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27.出兵 〜新婚旅行延長戦(2)
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ヴァイス家の離れに戻り、1人になった。
ルイーゼは家族と共に無事を伝えられ、今こっちに向かっているらしい。
だけど、本邸の使用人も皆出払い、広くて瀟洒なヴァイス家の王都屋敷は静寂に包まれている。
マルティン様はこのまま屋敷に戻られることなく出兵して行かれるだろう。
お父様の駆る寝台馬車に乗せられ、リエナベルクを離れ、王都に来てからのことが、走馬灯のように思い起こされる。
そのほとんどを、この離れで過ごした。
ソファの滑らかな座面を、そっと撫でた。ここで、マルティン様に膝枕をしてさしあげた……。
猛烈な寂しさと、猛烈なガッツが同時に湧き上がってきた。
――クヨクヨしてる場合じゃねぇ!
ソファから飛び起きた私は、出兵にどうにか同行できないか、ほうぼうに掛け合い始めた。
意外にも骨を折ってくださったのは、悪人面の副長、アンドレアスさんだった。
「魔王が発生したとき、聖騎士団の主な役目は、聖女を護衛し魔王のところまで連れて行くことだ。そして、聖女に《浄化》してもらう」
「はい……」
「ところが今回は、聖女が空位だ。前例のない非常事態だ」
「……過去の文献にも例がないと、妹から聞いたことがあります」
「聖女候補の妹さんだな? ……そう、まさに前代未聞な訳だが、魔王を放っておくわけにもいかない。すると必然的に、王国で最も魔力の強いマルティン・ヴァイスが、聖女に替わって《浄化》を試みるより他にない」
「……マルティン様が」
「それはそれは、すごい重圧だ。ところが、マルティンのヤツ、奥方にゾッコンになって新婚旅行から帰ってきた」
「まあ! そんな……」
「だからな……、側にいてやってほしいんだ。少しでもマルティンの気持ちが和らぐように」
「……承知いたしました。アンドレアス様のご厚意に感謝いたします」
私は深々と頭を下げた。
すると、アンドレアスさんはキョロキョロっと周りを窺ったあと、声をひそめた。
「ところで、マルティンとは、ヤることヤれたの?」
「まあ!」
とんでもなく下品で下世話な発言だ。
けど、嫌味がない。アンドレアスさんのお人柄ということなんだろう。
私も意地悪そうな笑顔をつくって、声をひそめてウインクして見せた。
「あと、ちょっと! っていうところだったんですのよ! ほんと魔王も空気読めって感じですわっ!」
「そりゃあ、許せねえなあ」
「ほんとですわ!」
「野営の天幕ではマルティンと一緒にするから、上手くいったら魔王に仲人やってもらおうぜ」
「あら、結婚はもうしておりますから、子どもの名付け親になってもらいますわ」
「縁起わる過ぎねぇか……?」
「このタイミングで素に戻るのは、ひどくありませんこと?」
「かっはっはっはっ! 違いねぇ」
このノリも嫌いじゃない。
品行方正、神への信仰そのものを体現されたように誠実なマルティン様と、いいコンビなんだと思う。
◇
アンドレアスさんの計らいで、魔導師団長エミリアさんに、私の超絶防御力も確認してもらえた。
私を覆う擬態魔法までは見抜けないエミリアさんは、軽く頭を抱えた。
「人知を超えますな……」
「……ゴリラ、ですから」
「うぷっ」
ゴリラジョークの冴えも戻った。
そして、アンドレアスさんの奔走で、聖女団の護衛として同行させてもらえることが決まったのは、出兵当日の朝だった。
「お姉様……?」
「え、えへへ……。また、会っちゃったね……」
「喜んじゃいけないことかもなんだけど……、私、とっても心強い。お姉様と一緒に行けて」
と、薄く涙を浮かべたアンナの頭を撫でた。
実力不足と自認していながら魔王軍との戦いに赴く。どれほど心細かったろう。
