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最終章 聖山桃契
284.楽園奪還
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王都ヴィアナに城壁はない。
細かな裏道まで、すべて王都の外に通じている。
三姫の軍は、なかに残るリーヤボルク兵を刺激しないように注意しながら、
突入のための陣形を整えてゆく。
時刻は正午前。
王都の東では、リティアが無頼姫軍に最後の檄を飛ばした。
「我らが楽園を取り戻す、最後の決戦だ! ゆめゆめ敵を侮るな! 王国の存亡は、すみやかな制圧にかかっている!!」
西側では、ロマナが蹂躙姫軍と気勢を上げる。
「聖山の民最強を誇るはヴールの強兵! そして、王国西方の民であると証明する時だ! 聖山神話に謡い継がれる奮闘を期待する!!」
そして北側では、アイカが救国姫軍に頭をさげた。
「ザノクリフの皆さん! コノクリアの皆さん! 聖山の民のために力を貸してください!!」
ザノクリフもコノクリアも、アイカのおかげで平和を取り戻した。
兵たちは皆、力強く頷いてアイカに応える。
突入の合図は、弓の名手であるアイカが〈矢笛――矢の先端に笛が取り付けてある〉を飛ばして知らせると決めてあった。
王都に潜伏する第六騎士団万騎兵長ルクシアの走らせた密使が、アイカのもとに駆け込む。
「動揺するリーヤボルク兵を、無頼に扮した兵士が宥めておりますが、限界は近いかと」
「分かりました」
「列候の神殿には、それぞれ無頼をつけ、リーヤボルク兵を近寄せぬように配置を終わらせました」
報告を聞きおえたアイカは、静かにうなずき矢笛を取り出した。
そして、西南伯の紋が入った弓を引き絞り、空高く射掛けた。
ピュ――――ィィィィィィ――……
王都の空に響き渡った矢笛の音と同時に、すべての街路から一斉に、三姫の軍と列候の兵が突入してゆく――。
*
王都にのこるリーヤボルク兵に陣も策もない。指示を出す将もいない。
東から突入したリティアが声を張り上げる。
「敵を軍勢と見るな! 突き崩すべき陣形もない! あくまでも一人ひとりの動きを捕捉し、確実に捕えよ! 投降を拒む者があれば、ただちに斬り捨てるのだ!」
カリストスの助言どおり、まずは列候の神殿から制圧にかかる。
全軍を率いて参陣しているヴール軍、アルナヴィス軍は、ほかの列候たちより兵力が多い。
自領の神殿を制圧し確保した後は、他領の神殿制圧を援けてゆく。
まだ王都近郊にまで到着していない列候の神殿も、あわせて制圧する。
指揮も統制もなく、ただウロウロしているリーヤボルク兵に出くわしたときは投降を呼びかけ、応じなければ斬った。
――ゾンビゲームかよ……。
と、アイカはうんざりしたが、初めて経験する市街戦でも、その弓矢の腕は存分に発揮された。
自身は白狼タロウに跨り、黒狼ジロウには同じく弓の名手であるチーナが乗った。
抜群のコンビネーションで、次々に矢を射かけて、リーヤボルク兵たちを戦闘不能に追いこんでゆく。
16万 対 1万3千――。
数の上では圧倒している。
ただし陣形同士の衝突でもなく、ゲリラ戦とも呼びがたい。
――退廃都市を占拠する無法者たちを、武装警官が逮捕し制圧してゆく。
そのような、誰にも経験のない戦闘が続く。
リーヤボルク兵が、王都に火を放つ備えをしていなければ蹴散らすだけで済んだであろうが、
見落とした兵が火を放てば、どれほど燃え広がる計略を仕掛けているのか、全貌までは把握できていない。
相手は、性情の悪い蛮兵たちのなかでも、最後まで王都に意味不明に残った者たちだ。
なにをキッカケに、どんな行動に出るのか、誰にもまったく予測することができない。
経験のない〈大捜索〉に、みなピリピリと王都を駆けてゆく。
潜伏していたカリュ、ゼルフィア、リアンドラは、事前に確認できていた火計の仕掛けを取り除いて回る。
また貧民街にいたるまで細かく土地勘のあるクレイアとアイラは、万が一の事態に備えて、地下水路から消火の水を引く準備に取り掛かっていた。
やがて、列候の神殿がすべて制圧され、潜む者がいないか警邏の兵を巡回させつつ、
王宮への突入を開始する。
大神殿には、特に願い出たアルナヴィス軍が突入してゆく。
――サフィナの遺体が眠っている。
アルナヴィス候ジェリコは、先陣を切って大神殿に飛び込んだ。
王宮は、宮殿ごとの階層構造になっている。
順番に制圧することは不可能で、宮殿の一つひとつに突入してゆくほかない。
ヴィアナ騎士団、サーバヌ騎士団、第六騎士団、祭礼騎士団が分担して制圧にかかる。
王宮のなかでは、
――はあ!? こんなところで!?
