ノア

あた

文字の大きさ
上 下
12 / 20

仲間

しおりを挟む
 蝉の声が山中に鳴り響くころ、第四期の課題曲が発表された。
 残り十名となった生徒たちが、掲示板に張り出された紙を見ている。

「第四期課題曲 亡き女王のためのパヴァーヌ」

 明日香は、掲示板を見あげながらつぶやいた。
「あと二回かあ」
「あっらあ、千秋さんは次のテストは勝ち上がれるって確信してるんだあ、すごーい」
 背後から聞こえてきた水瀬の言葉に、明日香はぶんぶん首を振った。
「い、いや、違う」

「自信があるのは悪いこと? 私だって残る気でいるけど、あなたは違うの?」
 冬芽が冷たい声で言う。水瀬はふん、と鼻を鳴らし、廊下の向こうへと歩いて行った。

「はいはーい、俺も勝つ気でーす」
 春川がゆるく手をあげる。冬芽は春川に目をやって、その温度のない瞳を輝かせながら猫耳に手を伸ばした。

「すごいわ……猫の耳そのものだわ」
「ちょ、いたい、いたいって」
 ぐいぐい引っ張られ、春川がうめく。
「そうだよね、勝ち上がれるといいよね、ねっ、滝沢君!」

 夏美がにこやかに笑いかけると、滝沢も微笑み返した。
「そうだね、南雲さんは勝ち上がれるかもしれない」
 冬芽の視線が滝沢をとらえる。
「どういう意味かしら、滝沢君」

 滝沢は明日香、春川、冬芽を見回して言う。
「君たち三人には瑕疵がある。だから次は落ちると思う」
 明日香は息を飲んだ。春川がえー? と言いながら首をかしげる。

「カシってなに」
「春川は技巧に頼りすぎている。冬芽は演奏に起伏がない。千秋は技巧に不安がある。バランスがいいのは南雲さんだけだ」
 滝沢の指摘に、千秋はうっ、と呻いた。春川はんー、と顎に指を当て、
「でもさあ、一個忘れてね?」
「なに?」
 滝沢を指さす。
「俺たちはノアに選ばれたけど、お前違うじゃん」

 滝沢はふっと笑い、おめでたいな、と言った。
「そんなことに何の意味がある? 最優秀生徒を決めるのはノアじゃない」
 そういって歩き出した滝沢に、春川はべーっと舌を出す。

「やーなかんじ」
「でも、滝沢くんのいうことは的を射ている」
 冬芽の言葉に、夏美がうん、とうなずく。
「がんばらないとだね!」
「南雲さんはいいじゃん。俺たちカシありだもんねー、冬芽さん」
「ええ、そうね、春川君。じゃあ、夏美、さよならね」
「え、ちょ、仲間外れはやだよー!」

 夏美は半泣きで二人をおいかける。明日香は滝沢の歩いていったほうに足を向けた。

「滝沢君」
 渡り廊下で声をかけると、滝沢が足を止め、振り返った。明日香も足を止めて、その視線を受け止める。
「なに? 千秋さん」
「あの……ウトのことなんだけど」
「その話は終わったはずだけど」

 突き放すような言い方に負けないように、千秋はぐ、とこぶしを握った。
「おっ、終わってないよ。滝沢君だけが本当のことを知ってるのは、不公平だと、思う」
「君にだけは不公平だとか、言われたくないんだけど」

 ちょうど二メートルほどの間隔が、二人の間に空いている。もっと近づきたいのに、その距離を縮めることが、明日香にはできない。彼が明日香を、拒絶しているから。

「滝沢君は……どうしてそんなに、私が嫌いなの?」

 茶色い瞳が、かすかに陰った。しかし、すぐにいつもの冷静な瞳へと戻る。

「日本には、どれくらいの人がいると思う?」
「え? ……いち、おく?」
「人口は減ってるから、もっと少ないよ。それだけの人がいて、全員が君を好きになると思う?」
「思わ、ない」
「だろう? それに、あと二回で最優秀に選ばれるかどうかが決まるっていうのに、そんなこと気にしてる場合なのかな」

 君にそんな余裕があるの? そう尋ねられ、明日香はかっ、と赤くなった。
「結局、おしえて、くれないの」
「そうだな、もし君が最優秀になれたら」

 その時教えてあげる。そんなことはありえないだろうが。そう言いたげに、滝沢は微笑んだ。



「ほー、パヴァーヌか」
 寮のロビーにて、ノアは明日香の揺らすススキにつられて前足を動かした。その様子は完全にただの猫である。明日香は楽譜を開きながら言う。
「うん。二人ずつ弾いて、優劣をつけるんだって」
「お前の相手は?」
「まだわからない。あとでくじをひくんだって」
「しかし、相手が滝沢とかだったら最悪だな」
「どうして? たとえ滝沢くんが相手でも、私、負けないよ」

