215 / 307
第九章 山湫哀華
202.こんな気持ちか...
しおりを挟む
ラドラム城に入る前、アイカはカリュとアイラに相談していた。
そして、
――本心を聞き出すならば、君臣の隔たりが明確になる前、入城直後しかない。
という思いを固めていた。
主君から事実を聞かされないまま斃れていった西侯セルジュの兵士たち。
その迷いに満ちた表情が、アイカの脳裏に焼き付いていた。
――対立するにしても、せめて、その《わけ》くらいは、身分に関係なく知る権利がある。
なかには命をおとした者もいただろう。しかし、あんまりな最期だと、アイカは思う。
バルドル城での出来事は、アイカにとって何重にも悔いが残る、苦い教訓となった。
東侯エドゥアルドが、家臣をあつめて自分を迎えてくれたことを、もっけの幸いとして、ややもすれば強引に話し合いの場とした。
出たとこ勝負にはなったが、かつてルーファに到着するや姉エメーウを隔離したヨルダナのことを思い出していた。
とはいえ、偉そうぶっても、すぐに化けの皮がはがれる。
――ナーシャさんから、いろいろ教えてもらったとはいえ、どうせ自分に王族の威厳なんかない。
そう覚悟をかためたアイカは、初対面の出合い頭に、自分の本当の気持ち――つまり、皆んなの気持ちを聞きたいと伝える賭けに出た。
そして、その賭けは吉と出た。
重臣のひとりが、まとまった皆の考えを述べる。
「我らが主君、東侯にしてラドラムの太守エドゥアルド、それに、グラヴ、ヴィツェ、プレシュコ、ヴィスタドル、それぞれを治める太守。この主要5公がイエリナ姫を推戴する形を整えれば、きっと内戦はおさまりましょう」
むずかしい顔をして、うなずくアイカ。
そっと、アイラをそばに呼ぶ。
「はっ」
「……すいたいってなんですか?」
「えっ……? えっとぉ……」
問われたもののアイラにも分からない。助け船を出すように、ナーシャがささやいた。
「推戴とは、みなで推し戴くこと。つまり、みんなでアイカちゃんを女王の座に推薦するってことよ」
――やっぱり、そうなりますか……。
アイカが大きく息を吸い込むと、東候エドゥアルドが顔をむけた。
「いかがですかな? イエリナ姫」
「……私は、ザノクリフのみなさんの喧嘩を止めるために来ました。皆さんが、一生懸命に考えてくださったご意見にしたがいます」
おおぉ……、と、感嘆の声が漏れた。
そして、アイカは、どうしても言っておかなくてはならないことを、意を決して話した。
「ただ……、私はみなさんの喧嘩が止まれば、一旦、リティア義姉様のところに戻るつもりです。私を大切にしてくれた義姉のピンチを、放っておくことはできません」
女王に即位して、すぐに国をあける。
突拍子もないことを言っている自覚はあった。
しかし、これだけは外せない条件だった。ザノクリフの内戦がおさまっても、テノリアの混乱がおさまるわけではない。リティアのピンチは、まだまだ続く。
重臣のひとりが、ズイッと前に進み出た。
「はばかりながら、ご意見申し上げる」
「はい……」
アイカは息を呑んだ。
厳しい表情をした重臣の顔を、まっすぐに見つめる。
「イエリナ姫におかれましては……」
「は、はい……」
「なんと……、なんと、義にあついお方にご成長なされたことか……。大切と仰られる義姉妹をおいても我らのためにザノクリフに駆け付けてくださり、それが収まれば、また義姉君の危難を救いに戻られる……」
重臣の目には、みるみる涙がたまってゆく。
車座にすわる他の家臣たちも、うなずきながら鼻をすすり始めている。
「我ら下々の者からも話を聞いてくださり……、それも、このような長時間……。どうぞ、思うようになさってくださいませ。まこと、我らが女王と仰ぐにふさわしいお方にございます」
と、重臣は泣き崩れるように平伏した。
みなもそれに従い、一堂がアイカにひれ伏す。
エドゥアルドが、穏やかな声音で、戸惑うアイカに話しかけた。
「……我らはこの内戦で、近しいもの同士であっても裏切り、欺き、だまし……、すっかり《義》というものを見失っておりました。心洗われる思いにございます」
そして、丁重に頭をさげた。
「あ、ありがとうございます……、まずは、喧嘩を止めましょう!」
アイカの言葉に、みなが顔をあげ涙をぬぐった。
