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義妹
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ずっと、嫌いで、いなくなってほしくて、だから、せいせいしている。誠司が、京都に行くことになって。
窓の外で、蝉がみんみんと鳴き声を上げる。美月は、全く進んでいない課題をぼうっと見つめていた。
「みつき!」
友人の声に、はっとする。
「ご、ごめん、なに?」
「なに、じゃないわよ。ぼーっとして。具合わるいの?」
「ううん、なんでもない」
「にしても、いーなあ、一人部屋。私んち妹ばっかだから、二人一部屋なの。勉強なんかできやしないっての」
今、二人は美月の部屋にいる。夏休みの課題が全然進まないという友人と勉強しようという話になったのだが、図書館は混んでいるし、学校は暑い。ファミレスは勉強しているとやんわり注意される。
「でもさ、美月。絶対うちには呼びたくない!って言ってたじゃん」
「いま、あいついないから」
「あいつって誠司先輩?ああ、夏期講習か」
美月たちの学校では、模試を兼ねた夏期講習が催される。三日間、宿泊施設でみっちり勉強するのだ。もちろん希望者だけなのだが。
「誠司先輩には、そんなの必要なくない?」
「そう、でもないみたい」
誠司は自分がこうだと決めたことに努力を惜しまない。絶対に受かる気なのだ、京大に。
「あー、それで、おにいちゃんがいなくて寂しい~って?」
「な、ちがう!」
「怪しい~。顔赤い~」
「何回も言うけど、私あいつ嫌いだから。いなくなってくれるなんて、せいせいしてるわよ」
「美月ってさあ、ツンデレだよね」
「つんでれ?なにそれ」
「本当は好きなのにツンツンしちゃう人のこと」
「なにそれ、面倒くさいわね」
「いや。あんただよ、あんた」
自分がそんな面倒な人間に見えるとは。地味にショックを受ける。
「あいつのどこを好きになれって言うのよ」
「顔?」
「……それだけ?」
「だってよく知らないもん、誠司先輩のこと」
そう言って友人は、肘をつく。
「誠司先輩に憧れてる女の子はいっぱいいるだろうけどさあ、美月ほど側にいる子はいないじゃん、白鳥会長はふられたみたいだし」
「私だって別に、知りたくなかったわよ」
誠司と会って、心底男の人が怖いと思った。押し倒されたら決して敵わない。みんなあんな風に、頭の中では女の子を犯したいと思っているのだろうかと怖くなったのだ。
「じゃあ、誰かに取られちゃってもいいの?」
一瞬どきりとしつつ、美月は言う。
「別に」
「ふーん、じゃあ、私アタックしよーかなあ」
美月は目を見開いて友人を見た。友人は携帯でぱしゃ、と美月の写真を撮り、にひひ、と笑う。
「ジョーダンだって。見る?今のあんたの顔」
携帯を差し向けられ、美月は真っ赤になって友人を睨みつけた。
「ばかっ」
*
誠司に初めて会ったのは、学校近くの河原だった。美月は新入生で、遅刻寸前だった。舞い落ちた桜が、踏まれて変色し、地面を汚していた。
「やばいやばい……」
桜並木の間を走る美月の目に、ブレザーをきた人影が映った。並木が咲く土手の側の河原。その人物は、何かを持っていた。子猫に見えた。
「なに、やってんのあの人」
美月は怪訝な目で彼を見て──目を見開いた。彼は猫を流れる川に投げ捨てたのだ。
「っな!」
美月は咄嗟に崖を駆け下りていた。ばしゃばしゃと川に入って行き、必死に手を伸ばして猫をすくい上げた。
「ごほ、ごほっ」
器官に水が入り、咳き込みながら、美月はずぶ濡れで土手に上がった。猫を投げ捨てた男は、相変わらずそこに立っていた。美月はそちらに近づいていき、きっ、と彼を睨んだ。
「あんた、なにしてんのよ!」
さらさらした黒髪に、切れ長の瞳。端正な顔立ちは、だがひどく冷たくて、美月はその容貌にむしろぞくりとした。
「その猫が、うるさくて」
うるさいから、川に投げ捨てた?なにを言っているんだ、こいつは。
「うるさかったらさっさと行けばいいじゃない!」
美月は彼が同じ制服を着ていることに気づく。
「まさか、東高の……?」
少年は、妙に穏やかな声で尋ねてきた。
