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第1章
19 vs山賊
しおりを挟む数人の山賊が現れた。
15人くらいはいるはずだから、前に出てきたのは全員ではないな。
様子を見て、残りの人らも出てくるんだろう。
ある意味一気に相手をしなくていいのはよかった。さすがに15人全員だったら芸を使わないとしんどいかもしれない。
『なんだ兄ちゃん。剣なんか抜いちゃって。別に荷物全部おいてってくれたら殺さねぇぞ?』
「え、そうなの?」
じゃあそれでもいいんじゃないか?と思ってシリウスの方を向きそうになった。
あ、けど素材まで取られるってなるとだめか。
じゃあやっぱだめだな。
「いや、荷物は渡せない。なので、戦います!」
どういう宣言で向こうが襲ってくるのかわからないので喋り方に戸惑う。さすがに制圧希望としては最初に手を出すことは避けたい。
俺の言葉を聞き、彼らは武器と石を持ってじっとこちらを見ている。
あれ投げるのかな…?石を・・・?
すると案の定持っていた石をこちらにいくつも投げてきた。
しかしそれは石ではなく、多量の煙と火が飛び散りこちらの視界を完璧に覆った。
まずい!!
そう思ったら、もう遅かった。
すぐに山賊が同時に飛び掛かってきて、剣で抑えられたのはわずか3人。残り3人の剣が体をかすめ、血が吹き出る。
態勢を立て直そうにもまだ視界が悪い。
それにこの場を離れたらシリウスを守れない。
自身の周囲に芸で風を巻き起こし煙をどかす。
けれどもうその時には山賊らは俺の近くにはいなかった。
すると遠くで様子見してると思っていた山賊らから火のついた矢が大量に飛んできた。
「 ギフト!!! 『水鏡』!! 」
急いで自分の前に水の壁を出し矢を殺す。
しかしすぐに脇から一人の山賊が飛び出してきて襲い掛かる。剣が交差し、何度もこちらを狙う。やはり剣だと全然違う。裁くので精一杯で、反撃なんておよそじゃないができない。
剣同時がぶつかってわずかに時間ができた。
すると剣を交えている山賊がにやっと笑って言った。
「 ギフト 『鎌鼬』 」
「!!! ぐわぁぁあああ!!」
剣越しに出された「鎌鼬」を直で身体に浴び、身体から大量の血が舞い、風圧で背後の壁に身体を強打させる。
もう立つことさえ難しい。
ああ、ミスった。そうか。
殺し合いなのか。
人なのに、人を殺すのか。
あぁ 油断したんだな、俺。
「おう坊主。残念だったなぁ芸を扱えるやつがいて。後ろの女は貰ってくぜ」
そういうと、その男は岩陰の方に歩き始めていった。
『頭!この男、もういいですか?』
「あ?ああ…もういい。殺しとけ。」
「『「へい!!!」』」
まずいまずいまずい!!!!
「う、げほぉ!!!あああああああ!!!」
数人の山賊が俺に先ほどの石を投げた。
けど今回は煙玉ではなく、雷が落ちたような痺れとビリビリと音が鳴る。
体がもう完璧に動かない。
けど彼らは俺の腹や足を斬り、剣で突き刺し続けた。
幸い痺れで痛さは感じなかったが、身体から熱を感じた。
けどもうどうにもできない。
ごめん、シリウス。守れなった。
なんもできなかったよ。
もう 動けない……
意識は朦朧とし、目はぼやけていた。
最後に辛うじて聞こえた音はとても聞き慣れた声だった。
『 あ~あ。こうなると思ったよ 』
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