213 / 307
第九章 山湫哀華
200.いいことあるかも
しおりを挟む
ルーファの南方に集結していた賊の兵員は、約2万人を数えた。
しかし、約8,000名の第六騎士団がひと当たりしただけで、霧散した。
もちろん、第六騎士団が精強であったということもある。ルクシア、ドーラ、ふたりの万騎兵長の指揮も巧みであった。
だが、それ以上に、賊たちにまとまりがなかった。
数百の賊たちが、ただ集まっているにすぎなかったのだ。
リティアが兜を脱ぐと、砂漠の陽光に、赤茶色の髪がキラキラと光る。
「我らの戦いは、これからが本番ぞ」
捕えた首領たちを次々に引見していく。
みな、若い。
縄を解かせたリティアは、かつてジョルジュにそうしたように、彼らと膝詰めで向き合う。
「自由気ままな賊の暮らしもよかろう」
「……」
「しかし、そなたらは族長ではあるまい?」
若い首領たちが、顔を上げる。
「年寄りどもの言うままに、他人の財貨を奪う暮らしに、心の平穏はないぞ?」
「……しかし」
「父母の恩には逆らえぬか?」
リティアは、侍女のアイシェ、ゼルフィアからの報告で、賊の中でも世代間で意識に差があることをつかんでいた。
すなわち、リティアによる帰順の呼びかけを、既得権をおかすものと捉える年寄りと、新たな生活を手に入れるチャンスと捉える若者との間で、意見の相違があった。
年寄りたちは結託し、若者たちを集めて武力で抵抗させようと謀った。
数だけは多く集まったが、全体を指揮できるような者はおらず、戦闘は各個撃破されるだけに終わった。
それも、相手となったのは、もとは賊であった同世代の若者たちが多い。
リティアは、彼らにニコリと微笑んだ。
「じいさんたちとは私が直接、話してみるとするか」
精巧なつくりの重装鎧が陽光を反射してキラリと光る。
地を這うような暮らしから、文明と文化の輝く暮らしに先導してくれているように、賊の若者たちの目には映った。
その王女が自ら出向いて、頑迷な父や祖父を説得してくれるというのであれば、彼らとしても願ったりかなったりであった。
なにも言わず、ただ地に額をこすりつけた。
リティアはそばに控えるアイシェに振り返った。
「さて、砂漠の旅も、そろそろ仕上げだな」
ここからは、リティア自ら兵を率いて、数百の賊をひとつひとつ訪ねて歩くしかない。
幼い婚約者フェティと、しばらく会えないのは残念だったが、多種多様な生きざまに直に触れられることに、胸を躍らせていた。
大地は春を迎え、リティアが16歳となった頃のことである。
*
リティアがプシャン砂漠の南方を巡遊し始めた頃、《聖山の大地》の南方でも、戦いに決着がついた。
第4王子サヴィアス率いるアルニティア騎士団が、アルナヴィス軍に敗れたのだ。
テノリア王国で無双を誇る騎士団の一角を占めたアルニティア騎士団であったが、サヴィアスの感情まかせな采配と、アルナヴィス軍の粘り腰のまえに徐々に後退を強いられていた。
サヴィアスに呆れて逃亡する騎士もでる中、四方からの奇襲をしかけたアルナヴィス軍に対処しきれず、ついに壊滅してしまった。
万騎兵長キリアルが、女官を1人つけて落ち延びさせたサヴィアス。
追っ手を振り切り、アルナヴィス南方の深い森の中で、うちひしがれていた。
「……どいつもこいつも役に立たぬ」
サヴィアス自身は、なぜこのような事態にいたったのか、まったく理解ができない。寄り添う女官の方が、よっぽど冷静であった。
「殿下……」
「なんだ!?」
「いずれ、ここにもアルナヴィスの兵が来ましょう」
「そんなことは、分かっている!」
「……食べ物も確保せねばなりません」
「そんなこと……、お前がどうにかしろ!」
「殿下……。私も出来るかぎりのことはいたしますが、限界がございます」