慌ただしくお父様とお母様にも挨拶できた。
引き止められるかと思ったお母様だけど、あっさり送り出してくれた。
「マルティン様を、しっかりお支えするのですよ」
私を一人前と認めてくれていることが伝わる、声の響きだった。
准男爵家から嫁いでこられたお母様。
グリュンバウワー家とは身分違いだけど、借金まみれの侯爵家に嫁いでくださる高位のご令嬢はいない。
借金返済に追われる人生になることを覚悟の上で、お父様との結婚を選んでくださった。
その上、見た目がゴリラという謎の障害を抱えた娘のために、ご自身まで王宮に出仕してくださった。
「はい! お母様がお父様をお支えされてきたように、私も必ずマルティン様をお支えいたします!」
お母様は、何も言わずにそっと近寄り、優しく包むように抱き締めてくださった。
◇
恐る恐るマルティン様の下に赴くと、まるで新婚旅行がまだ終わってないかのような、優しい笑顔で迎えてくれた。
「か、勝手なことをしてしまい……」
「ふふっ。嬉しく思っていますよ」
「ホントですか? お叱りを受けることも覚悟していたのですけど……」
「……ヴァイス家領から3晩寝ずに馬を飛ばす私に、アリエラは喰らい付いてきました。あの時から、薄々こうされるんじゃないかって覚悟していました」
「め、面目ない……」
マルティン様は、私が最初に、契約結婚を持ちかけた時と同じような笑顔を浮かべた。
「アリエラの『どこにでも行ってみたい』という好奇心に、私は突き動かされてばかりです。きっと、厳しい戦場になりますが、アリエラが目を輝かせていてくれるなら、私の励みにもなるでしょう」
「……」
「ん……? そうではないのですか?」
「い、意外に思われるかもしれませんけど……」
「はい」
「私は……、私が望むものは、たとえ時間がかかったとしても、すべて手に入れて来たのです」
「ええ。今はよく分かっています」
「今の私が望んでいるものは、生で体験することのドキドキやワクワクではなくて…………」
珍しく言いよどむ私に、マルティン様が少し眉を寄せた。
「アリエラ……?」
「今の私が望んでいるのは、マルティン様の勝利です! いえ、本当は勝利でさえなくて、無事にお戻りいただけたら、それでいい……。けど、マルティン様は魔王を倒すことなく、お戻りにはなられないでしょう?」
「……そうですね」
「だから、望むものは手に入れられる私が側にいたら……、きっと勝てるんじゃないかって……、無事にお戻りになられるんじゃないかって……」
「……アリエラは、私の、生きたお守りになろうとしてくれているんですね」
「もちろん、離れたくないーって気持ちが……、一番、強いんですけど……」
「私も……、気持ちは同じです」
「それに! まだ、いくつか約束が残っています! まだ擬態魔法も解いていただいていませんし、子づくりも……」
と、言ったら、アンドレアスさんの『野営の天幕ではマルティンと一緒にする』という言葉がポンッと蘇って、思わず赤面してしまった。
い、いや……、戦場で果たしてほしいという訳ではないのだけど……。
「そうですね」
マルティン様は、そんな私に優しく柔らかい声で応えてくださった。
「必ず魔王を倒し、生きて帰りましょう。一緒に」
「はい…………」
「アリエラを1人にしたくないという私の気持ちに、変わりはありません」
突然、マルティン様がカクカクと、ぎこちなく動き始めた。
ん――――っ? と、見守っていると、ゆっくりゆっくり顔を近付けてくださって……。
結婚式以来のキスをしてくださった。
「か……、神への誓いです…………」
なんだか、怖いものは何もなくなった。
魔王なんかへっちゃらだ。
待ってろ、魔王! うちの旦那様が、ちょちょいと倒すからな! 野営の天幕でもラブラブほかほかで過ごしてやる! 邪魔なんかさせないよ?
そして、子づくりだってするんだ! 温かい家庭を築くんだ!
