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勤労感謝の日編(2)
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そんなわけで、私と晃は、A県K市を所在とする、原田家に来ていた。
k市の人口は三万五千人。各駅停車の電車しか停まらず、特産品は桃。他にこれといった特徴のない地方都市だ。車から降りた晃は、のんびりとあたりを見回し、のどかだなあ、とつぶやいた。
木々は色づいて、空風に吹かれて地面に落ちる。冷たい空気は、初冬の訪れを感じさせた。
「なあ、巧とデートした行楽地ってどこ? そこ行こうぜ」
「晃さん、まだ怪我してるじゃないですか。あそこ滑りやすいし、危ないですよ」
「俺もミチと紅葉デートしたいもん」
晃はそう言って、私の肩に腕を回す。
「ミチはしたくない?」
甘えた声で言う。そりゃあしたいけど、今はもっと重要なことがある。私は咳払いしてから晃を押し返し、
「そんなことより、ちゃんと約束守ってください」
「約束?」
まさか忘れたのか。私が睨むと、
「ああ、えーと、猫かぶるんだろ。下ネタ禁止、馴れ馴れしいのも禁止、あとなんだっけ?」
「真面目に!」
「ソレソレ」
晃はへーきへーき、と呑気に言う。大丈夫だろうか。ちょっとどころではなく不安だ。
私と晃は、並んで原田家の玄関前に立った。晃は特に緊張した様子もなく、インターホンを押した。しばし、玄関前で父が出てくるのを二人で待つ。
「おまえんち、母ちゃんいないんだっけ。うちと逆だな」
「ええ」
しばらくして、玄関の戸が開いた。姿を現した父は、眼鏡を押し上げ、私と三澤を見比べた。彼はこちらに歩いてきて、
「ミチがいきなり結婚すると言い出した相手は、君かね?」
三澤に問う。私がハラハラしていると、三澤は笑顔を浮かべ、父の手をとった。
「三澤晃です。よろしくお願いします」
白い歯を見せた晃に、父は眉をひそめた。
「君は外国人かね?」
「え? いえ」
父は、晃の手をすっ、と退けた。
「なら握手はしない。ああ、靴は脱いでくれよ」
父はそう言って、土間にあがった。目を瞬いて父を見送った三澤が、こっそりと尋ねてくる。
「おまえのとーちゃん、どういう人?」
私も小声で返した。
「大学教授なんです。専攻は歴史学」
「あー……ナルホド」
キョージュね。晃がつぶやく。
「苦手な人種だわ。眼鏡かけてるし」
お互いそうなんだろう。しかし、苦手な眼鏡ってもしや、巧さんのことだろうか。
父は台所に向かい、お茶の用意をし始めた。
「これ、お土産です。赤福」
「赤福ならこの辺りでも買えるが、ありがとう」
父は嫌味な返しをする。私は居間に向かい、晃を呼んだ。晃は私についてきて、あたりをキョロキョロ見渡している。正座ができないので、あぐらをかいていた。私は晃の膝をぺし、と叩いた。
「いて」
「そわそわしないでください」
「いや、おまえここで育ったんだなー、と思って」
晃は、箪笥上にある写真立てに目をやる。
「あ、この人お袋さん?」
「はい」
「へえ、綺麗な人だな」
おまえに似てる。彼はそう言って目を細めた。私は照れながら、そうですか? と尋ねた。
二人で写真を眺めていたら、咳払いする音がした。振り向くと、父がお盆を持って立っている。私と晃は、慌てて座った。
「粗茶だがどうぞ」
「ありがとうございます」
晃はお茶を一口飲み、父に笑いかける。
「大学の先生なんですよね、お父さん」
「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない」
父はピシリと言い放つ。結婚するのだから、父と呼んでもおかしくないと思うのだけど。
「原田雄二だ。郷土史を専門にしている」
それから眼鏡を押し上げ、
「三澤出版の社長……三澤晃くん、だったかな」
