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王家に秘薬があるらしい
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ジェントの体調が少しだけよくなった頃、邸で商人と話をしていたロレーヌはある噂を耳にした。
それは、どんな病も治る「王家の秘薬」の噂。真偽不明とはいえ、黒魔術にでも死神にでも何でも縋りたい想いだったロレーヌは商人から話を聞いてすぐジェントの元へ駆ける。
「姉さん、そんな都合のいいものがあるならそれこそ絶対に譲ってくれないと思うんだけれど。どんな病も治るなら、王様は王家のためにそれを持っていなきゃいけないよ。他人に使っている場合じゃない」
「それは、そうかもしれないけれど……!」
弟から現実を突きつけられるが、ロレーヌはどうにかして王家の秘薬を手に入れようと頭を悩ませた。
「でも噂では、王子殿下は聡明で慈悲深い方だって聞くわ。ジェントの現状をお心に訴えかければ、情けをかけてくださるかも」
「う~ん、どうかな。それは無理なんじゃない?だってほら、王子殿下って噂ではタヌキに似ていてまったくモテないって聞くし、美男子病なんて救ってくれるかなあ」
ジェントは幼い頃から目立つ容姿であったため、陰湿な嫌がらせや陰口を叩かれてきた。何もしていなくても「調子に乗っている」だの「気取りやがって」だの、どこかのご令嬢に恋心を向けられるたび、その子を慕う誰かに敵意を向けられる。
彼にとって、男の嫉妬は暮らしにつきものだったのだから、王子殿下がジェントを助けてくれるとは限らないと言いたいようだった。
「世の中、容姿じゃないわ」
「それがわかっているのは、容姿が整っていても人生がうまくいかない人だけだよ姉さん。多くの人にとったら、美しい方が幸せなんだ。例え寿命が短くても、それでも代わりたいって言ってくるヤツだっていたさ。それも本心でね」
昔は天使のように愛らしく純粋だった弟は、人間関係の拗れと美男子病のせいですっかり性格が荒んでしまっている。ロレーヌは苦い顔をして、この日はジェントの部屋を出た。
それは、どんな病も治る「王家の秘薬」の噂。真偽不明とはいえ、黒魔術にでも死神にでも何でも縋りたい想いだったロレーヌは商人から話を聞いてすぐジェントの元へ駆ける。
「姉さん、そんな都合のいいものがあるならそれこそ絶対に譲ってくれないと思うんだけれど。どんな病も治るなら、王様は王家のためにそれを持っていなきゃいけないよ。他人に使っている場合じゃない」
「それは、そうかもしれないけれど……!」
弟から現実を突きつけられるが、ロレーヌはどうにかして王家の秘薬を手に入れようと頭を悩ませた。
「でも噂では、王子殿下は聡明で慈悲深い方だって聞くわ。ジェントの現状をお心に訴えかければ、情けをかけてくださるかも」
「う~ん、どうかな。それは無理なんじゃない?だってほら、王子殿下って噂ではタヌキに似ていてまったくモテないって聞くし、美男子病なんて救ってくれるかなあ」
ジェントは幼い頃から目立つ容姿であったため、陰湿な嫌がらせや陰口を叩かれてきた。何もしていなくても「調子に乗っている」だの「気取りやがって」だの、どこかのご令嬢に恋心を向けられるたび、その子を慕う誰かに敵意を向けられる。
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