 ノアがすすきを離して、青い瞳を丸くした。
「どーした明日香。滝沢教の信者は卒業したのか」
「そんなの入ってないよ……」
 明日香がため息をついていたら、静乃がやってきた。

「あら、明日香ちゃん、ここにいたの。理事長がおよびよ。次回テストの組み合わせ、くじ引きするんですって」
「は、はい」
 明日香はソファから立ち上がる。代わりに静乃がソファにかけ、ノアを抱き上げた。

「にしても酷よねえ、二人のどちらかは絶対落ちるんだもの」
「でも、今までも、ふるいにかけられてきたから」
「もう慣れちゃった?」
 静乃の問いにあいまいに笑い、明日香はエントランスを出た。

 十人の生徒たちは理事長室に集められていた。理事長は爪を磨きながら教師に目をやる。
「それでは、第四回試験の課題における、組み合わせを発表する」
 教師はぴら、と紙を手にもち、口を開いた。
「まず一組目。水瀬、桐嶋(きりしま)」
「二組目、鹿島、酒井」
「三組目、滝沢、藤沢」
「四組目、冬芽、南雲夏美」

 夏美が息をのんだ。冬芽は無表情で前を向いている。

「五組目、千秋、春川」
 明日香ははっとして春川を見た。春川は頭をかいて、困ったように笑う。

 解散を告げられてぞろぞろと生徒たちが出ていき、残ったのはノアに選ばれた四人だった。夏美は気まずい空気を払拭するように、笑顔で言う。

「冬芽ちゃん、びっくりしたね、でも、お互い頑張ろうね!」
 冬芽は夏美に目を向け、温度のない声で言う。
「夏美、頑張ろうなんて軽々しく言うべきじゃないわ」
「え?」
「私たちは、いわば殺し合いをしなきゃならないんだから」
 夏美は曖昧に笑った。
「そんな、大げさだよ、私たち友達じゃない」
「昨日の友は、今日の敵よ」
「そんな言葉ないよう……」

 すたすた歩いていく冬芽を、夏美は悲しげに見ている。彼女の活発さを象徴するようなツインテールが、萎れるように垂れ下がっていた。

明日香は二人の様子を目で追った後、ちらりと春川を見る。春川は苦笑いを浮かべ、言った。
「ま、お手柔らかに頼むわ」
 明日香はぎこちなくうなずいた。


 明日香は練習室で、課題曲を弾いていた。手を止め、幾度目かわからないため息をつく。ノアがいらいらした様子で言う。
「おい、明日香。なんなんだよ溜息ばっかつきやがって、ロックじゃねーなおい」
 明日香はちらっとノアを見た。
「ノアはいいよね……悩みがなさそうで」
「なんだと! 俺様を侮辱してんのか、あ!?」

 ノアは明日香のふくらはぎをびしばしとたたく。
「してないよ……いてて、叩かないで」

 明日香はノアの猫パンチをかわしながら、ピアノの鍵盤に触れた。亡き女王のためのパヴァーヌ。パヴァーヌというのは古典的な曲の形式のことだ。ラヴェルはあまり気に入っていなかったということだが、明日香は「パヴァーヌ」が好きだった。

 主旋律は少し悲しげで、心に染み入るよう音色を奏でている。聞いている分にはそう複雑な印象を受けないが、弾いてみると高い難易度なのだ、と思う。

 しかし、テスト用に選ぶには、評価を下しにくい曲なのでは、と思うのも確かだった。主旋律も曲の印象も最後まで大きく変わることはない。だからこそその中でどれだけの表現をなしうるか、ということが評価の対象なのだろうか。

 演奏を遮るように、ノアが口を開く。
「おいおい、なんか眠くなる曲だなあおい」
「だって、こういう曲なんだよ」
「ちげえよ、お前の演奏がねむてーって言ってんだよ」
「そんなこと言われても」

 ノアはしっぽを揺らしながら、
「お前の対戦相手は誰だ? 明日香」
「春川くん」
「ああ、あいつか……まさかそれで落ち込んでんのか? あ?」
「だって、春川君、せっかく復活したのに」
「おいおい、お前ずいぶん余裕があるなあ、明日香。お前が勝てるって保証あんのか」
「ない、けど」
 だけど──今までだってなんとかなってきたんだし。