「はい」
「その足はどうしたのかね」
父の目は、ギプスをはめた左足に向かっていた。晃はヘラヘラと、
「いやあ、ちょっと事故っちゃって」
父の声が尖る。
「ちょっと? 危機意識が足りないのではないか。君は社員を抱える責任者だろう」
私と似たようなことを言っている。さすが親子だ。叱られた晃は、呑気な顔ですいません、と頭を下げた。
「君のところでは、いやらしい雑誌を作っているそうだな」
「はい。あ、名刺」
「結構」
三澤が出そうとした名刺を、父は留めた。お茶を一口飲み、かんっ、と湯呑みを置く。私と晃は、その音にびくりとした。
「ミチが三流出版社に就職すると聞いたとき不安に思ったものだが、まさか上司に手篭めにされるとは」
父の古めいた言葉遣いに、三澤が目を瞬く。
「手篭めって」
「大げさと思わないでくれ。君が強引に迫れば、ミチは拒否できないだろう」
「でも、どっちかっていうと娘さんが誘ったんですよ。なんせ職場でオナ……」
「ちょっ!」
私は慌てて三澤の口をふさいだ。
「何言ってるんですか!」
「ほんとのことじゃん」
二人でこそこそ話していたら、父が咳払いした。
「上司が部下に手を出すのは、モラルに反していると思わないのかね」
「まあ、そうですね」
晃はあっけらかんと答える。そうですねじゃないってば。私はハラハラしていた。父は目を細める。
「三澤さんは、なかなかざっくばらんな人のようだ。ミチとは合わないのではないかな。この子は私に似て、少し気難しいところがある」
「晃でいいですよ、お父さん」
「だからお父さんと呼ぶのはやめたまえ」
父の声が険を帯びた。私は緊張感を覚えたが、晃はハハ、と笑っている。
「私が一番不安に思ったことを言おうか。今は出版不況だろう。零細出版社などいつ潰れるかわからないのに、家族を養っていく自信はあるのかね」
父の問いに、晃が答える。
「我ながら結構適当な性格ですが、生活に困るようなことにはならないようにします。定期預金も作ってるし、雑誌が作れなくなったらweb系の会社に移行しようと思ってるので」
「簡単に言うね。会社経営はそう甘くはないだろう」
「大丈夫です。周りにめぐまれてるんで」
父は眉間にしわを寄せている。あ、懐柔に失敗したな……。
「君は随分容姿がいいが、モデルでもしていたのかね?」
「はい? いや全然。服とか興味ねえし」
「零細出版社とはいえ社長だ。女性が寄ってくることもあるんじゃないか」
零細と言われても、晃に気にした様子はない。彼は目線を上に向け、
「まー、無くはないけど」
「絶対浮気をしないと言えるのかね」
晃は首をひねった。
「うーん?」
私は思わず口を挟む。
「ちょっと、なんで悩むんですか」
「そりゃ絶対ってのはないじゃん」
なぜそこで正直になるのだ、この人は。私が慌てていたら、父が立ち上がった。私と晃を見下ろし、
「私は少し仕事があるのでね。くつろいでいてくれ」
そう言って、部屋に向かい、バタンと戸を閉めた。晃は父を見送り、尋ねてくる。
「あれ、どんなカンジ?」
「……かなり機嫌悪いです」
晃はふーん、と相槌を打って、私の肩に頭をもたせかけてきた。私の手をきゅっと握り、上目遣いでこちらを見る。
「なあ、ちゅーして」
「だめです」
「なんで。いいじゃん」
私は父が戻ってこないか確認して、晃に口づけた。晃はに、と笑い、額をくっつけてくる。
「もっかい」
「もうだめです、ん」
唇を奪われ、私は彼のシャツを掴んだ。ちゅ、と唇の合わさる音が響く。時計のなる音と、足が畳をする音、それからリップ音が鼓膜を擦る。晃の舌が、耳たぶをなぞった。
「あ……ゃ、あきらさん」
晃は私の服に手を入れ、ブラをぱちん、と外した。長い指先が、胸に触れる。そのまま先端を撫で、きゅっと押した。
「ん」
「ちょっと乳首たってる」
「だ、め」
私は身じろぎし、晃の手を握りしめる。