「……役に立たんヤツだ」
「申し訳ございません」
「ふん」
「……殿下は、これから、どちらに向かわれますか?」
「そんなことは、知らん! お前が考えろ」
「選択肢は多くはございません」
「……」
「ここより東はプシャン砂漠。ルーファに入られたリティア殿下を頼られるにしても砂漠を渡らねばなりません」
「リティアなんぞ!」
「我が父、ミトクリア候を頼っていただこうにも、アルナヴィス軍の目をかいくぐって北に向かわねばなりません」
敗れたばかりのアルナヴィス軍にふたたび立ち向かうことを考え、屈辱感にまみれた苦渋の表情をうかべるサヴィアス。
それを醒めた目線で見ている女官は、リティア初陣の相手となったミトクリア候の令嬢であった。側妃サフィナの計らいで、サヴィアスのもとに人質として差し出されていた。
名をソーニャという。
列候の令嬢という立場上、戦場においてもサヴィアスに随行していたが愛妾という訳ではない。
戦塵にまみれ、長くのばした藍色の髪はひとつにまとめられていたが、顔だちには気品があり、背筋をピンとのばした立ち姿も美しい。敗軍の将であるサヴィアスを前にしても、両手を前に組んで礼をはずれるような振る舞いはしないでいた。
「南に落ちれば、匿ってくれる列候もあるやもしれませんが、いずれアルナヴィスの手が伸びましょう」
「なんで、そんなことが分かる?」
「……《聖山の大地》は王都に陣取るリーヤボルク兵に対抗して、軍閥化が進んでおります。西ではペノリクウスを中心に《西方会盟》が勢力を伸ばしているとか……。そのような中、アルナヴィスが勢力を張るならば南に向かうしかありません」
「どいつもこいつも、好き勝手なことを……」
「あとは西南伯公女ロマナ様を頼って、西に落ちるか……、でございます」
「ロマナか……」
サヴィアスは何度も文をロマナに送っていた。
血縁的には異腹の甥レオノラの娘、姪孫にあたるが、いずれは妃にと考えていた。
「いずれにしましても……」
「なんだ?」
「ろくに食料も持たぬ中、追っ手の目をかわしながら、苦難の旅になるかと」
「くっ……」
ソーニャの冷静な指摘に、サヴィアスが苦悶の表情をうかべた。
庇護してくれていた母サフィナはすでにこの世になく、精強なアルニティア騎士団も失った。第4王子である自分が、物乞いのような旅をしなくてはならない。
そばにいるのは、育ちはよさそうだが、役に立ちそうにない令嬢だけである。
いつも誰かのせいにして生きてきたサヴィアスにとって、自らの力量が問われる場面は、底知れぬ恐怖として立ち塞がる。
そんなサヴィアスを、ソーニャは内心ほくそ笑んで眺めていた。
――かわいい。
敵軍から逃がしてくれる際、万騎兵長キリアルからは充分な路銀を持たされていた。
さらに、王族として身にまとう鎧や衣服を売り払えば、どこに落ちるのにも充分な資金が得られるはずである。どちらにせよ目立つ格好は避けなくてはいけない。
しかし、すぐにそれを告げても面白くない。
と、ソーニャは思っていた。
もともと尊大なサヴィアスが絶望にうちひしがれる様を、内心ニヤニヤと眺めるのは、これまでの復讐というよりは、ソーニャの性癖といったほうが正しい。
「殿下……」
「……なんだ?」
すっかり威勢をなくしたサヴィアスの返答に、ソーニャは背筋にゾクゾクっとしたものを感じた。
――自信喪失した、アホ王子……。最高じゃないですか。
「このまま、ここにいても、蛇など出ましたら……」
「蛇ぃ!?」
と、飛び上がったサヴィアスの姿にも、おもわず身震いしてしまう。
「まずは、いずこかの街をめざしましょうね」
子どもに話しかけるように言うと、うなだれたサヴィアスが、手を伸ばした。
――ぷぷーっ! 手を引けってこと!?