「君は、何年生?」
「一年、だけど」
「名前は?」
「片岡美月」
「片岡さん」
彼は名字を呼び、美月の首筋に懐から出した鋏を突きつけた。
「っ」
「このことは誰にも言わないでくれるかな」
穏やかに、彼は言う。美月は首筋に走った冷たい感触に震えた。なんでこんなものを持っているんだ。
「わかった、わよ」
「よかった。じゃあね」
そう言って、彼は去っていく。美月は恐怖に震える腕で、猫をぎゅっと抱きしめた。
入学して一カ月、美月は誠司が有名人であるということを知った。成績は学年トップで、バスケ部の主将。人当たりも良く、おまけに生徒会の仕事もこなす優等生。
一度会っただけだが、川原で出会った彼の印象と、その評判はあまりにかけ離れていた。そして、遠巻きに見た誠司は、確かに「品行方正」という言葉がふさわしい笑顔を浮かべていた。あまりにも不気味だった。
二度目彼に会った時には、まさかと思った。親の再婚相手に連れてこられた誠司に、美月の体は震えた。父親は単身赴任で県外に行くから、誠司だけ一緒に暮らすのだ、と言われ、絶対に嫌だと言った。
誠司はいかにも残念そうな顔をし、親たちの同情を引いて見せた。誠司の父は見た目こそ彼に似ているものの、気弱そうな人で、しかし悪い人物ではなさそうだった。
「美月ちゃんが嫌だというなら仕方ありません。父のアパートから通います」
美月だけが、悪者にされた。
「こいつと一緒に暮らすなら、私の部屋に鍵をつけて」
美月はそう言った。
「ワガママ言うんじゃないの、美月」
母の言葉に対し、誠司は鷹揚に言った。
「いえ、美月ちゃんの言うことはもっともです」
部屋に鍵がついて、これで大丈夫だ、と思った。二人きりで暮らすわけではないし、いざとなったらあの部屋に逃げ込めばいい。美月はほっとした。
その夜、ノックの音がして、ベッドに座って髪を拭いていた美月は立ち上がった。誠司が立っていた。
「……何か用」
いつでも閉められるように、少しだけ開けておいた。
「謝りたくて」
誠司は殊勝な顔をしていた。
「なにを」
「猫のこと。あの時、どうかしてたんだ。来年は受験なのに、バスケ部のキャプテンと、生徒会の仕事を掛け持ちすることになって。それに春になると、猫が発情するだろ。夜、その声で眠れなくて、イライラしてた」
「……私じゃなくて、猫に謝りなさいよ」
「あの猫、どうなった?」
「知り合いにあげた」
「そう、よかった」
誠司は微笑んだ。
「みんなに言わないでくれてありがとう」
「今度またあんなことしたら、言うから」
「もう、しないよ」
そう言って、誠司は美月の部屋を見回す。
「いい部屋だね」
「ちょっと、じろじろ見ないで」
「ごめん、女の子の部屋、初めて見たから」
そう言って誠司は顔を赤らめた。そんな顔をしたって、騙されたりしない、と美月は思う。
「寝たいんだけど。もういい?」
「うん、ごめんね」
バタン、と部屋のドアが閉まる。美月はため息をついて、ベッドに寝転んだ。
同じ学校だったが、美月と誠司が一緒に登校することはなかった。なにせ、彼は部活で朝早くに出て行くし、下校も遅かったからだ。忙しいのもストレスが溜まっているのも嘘ではないようだった。誠司と兄妹になって、美月は羨まれたり、見知らぬ人に声をかけられたりした。
「なんかふつーだな、藍川妹」
「でも結構胸でかくね?」
こんなひそひそ声もよく聞こえてきた。
「……私、動物園にいる珍獣か何か?」
「よかったじゃん、可愛いってさ」
「そんなこと一言も言われてないわよ。ふん、普通のなにが悪いって?」
「そーよねえ、美月はふつかわよね」
「なにその造語」
美月が友人と笑いあっていたら、視線を感じた。そちらに顔を向けたら、誠司がじっとこちらを見ていた。美月がなによ、という意味を込めて睨むと、ふいと目をそらす。そうして、すらりとした美人と一緒に歩いて行った。
「あ、誠司先輩だ、白鳥先輩と仲良いよねえ」
「藍川、って、どう思う?」
「え? かっこいいじゃん。ってか、美月も藍川じゃん」
「見た目じゃなくて、その」
──彼は、病気なんじゃないだろうか。
*
そして、あの夜がきた。
