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40.肝が据わってますね(2)

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フーチャオさんとかた握手あくしゅわしたあと、俺はメイファンとミンユーの方になおった。

「メイファンとミンユーは、どう思ってる? 率直そっちょくに気持ちを聞かせてほしいんだけど」

「私は、先に聞いてたしぃ……」

と、メイファンは自分のあご人差ひとさゆびてた。

ええ……、そうでした。軽い気持ちで相談して、高校ひとクラス分の女子が、全裸ぜんら大激論だいげきろんという事態じたいまねいてしまいました……。メイファンさんからの飛沫シブキもたくさんびましたよ。

「ほんとのことを言えば、剣士団がみとめるはずないって思ってた。だから、それさえクリアしてるんなら、何も問題ないんじゃない? ……ねぇ?」

と、メイファンがミンユーの方を見ると、ミンユーも小さくうなずいた。

最初に聞けることは聞いておいた方がいいと思った俺は、もう一つの疑問をメイファンに投げかけた。

「分からないので、正直に聞くんだけど……」

「なになに?」

鳥獣ちょうじゅうの命をうばうのは狩人かりうど、っていう、狩人としてのシキタリとの関係では、どう感じるものなの?」

「ああ……。うーん。おジイの狩人かりうどとかは気にするかもしれないけど……。やるって決まったんなら、私は気にしないかなぁ? だって、人獣アレの見た目も見た目だし、マレビト様が新しいシキタリつくるのは普通じゃない? ミンユーはどう思う?」

みなの視線が集まると、ミンユーは少しほほを赤らめ目をらして口を開いた。

「お姉ちゃんと、同じ……」

立派りっぱ眉毛まゆげ凛々りりしい顔立かおだちで、その仕草しぐさ反則はんそくでしょう。初めて聞いた声も可愛かわいらしい。

今度は俺があわててミンユーから目を逸らして、フーチャオさんに話しかけた。

「最初は少人数でいいと思ってるんです。闘いに加わるって言っても、戦闘の主力はやっぱり剣士です。邪魔じゃまにならずにたすけになる方法をさがさないといけません」

「なるほどな。分かった、志願者しがんしゃつのろう」

「フーチャオさんに余計よけいなことかもしれませんけど、志願しがんしてくれる方以外が『』にされたって感じないように気を付けてほしいです。上手うまくいったら、全員の力を合わせて、人獣じんじゅう退しりぞけたいんです」

こんなシビア過ぎる状況とは全く違うけど、高校の文化祭の準備作業レベルでも、そういう気持ちのこじれは大変だった。みんなが気持ちよく参加できる環境づくりは大変だ。

「分かった。いいことを言ってくれた。気を付けよう」

と、フーチャオさんは不敵ふてきみをかべた。いている手に力が入ったのか、子犬が顔を上げた。

「でもな、マレビト様。今、言ってくれた、人獣を『退しりぞける』って言葉にはしびれたぜ」

フーチャオさんの言葉に、俺は力強ちからづようなずき返した。

そう。今のところ現実味げんじつみは、一切いっさいない。それでも、やるしかない。人獣を退しりぞけられなければみなが死ぬ。それだけは確かだ。

って……、えっ?

メイファンとミンユーが、ほほを赤くして、ポオッとなった目で俺の方を見てる。

え――っ? そんな感じになります? 姉妹して? そんな要素ようそありました?

ていうか、そんな場合でしょうか? お父さんと同じくらい、きもわってますね。

逆に感服かんぷくしてしまいます――。
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