「そして、みんなが仲良くできるように! 皆さんたちだけで仲良くできる方法を、一緒に考えてください!」
家臣たちが力強くうなずくのを見て、アイカは本殿の隅にたつ緑髪の少女をそばに呼んだ。
西候セルジュが、にせのイエリナ姫に仕立てようとしていた少女であった。
「この娘はエルといいます。この内戦で、両親を亡くし孤児として育ちました。守ってくれる人もいなくて……」
アイカはエルの瞳を見つめた。
バルドル城からの道中、アイラと一緒に世話をして、すこし笑顔もみせるようになった。
西候セルジュに利用されようとしていたエル。奴隷として売られかけたアイカ。
もしも、自分がリティアと出会わなければ、エルの境遇と、そう違わないことになっていたかもしれない。どうしても放っておくことができず、ラドラム城まで連れてきた。
アイカは、家臣たちに顔をむけた。
「こんな娘を二度と出さないように……、平和な国をつくりましょう」
みなは、ふたたび深く頭をさげた。
*
東候エドゥアルドは離れに移り、アイカ一行の滞在場所として、ラドラム城の本殿が明け渡された。
早速、エドゥアルド以外の主要4公に会見を申し込む使者が送られ、その返答を待って過ごす。
エルは、とりあえずアイカの女官ということにして保護した。アイラ、カリュの手伝いをしながら、かいがいしく働いている。
その姿を横目に見ながら、アイカはナーシャに話しかけた。
「……どうでしたか?」
「ん? ……なにが?」
「あの……、王族として、私、大丈夫でした?」
「ふふっ」
ナーシャは優しげに微笑み、アイカの桃色のあたまをなでた。
「素晴らしかったわ」
「そうですか!?」
「……私など、しょせんは息子2人の争いも止められなかった、不甲斐ない王妃」
「そんなこと……」
「私なんかじゃ思い付きもしない方法で、みんなの気持ちをひとつにまとめたわ。とても、素晴らしいと思うわ。尊敬しちゃう」
「や、やめてくださいよぉ……」
ほほを赤らめたアイカが、顔をそむけた。
「あら、ほんとうよ? あれだけ屈強な男たちが並ぶ中、自分の意をつらぬいた。ザノクリフの歴史にのこる名君になっちゃうんじゃない?」
「……っ」
「ふふっ。ほんとうに楽しみ」
微笑むナーシャの顔を、チラッと見上げて、アイカはにやける顔をおさえようと軽く唇を噛んだ。
――母に認められる。
とは、こんな気持ちかと、両こぶしを握りしめ、プルッと小さく震えた。
そうして過ごしながら、アイカは、城で雑用をこなしてくれるメイドたちの、カリュとナーシャを見る視線に気がついた。
男尊女卑の気風が濃いザノクリフにあって、賢く逞しい女性像は、新鮮なものに映る。
彼女たちには、いわゆる『男勝り』の働きと見える。
中庭では、チーナの披露する弓の腕前に重臣や城兵たちが唸っている。ザノクリフでは女性の兵士自体がいない。
根付いた文化はそうそう変えられるものではないと思いながらも、できれば、そういうところも変えていけたらと、アイカは考える。
主要4公から、アイカとの会見に応諾する返書がとどく頃、アイラとジョルジュの姿が城から消えた。アイカの密命を帯び、王都ヴィアナに向かわせたのだ。
東候エドゥアルドと公子クリストフが、アイカの前に姿を見せた。
「ヴィツェの太守ミハイ、グラヴの太守フロリン、プレシュコの太守ニコラエ、ヴィスタドルの太守セルギウ。いずれも、イエリナ姫との会見を承諾いたしました」
「良かったです」
「こちらに控えるクリストフも、ホヴィスカを治める太守。会見には同行させます」
「あ、はい」
自分が言い出したことの帰結とはいえ、知らないおじさんたちと、また会わなくてはいけない。
それなりに人となりを知っているクリストフがいてくれることは心強かった。
ただ――、
バルドル城の尖塔からの脱出以来、クリストフに会うと、ギュウッと抱きついていたことを思い出してしまい、まともに顔をみることができない。
ほほには、押し当てていた首筋の肌の感触がよみがえるし、汗の匂いが甘く思い出される。
あかく染まりそうなほっぺたを手で押さえて、アイカはエドゥアルドを見た。
「それで……、みなさんにお会いするのは……」
「場所は廃都ザノヴァル。……もとの王都ですが、内戦の勃発以来、荒廃しております。しかし、イエリナ姫の推戴について合議するのに、ほかに相応しい場所がございません」