美月はその日、物音で目を覚ました。どうやら、誠司の部屋から聞こえてくる。不審に思いつつ、鍵を開け、誠司の部屋へそう、と向かう。部屋の隙間から覗いてみて、美月は息を飲んだ。真っ暗な誠司の部屋は、ぐちゃぐちゃだった。
ノートに教科書、文房具類はばらばらと床に落ち、重なるようにして衣類が散らばっている。誠司はベッドに座り、ぼんやりしていた。片手にはハサミが握られていて、足元はにズタズタになったノートが落ちている。
美月は、悲鳴を押し殺しながら後ずさった。その拍子に、ぎし、と廊下の床が鳴る。誠司の視線が美月に注ぐ。
「美月ちゃん」
抑揚のない声に、美月はぞくりとした。誠司はゆっくり立ち上がり、こちらへ近づいてくる。
美月は踵を返して、自分の部屋に駆けこもうとした。寸前で羽交い締めにされ、叫ぼうと口を開く。
「おかあさ、っ」
口を塞がれ、誠司は美月を部屋に引きずり込んで鍵をかけた。かちゃり、と無情な音が響く。
「騒いだら刺す」
誠司が美月の首筋に鋏を突きつけた。
「や、めて」
「いい匂いがするね、美月ちゃん」
誠司はそう囁いて、美月の髪に顔をうずめた。吐息が耳にかかり、ぞくりとする。
「っや」
もがいた拍子に、パジャマのボタンが引きちぎられる。口を塞がれたまま、ベッドに引き倒された。なんの感情もない、切れ長の瞳がこちらを見下ろしていた。鋏が首に押し付けられる。皮が切れそうだった。
「大声を出したりしないで。いい?」
美月はこくこく頷いた。誠司の手がそっと離れた。
「や、めて」
美月は震えながら誠司を見た。誠司は目を細める。
「可愛いね、美月ちゃん。痛いことはしないよ」
そう言いながら、誠司は美月のはだけたパジャマから手をいれる。
「い、や、っ!」
唇を塞がれ、ぬる、と舌が入り込む。キス、されている。いやだ。美月は必死にもがいた。大きな掌が肌を撫でるたび、怖くて、気持ち悪くて、鳥肌がたった。
「美月」
誠司は掠れた声で美月を呼び、パジャマをぐい、と引いた。うつ伏せにされ、背中を舐められる。
「や、だ、ふ」
鋏は未だに首に触れていた。後ろから胸を掴まれ、やんわり揉まれる。頭がかあっと熱くなった。
「はなして、いやだ」
誠司の舌は背中から腰に移る。ズボンを引き下げようとする手に身体がこわばった。
美月は悲鳴を上げようとするが、誠司の指が口の中に入ってきてびくりとする。
「なめて」
「っ、や、ふ、う」
ぴちゃ、ぴちゃと音がして、よだれが顎を伝う。
「っ!」
下着に濡れた感触がして、美月ははっとする。
「いや、なにして、っ」
赤い髪が、美月の下着に埋まる。なめられて、いる。
「きもち、わる、い、やだ!」
するり、と下着が足を滑り落ち、美月は真っ青になる。ぴちゃ、ぴちゃ、生暖かい感触が、ぞわぞわした感覚が、全身に伝わる。
「ふ、あ、や、だ、あ」
怖くて、気持ち悪くて、美月は涙を浮かべた。生暖かい舌の感覚がなくなり、また身体を反転させられる。
「泣いてるの? こわい?」
誠司の手が美月の目尻に触れた。
「やめて」
「だめだよ、美月ちゃんとしたいんだ」
「っ」
誠司が美月の足の間に、自分の足を割り込ませる。
「いや、やだ……っ」
誠司は乳首を舐めあげて、美月の蜜口を撫でた。滲んだ愛液をすくいとり、花芯を撫でる。なぜかそこに触れられると、身体がびりびり痺れた。
「ふ、っ」
「気持ちいい?」
美月はふるふる首を振った。
「そう?ここ、なんて言うか知ってる?」
そんなこと、知るわけがない。
「自分で、したことない?」
「な、い、っ」
「本当?こんなに硬くなってるのに」
「や、あ」
指先が突起をつまむ。恥ずかしくて死にたくなる。
「なかは?」
「い、た、やめて」
「いたい?」
誠司は乳首を舐めながら、ゆっくり指を出し入れする。
「は、あ、や」
痛いのに、背筋がぞわぞわした。
「見て。こんなに濡れてる」
誠司が指を翳す。その指には、ねっとりしたものがついていた。美月は真っ赤になって目をそらす。彼は美月に身体を寄せ、熱いものを擦り付けてきた。これ、まさか。
「いや、やだ、おかあさ」
美月の悲鳴を手で塞ぎ、誠司は腰を進める。
「!」
誠司が腰を進めるたびに、結合部がぎちぎちと押し広げられた。あまりの痛みに、涙が伝う。彼は息を吐きながら、美月を見下ろした。
