野人転生

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第04話 腰蓑

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 拠点の近くは果実などが豊富で、少し歩いただけで多くの食料候補を発見することができた。

 果実など、そのまま食べられそうなものはパッチテストを行う。

 空腹で今すぐにでも食べたいが、グッと我慢。

 パッチテストで皮膚に異常が無いことを確認すると、今度は唇に塗る。これで唇が腫れなければ、今度は軽く含んで舌に乗せる。舌がしびれたり、異常なほどの苦味や渋味を感じれば有毒な可能性が高い。

 そうやって慎重に安全性を確かめてから、少しずつ様子を見て慎重に食した。

 幸運なことに体調に変化は見られなかった。少量しか食していないため、かなり空腹なことを除けば健康体と言えるだろう。

 今回テストした、パパイヤのような果実は安全が確認された。今後は摂取量を増やして行くことにしよう。

 この森には食べ物が豊富だ。これらの果実が無毒なら、極端に飢えるということはなさそうである。後は慎重にテストを重ね、食べられる種類を増やしていくだけだ。



 何とか飲料水を確保し、拠点を確保。最低限の食と住は揃ったことになる。あとは、衣食住の『衣』を用意する必要がある。

 俺の頭の中で、秘境○活のエドが腰蓑を作っていたシーンが思い出された。


 木の皮で作った腰蓑こしみのを付けて股間を隠す。ふぅ、なんとか人としての尊厳を守れた気がする。いつまでも丸出しだと落ち着かない。

 まぁ、腰蓑の下はフリー状態なので、ブラブラペチペチなのは変わらないが……。


 全裸スタートのときはどうなるかと思ったが、運がいい。飲料水確保のめどが立ち、拠点も確保できた。

 果実などを食べ、多少のカロリーも摂取できた。初日のスタートとしては完璧に近い。

 後は、安定した食料の確保。できれば、保存食も作りたい。獲物を狩り、肉を燻製にできれば最高だ。

 色々と試行錯誤は必要だろう。塩やソミュール液など、必要な素材も足りない。

 最悪、水分を飛ばせば日持ちはするはずだ。フルーツも同じである。

 動物の皮なんかで水筒も作らねば。

 そんなことを考えていると、猛烈な痒みが襲ってきた。

 痒みの発生源に目をやると、股間が虫刺されだらけになっている。

 大事な部分が痛痒い。

 しまった! 煙でいぶし腰蓑こしみのを虫除けするのを忘れていた。

 虫には病気を運ぶ虫もいる。

 完璧には防げないだろうが、気を付けないと……。

 それにしても息子さんが痒い。自業自得とは言え、ひどい目に遭った。
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