内心、地面をバンバン叩きながら笑い転げていたソーニャだったが、それをおくびにも出さず、にっこりと笑って、サヴィアスの手をとった。
手のひらは、子どものように温かい。
しかも、絶対に放さないぞと言わんばかりに、ギュウッと握りしめてくる。
ソーニャは顔を上に向け、亡くなった愛犬のことを思い出そうとしては笑いをこらえ、サヴィアスの手を引く。それに従うサヴィアスは重い脚を引きずり、項垂れて歩く。
手をつないで歩くふたりの影は、人目を忍びながら、西へと消えた。
*
「うわぁ……、キレイですねぇ~」
間道をぬけたアイカたちの眼前に、一面の花畑がひろがった。山の尾根から見下ろす、くだりの斜面いっぱいに黄色い花が咲いている。
そして、その先には東候エドゥアルドの居城、ラドラム城がかすんで見えた。
ゆっくりと馬を歩かせながら、クリストフもリラックスした表情で口をひらいた。
「ザノクリフの、春の花だ……」
「へぇ~、キレイです!」
「……そうか」
故郷の花を褒められたのが嬉しかったのか、口の悪いクリストフにしては珍しく、言葉少なに顔を背けた。
雄大な山々、そこに広がる花畑、まるでスイスで散歩してるみたいだと――行ったことはないが――思ったアイカは、ジロウの背中で揺られて、鼻歌まじりに進んだ。
美しい花々を見られて上機嫌のアイカは、いいことあるかもと考えながら、ラドラム城の城門をくぐった――。
しかし、約8,000名の第六騎士団がひと当たりしただけで、霧散した。
もちろん、第六騎士団が精強であったということもある。ルクシア、ドーラ、ふたりの万騎兵長の指揮も巧みであった。
だが、それ以上に、賊たちにまとまりがなかった。
数百の賊たちが、ただ集まっているにすぎなかったのだ。
リティアが兜を脱ぐと、砂漠の陽光に、赤茶色の髪がキラキラと光る。
「我らの戦いは、これからが本番ぞ」
捕えた首領たちを次々に引見していく。
みな、若い。
縄を解かせたリティアは、かつてジョルジュにそうしたように、彼らと膝詰めで向き合う。
「自由気ままな賊の暮らしもよかろう」
「……」
「しかし、そなたらは族長ではあるまい?」
若い首領たちが、顔を上げる。
「年寄りどもの言うままに、他人の財貨を奪う暮らしに、心の平穏はないぞ?」
「……しかし」
「父母の恩には逆らえぬか?」
リティアは、侍女のアイシェ、ゼルフィアからの報告で、賊の中でも世代間で意識に差があることをつかんでいた。
すなわち、リティアによる帰順の呼びかけを、既得権をおかすものと捉える年寄りと、新たな生活を手に入れるチャンスと捉える若者との間で、意見の相違があった。
年寄りたちは結託し、若者たちを集めて武力で抵抗させようと謀った。
数だけは多く集まったが、全体を指揮できるような者はおらず、戦闘は各個撃破されるだけに終わった。
それも、相手となったのは、もとは賊であった同世代の若者たちが多い。
リティアは、彼らにニコリと微笑んだ。
「じいさんたちとは私が直接、話してみるとするか」
精巧なつくりの重装鎧が陽光を反射してキラリと光る。
地を這うような暮らしから、文明と文化の輝く暮らしに先導してくれているように、賊の若者たちの目には映った。
その王女が自ら出向いて、頑迷な父や祖父を説得してくれるというのであれば、彼らとしても願ったりかなったりであった。
なにも言わず、ただ地に額をこすりつけた。
リティアはそばに控えるアイシェに振り返った。
「さて、砂漠の旅も、そろそろ仕上げだな」
ここからは、リティア自ら兵を率いて、数百の賊をひとつひとつ訪ねて歩くしかない。
幼い婚約者フェティと、しばらく会えないのは残念だったが、多種多様な生きざまに直に触れられることに、胸を躍らせていた。
大地は春を迎え、リティアが16歳となった頃のことである。
*
リティアがプシャン砂漠の南方を巡遊し始めた頃、《聖山の大地》の南方でも、戦いに決着がついた。
第4王子サヴィアス率いるアルニティア騎士団が、アルナヴィス軍に敗れたのだ。
テノリア王国で無双を誇る騎士団の一角を占めたアルニティア騎士団であったが、サヴィアスの感情まかせな采配と、アルナヴィス軍の粘り腰のまえに徐々に後退を強いられていた。
サヴィアスに呆れて逃亡する騎士もでる中、四方からの奇襲をしかけたアルナヴィス軍に対処しきれず、ついに壊滅してしまった。