顔を真っ赤にしてフリーズしてしまってた私だけど、心の中では強気でいっぱいだ。
*
こうして、聖騎士団と聖女団は、王都からの進軍を開始した。
私の大切なマルティン様と一緒に、私のリエナベルクに向けて――。
ルイーゼは家族と共に無事を伝えられ、今こっちに向かっているらしい。
だけど、本邸の使用人も皆出払い、広くて瀟洒なヴァイス家の王都屋敷は静寂に包まれている。
マルティン様はこのまま屋敷に戻られることなく出兵して行かれるだろう。
お父様の駆る寝台馬車に乗せられ、リエナベルクを離れ、王都に来てからのことが、走馬灯のように思い起こされる。
そのほとんどを、この離れで過ごした。
ソファの滑らかな座面を、そっと撫でた。ここで、マルティン様に膝枕をしてさしあげた……。
猛烈な寂しさと、猛烈なガッツが同時に湧き上がってきた。
――クヨクヨしてる場合じゃねぇ!
ソファから飛び起きた私は、出兵にどうにか同行できないか、ほうぼうに掛け合い始めた。
意外にも骨を折ってくださったのは、悪人面の副長、アンドレアスさんだった。
「魔王が発生したとき、聖騎士団の主な役目は、聖女を護衛し魔王のところまで連れて行くことだ。そして、聖女に《浄化》してもらう」
「はい……」
「ところが今回は、聖女が空位だ。前例のない非常事態だ」
「……過去の文献にも例がないと、妹から聞いたことがあります」
「聖女候補の妹さんだな? ……そう、まさに前代未聞な訳だが、魔王を放っておくわけにもいかない。すると必然的に、王国で最も魔力の強いマルティン・ヴァイスが、聖女に替わって《浄化》を試みるより他にない」
「……マルティン様が」
「それはそれは、すごい重圧だ。ところが、マルティンのヤツ、奥方にゾッコンになって新婚旅行から帰ってきた」
「まあ! そんな……」
「だからな……、側にいてやってほしいんだ。少しでもマルティンの気持ちが和らぐように」
「……承知いたしました。アンドレアス様のご厚意に感謝いたします」
私は深々と頭を下げた。
すると、アンドレアスさんはキョロキョロっと周りを窺ったあと、声をひそめた。
「ところで、マルティンとは、ヤることヤれたの?」
「まあ!」
とんでもなく下品で下世話な発言だ。
けど、嫌味がない。アンドレアスさんのお人柄ということなんだろう。
私も意地悪そうな笑顔をつくって、声をひそめてウインクして見せた。
「あと、ちょっと! っていうところだったんですのよ! ほんと魔王も空気読めって感じですわっ!」
「そりゃあ、許せねえなあ」
「ほんとですわ!」
「野営の天幕ではマルティンと一緒にするから、上手くいったら魔王に仲人やってもらおうぜ」
「あら、結婚はもうしておりますから、子どもの名付け親になってもらいますわ」
「縁起わる過ぎねぇか……?」
「このタイミングで素に戻るのは、ひどくありませんこと?」
「かっはっはっはっ! 違いねぇ」
このノリも嫌いじゃない。
品行方正、神への信仰そのものを体現されたように誠実なマルティン様と、いいコンビなんだと思う。
◇
アンドレアスさんの計らいで、魔導師団長エミリアさんに、私の超絶防御力も確認してもらえた。
私を覆う擬態魔法までは見抜けないエミリアさんは、軽く頭を抱えた。
「人知を超えますな……」
「……ゴリラ、ですから」
「うぷっ」
ゴリラジョークの冴えも戻った。
そして、アンドレアスさんの奔走で、聖女団の護衛として同行させてもらえることが決まったのは、出兵当日の朝だった。
「お姉様……?」
「え、えへへ……。また、会っちゃったね……」
「喜んじゃいけないことかもなんだけど……、私、とっても心強い。お姉様と一緒に行けて」
と、薄く涙を浮かべたアンナの頭を撫でた。
実力不足と自認していながら魔王軍との戦いに赴く。どれほど心細かったろう。
慌ただしくお父様とお母様にも挨拶できた。
引き止められるかと思ったお母様だけど、あっさり送り出してくれた。
「マルティン様を、しっかりお支えするのですよ」
私を一人前と認めてくれていることが伝わる、声の響きだった。
准男爵家から嫁いでこられたお母様。