「いたい?」
「いた、やめ、て」
「美月ちゃんの泣き顔、可愛いね。もっと、泣いて」
「や、ああっ」
一気に押し込まれ、激痛に誠司のシャツを掴む。血が、流れ出した感覚がした。やだ、こわい。いたい。
「汚れるな」
余りにも冷静にそう呟き、誠司はシャツを脱いで、美月の腰の下に引く。
「や、やだ、あ」
揺さぶられ、美月は激痛に涙を流す。どうして、どうして、どうして。誠司は笑っていた。気持ちいいよ。そう呟いて、美月を抱きしめる。快感なんてなく、痛みだけが全身を支配した。
早く終わってほしくて、祈るように詫びる。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「鍵、つけたりして、ごめんなさい」
「大丈夫だよ。たとえ鍵かけても、きっとこじ開けてたから」
美月の目の前が真っ暗になった。どうして。じゃあどうすればよかったんだ。誠司は美月の花芯を撫でながら、乳首をちゅう、と吸った。
「ふ」
かすかに痛みが和らいだ、と思った瞬間、強く揺さぶられた。美月は頭の奥が真っ白になるのを感じ、ぴん、とつま先を伸ばした。彼はかすかに呻いて、美月のなかから性器を引き抜き、腹に吐精した。
終わったあと、誠司は美月の腹に散った精液をそっとぬぐった。美月はただぐったりと寝ていた。涙が後から後からこぼれ落ちている。
「またしようね」
そう言われ、美月はぞくりとした。いやだ、いやだ!
「おかあさんに」
「言う?」
言えるのか、という穏やかな問いだった。美月は声を震わせた。
「どうして」
「さあ、なんでかな」
誠司はよごれたシャツを手にした。ゴミ箱を引き寄せ、鋏を動かす。
ちょきん、ちょきん。シャツが切り裂かれていく。美月はそのシャツが自分のようだ、と思った。いつかこいつに、こうされるのだと。
逃げたいと、思った。
翌朝、美月はとにかく普通にしようと、痛みを訴える下腹部を抑えながら、下に降りて行った。そこで、誠司と顔を合わせ、身体が震えた。母は笑顔で美月におはよう、と言った。美月もおはよう、と返す。
普通にできているのか、わからなかった。ただ、誠司の隣に座っているだけで吐きそうだった。たすけて。何度母親にそう言おうかと思った。ごはんなんて、食べられなかった。
気がついたら、美月は誠司の背中を見ながら、通学路を歩いていた。誠司は普通に見えた。どうして。あんなことをしておいて、どうして普通でいられるんだろう。
「美月ちゃん」
その声に、美月は身体をこわばらせた。誠司が振り返り、美月に微笑みかける。
「身体、大丈夫?」
何を言ってるんだろう。美月はぼんやりそう思う。あんたのせいで、こんなに痛いのに。苦しくて、叫び出しそうなくらい、心がずたずたなのに。
ひどく地面が揺れている気がした。地震でも起きてるかのように、ぐらぐらと。誠司が近づいてきた。逃げなきゃいけない、そう思う。彼は美月の頭を撫でて、こう言った。
「義母さんに言わなかったね、偉いね」
違う。怖かったのだ。あんたが怖くて言えなかっただけだ。母さんまで酷い目にあわされるのかと思って、怖かっただけだ。
「ご褒美をあげる」
そう言って、誠司は美月の手に飴を落とした。そして、いかにもいい兄であるかのように、笑った。
*
あの頃はまだ、誠司は美月にも愛想を振りまいていた。完全に、壊れていた。自分を見失っていた。どうして誠司がそんな風になったのか、美月は知りたかった。
そして彼が、自分がいなくても大丈夫になったのかどうかを。
インターネットを検索して、「サイコパス診断」を探し当て、誠司に答えさせた。結果は、サイコパスではない、だった。安心した美月を見て、誠司はこう言った。
「僕はサイコパスじゃない。歪んでるだけだ」
それもどうかと思いつつ、美月は彼を夏期講習に送り出した。誠司が変わったのは間違いない。しかも、いい方に。自分は誠司の側にいない方がいい、と美月は思う。自分がいると、また誰かを痛めつけたくなるかもしれない。
誠司は美月に執着しているが、それは恋ではない。きっと、拠り所が欲しいだけだ。美月はいもうとだから、他の女の子とは違うから、そう、思っていた。
いもうととして、誰かを好きになった誠司を祝福したいのだ。そうすればきっと二人とも、幸せになれる。
窓の外で、蝉がみんみんと鳴き声を上げる。美月は、全く進んでいない課題をぼうっと見つめていた。
「みつき!」
友人の声に、はっとする。
「ご、ごめん、なに?」
「なに、じゃないわよ。ぼーっとして。具合わるいの?」
「ううん、なんでもない」
「にしても、いーなあ、一人部屋。私んち妹ばっかだから、二人一部屋なの。勉強なんかできやしないっての」
今、二人は美月の部屋にいる。夏休みの課題が全然進まないという友人と勉強しようという話になったのだが、図書館は混んでいるし、学校は暑い。ファミレスは勉強しているとやんわり注意される。
「でもさ、美月。絶対うちには呼びたくない!って言ってたじゃん」
「いま、あいついないから」
「あいつって誠司先輩?ああ、夏期講習か」
美月たちの学校では、模試を兼ねた夏期講習が催される。三日間、宿泊施設でみっちり勉強するのだ。もちろん希望者だけなのだが。
「誠司先輩には、そんなの必要なくない?」
「そう、でもないみたい」
誠司は自分がこうだと決めたことに努力を惜しまない。絶対に受かる気なのだ、京大に。
「あー、それで、おにいちゃんがいなくて寂しい~って?」
「な、ちがう!」
「怪しい~。顔赤い~」
「何回も言うけど、私あいつ嫌いだから。いなくなってくれるなんて、せいせいしてるわよ」
「美月ってさあ、ツンデレだよね」
「つんでれ?なにそれ」
「本当は好きなのにツンツンしちゃう人のこと」
「なにそれ、面倒くさいわね」
「いや。あんただよ、あんた」
自分がそんな面倒な人間に見えるとは。地味にショックを受ける。
「あいつのどこを好きになれって言うのよ」
「顔?」
「……それだけ?」
「だってよく知らないもん、誠司先輩のこと」
そう言って友人は、肘をつく。
「誠司先輩に憧れてる女の子はいっぱいいるだろうけどさあ、美月ほど側にいる子はいないじゃん、白鳥会長はふられたみたいだし」
「私だって別に、知りたくなかったわよ」
誠司と会って、心底男の人が怖いと思った。押し倒されたら決して敵わない。みんなあんな風に、頭の中では女の子を犯したいと思っているのだろうかと怖くなったのだ。
「じゃあ、誰かに取られちゃってもいいの?」
一瞬どきりとしつつ、美月は言う。
「別に」
「ふーん、じゃあ、私アタックしよーかなあ」
美月は目を見開いて友人を見た。友人は携帯でぱしゃ、と美月の写真を撮り、にひひ、と笑う。
「ジョーダンだって。見る?今のあんたの顔」
携帯を差し向けられ、美月は真っ赤になって友人を睨みつけた。
「ばかっ」
*
誠司に初めて会ったのは、学校近くの河原だった。美月は新入生で、遅刻寸前だった。舞い落ちた桜が、踏まれて変色し、地面を汚していた。
「やばいやばい……」
桜並木の間を走る美月の目に、ブレザーをきた人影が映った。並木が咲く土手の側の河原。その人物は、何かを持っていた。子猫に見えた。
「なに、やってんのあの人」
美月は怪訝な目で彼を見て──目を見開いた。彼は猫を流れる川に投げ捨てたのだ。
「っな!」
美月は咄嗟に崖を駆け下りていた。ばしゃばしゃと川に入って行き、必死に手を伸ばして猫をすくい上げた。
「ごほ、ごほっ」
器官に水が入り、咳き込みながら、美月はずぶ濡れで土手に上がった。猫を投げ捨てた男は、相変わらずそこに立っていた。美月はそちらに近づいていき、きっ、と彼を睨んだ。
「あんた、なにしてんのよ!」
さらさらした黒髪に、切れ長の瞳。端正な顔立ちは、だがひどく冷たくて、美月はその容貌にむしろぞくりとした。
「その猫が、うるさくて」
うるさいから、川に投げ捨てた?なにを言っているんだ、こいつは。
「うるさかったらさっさと行けばいいじゃない!」
美月は彼が同じ制服を着ていることに気づく。
「まさか、東高の……?」
少年は、妙に穏やかな声で尋ねてきた。
「君は、何年生?」
「一年、だけど」
「名前は?」
「片岡美月」
「片岡さん」
彼は名字を呼び、美月の首筋に懐から出した鋏を突きつけた。
「っ」
「このことは誰にも言わないでくれるかな」