万騎兵長キリアルが、女官を1人つけて落ち延びさせたサヴィアス。
追っ手を振り切り、アルナヴィス南方の深い森の中で、うちひしがれていた。
「……どいつもこいつも役に立たぬ」
サヴィアス自身は、なぜこのような事態にいたったのか、まったく理解ができない。寄り添う女官の方が、よっぽど冷静であった。
「殿下……」
「なんだ!?」
「いずれ、ここにもアルナヴィスの兵が来ましょう」
「そんなことは、分かっている!」
「……食べ物も確保せねばなりません」
「そんなこと……、お前がどうにかしろ!」
「殿下……。私も出来るかぎりのことはいたしますが、限界がございます」
「……役に立たんヤツだ」
「申し訳ございません」
「ふん」
「……殿下は、これから、どちらに向かわれますか?」
「そんなことは、知らん! お前が考えろ」
「選択肢は多くはございません」
「……」
「ここより東はプシャン砂漠。ルーファに入られたリティア殿下を頼られるにしても砂漠を渡らねばなりません」
「リティアなんぞ!」
「我が父、ミトクリア候を頼っていただこうにも、アルナヴィス軍の目をかいくぐって北に向かわねばなりません」
敗れたばかりのアルナヴィス軍にふたたび立ち向かうことを考え、屈辱感にまみれた苦渋の表情をうかべるサヴィアス。
それを醒めた目線で見ている女官は、リティア初陣の相手となったミトクリア候の令嬢であった。側妃サフィナの計らいで、サヴィアスのもとに人質として差し出されていた。
名をソーニャという。
列候の令嬢という立場上、戦場においてもサヴィアスに随行していたが愛妾という訳ではない。
戦塵にまみれ、長くのばした藍色の髪はひとつにまとめられていたが、顔だちには気品があり、背筋をピンとのばした立ち姿も美しい。敗軍の将であるサヴィアスを前にしても、両手を前に組んで礼をはずれるような振る舞いはしないでいた。
「南に落ちれば、匿ってくれる列候もあるやもしれませんが、いずれアルナヴィスの手が伸びましょう」
「なんで、そんなことが分かる?」
「……《聖山の大地》は王都に陣取るリーヤボルク兵に対抗して、軍閥化が進んでおります。西ではペノリクウスを中心に《西方会盟》が勢力を伸ばしているとか……。そのような中、アルナヴィスが勢力を張るならば南に向かうしかありません」
「どいつもこいつも、好き勝手なことを……」
「あとは西南伯公女ロマナ様を頼って、西に落ちるか……、でございます」
「ロマナか……」
サヴィアスは何度も文をロマナに送っていた。
血縁的には異腹の甥レオノラの娘、姪孫にあたるが、いずれは妃にと考えていた。
「いずれにしましても……」
「なんだ?」
「ろくに食料も持たぬ中、追っ手の目をかわしながら、苦難の旅になるかと」
「くっ……」
ソーニャの冷静な指摘に、サヴィアスが苦悶の表情をうかべた。
庇護してくれていた母サフィナはすでにこの世になく、精強なアルニティア騎士団も失った。第4王子である自分が、物乞いのような旅をしなくてはならない。
そばにいるのは、育ちはよさそうだが、役に立ちそうにない令嬢だけである。
いつも誰かのせいにして生きてきたサヴィアスにとって、自らの力量が問われる場面は、底知れぬ恐怖として立ち塞がる。
そんなサヴィアスを、ソーニャは内心ほくそ笑んで眺めていた。
――かわいい。
敵軍から逃がしてくれる際、万騎兵長キリアルからは充分な路銀を持たされていた。
さらに、王族として身にまとう鎧や衣服を売り払えば、どこに落ちるのにも充分な資金が得られるはずである。どちらにせよ目立つ格好は避けなくてはいけない。
しかし、すぐにそれを告げても面白くない。
と、ソーニャは思っていた。
もともと尊大なサヴィアスが絶望にうちひしがれる様を、内心ニヤニヤと眺めるのは、これまでの復讐というよりは、ソーニャの性癖といったほうが正しい。
「殿下……」
「……なんだ?」
すっかり威勢をなくしたサヴィアスの返答に、ソーニャは背筋にゾクゾクっとしたものを感じた。
――自信喪失した、アホ王子……。最高じゃないですか。
「このまま、ここにいても、蛇など出ましたら……」
「蛇ぃ!?」
と、飛び上がったサヴィアスの姿にも、おもわず身震いしてしまう。
「まずは、いずこかの街をめざしましょうね」
子どもに話しかけるように言うと、うなだれたサヴィアスが、手を伸ばした。
――ぷぷーっ! 手を引けってこと!?
