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192.抱き締め大浴場(1)

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「わ、私に話とは……」

――むにんっ。

「なんであろうか……」

と、アスマがほほを赤くして背中をくれる。

――むにんっ。

「ちょっとお願いしたいことがあって」

「おっ、お願い……、とは……?」

――むにんっ。

急にしたので、緊張させてしまったようだ。泡だらけのふくらみが上下に滑らずに、背中で前後にむにんむにん押し当てられている。

外征がいせいで、探して来てほしいものがあるんだ」

「が、外征がいせいでか……?」

――むにん。

あっ、あつが弱くなった。……なにか誤解させてしまってたかな? ツイファさんに段取だんどりしてもったときに伝えてもらえばよかった。

「そ、そういうことであれば……、まかせておけ……」

――むにん。

「すまない」

「な、なにがだ……?」

――むにん。

「いや、なにか誤解させてたかなって……」

「て……、てっきり夜伽よとぎめいじられるものだとばかり……」

――むにん。

「よ、夜伽よとぎ!?」

「いや。私が早とちりしてしまっただけだ。忘れてくれ。ははは」

――むにんっ(下)。

「あ、うん……」

「ははは」

――むにんっ(上)。

い、意識してしまうし、想像してしまうよ。柔らかな感触は密着みっちゃくしてるし……。

「そ、それで……。何を探して来れば良いのだ?」

「あ、うん。民家みんか仕舞しまわれてる箱なんだけど……」

ウンランさんから詳しく教えてもらった、呪符じゅふの隠し場所を伝えた。

「我があるじの頼みなら、いなおうもないのだが。なぜ私なのか聞いてもよいか……?」

――むにんっ(上)。

呪術じゅじゅつ……、まじないに関係してるモノなんだ。ダーシャンの人間だと変にかまえてしまうかもしれないから、緊張感のある外征がいせいのついでじゃ危険かもしれなくて。アスマにしか頼めないんだ」

「そ、そうか……。私でないと、いけないのか……」

――むにんっ(下)。

「頼めるかな?」

「う、うむ! 任せておけ!」

――むにんっ(上)。

「ありがとう。助かるよ」

「そうか……、私でないといけないのか……」

――むにんっ(下)。

「そうなんだ」

「そうか……、私でないと……」

――むにんっ(上)。

――むにんっ(下)。

――むにんっ(下)。

な、なんだかってくれてるようで、良かった。

「我が主……」

――むにんっ(上)。

「なに?」

「私は、我が主の役に立っているだろうか……?」

――むにん(下)。

「もちろんだよ! アスマはスゴいよね」

「そ、そうか……?」

――むにん(上)。

外征がいせい隊でも、夜の戦闘でもメチャクチャ強いし、槍の訓練も見てくれてる。ずっといそがしくまわってくれてて、すっかりんなから頼りにされてるし」

「う、うむ……。そうか……?」

――むにん(下)。

「そうだよ。俺も頼りにしてるよ。ホントにジーウォに来てくれてありがとう」

「そうか……」

――むにん(上)。

「なら……」

――むにんっ(下)。

「良かった……」

――むにんっ(上)。

――むにんっ(下)。

――むにんっ(上)。

――むにんっ(下)。

――むにんっ(上)。

――むにんっ(下)。

あれ? なんか照れさせてしまったかな? でも、助かってるのは本当だしなぁ。槍兵の練度れんどは俺が見ても分かるくらいに上がってるし。外征がいせい隊の面々めんめんからは姉御あねごみたいにしたわれ始めてるし。

「こ……、これは……」

と、アスマの動きが止まった。

「ん? なに?」

「腕も私が……、やらせてもらって良いのか……?」

そ、それ。俺に聞きます? ……ああ、なんかこう、最初からいるメンバーとは勝手が違うよね。

「うん、そうだね……」

って、答えたけど、まるで俺がやって欲しいみたいになるじゃないか。いや、やって欲しくないワケではないんだけど……。

――むにんっ。

左腕が泡だらけで豊かなた。褐色かっしょくの肌に白い泡がまぶしい。

「我が主。ひとつ、教えてもらっても良いか?」

「な、なに?」

アスマに上目遣うわめづかいに見詰みつめられて、あわてて目をらしてしまった。チラ見というかガン見してたの、見られたかな?

「我が主のおもい人とは、どのようなかたなのだ……?」

えっ?

なんですと?
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