「お前自分が勝てるって思い込んでるだろ。そんなんじゃ負けるぜ」
「滝沢君みたいなこと言わないでよ」
「いいから練習しろ練習!」

 びしびしとむちのようにしなるしっぽを見て、明日香はつぶやく。
「春川君はやっぱり猫耳をつけて演奏するかなあ」
「お前もつけるか? 明日香」
「うーん……」

 明日香は春川の演奏を思い出していた。彼の強みはやはりあのスピードだ。しかし、『亡き女王のためのパヴァーヌ』は、スピードを上げて弾くような曲ではない。春川にとってはあまり得意な曲ではないのではないだろうか、と思うのだ。

「だいたい、なんで二人ずつ弾かせるんだろう」
 誰と当たるかは運によるところだろうし、甲乙告げがたい場合だってあるはずだ。
「知らねーけど、教本通りに弾いても勝てねえってことじゃねえの」
 ふたたびふくらはぎに猫パンチを食らわされ、明日香はダメージを回避するため練習を再開した。

 練習室を出て、寮に戻るため外に出たら、ずいぶんと暗くなっていた。
「遅くなっちゃった……夕食に間に合うかなあ」
 急いで寮に向かっていた明日香は、がさり、と鳴った茂みにびくりとする。
「な、なに?」

 そっと茂みの向こうをのぞくと、桐嶋と藤沢がたばこを吸っているのが見えた。明日香はギョッとする。確か、たばこって退学処分じゃなかっただろうか。

「ったく最悪だよ。滝沢と当るなんて」
「ついてねーな。オツカレサマでしたー」
「まだ負けてねーだろ」
 桐島が舌打ちする。藤沢は肩をすくめ、
「しかし奇跡でも起こらないかぎり勝てねえだろうよ」
「奇跡かあ……、いっそのこと、指でも折っちまうか?」
「そんなことした時点で失格だろ」
「だからあ、ばれねーよーにやんだよ」

 明日香はどくどく鳴る心臓を抑えた。滝沢に教えないと。そっと後ずさると、その拍子に踏んだ枝がばきりと鳴る。

「!」
「誰だ!」
 明日香は慌てて走り出した。リュックに入ったノアが息巻いている。
「なんで逃げるんだよ明日香! あんなやつらいてこましたれ!」
「無理だよ!」

 意外にも桐嶋たちの足は遅く、明日香はなんとか寮に駆け込むことができた。ロビーで息をついていると、静乃がやってきて目を瞬く。

「あら、明日香ちゃん、どうしたの」
「た、たきざわ、くんは」
「部屋にいると思うけど? 一〇三号室」
 明日香は急いで滝沢の部屋に向かった。どんどん、とノックをする。

「滝沢君!」
 がちゃりとドアが開き、顔を出した滝沢が不審そうな顔をする。

「千秋さん?」
「た、大変なの、今、桐嶋くんたちが話してたんだけど、た、滝沢君の指を折るとかなんとか」

 滝沢は明日香から、聞こえてきた足音のほうに視線を移す。桐嶋たちが走ってきた。
「千秋イ!」
「わっ」
 明日香はびくりと身体を揺らす。

 滝沢に気付いた桐嶋たちは、ぜいはあ言いながら笑顔を浮かべた。
「あ、おう、滝沢」
「千秋から変な話聞いたかもしれねーけど、ジョーダンだから!」
 明日香は彼らの言葉を否定する。
「うそだ! 本気だった!」

「お前よけーなこと言ってんじゃねーよ!」
 振り上げられた手を、滝沢がつかんだ。
「人の部屋の前で大声出さないでくれるかな。もう八時だよ」
 滝沢が掴んだ腕が、ぎりぎりと音を立てる。桐嶋は顔を引きつらせた。

「わ、わかったから、離せよ」
 滝沢は彼の腕を離し、明日香に目をやる。
「千秋さんも。ここ、女子は立ち入り禁止だろ」
「でも」
「そ、そうだそうだ。さ、俺たちも夕飯食いに行こうぜ」
「ああ、それから」

 滝沢は桐嶋と藤沢を見て、にこりと笑った。
「知ってる? ねずみって、ああ見えてなかなかあごの力が強いんだ。人間の指くらいなら簡単に食いちぎることができるらしいよ」
「は?」
「俺、ねずみを飼ってるんだ。賢いねずみでね、俺の言ったことはなんでもかなえてくれる。朝起きて、指がない、なんてことになるかもしれないけど、そうなってもいいなら」