内心、地面をバンバン叩きながら笑い転げていたソーニャだったが、それをおくびにも出さず、にっこりと笑って、サヴィアスの手をとった。
手のひらは、子どものように温かい。
しかも、絶対に放さないぞと言わんばかりに、ギュウッと握りしめてくる。
ソーニャは顔を上に向け、亡くなった愛犬のことを思い出そうとしては笑いをこらえ、サヴィアスの手を引く。それに従うサヴィアスは重い脚を引きずり、項垂れて歩く。
手をつないで歩くふたりの影は、人目を忍びながら、西へと消えた。
*
「うわぁ……、キレイですねぇ~」
間道をぬけたアイカたちの眼前に、一面の花畑がひろがった。山の尾根から見下ろす、くだりの斜面いっぱいに黄色い花が咲いている。
そして、その先には東候エドゥアルドの居城、ラドラム城がかすんで見えた。
ゆっくりと馬を歩かせながら、クリストフもリラックスした表情で口をひらいた。
「ザノクリフの、春の花だ……」
「へぇ~、キレイです!」
「……そうか」
故郷の花を褒められたのが嬉しかったのか、口の悪いクリストフにしては珍しく、言葉少なに顔を背けた。
雄大な山々、そこに広がる花畑、まるでスイスで散歩してるみたいだと――行ったことはないが――思ったアイカは、ジロウの背中で揺られて、鼻歌まじりに進んだ。
美しい花々を見られて上機嫌のアイカは、いいことあるかもと考えながら、ラドラム城の城門をくぐった――。
38
お気に入りに追加
522
あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
公爵令嬢の私に騎士も誰も敵わないのですか?
海野幻創
ファンタジー
公爵令嬢であるエマ・ヴァロワは、最高の結婚をするために幼いころから努力を続けてきた。
そんなエマの婚約者となったのは、多くの人から尊敬を集め、立派な方だと口々に評される名門貴族の跡取り息子、コンティ公爵だった。
夢が叶いそうだと期待に胸を膨らませ、結婚準備をしていたのだが──
「おそろしい女……」
助けてあげたのにも関わらず、お礼をして抱きしめてくれるどころか、コンティ公爵は化け物を見るような目つきで逃げ去っていった。
なんて男!
最高の結婚相手だなんて間違いだったわ!
自国でも隣国でも結婚相手に恵まれず、結婚相手を探すだけの社交界から離れたくなった私は、遠い北の地に住む母の元へ行くことに決めた。
遠い2000キロの旅路を執事のシュヴァリエと共に行く。
仕える者に対する態度がなっていない最低の執事だけど、必死になって私を守るし、どうやらとても強いらしい──
しかし、シュヴァリエは私の方がもっと強いのだという。まさかとは思ったが、それには理由があったのだ。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~
紅月シン
ファンタジー
聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。
いや嘘だ。
本当は不満でいっぱいだった。
食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。
だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。
しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。
そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。
二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。
だが彼女は知らなかった。
三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。
知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。
※完結しました。
※小説家になろう様にも投稿しています

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!
しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。
けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。
そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。
そして王家主催の夜会で事は起こった。
第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。
そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。
しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。
全12話
ご都合主義のゆるゆる設定です。
言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。
登場人物へのざまぁはほぼ無いです。
魔法、スキルの内容については独自設定になっています。
誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる