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第1章
5 不思議な夢
しおりを挟む初めての芸獣との戦闘を終えたと思ったらまたあのネズミがやってきて、初日にして3匹と戦うことになった。
もちろんだが見目麗しい御仁はずっと後ろで冷やかすだけだった。
夕食はなんとか丸焦げにしなかった1匹の芸獣と、岩に生えるコケのようなハーブ(シリウス曰く)でネズミを焼き、それをライ麦パンで挟んで食べた。
「……思ったよりあのネズミさん上手い。」
美味しいからネズミさんって呼ぼう。
『でしょう?だけどみんな芸獣は食べないんだよ~。まだまだ恐怖の対象だからね』
「そうなのか。少しもったいないな…」
・・・・・・
夕飯を取り終え、シリウスに芸で温水を上からかけてもらって身体をおおざっぱに洗い、寝る準備についた。
「…お前は寝ないのか?」
シリウスは横になるしぐさも見せず、近くの岩の上に座っている。
月明りに照らされた髪は、まるでそれ自体が発光しているかのような見事な銀色だ。
『2人とも寝ちゃったら危険でしょ?あほなの?』
「なんでだよ!いやなら俺も起きてるよ!!」
『ごめんて。嘘だよ。僕は寝なくても平気だから。お子様は遠慮せずに寝なさい』
ふーん、寝なくても平気な人もいるのか
世の中広いなー。
なんて思いながらも意外と身体は疲れていたのか、すぐに思考がぼやける。
夜の輝き全てをその髪に集め、穏やかなのに凛としている月のような瞳。
―俺と同じ色の瞳で、俺と真逆の色の髪―
ぼやけた思考で、こんなに夜が似合う人がいるのかと思った。
そんなことを思っていたからなのか、
不思議な夢を見た。
俺は空の上にいて、そこには石造りの広場があった。
そこには豊かに実をつける木々、穏やかな風。そしてシリウスのような外見の人たちが大勢いた。
軽やかな美しい服を着ていた。
その最奥にシリウスもいた。
俺はその人たち全員と知り合いで、仲良く喋ってた。
みんな笑顔だった。
俺も笑ってた。
・・・・・・
『……ニ。…グニ。…アグニ。』
「ん?あ、おはよう」
『おはよう。ほら、朝食べたらもう出るよ』
夢か。なんかすごい懐かしい気もするし
幸せだったな…
「今さ、夢みてさ。空の上にシリウスと俺と、あとシリウスみたいな外見の人たちがいっぱいいて、みんなでなんか楽しそうに喋ってた」
支度をしているシリウスの背中に喋りかけるが、ずっと無言だった。
シリウスは荷物を片付け、ゆっくりとこちらを振り返って……
まるで笑ってないような笑顔で答えた。
『とても夢らしいね』
・・・・・・
「お!シリウス!あれが村?」
『うん。スリーター公国の国境に位置するサントニ町だよ。じゃあ、準備して入ろう』
「よっしゃあ!って何の準備?」
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