穏やかに、彼は言う。美月は首筋に走った冷たい感触に震えた。なんでこんなものを持っているんだ。
「わかった、わよ」
「よかった。じゃあね」
そう言って、彼は去っていく。美月は恐怖に震える腕で、猫をぎゅっと抱きしめた。
入学して一カ月、美月は誠司が有名人であるということを知った。成績は学年トップで、バスケ部の主将。人当たりも良く、おまけに生徒会の仕事もこなす優等生。
一度会っただけだが、川原で出会った彼の印象と、その評判はあまりにかけ離れていた。そして、遠巻きに見た誠司は、確かに「品行方正」という言葉がふさわしい笑顔を浮かべていた。あまりにも不気味だった。
二度目彼に会った時には、まさかと思った。親の再婚相手に連れてこられた誠司に、美月の体は震えた。父親は単身赴任で県外に行くから、誠司だけ一緒に暮らすのだ、と言われ、絶対に嫌だと言った。
誠司はいかにも残念そうな顔をし、親たちの同情を引いて見せた。誠司の父は見た目こそ彼に似ているものの、気弱そうな人で、しかし悪い人物ではなさそうだった。
「美月ちゃんが嫌だというなら仕方ありません。父のアパートから通います」
美月だけが、悪者にされた。
「こいつと一緒に暮らすなら、私の部屋に鍵をつけて」
美月はそう言った。
「ワガママ言うんじゃないの、美月」
母の言葉に対し、誠司は鷹揚に言った。
「いえ、美月ちゃんの言うことはもっともです」
部屋に鍵がついて、これで大丈夫だ、と思った。二人きりで暮らすわけではないし、いざとなったらあの部屋に逃げ込めばいい。美月はほっとした。
その夜、ノックの音がして、ベッドに座って髪を拭いていた美月は立ち上がった。誠司が立っていた。
「……何か用」
いつでも閉められるように、少しだけ開けておいた。
「謝りたくて」
誠司は殊勝な顔をしていた。
「なにを」
「猫のこと。あの時、どうかしてたんだ。来年は受験なのに、バスケ部のキャプテンと、生徒会の仕事を掛け持ちすることになって。それに春になると、猫が発情するだろ。夜、その声で眠れなくて、イライラしてた」
「……私じゃなくて、猫に謝りなさいよ」
「あの猫、どうなった?」
「知り合いにあげた」
「そう、よかった」
誠司は微笑んだ。
「みんなに言わないでくれてありがとう」
「今度またあんなことしたら、言うから」
「もう、しないよ」
そう言って、誠司は美月の部屋を見回す。
「いい部屋だね」
「ちょっと、じろじろ見ないで」
「ごめん、女の子の部屋、初めて見たから」
そう言って誠司は顔を赤らめた。そんな顔をしたって、騙されたりしない、と美月は思う。
「寝たいんだけど。もういい?」
「うん、ごめんね」
バタン、と部屋のドアが閉まる。美月はため息をついて、ベッドに寝転んだ。
同じ学校だったが、美月と誠司が一緒に登校することはなかった。なにせ、彼は部活で朝早くに出て行くし、下校も遅かったからだ。忙しいのもストレスが溜まっているのも嘘ではないようだった。誠司と兄妹になって、美月は羨まれたり、見知らぬ人に声をかけられたりした。
「なんかふつーだな、藍川妹」
「でも結構胸でかくね?」
こんなひそひそ声もよく聞こえてきた。
「……私、動物園にいる珍獣か何か?」
「よかったじゃん、可愛いってさ」
「そんなこと一言も言われてないわよ。ふん、普通のなにが悪いって?」
「そーよねえ、美月はふつかわよね」
「なにその造語」
美月が友人と笑いあっていたら、視線を感じた。そちらに顔を向けたら、誠司がじっとこちらを見ていた。美月がなによ、という意味を込めて睨むと、ふいと目をそらす。そうして、すらりとした美人と一緒に歩いて行った。
「あ、誠司先輩だ、白鳥先輩と仲良いよねえ」
「藍川、って、どう思う?」
「え? かっこいいじゃん。ってか、美月も藍川じゃん」
「見た目じゃなくて、その」
──彼は、病気なんじゃないだろうか。
*
そして、あの夜がきた。
美月はその日、物音で目を覚ました。どうやら、誠司の部屋から聞こえてくる。不審に思いつつ、鍵を開け、誠司の部屋へそう、と向かう。部屋の隙間から覗いてみて、美月は息を飲んだ。真っ暗な誠司の部屋は、ぐちゃぐちゃだった。
ノートに教科書、文房具類はばらばらと床に落ち、重なるようにして衣類が散らばっている。誠司はベッドに座り、ぼんやりしていた。片手にはハサミが握られていて、足元はにズタズタになったノートが落ちている。
美月は、悲鳴を押し殺しながら後ずさった。その拍子に、ぎし、と廊下の床が鳴る。誠司の視線が美月に注ぐ。
「美月ちゃん」
抑揚のない声に、美月はぞくりとした。誠司はゆっくり立ち上がり、こちらへ近づいてくる。
美月は踵を返して、自分の部屋に駆けこもうとした。寸前で羽交い締めにされ、叫ぼうと口を開く。
「おかあさ、っ」
口を塞がれ、誠司は美月を部屋に引きずり込んで鍵をかけた。かちゃり、と無情な音が響く。
「騒いだら刺す」
誠司が美月の首筋に鋏を突きつけた。
「や、めて」
「いい匂いがするね、美月ちゃん」
誠司はそう囁いて、美月の髪に顔をうずめた。吐息が耳にかかり、ぞくりとする。
「っや」
もがいた拍子に、パジャマのボタンが引きちぎられる。口を塞がれたまま、ベッドに引き倒された。なんの感情もない、切れ長の瞳がこちらを見下ろしていた。鋏が首に押し付けられる。皮が切れそうだった。
「大声を出したりしないで。いい?」
美月はこくこく頷いた。誠司の手がそっと離れた。
「や、めて」
美月は震えながら誠司を見た。誠司は目を細める。
「可愛いね、美月ちゃん。痛いことはしないよ」
そう言いながら、誠司は美月のはだけたパジャマから手をいれる。
「い、や、っ!」
唇を塞がれ、ぬる、と舌が入り込む。キス、されている。いやだ。美月は必死にもがいた。大きな掌が肌を撫でるたび、怖くて、気持ち悪くて、鳥肌がたった。
「美月」
誠司は掠れた声で美月を呼び、パジャマをぐい、と引いた。うつ伏せにされ、背中を舐められる。
「や、だ、ふ」
鋏は未だに首に触れていた。後ろから胸を掴まれ、やんわり揉まれる。頭がかあっと熱くなった。
「はなして、いやだ」
誠司の舌は背中から腰に移る。ズボンを引き下げようとする手に身体がこわばった。
美月は悲鳴を上げようとするが、誠司の指が口の中に入ってきてびくりとする。
「なめて」
「っ、や、ふ、う」
ぴちゃ、ぴちゃと音がして、よだれが顎を伝う。
「っ!」
下着に濡れた感触がして、美月ははっとする。
「いや、なにして、っ」
赤い髪が、美月の下着に埋まる。なめられて、いる。
「きもち、わる、い、やだ!」
するり、と下着が足を滑り落ち、美月は真っ青になる。ぴちゃ、ぴちゃ、生暖かい感触が、ぞわぞわした感覚が、全身に伝わる。
「ふ、あ、や、だ、あ」
怖くて、気持ち悪くて、美月は涙を浮かべた。生暖かい舌の感覚がなくなり、また身体を反転させられる。
「泣いてるの? こわい?」
誠司の手が美月の目尻に触れた。
「やめて」
「だめだよ、美月ちゃんとしたいんだ」
「っ」
誠司が美月の足の間に、自分の足を割り込ませる。
「いや、やだ……っ」
誠司は乳首を舐めあげて、美月の蜜口を撫でた。滲んだ愛液をすくいとり、花芯を撫でる。なぜかそこに触れられると、身体がびりびり痺れた。
「ふ、っ」
「気持ちいい?」
美月はふるふる首を振った。
「そう?ここ、なんて言うか知ってる?」
そんなこと、知るわけがない。
「自分で、したことない?」
「な、い、っ」
「本当?こんなに硬くなってるのに」
「や、あ」
指先が突起をつまむ。恥ずかしくて死にたくなる。
「なかは?」
「い、た、やめて」
「いたい?」
誠司は乳首を舐めながら、ゆっくり指を出し入れする。
「は、あ、や」
痛いのに、背筋がぞわぞわした。
「見て。こんなに濡れてる」
誠司が指を翳す。その指には、ねっとりしたものがついていた。美月は真っ赤になって目をそらす。彼は美月に身体を寄せ、熱いものを擦り付けてきた。これ、まさか。
「いや、やだ、おかあさ」
美月の悲鳴を手で塞ぎ、誠司は腰を進める。
「!」
誠司が腰を進めるたびに、結合部がぎちぎちと押し広げられた。あまりの痛みに、涙が伝う。彼は息を吐きながら、美月を見下ろした。
「いたい?」
「いた、やめ、て」
「美月ちゃんの泣き顔、可愛いね。もっと、泣いて」
「や、ああっ」
一気に押し込まれ、激痛に誠司のシャツを掴む。血が、流れ出した感覚がした。やだ、こわい。いたい。