「あ、はい……。みなさんが、それで良ければ、私はどこでも……」
「ヴィスタドルの地は、廃都ザノヴァルから遠く、それに合わせて2週間後と期日を定めました」
「分かりました」
「それまでは、どうぞ城にて、ごゆるりとお過ごしくださいませ」
ある意味、なりゆき任せでザノクリフまで来たアイカ。
しかし、たくさんの血が流れている戦争を、自分の存在によって止められるかもしれないと思うと、見て見ぬふりすることはできなかった。
その行動の結果が、あと2週間で出る。
両手に、グッと力がこもった――。
余談ながら、ほほにあてた手に力を込めたので、結果的にアイカは変顔になった。
それを真正面から見せられたエドゥアルドは大変、反応に困った。
退出したあと「あれは、どういうことであろうか?」と問われたクリストフだが、
「さあ? 嬉しかったんじゃねぇか?」
とだけ、そっけなく応えた。
そして、
――本心を聞き出すならば、君臣の隔たりが明確になる前、入城直後しかない。
という思いを固めていた。
主君から事実を聞かされないまま斃れていった西侯セルジュの兵士たち。
その迷いに満ちた表情が、アイカの脳裏に焼き付いていた。
――対立するにしても、せめて、その《わけ》くらいは、身分に関係なく知る権利がある。
なかには命をおとした者もいただろう。しかし、あんまりな最期だと、アイカは思う。
バルドル城での出来事は、アイカにとって何重にも悔いが残る、苦い教訓となった。
東侯エドゥアルドが、家臣をあつめて自分を迎えてくれたことを、もっけの幸いとして、ややもすれば強引に話し合いの場とした。
出たとこ勝負にはなったが、かつてルーファに到着するや姉エメーウを隔離したヨルダナのことを思い出していた。
とはいえ、偉そうぶっても、すぐに化けの皮がはがれる。
――ナーシャさんから、いろいろ教えてもらったとはいえ、どうせ自分に王族の威厳なんかない。
そう覚悟をかためたアイカは、初対面の出合い頭に、自分の本当の気持ち――つまり、皆んなの気持ちを聞きたいと伝える賭けに出た。
そして、その賭けは吉と出た。
重臣のひとりが、まとまった皆の考えを述べる。
「我らが主君、東侯にしてラドラムの太守エドゥアルド、それに、グラヴ、ヴィツェ、プレシュコ、ヴィスタドル、それぞれを治める太守。この主要5公がイエリナ姫を推戴する形を整えれば、きっと内戦はおさまりましょう」
むずかしい顔をして、うなずくアイカ。
そっと、アイラをそばに呼ぶ。
「はっ」
「……すいたいってなんですか?」
「えっ……? えっとぉ……」
問われたもののアイラにも分からない。助け船を出すように、ナーシャがささやいた。
「推戴とは、みなで推し戴くこと。つまり、みんなでアイカちゃんを女王の座に推薦するってことよ」
――やっぱり、そうなりますか……。
アイカが大きく息を吸い込むと、東候エドゥアルドが顔をむけた。
「いかがですかな? イエリナ姫」
「……私は、ザノクリフのみなさんの喧嘩を止めるために来ました。皆さんが、一生懸命に考えてくださったご意見にしたがいます」
おおぉ……、と、感嘆の声が漏れた。
そして、アイカは、どうしても言っておかなくてはならないことを、意を決して話した。
「ただ……、私はみなさんの喧嘩が止まれば、一旦、リティア義姉様のところに戻るつもりです。私を大切にしてくれた義姉のピンチを、放っておくことはできません」
女王に即位して、すぐに国をあける。
突拍子もないことを言っている自覚はあった。
しかし、これだけは外せない条件だった。ザノクリフの内戦がおさまっても、テノリアの混乱がおさまるわけではない。リティアのピンチは、まだまだ続く。
重臣のひとりが、ズイッと前に進み出た。
「はばかりながら、ご意見申し上げる」
「はい……」
アイカは息を呑んだ。
厳しい表情をした重臣の顔を、まっすぐに見つめる。
「イエリナ姫におかれましては……」
「は、はい……」
「なんと……、なんと、義にあついお方にご成長なされたことか……。大切と仰られる義姉妹をおいても我らのためにザノクリフに駆け付けてくださり、それが収まれば、また義姉君の危難を救いに戻られる……」
重臣の目には、みるみる涙がたまってゆく。