といった場所で、リーヤボルク兵が寝ていたりする。
緊張を緩めることなく、隈なく捜索を続けた。
ミハイ率いるザノクリフ王国軍は、交易街の制圧を受け持つ。
大きな商館が建ち並び、街区の構造が比較的シンプルだ。
土地勘がなくとも制圧していける。
ナーシャことアナスタシア率いるコノクリア草原兵団は、国王宮殿に突入した。
側妃サフィナに憚り旧都に退くまで、アナスタシアが暮らした宮殿である。
若い草原の兵士たちを指揮して、丁寧に制圧してゆく。
王宮3階にある王国政庁には筆頭書記官オレストをはじめとした書記官たちが詰め、リティアが制圧状況を把握するのを援けた。
「さすがに、書記官たちもペトラ殿下に鍛えられたな」
と、悪戯っぽく笑うリティアに、
「恐れ入ります」
と、オレストが軽く頭を下げた。
やがてロマナも、ヴールの神殿から政庁に移り、戦況の分析に加わる。
「日が暮れたら、やっかいね……」
「うむ。火計の仕掛けを取り除くことを優先させよう。リーヤボルク兵が潜んでいても、火を放てなければ脅威ではなくなる」
「そうね。蹂躙姫軍の者たちにも伝えるわ」
「いや、すでに三姫の軍は王都のなかで入り乱れている。原始的だが、大声で報せて回る方がはやい」
「それもそうね」
「リュシアンに歌わせようか?」
「え?」
「あっ……」
「……冗談よね?」
「……うん」
「うん」
「……なんか、ごめん」
「まだ、ちょっと早かったわね」
しかし、気持ちに余裕が生まれ始めていたのはリティアだけではない。
三姫の軍勢は表情に明るさを取り戻し、列侯のなかには奪還した神殿の清掃を始める者もいた。
ただ、王都の市街地のなかでは、
「ピンチで――っす! 油断がピンチですよ~っ! あと少し、集中して頑張りましょうね――っ!!」
と、タロウに乗ったアイカが声をかけて回っていた。
*
日が暮れてもリーヤボルク残存兵の捜索が続く。
夜を徹した警戒が続き、散発的な戦闘も発生する。
タロウとジロウが見つけ出す残存兵も多く、アイカは周囲をハラハラさせながら前線に立ち続けた。
一度、西街区で火の手が上がったが、クレイアとアイラによる消火の備えが功を奏し、燃え広がらないうちに鎮火させることが出来た。
やがて朝陽が昇り、白亜の王宮が鮮やかに照らし出されると、
最後に潜んでいた残存兵たちも、次々に投降しはじめた。
「ぷっは――っ! 疲れましたねぇ~っ!」
と、額の汗をぬぐい晴れ晴れとした笑顔を見せたアイカも、王宮に入った。
国王ファウロスに、最初に拝謁したひろい中庭。
疲れ果てた兵士たちが、腰を降ろして足を投げ出している。
――守護聖霊があるとは不思議な狼だ。
精悍だった老王の威厳に満ちた、しかし優しい声が耳に蘇り、タロウとジロウの背を撫でてやる。
「帰ってきたぞ」
うしろから、リティアの声がした。
ふり返ると、赤茶色の髪を逆光でキラキラと輝かせながら、
はにかむような笑みを満面に浮かべたリティアが、アイカを見詰めていた。
「はいっ!」
ふたりは、三衛騎士と侍女たちを従え、制圧していた第六騎士団の待つ、
リティア宮殿に帰還した。
「楽園を、奪還した」
と、執務室の机に手を置いたリティアが、静かに宣言し、
アイカも力強くうなずいて、義姉となったリティアの笑顔を、誇らしげに見上げた――。
細かな裏道まで、すべて王都の外に通じている。
三姫の軍は、なかに残るリーヤボルク兵を刺激しないように注意しながら、
突入のための陣形を整えてゆく。
時刻は正午前。
王都の東では、リティアが無頼姫軍に最後の檄を飛ばした。
「我らが楽園を取り戻す、最後の決戦だ! ゆめゆめ敵を侮るな! 王国の存亡は、すみやかな制圧にかかっている!!」
西側では、ロマナが蹂躙姫軍と気勢を上げる。
「聖山の民最強を誇るはヴールの強兵! そして、王国西方の民であると証明する時だ! 聖山神話に謡い継がれる奮闘を期待する!!」