「汚れるな」
余りにも冷静にそう呟き、誠司はシャツを脱いで、美月の腰の下に引く。
「や、やだ、あ」
揺さぶられ、美月は激痛に涙を流す。どうして、どうして、どうして。誠司は笑っていた。気持ちいいよ。そう呟いて、美月を抱きしめる。快感なんてなく、痛みだけが全身を支配した。
早く終わってほしくて、祈るように詫びる。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「鍵、つけたりして、ごめんなさい」
「大丈夫だよ。たとえ鍵かけても、きっとこじ開けてたから」
美月の目の前が真っ暗になった。どうして。じゃあどうすればよかったんだ。誠司は美月の花芯を撫でながら、乳首をちゅう、と吸った。
「ふ」
かすかに痛みが和らいだ、と思った瞬間、強く揺さぶられた。美月は頭の奥が真っ白になるのを感じ、ぴん、とつま先を伸ばした。彼はかすかに呻いて、美月のなかから性器を引き抜き、腹に吐精した。
終わったあと、誠司は美月の腹に散った精液をそっとぬぐった。美月はただぐったりと寝ていた。涙が後から後からこぼれ落ちている。
「またしようね」
そう言われ、美月はぞくりとした。いやだ、いやだ!
「おかあさんに」
「言う?」
言えるのか、という穏やかな問いだった。美月は声を震わせた。
「どうして」
「さあ、なんでかな」
誠司はよごれたシャツを手にした。ゴミ箱を引き寄せ、鋏を動かす。
ちょきん、ちょきん。シャツが切り裂かれていく。美月はそのシャツが自分のようだ、と思った。いつかこいつに、こうされるのだと。
逃げたいと、思った。
翌朝、美月はとにかく普通にしようと、痛みを訴える下腹部を抑えながら、下に降りて行った。そこで、誠司と顔を合わせ、身体が震えた。母は笑顔で美月におはよう、と言った。美月もおはよう、と返す。
普通にできているのか、わからなかった。ただ、誠司の隣に座っているだけで吐きそうだった。たすけて。何度母親にそう言おうかと思った。ごはんなんて、食べられなかった。
気がついたら、美月は誠司の背中を見ながら、通学路を歩いていた。誠司は普通に見えた。どうして。あんなことをしておいて、どうして普通でいられるんだろう。
「美月ちゃん」
その声に、美月は身体をこわばらせた。誠司が振り返り、美月に微笑みかける。
「身体、大丈夫?」
何を言ってるんだろう。美月はぼんやりそう思う。あんたのせいで、こんなに痛いのに。苦しくて、叫び出しそうなくらい、心がずたずたなのに。
ひどく地面が揺れている気がした。地震でも起きてるかのように、ぐらぐらと。誠司が近づいてきた。逃げなきゃいけない、そう思う。彼は美月の頭を撫でて、こう言った。
「義母さんに言わなかったね、偉いね」
違う。怖かったのだ。あんたが怖くて言えなかっただけだ。母さんまで酷い目にあわされるのかと思って、怖かっただけだ。
「ご褒美をあげる」
そう言って、誠司は美月の手に飴を落とした。そして、いかにもいい兄であるかのように、笑った。
*
あの頃はまだ、誠司は美月にも愛想を振りまいていた。完全に、壊れていた。自分を見失っていた。どうして誠司がそんな風になったのか、美月は知りたかった。
そして彼が、自分がいなくても大丈夫になったのかどうかを。
インターネットを検索して、「サイコパス診断」を探し当て、誠司に答えさせた。結果は、サイコパスではない、だった。安心した美月を見て、誠司はこう言った。
「僕はサイコパスじゃない。歪んでるだけだ」
それもどうかと思いつつ、美月は彼を夏期講習に送り出した。誠司が変わったのは間違いない。しかも、いい方に。自分は誠司の側にいない方がいい、と美月は思う。自分がいると、また誰かを痛めつけたくなるかもしれない。
誠司は美月に執着しているが、それは恋ではない。きっと、拠り所が欲しいだけだ。美月はいもうとだから、他の女の子とは違うから、そう、思っていた。
いもうととして、誰かを好きになった誠司を祝福したいのだ。そうすればきっと二人とも、幸せになれる。
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