車座にすわる他の家臣たちも、うなずきながら鼻をすすり始めている。
「我ら下々の者からも話を聞いてくださり……、それも、このような長時間……。どうぞ、思うようになさってくださいませ。まこと、我らが女王と仰ぐにふさわしいお方にございます」
と、重臣は泣き崩れるように平伏した。
みなもそれに従い、一堂がアイカにひれ伏す。
エドゥアルドが、穏やかな声音で、戸惑うアイカに話しかけた。
「……我らはこの内戦で、近しいもの同士であっても裏切り、欺き、だまし……、すっかり《義》というものを見失っておりました。心洗われる思いにございます」
そして、丁重に頭をさげた。
「あ、ありがとうございます……、まずは、喧嘩を止めましょう!」
アイカの言葉に、みなが顔をあげ涙をぬぐった。
「そして、みんなが仲良くできるように! 皆さんたちだけで仲良くできる方法を、一緒に考えてください!」
家臣たちが力強くうなずくのを見て、アイカは本殿の隅にたつ緑髪の少女をそばに呼んだ。
西候セルジュが、にせのイエリナ姫に仕立てようとしていた少女であった。
「この娘はエルといいます。この内戦で、両親を亡くし孤児として育ちました。守ってくれる人もいなくて……」
アイカはエルの瞳を見つめた。
バルドル城からの道中、アイラと一緒に世話をして、すこし笑顔もみせるようになった。
西候セルジュに利用されようとしていたエル。奴隷として売られかけたアイカ。
もしも、自分がリティアと出会わなければ、エルの境遇と、そう違わないことになっていたかもしれない。どうしても放っておくことができず、ラドラム城まで連れてきた。
アイカは、家臣たちに顔をむけた。
「こんな娘を二度と出さないように……、平和な国をつくりましょう」
みなは、ふたたび深く頭をさげた。
*
東候エドゥアルドは離れに移り、アイカ一行の滞在場所として、ラドラム城の本殿が明け渡された。
早速、エドゥアルド以外の主要4公に会見を申し込む使者が送られ、その返答を待って過ごす。
エルは、とりあえずアイカの女官ということにして保護した。アイラ、カリュの手伝いをしながら、かいがいしく働いている。
その姿を横目に見ながら、アイカはナーシャに話しかけた。
「……どうでしたか?」
「ん? ……なにが?」
「あの……、王族として、私、大丈夫でした?」
「ふふっ」
ナーシャは優しげに微笑み、アイカの桃色のあたまをなでた。
「素晴らしかったわ」
「そうですか!?」
「……私など、しょせんは息子2人の争いも止められなかった、不甲斐ない王妃」
「そんなこと……」
「私なんかじゃ思い付きもしない方法で、みんなの気持ちをひとつにまとめたわ。とても、素晴らしいと思うわ。尊敬しちゃう」
「や、やめてくださいよぉ……」
ほほを赤らめたアイカが、顔をそむけた。
「あら、ほんとうよ? あれだけ屈強な男たちが並ぶ中、自分の意をつらぬいた。ザノクリフの歴史にのこる名君になっちゃうんじゃない?」
「……っ」
「ふふっ。ほんとうに楽しみ」
微笑むナーシャの顔を、チラッと見上げて、アイカはにやける顔をおさえようと軽く唇を噛んだ。
――母に認められる。
とは、こんな気持ちかと、両こぶしを握りしめ、プルッと小さく震えた。
そうして過ごしながら、アイカは、城で雑用をこなしてくれるメイドたちの、カリュとナーシャを見る視線に気がついた。
男尊女卑の気風が濃いザノクリフにあって、賢く逞しい女性像は、新鮮なものに映る。
彼女たちには、いわゆる『男勝り』の働きと見える。
中庭では、チーナの披露する弓の腕前に重臣や城兵たちが唸っている。ザノクリフでは女性の兵士自体がいない。
根付いた文化はそうそう変えられるものではないと思いながらも、できれば、そういうところも変えていけたらと、アイカは考える。
主要4公から、アイカとの会見に応諾する返書がとどく頃、アイラとジョルジュの姿が城から消えた。アイカの密命を帯び、王都ヴィアナに向かわせたのだ。
東候エドゥアルドと公子クリストフが、アイカの前に姿を見せた。
「ヴィツェの太守ミハイ、グラヴの太守フロリン、プレシュコの太守ニコラエ、ヴィスタドルの太守セルギウ。いずれも、イエリナ姫との会見を承諾いたしました」
「良かったです」