そして北側では、アイカが救国姫軍に頭をさげた。
「ザノクリフの皆さん! コノクリアの皆さん! 聖山の民のために力を貸してください!!」
ザノクリフもコノクリアも、アイカのおかげで平和を取り戻した。
兵たちは皆、力強く頷いてアイカに応える。
突入の合図は、弓の名手であるアイカが〈矢笛――矢の先端に笛が取り付けてある〉を飛ばして知らせると決めてあった。
王都に潜伏する第六騎士団万騎兵長ルクシアの走らせた密使が、アイカのもとに駆け込む。
「動揺するリーヤボルク兵を、無頼に扮した兵士が宥めておりますが、限界は近いかと」
「分かりました」
「列候の神殿には、それぞれ無頼をつけ、リーヤボルク兵を近寄せぬように配置を終わらせました」
報告を聞きおえたアイカは、静かにうなずき矢笛を取り出した。
そして、西南伯の紋が入った弓を引き絞り、空高く射掛けた。
ピュ――――ィィィィィィ――……
王都の空に響き渡った矢笛の音と同時に、すべての街路から一斉に、三姫の軍と列候の兵が突入してゆく――。
*
王都にのこるリーヤボルク兵に陣も策もない。指示を出す将もいない。
東から突入したリティアが声を張り上げる。
「敵を軍勢と見るな! 突き崩すべき陣形もない! あくまでも一人ひとりの動きを捕捉し、確実に捕えよ! 投降を拒む者があれば、ただちに斬り捨てるのだ!」
カリストスの助言どおり、まずは列候の神殿から制圧にかかる。
全軍を率いて参陣しているヴール軍、アルナヴィス軍は、ほかの列候たちより兵力が多い。
自領の神殿を制圧し確保した後は、他領の神殿制圧を援けてゆく。
まだ王都近郊にまで到着していない列候の神殿も、あわせて制圧する。
指揮も統制もなく、ただウロウロしているリーヤボルク兵に出くわしたときは投降を呼びかけ、応じなければ斬った。
――ゾンビゲームかよ……。
と、アイカはうんざりしたが、初めて経験する市街戦でも、その弓矢の腕は存分に発揮された。
自身は白狼タロウに跨り、黒狼ジロウには同じく弓の名手であるチーナが乗った。
抜群のコンビネーションで、次々に矢を射かけて、リーヤボルク兵たちを戦闘不能に追いこんでゆく。
16万 対 1万3千――。
数の上では圧倒している。
ただし陣形同士の衝突でもなく、ゲリラ戦とも呼びがたい。
――退廃都市を占拠する無法者たちを、武装警官が逮捕し制圧してゆく。
そのような、誰にも経験のない戦闘が続く。
リーヤボルク兵が、王都に火を放つ備えをしていなければ蹴散らすだけで済んだであろうが、
見落とした兵が火を放てば、どれほど燃え広がる計略を仕掛けているのか、全貌までは把握できていない。
相手は、性情の悪い蛮兵たちのなかでも、最後まで王都に意味不明に残った者たちだ。
なにをキッカケに、どんな行動に出るのか、誰にもまったく予測することができない。
経験のない〈大捜索〉に、みなピリピリと王都を駆けてゆく。
潜伏していたカリュ、ゼルフィア、リアンドラは、事前に確認できていた火計の仕掛けを取り除いて回る。
また貧民街にいたるまで細かく土地勘のあるクレイアとアイラは、万が一の事態に備えて、地下水路から消火の水を引く準備に取り掛かっていた。
やがて、列候の神殿がすべて制圧され、潜む者がいないか警邏の兵を巡回させつつ、
王宮への突入を開始する。
大神殿には、特に願い出たアルナヴィス軍が突入してゆく。
――サフィナの遺体が眠っている。
アルナヴィス候ジェリコは、先陣を切って大神殿に飛び込んだ。
王宮は、宮殿ごとの階層構造になっている。
順番に制圧することは不可能で、宮殿の一つひとつに突入してゆくほかない。
ヴィアナ騎士団、サーバヌ騎士団、第六騎士団、祭礼騎士団が分担して制圧にかかる。
王宮のなかでは、
――はあ!? こんなところで!?
といった場所で、リーヤボルク兵が寝ていたりする。
緊張を緩めることなく、隈なく捜索を続けた。
ミハイ率いるザノクリフ王国軍は、交易街の制圧を受け持つ。
大きな商館が建ち並び、街区の構造が比較的シンプルだ。
土地勘がなくとも制圧していける。
ナーシャことアナスタシア率いるコノクリア草原兵団は、国王宮殿に突入した。
側妃サフィナに憚り旧都に退くまで、アナスタシアが暮らした宮殿である。
若い草原の兵士たちを指揮して、丁寧に制圧してゆく。
王宮3階にある王国政庁には筆頭書記官オレストをはじめとした書記官たちが詰め、リティアが制圧状況を把握するのを援けた。
「さすがに、書記官たちもペトラ殿下に鍛えられたな」
と、悪戯っぽく笑うリティアに、
「恐れ入ります」
と、オレストが軽く頭を下げた。
やがてロマナも、ヴールの神殿から政庁に移り、戦況の分析に加わる。
「日が暮れたら、やっかいね……」
「うむ。火計の仕掛けを取り除くことを優先させよう。リーヤボルク兵が潜んでいても、火を放てなければ脅威ではなくなる」
「そうね。蹂躙姫軍の者たちにも伝えるわ」
「いや、すでに三姫の軍は王都のなかで入り乱れている。原始的だが、大声で報せて回る方がはやい」
「それもそうね」
「リュシアンに歌わせようか?」
「え?」
「あっ……」
「……冗談よね?」
「……うん」
「うん」
「……なんか、ごめん」
「まだ、ちょっと早かったわね」
しかし、気持ちに余裕が生まれ始めていたのはリティアだけではない。
三姫の軍勢は表情に明るさを取り戻し、列侯のなかには奪還した神殿の清掃を始める者もいた。
ただ、王都の市街地のなかでは、
「ピンチで――っす! 油断がピンチですよ~っ! あと少し、集中して頑張りましょうね――っ!!」
と、タロウに乗ったアイカが声をかけて回っていた。
*
日が暮れてもリーヤボルク残存兵の捜索が続く。
夜を徹した警戒が続き、散発的な戦闘も発生する。
タロウとジロウが見つけ出す残存兵も多く、アイカは周囲をハラハラさせながら前線に立ち続けた。
一度、西街区で火の手が上がったが、クレイアとアイラによる消火の備えが功を奏し、燃え広がらないうちに鎮火させることが出来た。
やがて朝陽が昇り、白亜の王宮が鮮やかに照らし出されると、
最後に潜んでいた残存兵たちも、次々に投降しはじめた。
「ぷっは――っ! 疲れましたねぇ~っ!」
と、額の汗をぬぐい晴れ晴れとした笑顔を見せたアイカも、王宮に入った。
国王ファウロスに、最初に拝謁したひろい中庭。
疲れ果てた兵士たちが、腰を降ろして足を投げ出している。
――守護聖霊があるとは不思議な狼だ。
精悍だった老王の威厳に満ちた、しかし優しい声が耳に蘇り、タロウとジロウの背を撫でてやる。
「帰ってきたぞ」
うしろから、リティアの声がした。
ふり返ると、赤茶色の髪を逆光でキラキラと輝かせながら、
はにかむような笑みを満面に浮かべたリティアが、アイカを見詰めていた。
「はいっ!」
ふたりは、三衛騎士と侍女たちを従え、制圧していた第六騎士団の待つ、
リティア宮殿に帰還した。
「楽園を、奪還した」
と、執務室の机に手を置いたリティアが、静かに宣言し、
アイカも力強くうなずいて、義姉となったリティアの笑顔を、誇らしげに見上げた――。
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