再創世記 ~その特徴は「天使の血筋」に当てはまらない~

タカナデス

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第1章

21 シリアドネ公国 初芸石

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「さぁ、着きました!シリアドネ~!!!」

大きい街でテンション爆上がりです!

大きな城壁で囲まれた街なので入る前に簡単な審問があった。けど俺が旅に出る前にもらった許可証のお陰で全然問題なく入れた。はい最強。

今は街の中央広場に向かって延びる1番大きな通りを歩き始めた。人通りも多い。

「シリウス!シリウス!あっちの屋台見たい!なんか紫の肉売ってる!あぁでもあっちなんか甘い匂いする!」

『はいはいわかったから。もう少し静かに歩いてよ。目立ちたくないんだってば』

俺がシリウスの肩をバシバシ叩いて歩いていると、民族衣装に身を包んだシリウスが嫌そうな顔で告げた。


   どうしよう!めちゃくちゃ楽しい!!


両脇に所狭しと露天が並び、武器や防具・薬草・お菓子・串焼き・パンなんかがある。露天の奥に建物が並び、そちらにもお店が入ってて、洋服や靴なんかが売ってる……ん?

「なぁなぁ。あれ何売ってるの?」

なんかキラキラした石?みたいな感じなのがたくさん置いてあった。装飾品の類のようだ。

『ん?あぁ、あれが芸石げいせきだよ。この前話しただろ?僕と君は使わなくても平気だけど、ほとんどの人が芸をするのに必要だって。』

「あぁ~あれか!俺もちょっと見てみていい?」

『ん?いいよ。行ってみようか』

建物の中にある芸石屋さん(?)に行ってみることに。

「いらっしゃいませ~!旅人さん?どんなものをお探しですかぁ~?」


   おお!お店のマダムに話しかけられた
   けどよくわかんないから色々聞いちゃお


「こんにちは。あの、よくわかんないんですけど、どんなのありますか?」

「ここには色々揃ってますわよ~。今お使いのものはどんなのかしら?あとこれから行く場所だったり、何系の芸が使えるのか教えてくださる?」

「あ、俺今使ってません。これから行く場所は~…どこだろ?なぁ、シリぶふっ!!」

シリウスに聞こうとしたら急に口を手で塞がれた。

非難めいた目で見るとシリウスが目をわざとらしく細めて笑ってる。

   
   え、、、なんで?


『彼は今まで自分だけの芸石を持ったことがありません。初めて買うんです。芸石を借りてた時は炎系が得意でした。』

シリウスがスラスラと答えた。それを聞きマダムは

「まぁ!じゃあ初めて自分だけの芸石を持つのね!あらぁ!嬉しいわぁ!炎系ね、出してくるから少し待ってて頂戴ね~」

そう言って一旦奥へ入っていった。

「……おい。なんだよ急に」

『ごめん僕のミス。とりあえず今ので話合わせておいて。あと僕の名前は呼ばないで。代わりに……ん~ヨハンネって呼んで』

「えぇ?おいおいヨハンネの名前悪用するなよ!」

『いいから!言う通りにする!後で説明するから!』

「ええ~?なんかいつも説明後回しにされてる気がするなぁ」

シリウスにぶーぶー言っていると、奥からマダムが木のトレーにいくつかの石を載せてまた現れた。

「遅くなってごめんなさいね~!はい、いくつか持ってきましたよ!全部炎系の芸石なんだけど、左から説明しますね。1番左のは炎系全般の補助効果ね。その分全体的に威力は弱まるけど、初心者にはこれが1番よ。次がが弱い人向きよ。けど炎系得意ならこれは必要ないかしら?次のはの補助効果があるのよ。威力はあっても精度が低くて困ってたらこれね。次が……」

種類がいっぱいあってもう俺にはわからない。チラチラと隣のシリウスを見ると、こちらはきちんと話がわかってるっぽい。流石です兄さん。

芸石は芸の補助に使う、その補助は「どこを」補助するのかによって変わるらしい。あと名前付きの芸の補助のものもあるらしかった。

「さぁさ!どれになさいます??」

マダムがやり切った顔で告げる。俺も迷うことなくシリウスを見る。

「俺、どれ?」

するとシリウスは冷たい笑顔で答えた。

『君は…なんでもいいんじゃない?』

「えぇ~?そこ放り投げるぅ?」

『じゃあ初心者用のにしなさい。全般大丈夫なやつ』

「はい、わかりました。…じゃあ、これ下さい!」

マダムに1番左の芸石を指差して答える。
するとマダムは良い笑顔で

「かしこまりました。ありがとうございます~!装飾はどうしましょう?」

『アグニ、どういう形で身につけたい?』

「んー。候補は?」

シリウスに聞いたらマダムが答えた。

「当店では、耳、額、首、手首、二の腕、足首に付ける方法、それと指輪にする方法がありますわ。最初の方は耳や首が多いかしらね。」


   ほぉ。結構色んな形で付けれるんだな。


『あ~じゃあ、首でお願いします』

その後マダムと、取り付ける装飾を金属にするか紐にするか、紐ならどの紐にするかなどを選び、首回りを測定し、長さを決め………

1時間くらいかかった!!

最終的に出来上がった俺の芸石は、赤と橙が混ざる綺麗な石に黒系の皮の紐を付けたものになった。芸石は胸骨柄の辺りにくるような長さだ。

「随分選ぶのが早かったですわね。最初は皆さまもっと悩まれるのに」


   えぇ!?これ以上時間使うの?!
   もう結構しんどいぞ?


「いやぁ えへ そうですか~?」

驚きのあまり訳わからない返しをしてしまった。

「お買い上げありがとうございます。こちらが芸石、紐、その他装飾を含めた料金でございます。」


   70セン……わぁ……
   サントニ町の宿14泊分だぁ


俺が少し呆けている間にシリウスがスッとお金を出し会計を済ませた。

そして俺らは店を後にした。


「けっこう値段するんだね」

『戦闘用だから、まぁね。けど壊れない限りずっと使えるからね』

「あ、そうなんだ。じゃあまぁそんなもんなのか?」

『明日外出てどれくらい違うのか試してみようか?』

「試したい!試したい!」

『はいはい明日ね。今日は街をぶらぶらしよう』

「はいです!じゃああっちの串焼き食べようぜ」




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