「こちらに控えるクリストフも、ホヴィスカを治める太守。会見には同行させます」
「あ、はい」
自分が言い出したことの帰結とはいえ、知らないおじさんたちと、また会わなくてはいけない。
それなりに人となりを知っているクリストフがいてくれることは心強かった。
ただ――、
バルドル城の尖塔からの脱出以来、クリストフに会うと、ギュウッと抱きついていたことを思い出してしまい、まともに顔をみることができない。
ほほには、押し当てていた首筋の肌の感触がよみがえるし、汗の匂いが甘く思い出される。
あかく染まりそうなほっぺたを手で押さえて、アイカはエドゥアルドを見た。
「それで……、みなさんにお会いするのは……」
「場所は廃都ザノヴァル。……もとの王都ですが、内戦の勃発以来、荒廃しております。しかし、イエリナ姫の推戴について合議するのに、ほかに相応しい場所がございません」
「あ、はい……。みなさんが、それで良ければ、私はどこでも……」
「ヴィスタドルの地は、廃都ザノヴァルから遠く、それに合わせて2週間後と期日を定めました」
「分かりました」
「それまでは、どうぞ城にて、ごゆるりとお過ごしくださいませ」
ある意味、なりゆき任せでザノクリフまで来たアイカ。
しかし、たくさんの血が流れている戦争を、自分の存在によって止められるかもしれないと思うと、見て見ぬふりすることはできなかった。
その行動の結果が、あと2週間で出る。
両手に、グッと力がこもった――。
余談ながら、ほほにあてた手に力を込めたので、結果的にアイカは変顔になった。
それを真正面から見せられたエドゥアルドは大変、反応に困った。
退出したあと「あれは、どういうことであろうか?」と問われたクリストフだが、
「さあ? 嬉しかったんじゃねぇか?」
とだけ、そっけなく応えた。
30
お気に入りに追加
404
あなたにおすすめの小説
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
異世界転移の……説明なし!
サイカ
ファンタジー
神木冬華(かみきとうか)28才OL。動物大好き、ネコ大好き。
仕事帰りいつもの道を歩いているといつの間にか周りが真っ暗闇。
しばらくすると突然視界が開け辺りを見渡すとそこはお城の屋根の上!? 無慈悲にも頭からまっ逆さまに落ちていく。
落ちていく途中で王子っぽいイケメンと目が合ったけれど落ちていく。そして…………
聞いたことのない国の名前に見たこともない草花。そして魔獣化してしまう動物達。
ここは異世界かな? 異世界だと思うけれど……どうやってここにきたのかわからない。
召喚されたわけでもないみたいだし、神様にも会っていない。元の世界で私がどうなっているのかもわからない。
私も異世界モノは好きでいろいろ読んできたから多少の知識はあると思い目立たないように慎重に行動していたつもりなのに……王族やら騎士団長やら関わらない方がよさそうな人達とばかりそうとは知らずに知り合ってしまう。
ピンチになったら大剣の勇者が現れ…………ない!
教会に行って祈ると神様と話せたり…………しない!
森で一緒になった相棒の三毛猫さんと共に、何の説明もなく異世界での生活を始めることになったお話。
※小説家になろうでも投稿しています。
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~
九頭七尾
ファンタジー
子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。
女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。
「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」
「その願い叶えて差し上げましょう!」
「えっ、いいの?」
転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。
「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」
思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる