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最終話.ストレージ
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「まだかな……」
と、ソフィアが部屋の中をウロウロしている。
「少し落ち着け」
「だって」
帝都の学校を卒業したダヴィデが、まもなく私を迎えに来るのだ。姉のお前がソワソワするのは変だろう。
「ねえ、アルマ」
「なんだ?」
「アルマの取り寄せで、ちょちょいとダヴィデを……」
「そんな嫁入り、私がイヤだ」
「それもそうかあ……」
私が左手の薬指に目を落とすと、草の指輪はまだ瑞々しい。もちろん、魔導の力だ。
ダヴィデは、私と婚約する約束を交わした者という、よく分からない立場で帝都の学校に押し込んだ。もちろん、そこは皇女の権力をフルに使った。
レンファはその翌年に無事結婚して、国に帰った。その時にマリーベルも一緒に移住してしまった。竜が神聖なものと尊ばれる国柄らしく居心地が良いそうだ。
ラミアはランプの魔人と空飛ぶ絨毯で世界一周の旅に出た。たまに珍しい肉を届けてくれる。
オリヴィアは兄貴によく似た男と、さっさと結婚してしまった。人の恋路を邪魔しておいて自分はさっさと片付く。あいつは、そういうヤツだ。幸せなら私に文句はない。
魔王と大天使とセイレーンの姫と闇の魔導師に子守りされて育ったマゾ美は、とても達観した魔族に育った。今は新魔王として働きやすい魔界づくりに精を出している。
マゾ子とマゾ夫はマゾ美を助けつつ、魔界で子育てのカリスマのような扱いを受けて忙しくしているらしい。
魔王と大天使はマゾ美の子育てという共同作業で意気投合し、私の異次元に居着いて仲良く飲んだくれている。子はかすがいと言うからな。平和ならそれでいい。
イザベラは引退したミカエラの跡を継いで、セイレーンの女王になった。ヤミィもその王配として、せっせと愛の巣を築いている。
魔王が攻撃してきたとき、イザベラの危機を察知したミカエラは魔秘宝の盾を持ってすぐ側まで来てたらしい。
ただ、到着前に私が収納してしまったので、出るタイミングを失くしてスゴスゴ帰ったそうだ。女王で母親の見せ場を奪ってしまった。なんだか、少し悪いことをした。
と、コンコンと扉をノックする音がした。
「アルマ! アルマ!」
と、ソフィアが私の肩をバンバン叩く。
ソフィアはソフィアなりに反省していたらしく、刑期いっぱい流刑を務め、それも昨年終えた。
ダヴィデが帝都に旅立ってからは、女2人、上手い料理を食うだけの生活を楽しんだ。私の希望で、結婚後も一緒に暮らすことにした。
扉を開くと、ダヴィデがはにかんだ笑顔で立っていた。
「ただいま」
「うむ。おかえり」
「あの……」
「うむ」
「婚約……、してくれますか?」
「ぜひお願いしたい」
「……やった」
と、ダヴィデが小さくガッツポーズをした。変わらないヤツだ。
「ダヴィデ」
「はいっ」
「こう言う時は、抱き締めてくれたら、なお嬉しいな」
紆余曲折あり過ぎたが、ようやく私も愛する人の胸の中に『収納』された。
いや、愛してくれる人の胸の中か。
おっ。なかなか男らしい胸板になってるじゃないか。ドキッとしてしまったぞ。
せっかくなので、今度こそ婚約期間を最後まで楽しませてほしい。ウェディングドレスを一緒に選んだりしてほしい。何着でも着て見せるぞ。結婚までの日々をウキウキ指折り数えて過ごしたい。きっと楽しいぞ。
それから、ずっと大切にしてくれ。
なにせ私は魔王も大天使も使役する大魔導師だ。たぶん、時間は無限にある。
ずっとずっと、幸せでいよう。
と、ソフィアが部屋の中をウロウロしている。
「少し落ち着け」
「だって」
帝都の学校を卒業したダヴィデが、まもなく私を迎えに来るのだ。姉のお前がソワソワするのは変だろう。
「ねえ、アルマ」
「なんだ?」
「アルマの取り寄せで、ちょちょいとダヴィデを……」
「そんな嫁入り、私がイヤだ」
「それもそうかあ……」
私が左手の薬指に目を落とすと、草の指輪はまだ瑞々しい。もちろん、魔導の力だ。
ダヴィデは、私と婚約する約束を交わした者という、よく分からない立場で帝都の学校に押し込んだ。もちろん、そこは皇女の権力をフルに使った。
レンファはその翌年に無事結婚して、国に帰った。その時にマリーベルも一緒に移住してしまった。竜が神聖なものと尊ばれる国柄らしく居心地が良いそうだ。
ラミアはランプの魔人と空飛ぶ絨毯で世界一周の旅に出た。たまに珍しい肉を届けてくれる。
オリヴィアは兄貴によく似た男と、さっさと結婚してしまった。人の恋路を邪魔しておいて自分はさっさと片付く。あいつは、そういうヤツだ。幸せなら私に文句はない。
魔王と大天使とセイレーンの姫と闇の魔導師に子守りされて育ったマゾ美は、とても達観した魔族に育った。今は新魔王として働きやすい魔界づくりに精を出している。
マゾ子とマゾ夫はマゾ美を助けつつ、魔界で子育てのカリスマのような扱いを受けて忙しくしているらしい。
魔王と大天使はマゾ美の子育てという共同作業で意気投合し、私の異次元に居着いて仲良く飲んだくれている。子はかすがいと言うからな。平和ならそれでいい。
イザベラは引退したミカエラの跡を継いで、セイレーンの女王になった。ヤミィもその王配として、せっせと愛の巣を築いている。
魔王が攻撃してきたとき、イザベラの危機を察知したミカエラは魔秘宝の盾を持ってすぐ側まで来てたらしい。
ただ、到着前に私が収納してしまったので、出るタイミングを失くしてスゴスゴ帰ったそうだ。女王で母親の見せ場を奪ってしまった。なんだか、少し悪いことをした。
と、コンコンと扉をノックする音がした。
「アルマ! アルマ!」
と、ソフィアが私の肩をバンバン叩く。
ソフィアはソフィアなりに反省していたらしく、刑期いっぱい流刑を務め、それも昨年終えた。
ダヴィデが帝都に旅立ってからは、女2人、上手い料理を食うだけの生活を楽しんだ。私の希望で、結婚後も一緒に暮らすことにした。
扉を開くと、ダヴィデがはにかんだ笑顔で立っていた。
「ただいま」
「うむ。おかえり」
「あの……」
「うむ」
「婚約……、してくれますか?」
「ぜひお願いしたい」
「……やった」
と、ダヴィデが小さくガッツポーズをした。変わらないヤツだ。
「ダヴィデ」
「はいっ」
「こう言う時は、抱き締めてくれたら、なお嬉しいな」
紆余曲折あり過ぎたが、ようやく私も愛する人の胸の中に『収納』された。
いや、愛してくれる人の胸の中か。
おっ。なかなか男らしい胸板になってるじゃないか。ドキッとしてしまったぞ。
せっかくなので、今度こそ婚約期間を最後まで楽しませてほしい。ウェディングドレスを一緒に選んだりしてほしい。何着でも着て見せるぞ。結婚までの日々をウキウキ指折り数えて過ごしたい。きっと楽しいぞ。
それから、ずっと大切にしてくれ。
なにせ私は魔王も大天使も使役する大魔導師だ。たぶん、時間は無限にある。
ずっとずっと、幸せでいよう。
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