかけた。

「第一学院への転入は、異例中の異例。相当な「格」の推薦状と実力が必要です。」

『もちろん知ってるよ。だからこそ推薦状を集める旅に出るんだよ。今のところスリーター公国の推薦状はあるよ。あとシリアドネ公国の武術大会優勝はしてるよ。』

「なっ!!この前の武術大会で少年が優勝したということは聞きましたが…それはアグニ様なのですか?」

「あ、はい。この前のやつ優勝しました。…そういえばシリウス。シリアドネ大公も推薦状書いてくれるって言ってたわ」

『なーんでそれ教えてくれなかったの?!じゃあ推薦状2つ手に入るじゃん』

その会話を聞いてコールは前のめりになりながら聞いてきた。

「アグニ様!それでは本当に第一学院への転入を?!」

「いやそれは俺…じゃなくて僕も今聞きました!」

「シリウス様!!」

『だからそう言ってるじゃん。きっと君の娘さんにとっても良い繋がりになると思うよ~?』

シリウスの発言に、コールがため息をついて椅子の背もたれに寄っかかる。

「娘のことを言われると…もうお手伝いをするしかありません。それにお二方の大公様から推薦状を頂けるような方だとわかったので…もちろん、保証人になりましょう。あぁ、それとは別に良い素材を入手してくださいましたら最大限良い値で買いますよ」

「あ、ありがとうございます。本当にいいんですか?」

俺が不安気にそう聞くとコールはウィンクして答えた。

「もちろんですよ。アグニ様、期待しておりますよ。」

「は、はい!!ありがとうございます!」


俺は冒険者になって各国に入れるようになるらしい。
ランクアップだ!
コールは優しい笑顔を浮かべて応援してくれた。

そして急いで保証書を書いてくれている間に、シリウスの民族衣装を一つ買った。いつも着ているのは濃い赤色のものだったが、次は茶色の布にところどころ藍色の装飾が入ったものだ。

そして再度お礼を言い、店を出た。

『アグニ、行きたいところ、2つ目いくよ~』

「はーい。冒険者登録だな?」

『そう!』


ということでまたしばらく歩き、白い石のこれまた大きい建物に入ってそこで冒険者登録を行った。保証人のお陰なのか、だいぶすんなりと終わった。

『行きたいところ3つ目は少し遠いから、帝都から出る準備してから出よう』

「うん? わかったー」







しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華
ファンタジー
 愛犬(ポチ)の散歩中にトラックにはねられた主人公。  白い空間で女神様に、愛犬は先に転生して異世界に旅立った、と聞かされる。  すぐに追いかけようとするが、そもそも生まれる場所は選べないらしく、転生してから探すしかないらしい。  転生すると、最初からポチと従魔契約が成立しており、ポチがどこかで稼いだ経験値の一部が主人公にも入り、勝手にレベルアップしていくチート仕様だった。  うちのポチはどこに行ったのか、捜索しながら異世界で成長していく物語である。 ・たまに閑話で「ポチの冒険」等が入ります。  ※ 2020/6/26から「閑話」を従魔の話、略して「従話」に変更しました。 ・結構、思い付きで書いているので、矛盾点等、おかしなところも多々有ると思いますが、生温かい目で見てやって下さい。経験値とかも細かい計算はしていません。 沢山の方にお読み頂き、ありがとうございます。 ・ホトラン最高2位 ・ファンタジー24h最高2位 ・ファンタジー週間最高5位  (2020/1/6時点) 評価頂けると、とても励みになります!m(_ _)m 皆様のお陰で、第13回ファンタジー小説大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます。 ※ 2020/9/6〜 小説家になろう様にもコッソリ投稿開始しました。

(改訂版)帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

黒猫
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...