 滝沢は笑顔を消し、自身の手を差し出した。
「折ったら?」
「え、遠慮する!」

 藤沢と桐嶋はぶんぶん首を振って、そそくさと去っていった。明日香は二人をぽかんと見た。滝沢が何事もなかったかのように言う。
「千秋さんも早くいかないと夕飯なくなるよ」
「ねずみって、ウトのこと?」
「そうだけど」
「おう、ウトの野郎どこにいやがんだ」

 ノアはリュックから飛び降り、滝沢の開けたドアの隙間から侵入しようとしている。
「あの、滝沢君、ノアの言ってること、わかるんじゃない?」
 滝沢はイエスともノーと言わず、ノアを抱き上げた。ノアはしゃーっと鳴いたが、のどを撫でられてごろごろ鳴く。

「お、こいつ撫でるのうめーじゃねーか」
「の、ノア……」
「ペットは飼い主に似るっていうけど本当だな」
 自分もあんなふうだったのだろうかと思って、明日香は赤くなる。

「ど、どういう意味?」
「ずかずか人の領域に入ってくるところがそっくりだね、って意味」
「た、滝沢君だって、ウトはなんか陰険な感じで滝沢君に似て」
「ん?」
「え」
「誰が陰険だって?」
「す、すいません、そんなつもりじゃ」

 明日香は後ずさった。滝沢はノアを抱いたまま近づいてくる。
「大体、俺が怪我したほうが、ライバルが減ってうれしいんじゃないの?」
「そんなこと、思わないよ」
「どうかな」
「どうして、そんなこと言うの?」
「千秋さんこそ、いつまでそんなにのんきなの?」
「のんきなんかじゃないよ」
「じゃあ俺のことは放っておいて、どうやったら春川に勝てるか考えたら?」

 滝沢は明日香にノアを押し付け、すたすた部屋に戻っていく。明日香はうつむいて、ノアをぎゅっと抱きしめた。


 翌日、明日香は『亡き女王のためのパヴァーヌ』のCDを探しに視聴覚室に向かった。ブースに入り、CDを聞いていると、隣のブースからはあー、はあー、という深い嘆息が聞こえてきた。

 ひょこりと顔をのぞかせると、夏美が浮かない顔でぼんやりと肘をついている。

「南雲さん?」
「あ、千秋さん」
 夏美は明日香に顔を向け、またため息をついた。明日香はなんとなく謝る。

「えーっと、なんかごめん」
「ううん、千秋さんのせいじゃないの……冬芽ちゃんがね、口きいてくれなくて」
「対戦相手だから?」
「そうなの! なんか春川君と仲良しなの! 私一人ぼっちだよお……」
「春川君と?」

 あの二人が仲良くしているというのも想像がつかないけど……。

「なんかね、互いに学ぶところがある、んだって」
「学ぶところ……」
 明日香ははっとした。そうか。
「あの、南雲さん、南雲さんの演奏、聞かせてくれない?」
「わたし?」
 夏美はきょとんとしている。

「うん、それでね、私、気が付いたことを言うから、南雲さんも言ってほしいの」
「批評しあう、ってこと? 面白そう!」
 夏美は眼を輝かせた。明日香と夏美はさっそく練習室に向かう。その途中、春川と冬芽とすれ違った。

「と、冬芽ちゃん、やっほー」
 夏美のあいさつにうなずきだけで返し、冬芽はすたすた歩いていく。夏美はうう、とうなだれている。

 明日香がちらりと振り返ると、春川は肩をすくめて手を振った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

私の守護者

安東門々
青春
 大小併せると二十を超える企業を運営する三春グループ。  そこの高校生で一人娘の 五色 愛(ごしき めぐ)は常に災難に見舞われている。  ついに命を狙う犯行予告まで届いてしまった。  困り果てた両親は、青年 蒲生 盛矢(がもう もりや) に娘の命を護るように命じた。  二人が織りなすドタバタ・ハッピーで同居な日常。  「私がいつも安心して暮らせているのは、あなたがいるからです」    今日も彼女たちに災難が降りかかる!    ※表紙絵 もみじこ様  ※本編完結しております。エタりません!  ※ドリーム大賞応募作品!   

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

真夏の温泉物語

矢木羽研
青春
山奥の温泉にのんびり浸かっていた俺の前に現れた謎の少女は何者……?ちょっとエッチ(R15)で切ない、真夏の白昼夢。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

処理中です...