嫌われ者の王子様

のぼる

文字の大きさ
上 下
13 / 24

12話 手合わせ

しおりを挟む
一旦馬の休憩を挟む間にフェイと僕の手合わせが始まろうとしていた。

「イルド様!!!頑張ってください!」

騎士たちが僕の応援をしてくれる。

この空気がいつまでも続いて欲しい…
だってもう少ししたら僕は完全に悪者になっちゃうからな…。

「…準備はいいか。」

「はい!準備万端です!」

ファランの合図に僕達は剣を交える。

「…なかなかやるな。」

「えぇ。だから幼いからといってなめないで欲しいと言ったのです!」

僕は子供だし、筋力もなくガリガリのへなちょこだ。
だからこそ柔軟を使い、蛇のようにフェイの剣技を受け流していく。

騎士たちとファランはハラハラしながは僕達の行く末を見守っていた。

交えてから6分がたつ。
僕の体力が限界にきていた。

フェイの油断の瞳が見える。

─占めた!!!

魔法の「身体能力強化」と「筋力増加」「魔法隠蔽」を使い一気に叩き潰す。

急に動きが変わり慌ててフェイも体制を整えようとするが、そんな隙は与えない!

─ガンッ

フェイの持っていた剣が宙を舞う。

「…イ、イルド様の勝利!」

─シーーーーーン

何が起こったのか分からず皆沈黙する。

「…凄い…凄い!イルド様!」

「あ、あぁ。見えなかったぞ。」

ぽつぽつと僕を賞賛する声があがり始める

「一生ついて行きますイルド様!!!そうだよな!みんな!」

「「「「はい!」」」」

わっと歓声の声があがる。

そこまでの成り行きは良かったのだが…。

騎士たちが突然跪き僕に忠誠を誓おうとする。

「あ、待て!それは!!!」

これは「インル」という誓いなのだが1度誓ったら最後。忠誠を誓った者は絶対に逆らえないという…呪いの類に近いものだ。

僕の止める声を聞きもせず騎士たちは次々とインルを使う。

「これで我が身は全てイルド様の者。忠誠を誓います!」

うぉぉぉぉ!!!

騎士たちが雄叫びをあげた。

どうしよう…こんなことをさせるつもりではなかったのに…。
僕は近いうちに悪者になるのだぞ?
元奴隷の人達が、悪者の下についてるとどうなるかは想像がつくだろう………。

「…完敗です。」

フェイが少し不服そうな顔をしながら言う。

………ふふっ全く…仕方ないな。

「何でもは無しだが僕の許容範囲内だったら願いを叶えてやるぞ?」

ニッコリと笑い僕は言う。

「イルド様…ちゃんと示しはつけるべきです!」

ファランか慌てて止めに入るが………

「………誰も殺すな。」

突然フェイがそんなことを言った。

殺すな………かぁ。
王族の立場である以上これは無理な話だろう。
というかフェイがこのような願い事をしてくるとは思わなかった。

「誰一人…とは無理な話だけど努力するよ。」

というとものすごい形相でキッと睨まれた。

何だ?また僕が何かしてしまったのだろうか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最強魔導師エンペラー

ブレイブ
ファンタジー
魔法が当たり前の世界 魔法学園ではF~ZZにランク分けされており かつて実在したZZクラス1位の最強魔導師エンペラー 彼は突然行方不明になった。そして現在 三代目エンペラーはエンペラーであるが 三代目だけは知らぬ秘密があった

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

【完結】さようならと言うしかなかった。

ユユ
恋愛
卒業の1ヶ月後、デビュー後に親友が豹変した。 既成事実を経て婚約した。 ずっと愛していたと言った彼は 別の令嬢とも寝てしまった。 その令嬢は彼の子を孕ってしまった。 友人兼 婚約者兼 恋人を失った私は 隣国の伯母を訪ねることに… *作り話です

私は、忠告を致しましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。  ロマーヌ様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ?

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

処理中です...