「お父さん、来ちゃう」
「仕事するって言ってたじゃん。大丈夫だって」
晃は私の乳首をカリカリ引っ掻いた。むずむずして、身体の芯が熱くなる。彼はスカートの上から、太ももを撫でた。
「スカート、可愛い」
きゅんとして、触られているところが熱くなる。晃はスカートの中に手を入れて、足を撫でた。そのまま開かせようとする。
「おまえの足、綺麗だよな」
「だめ、みえちゃう」
「大丈夫だって。開いて」
そっと足を開いたら、晃が手を滑り込ませて来た。ショーツ越しに指が這う。
「ん」
「なんか濡れてる」
「ちが、う」
「居間で触られて濡れちゃうの、やらしいな」
「ばか」
私は身体を震わせて、スカートを引っ張る。晃はふ、と笑い、私の唇を奪った。舌が絡まって、口の中を探られると、頭の奥がぼうっとする。意識していないのに、勝手に足が開いてしまう。下半身が熱を帯びて、唇が離れていった。唾液が伝って、糸を引く。
「あきら、さ……」
ショーツ越しに蜜口を擦る指の動きが、強くなっていく。私は快感にびくびく震えた。
「いきたい?」
「だめ」
「いきたいって言って」
彼の指が下着の中に入り込んで来た。際どい部分をなぞられて、私は瞳を潤ませる。
「いき、たい」
「すげーえっちな顔」
晃は私の乳首を撫でながら、蜜口を押しひらく。指を挿入して、くちゅくちゅ音を立てた。
「ん、ゃあ」
「いって」
びくんと震えた私の首筋に、晃が口づけた。そのまま、私をぎゅっと抱きしめる。私はだるさを覚えながら、
「ばか……えっちなこと、ばっかり」
「だって、好きに動けねーし」
晃は唇を尖らせた。
「デートもできねえし、つまんねえ」
「だからって、だめです」
「だめだった? その割にえろかったけど」
そんなことを言って、意地悪く笑う。私は赤くなり、晃の手をペシリと叩く。下着をあげて立ち上がった私は、晃をにらみ、
「私、ごはん作りますから。晃さんはおとなしくしててください」
「俺は子供か」
子供みたいなものじゃないか。私は晃の濡れた指を見て、恥ずかしさに目を伏せた。
k市の人口は三万五千人。各駅停車の電車しか停まらず、特産品は桃。他にこれといった特徴のない地方都市だ。車から降りた晃は、のんびりとあたりを見回し、のどかだなあ、とつぶやいた。
木々は色づいて、空風に吹かれて地面に落ちる。冷たい空気は、初冬の訪れを感じさせた。
「なあ、巧とデートした行楽地ってどこ? そこ行こうぜ」
「晃さん、まだ怪我してるじゃないですか。あそこ滑りやすいし、危ないですよ」
「俺もミチと紅葉デートしたいもん」
晃はそう言って、私の肩に腕を回す。
「ミチはしたくない?」
甘えた声で言う。そりゃあしたいけど、今はもっと重要なことがある。私は咳払いしてから晃を押し返し、
「そんなことより、ちゃんと約束守ってください」
「約束?」
まさか忘れたのか。私が睨むと、
「ああ、えーと、猫かぶるんだろ。下ネタ禁止、馴れ馴れしいのも禁止、あとなんだっけ?」
「真面目に!」
「ソレソレ」
晃はへーきへーき、と呑気に言う。大丈夫だろうか。ちょっとどころではなく不安だ。
私と晃は、並んで原田家の玄関前に立った。晃は特に緊張した様子もなく、インターホンを押した。しばし、玄関前で父が出てくるのを二人で待つ。
「おまえんち、母ちゃんいないんだっけ。うちと逆だな」
「ええ」
しばらくして、玄関の戸が開いた。姿を現した父は、眼鏡を押し上げ、私と三澤を見比べた。彼はこちらに歩いてきて、
「ミチがいきなり結婚すると言い出した相手は、君かね?」
三澤に問う。私がハラハラしていると、三澤は笑顔を浮かべ、父の手をとった。
「三澤晃です。よろしくお願いします」
白い歯を見せた晃に、父は眉をひそめた。
「君は外国人かね?」
「え? いえ」
父は、晃の手をすっ、と退けた。
「なら握手はしない。ああ、靴は脱いでくれよ」
父はそう言って、土間にあがった。目を瞬いて父を見送った三澤が、こっそりと尋ねてくる。
「おまえのとーちゃん、どういう人?」
私も小声で返した。
「大学教授なんです。専攻は歴史学」
「あー……ナルホド」
キョージュね。晃がつぶやく。
「苦手な人種だわ。眼鏡かけてるし」
お互いそうなんだろう。しかし、苦手な眼鏡ってもしや、巧さんのことだろうか。
父は台所に向かい、お茶の用意をし始めた。
「これ、お土産です。赤福」
「赤福ならこの辺りでも買えるが、ありがとう」
父は嫌味な返しをする。私は居間に向かい、晃を呼んだ。晃は私についてきて、あたりをキョロキョロ見渡している。正座ができないので、あぐらをかいていた。私は晃の膝をぺし、と叩いた。
「いて」
「そわそわしないでください」
「いや、おまえここで育ったんだなー、と思って」
晃は、箪笥上にある写真立てに目をやる。
「あ、この人お袋さん?」
「はい」
「へえ、綺麗な人だな」
おまえに似てる。彼はそう言って目を細めた。私は照れながら、そうですか? と尋ねた。
二人で写真を眺めていたら、咳払いする音がした。振り向くと、父がお盆を持って立っている。私と晃は、慌てて座った。
「粗茶だがどうぞ」
「ありがとうございます」
晃はお茶を一口飲み、父に笑いかける。
「大学の先生なんですよね、お父さん」
「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない」
父はピシリと言い放つ。結婚するのだから、父と呼んでもおかしくないと思うのだけど。
「原田雄二だ。郷土史を専門にしている」
それから眼鏡を押し上げ、
「三澤出版の社長……三澤晃くん、だったかな」
「はい」
「その足はどうしたのかね」
父の目は、ギプスをはめた左足に向かっていた。晃はヘラヘラと、
「いやあ、ちょっと事故っちゃって」
父の声が尖る。
「ちょっと? 危機意識が足りないのではないか。君は社員を抱える責任者だろう」
私と似たようなことを言っている。さすが親子だ。叱られた晃は、呑気な顔ですいません、と頭を下げた。
「君のところでは、いやらしい雑誌を作っているそうだな」
「はい。あ、名刺」
「結構」
三澤が出そうとした名刺を、父は留めた。お茶を一口飲み、かんっ、と湯呑みを置く。私と晃は、その音にびくりとした。
「ミチが三流出版社に就職すると聞いたとき不安に思ったものだが、まさか上司に手篭めにされるとは」
父の古めいた言葉遣いに、三澤が目を瞬く。
「手篭めって」
「大げさと思わないでくれ。君が強引に迫れば、ミチは拒否できないだろう」
「でも、どっちかっていうと娘さんが誘ったんですよ。なんせ職場でオナ……」
「ちょっ!」
私は慌てて三澤の口をふさいだ。
「何言ってるんですか!」
「ほんとのことじゃん」
二人でこそこそ話していたら、父が咳払いした。
「上司が部下に手を出すのは、モラルに反していると思わないのかね」
「まあ、そうですね」
晃はあっけらかんと答える。そうですねじゃないってば。私はハラハラしていた。父は目を細める。
「三澤さんは、なかなかざっくばらんな人のようだ。ミチとは合わないのではないかな。この子は私に似て、少し気難しいところがある」
「晃でいいですよ、お父さん」
「だからお父さんと呼ぶのはやめたまえ」
父の声が険を帯びた。私は緊張感を覚えたが、晃はハハ、と笑っている。
「私が一番不安に思ったことを言おうか。今は出版不況だろう。零細出版社などいつ潰れるかわからないのに、家族を養っていく自信はあるのかね」
父の問いに、晃が答える。
「我ながら結構適当な性格ですが、生活に困るようなことにはならないようにします。定期預金も作ってるし、雑誌が作れなくなったらweb系の会社に移行しようと思ってるので」
「簡単に言うね。会社経営はそう甘くはないだろう」
「大丈夫です。周りにめぐまれてるんで」
