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第2章
34 帝都着 森の家
しおりを挟む鍛治師をやめ、スリーター公国を出て
今、ディヴァテロス帝国 帝都センチュリアに…
「着いたー!!!!!」
『わーいわーい』
2人で両手を上げて喜ぶ。
そして入ったばっかの帝都を見渡す。
なるほど、帝都は「別格」だった。
何がって言うと、人の数!店の数!!物の数!!!
あと、たぶん……財力!!!!!!
帝都の大きさは小~中サイズの国と一緒だ。
それなのに帝都の周りには城郭が張られ、内側が全て街になってるんだ。
普通国の中には山や森、平原など、人が住んでいない場所がある。けれども帝都にはそれがない。つまり、比べ物にならないくらい人と物で溢れてるってことだ。
「なぁなぁ!!まずどこ行く?!」
『え…やだよ。歩かないよ。』
「はぁ?!」
民族衣装で髪と目を隠したシリウスが布越しに嫌そうな顔をしている。
さっき両手上げて喜んでたじゃん!!
付き合いでやったのかよ!
帝都の中に入り、片っ端から見て回るつもりだったのに、出鼻を挫く発言。こいつ、どういうつもりだ?!と目をギラつかせて睨んでしまった。
『……ちっ…わかったよ。けどまず、家に行って荷物置かない?』
今舌打ちしたな? けど…
「良い考えだ!」
そう、実はシリウスさん。帝都に家をお持ちなのです
持つべきものは金持ちの師匠です。
今いる北門からシリウスの家までは遠いらしく、2時間くらい馬車に乗り続け、降ろされたのは…
「なんすか、この森…」
『僕んちこの中にある。』
「あれ?帝都には森ないんじゃないの?」
『これ人工的に作った森なんだよね。もうこの森から敷地だから誰も入ってこないよ』
はぁ??
なにこいつ。激ヤバじゃん。
帝都の中に自分の森持ってんの?
はぁ???
なにこいつ。……激ヤバじゃん((2度目))
「お前、なんでそんなお金持ってるの?」
素直に生じた疑問を口に出す。
するとシリウスはいやらしくニタリを笑って言った。
『ふっ…持つべきものは超お金持ちの友達なんだよ』
あ、俺………
やっぱこいつの弟子なんだ……
・・・
敷地の森は緑も豊かで少し妖精の森に似ていた。川もあるらしい。
暫く、整備された綺麗な並木路を進んでいくと川と橋があり、その奥に小さくもないが大きくもない、木造の二階建ての家が建っていた。
『あの家?』
「そう!あれ!」
『へぇ~結構可愛いな!住みやすそう!!』
「ほんと?よかった。じゃ行こ行こ」
川を渡って少し歩いて家の前に着いた。けっこう大きめのドアの先は、木目調の優しい雰囲気だった。
「へぇ~すごいいいじゃん!でもなんでこんなきれいなの?」
『週に一回くらい掃除に来てくれてる人がいるの。……あと…今はいないけどもう一人住んでる。』
「え、そうなの?だれだれ?」
聞くとシリウスは少し気まずそうに目を逸らした。
『うーん…会った時紹介する。まず家紹介するね』
「あぁ!頼む!」
シリウスに案内され、家の中を歩いていく。
廊下をまっすぐ進むと、二階まで筒抜けの大きい部屋があった。
大きな窓に面しており、そこからは木々と川が見える。
『ここ居間~』
「……広いな」
右手に続く長い廊下があり、その先に
『ここが風呂場と洗面所~』
「……広いな」
居間に戻り、左手の廊下の先。
二面に窓のある寝室に案内され、
『ここが君の部屋~』
「……ここも、広いな」
らせん階段を上がってすぐ、
『ここが食事するとこ~』
「8人掛け……」
『この奥に僕の部屋がある。あ、それと洗面台の向かいがもう一人の部屋ね。君の向かいの部屋が客室で、お手洗いは…』
「待て待て待て!!!広いなおい?!」
入ってびっくり。
全然奥行きがあった。
この家の居間にたぶん俺の前の家収まるわ!
『うん。』
うん…
うん、ですか。
最初、住みやすそうとか言って悪かったな。
いや間違いなく住みやすいけど。
「……良いお宅ですね。」
『うん。で、どうする?街に行く?』
「あ、ああ! 行きたい行きたい!」
『いいけどさ、今日昼過ぎから南にある帝国最大の競技場で、軍部の武術大会やってるけど?この前君が出たやつみたいな』
な、なんだと?!
「なにそれ?!それ見に行けるのか?!」
『いけるよ。まぁ指定席とかじゃないから結構周り騒がしいだろうけど』
「じゃあ今日はやっぱ行こう!!」
『はいはい。まぁ帝都軍のレベルが見れるし、ちょうどいいでしょう。それじゃあ、準備していこう』
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