グリュンバウワー家とは身分違いだけど、借金まみれの侯爵家に嫁いでくださる高位のご令嬢はいない。
借金返済に追われる人生になることを覚悟の上で、お父様との結婚を選んでくださった。
その上、見た目がゴリラという謎の障害を抱えた娘のために、ご自身まで王宮に出仕してくださった。
「はい! お母様がお父様をお支えされてきたように、私も必ずマルティン様をお支えいたします!」
お母様は、何も言わずにそっと近寄り、優しく包むように抱き締めてくださった。
◇
恐る恐るマルティン様の下に赴くと、まるで新婚旅行がまだ終わってないかのような、優しい笑顔で迎えてくれた。
「か、勝手なことをしてしまい……」
「ふふっ。嬉しく思っていますよ」
「ホントですか? お叱りを受けることも覚悟していたのですけど……」
「……ヴァイス家領から3晩寝ずに馬を飛ばす私に、アリエラは喰らい付いてきました。あの時から、薄々こうされるんじゃないかって覚悟していました」
「め、面目ない……」
マルティン様は、私が最初に、契約結婚を持ちかけた時と同じような笑顔を浮かべた。
「アリエラの『どこにでも行ってみたい』という好奇心に、私は突き動かされてばかりです。きっと、厳しい戦場になりますが、アリエラが目を輝かせていてくれるなら、私の励みにもなるでしょう」
「……」
「ん……? そうではないのですか?」
「い、意外に思われるかもしれませんけど……」
「はい」
「私は……、私が望むものは、たとえ時間がかかったとしても、すべて手に入れて来たのです」
「ええ。今はよく分かっています」
「今の私が望んでいるものは、生で体験することのドキドキやワクワクではなくて…………」
珍しく言いよどむ私に、マルティン様が少し眉を寄せた。
「アリエラ……?」
「今の私が望んでいるのは、マルティン様の勝利です! いえ、本当は勝利でさえなくて、無事にお戻りいただけたら、それでいい……。けど、マルティン様は魔王を倒すことなく、お戻りにはなられないでしょう?」
「……そうですね」
「だから、望むものは手に入れられる私が側にいたら……、きっと勝てるんじゃないかって……、無事にお戻りになられるんじゃないかって……」
「……アリエラは、私の、生きたお守りになろうとしてくれているんですね」
「もちろん、離れたくないーって気持ちが……、一番、強いんですけど……」
「私も……、気持ちは同じです」
「それに! まだ、いくつか約束が残っています! まだ擬態魔法も解いていただいていませんし、子づくりも……」
と、言ったら、アンドレアスさんの『野営の天幕ではマルティンと一緒にする』という言葉がポンッと蘇って、思わず赤面してしまった。
い、いや……、戦場で果たしてほしいという訳ではないのだけど……。
「そうですね」
マルティン様は、そんな私に優しく柔らかい声で応えてくださった。
「必ず魔王を倒し、生きて帰りましょう。一緒に」
「はい…………」
「アリエラを1人にしたくないという私の気持ちに、変わりはありません」
突然、マルティン様がカクカクと、ぎこちなく動き始めた。
ん――――っ? と、見守っていると、ゆっくりゆっくり顔を近付けてくださって……。
結婚式以来のキスをしてくださった。
「か……、神への誓いです…………」
なんだか、怖いものは何もなくなった。
魔王なんかへっちゃらだ。
待ってろ、魔王! うちの旦那様が、ちょちょいと倒すからな! 野営の天幕でもラブラブほかほかで過ごしてやる! 邪魔なんかさせないよ?
そして、子づくりだってするんだ! 温かい家庭を築くんだ!
顔を真っ赤にしてフリーズしてしまってた私だけど、心の中では強気でいっぱいだ。
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こうして、聖騎士団と聖女団は、王都からの進軍を開始した。
私の大切なマルティン様と一緒に、私のリエナベルクに向けて――。
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