【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら

文字の大きさ
8 / 297

8.頑張ってる人には弱い(2)

しおりを挟む
シアユンさんが、ついさっきまで廊下ろうかで見せてくれてた理知的りちてきな表情はどこかに行って、顔全体を赤くしてモジモジとうつむいてしゃべってる。

大きくなってから初めて直接目にする、女性の胸の先端が視界をかすめて、もうまったく、どう振る舞ったらいいか分からない。

とりあえず、どういうつもりなのか聞かないことには、どうしようもない。

「つ……、つまり、どういうことですか……?」

「お、お背中を流させていただけないかと……」

と、顔を上げたシアユンさんの視線が真っ直ぐで、一瞬、息がまった。

まだ、異世界こっちの価値観は理解できてないけど、なにかの使命感か責任感を果たそうと、シアユンさんなりに一生懸命になってる。そのおもいがさった。

俺は、頑張がんばってる人には、……弱い。

昔からそうだ。苦手な数学を頑張る里佳も応援してたし、同級生や友達なんかが頑張ってると、ついつい自分のことのように応援してしまう。出来ることは、なんでもしてあげたくなる。

正直、背中を流してもらうくらいのことなら断る理由も見つからない。ひとりでいると里佳のことばかり考えてしまうのも分かってた。

俺が「いいですよ」と応えると、固かったシアユンさんの表情がパアッと笑顔になった。

――ああ。もうダメだ。その笑顔は反則はんそくです。心が応援モードに移行してしまいます。

俺はいよいよ観念かんねんして、石鹸せっけんの泡立った手拭てぬぐいをシアユンさんに手渡てわたした。

きっと経験豊富な人から見れば、未経験のお姉さんと未経験の男子が、お互い顔を真っ赤にして風呂場ふろばぱだかでモジモジし合ってる、とても滑稽こっけいな場面にうつるんだろう。

けど、まあ、誰に見られてる訳でもない、はず。俺の背中を流すだけで、なにかの足しになるんなら……、そのくらいは……。

シアユンさんはうれしそうに俺の後ろに回って、背中を流し始める。

小さなおどろきがあった。直接肌が触れ合った訳ではないけど、手拭い越しに伝わる、人の手の感触かんしょくが思いがけず気持ちをホッとさせてくれた。

――俺、めてたんだな。

これだけ突然に、全部の環境が変わってしまっては、知らない間に気が張り詰めてしまっていても仕方ないと思えた。

シアユンさんの丁寧に丁寧に洗ってくれる手付きから、実直じっちょくな性格が伝わってくる。

この状況では、里佳にところもない。

フラれたのだから、もないのだけど、ついさっきまで『一生、大事にする』と決めていた覚悟は、そうそうほどけない。

「あ、いや……」

と、俺が言うと、シアユンさんは俺の体を洗う手を止めた。

「前は……、自分でやりますから……」

「ごめんなさい。夢中になっちゃって……」

――今、『ごめんなさい』は、やめてほしい。

と、思ったけど、シアユンさんから手拭いを受け取って続きを洗い始める。まあ、これでシアユンさんの気が済んだのなら良しとしよう。

いいことをしたと、少し表情かおを緩めて、ふと横を見ると、シアユンさんも体を洗ってる。あ。そうなんだ。

体を洗い終わって泡を手桶ておけですくったお湯で流し、湯船ゆぶねつかかると、シアユンさんも広い湯船に向かい合って浸かった。

シアユンさんの中での『身体からだささげる』の範囲はんいがよく分からなかったものの、「いいですよ」って言ってしまった手前、なんとも言えない。別に問題もないような気もする。ただただ、照れるだけで……。

まあ、今は温かいお風呂で体も気持ちも休めよう。お風呂のある異世界で良かった。絶体絶命でも。

「このお湯って、どうやってかしてるんですか?」

と、ふと気になってシアユンさんにたずねた。初対面のお姉さんと、いきなり混浴こんよくってシチュエーションで沈黙ちんもくえ切れなかったところもある。

「こちらの湯は……」

と、綺麗きれいな指が伸びる手の平ですくった湯を見詰みつめたシアユンさんが、数瞬すうしゅん、言葉にまった。

「リーファ姫の呪術じゅじゅつで沸かされています……」

おお! その話題、詳しく聞きたいですね。呪術。いいですね。異世界の仕組みや文明、文化や技術のレベルなんかは早く知っておくにしたことはない。

「その、呪術ってところを、もう少し詳しく」

という、俺の問いにシアユンさんが淡々と説明し始めてくれた。口調はなめらかで理解しやすい。きっと、とても優秀な方なんだろうな。

今は全裸で年下男子に頬を赤らめてるけども。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...