父は眉間にしわを寄せている。あ、懐柔に失敗したな……。
「君は随分容姿がいいが、モデルでもしていたのかね?」
「はい? いや全然。服とか興味ねえし」
「零細出版社とはいえ社長だ。女性が寄ってくることもあるんじゃないか」
零細と言われても、晃に気にした様子はない。彼は目線を上に向け、
「まー、無くはないけど」
「絶対浮気をしないと言えるのかね」
晃は首をひねった。
「うーん?」
私は思わず口を挟む。
「ちょっと、なんで悩むんですか」
「そりゃ絶対ってのはないじゃん」
なぜそこで正直になるのだ、この人は。私が慌てていたら、父が立ち上がった。私と晃を見下ろし、
「私は少し仕事があるのでね。くつろいでいてくれ」
そう言って、部屋に向かい、バタンと戸を閉めた。晃は父を見送り、尋ねてくる。
「あれ、どんなカンジ?」
「……かなり機嫌悪いです」
晃はふーん、と相槌を打って、私の肩に頭をもたせかけてきた。私の手をきゅっと握り、上目遣いでこちらを見る。
「なあ、ちゅーして」
「だめです」
「なんで。いいじゃん」
私は父が戻ってこないか確認して、晃に口づけた。晃はに、と笑い、額をくっつけてくる。
「もっかい」
「もうだめです、ん」
唇を奪われ、私は彼のシャツを掴んだ。ちゅ、と唇の合わさる音が響く。時計のなる音と、足が畳をする音、それからリップ音が鼓膜を擦る。晃の舌が、耳たぶをなぞった。
「あ……ゃ、あきらさん」
晃は私の服に手を入れ、ブラをぱちん、と外した。長い指先が、胸に触れる。そのまま先端を撫で、きゅっと押した。
「ん」
「ちょっと乳首たってる」
「だ、め」
私は身じろぎし、晃の手を握りしめる。
「お父さん、来ちゃう」
「仕事するって言ってたじゃん。大丈夫だって」
晃は私の乳首をカリカリ引っ掻いた。むずむずして、身体の芯が熱くなる。彼はスカートの上から、太ももを撫でた。
「スカート、可愛い」
きゅんとして、触られているところが熱くなる。晃はスカートの中に手を入れて、足を撫でた。そのまま開かせようとする。
「おまえの足、綺麗だよな」
「だめ、みえちゃう」
「大丈夫だって。開いて」
そっと足を開いたら、晃が手を滑り込ませて来た。ショーツ越しに指が這う。
「ん」
「なんか濡れてる」
「ちが、う」
「居間で触られて濡れちゃうの、やらしいな」
「ばか」
私は身体を震わせて、スカートを引っ張る。晃はふ、と笑い、私の唇を奪った。舌が絡まって、口の中を探られると、頭の奥がぼうっとする。意識していないのに、勝手に足が開いてしまう。下半身が熱を帯びて、唇が離れていった。唾液が伝って、糸を引く。
「あきら、さ……」
ショーツ越しに蜜口を擦る指の動きが、強くなっていく。私は快感にびくびく震えた。
「いきたい?」
「だめ」
「いきたいって言って」
彼の指が下着の中に入り込んで来た。際どい部分をなぞられて、私は瞳を潤ませる。
「いき、たい」
「すげーえっちな顔」
晃は私の乳首を撫でながら、蜜口を押しひらく。指を挿入して、くちゅくちゅ音を立てた。
「ん、ゃあ」
「いって」
びくんと震えた私の首筋に、晃が口づけた。そのまま、私をぎゅっと抱きしめる。私はだるさを覚えながら、
「ばか……えっちなこと、ばっかり」
「だって、好きに動けねーし」
晃は唇を尖らせた。
「デートもできねえし、つまんねえ」
「だからって、だめです」
「だめだった? その割にえろかったけど」
そんなことを言って、意地悪く笑う。私は赤くなり、晃の手をペシリと叩く。下着をあげて立ち上がった私は、晃をにらみ、
「私、ごはん作りますから。晃さんはおとなしくしててください」
「俺は子供か」
子供みたいなものじゃないか。私は晃の濡れた指を見て、恥ずかしさに目を伏せた。
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