13 / 33
王宮での日々
婚約破棄
しおりを挟む
王宮の南側、作物を育てている場所に、蓮華畑が広がっている。シルフィーは防護服を纏い、養蜂箱から蜜蝋を引き出していた。巣箱にびっしりとついた蜜蝋からは甘い匂いがしている。ふと、植え込みの向こう側を、見覚えのある人物が歩いていくのが見えた。今度こそ間違いない。マルゴーだ。彼はどこか上の空のようだった。シルフィーは巣箱を置いて、彼に近寄っていった。
「マルゴー」
「ああ、シルフィー……」
マルゴーはぎくりと足を止め、気まずげに視線を泳がせた。シルフィーは彼の異変には気づかずにこう尋ねた。
「とれたてのハチミツがあるのよ。一緒にお茶しない?」
「うん」
シルフィーはマルゴーを伴い、温室に向かった。マルゴーは一言も話さず、お茶に手をつけようともしなかった。お腹が減っていないのだろうか。そう思って、紅茶だけでも飲んでと勧める。彼はかぶりを振って、意を決したように口を開いた。
「君に話があるんだ」
「なに?」
「婚約を破棄したい」
シルフィーが手にしたカップが床に落ちて、パリンと音を立てて割れた。一瞬、何を言われたのかわからなかった。呆然としているシルフィーに、マルゴーはこう続けた。
「妊娠したんだ」
シルフィーは目を瞬いて、マルゴーのお腹を見た。
「えっ、マルゴーが!?」
「僕のはずがないだろう。メイドのリラだ」
リラとは誰なのだろう、とシルフィーは思った。どうしてその人に子供ができたからと言って、婚約を破棄しないといけないのだろう。そう思っていたら、マルゴーがこう言った。
「リラのお腹にいるのは、僕の子供なんだよ」
つまりは──どういうことなのだろう。シルフィーが考えているうちに、マルゴーが立ち上がった。シルフィーはつられて立ち上がる。伸ばした手を、マルゴーが振り払った。痛くはなかった。ただ胸が苦しくなった。
思えばマルゴーは、シルフィーが触れようとするといつもこういう反応をした。温室を出ていくマルゴーを見送ったシルフィーは、椅子に座り込んだ。婚約破棄……。その言葉が自分に降りかかってきたということを、まだ完全には理解できていなかった。とりあえず、話をしないと。温室から出たシルフィーは、マルゴーの姿を探して視線を動かした。
「マルゴー!」
その言葉に視線を動かすと、一人の少女がマルゴーに駆け寄るのが見えた。彼女は親しげな様子でマルゴーに話しかけている。ブラウンの髪をポニーテールにした可愛らしい子だった。あの子がリラなのだろうか。マルゴーは優しく彼女の髪を撫でている。シルフィーにはあんなこと、一度もしてくれたことはないのに──。一度、エリンに聞かれたことがある。あなたたち、どこまでいってるの、と。
「どこまでって?」
「かまととぶるんじゃないわよ。マルゴーとキスとか、それ以上とかしてるんでしょ」
シルフィーがかぶりを振ると、エリンが信じられない、と言った。
「マルゴーって、本当にあなたのこと好きなの?」
好きでいてくれると思っていた。そうでなかったら、婚約などしないはずだ。でも、違ったのかもしれない。マルゴーは本当は、シルフィーのことをどう思っていたのだろう? リラは手を振って去っていった。シルフィーに気づいたマルゴーは、ひどく気まずそうな顔になって、ぼそぼそと言った。
「いたのか」
「ええ。私、あなたと話がしたくて……」
シルフィーの言葉を遮るようにして、マルゴーが言った。
「リラは、ただの侍女だよ。性格がいいわけでもないし、特別かわいいわけでもない」
「でも、好きなんでしょう?」
「普通の子だからね。僕は普通がいいんだ」
好きになった相手のことを話しているのに、マルゴーはどこか暗い顔をしていた。シルフィーは震える声で尋ねた。
「私は、普通じゃないってこと?」
「普通の女は虫なんかに夢中にならない」
「それだけ? 虫が好きだから、私のことが嫌なの?」
「君はメロニアの娘だ。いつか俺を殺して、金持ちの男のところに行くかもしれない」
「そんなことしない。私はマルゴーが好きなの。あなたは違うの?」
マルゴーはシルフィーと目を合わさず、ごめん、とだけ言った。それから逃げるように去って行く。
マルゴーと別れたシルフィーは、庭でぼんやりクヌギの木を眺めていた。雨の匂いがすると思ったら、雨粒がぽつぽつと頬を叩き始めた。こんな天気じゃ虫取りもできない。手を伸ばし、濡れた葉にそっと触れると、かすかに温かい気がした。そんなわけないのに──。ふと、頬や髪を濡らしていた、冷たい感触が途切れた。顔を上げると、エントが傘を差し掛けていた。
「あ、エント」
エントは怪訝な表情でこちらを見ている。
「ずぶ濡れじゃないか。何をしてるんだ」
「私、この木が好きなんです」
「だからって、傘もささずに見とれてるなよ。風邪をひくぞ」
エントは傘を錬成し、シルフィーに差し出してきた。
「本当に、変わってる」
変わっているとみんなに言われてきたが、気にしたことはなかった。でも今日はその一言が応える。黙り込んだシルフィーの顔を、エントが覗き込んでくる。
「シルフィー?」
「私の母親は、悪い人だったわ」
「そうらしいな」
エントもメロニアのことを知っているのだ、いや、知らない人間はいないだろう。
「エントも、私が怖い?」
そう尋ねたら、エントが怪訝な顔でこちらを見た。
「何があった?」
シルフィーは泣きながらエントにしがみついた。彼は何も言わずに、シルフィーの頭を撫でた。雨が小降りになってきたころ、シルフィーが顔を上げると、「落ち着いたか」と尋ねてきた。うなずくと、彼はシルフィーを促して庁舎に向かった。エントは食堂でお湯をココアを頼んで、シルフィーに差し出した。シルフィーはココアを飲んで、ほっと息を吐いた。いきなり泣いたりして、びっくりさせてしまっただろうか。そう思ってエントを伺ったが、エントは何も聞かずにコーヒーを飲んでいる。
「エントって、優しいわね」
「──気が利かないとよく言われるけどな」
「そんなことないわ」
シルフィーはマルゴーに好きな女性ができて、婚約破棄されたことを話した。マルゴーの相手が妊娠しているということも。エントは黙って話を聞いていたが、口を開いた。
「で、どうするんだ」
「どうするって?」
「王妃様に頼んで、マルゴーってやつを地方に飛ばすか」
シルフィーは驚いてエントを見た。
「そんなことしないわ」
「君はそれぐらいのことをされたんだ」
シルフィーは黙ってかぶりを振って、ココアの入ったカップを手のひらで包み込んだ。
「このココア、全然冷めないわ。これも錬金術なの?」
「いや、特に何もしてないけど?」
「じゃあ、きっとあなたの心の温かさが伝わったんだわ」
「よくそんな恥ずかしいことが言えるよな」
エントは呆れた目でこちらを見た。
「恥ずかしくなんてないわ。みんな誰かのためとか、世の中をよくしたいとか、そう言う思いで何かを作り出すんだもの。錬金術だって、きっと心が作用するんだと思います」
「確かに、ないとは言い切れない」
エントはそう言ってシルフィーを見つめた。
「君さえよければ、協力してほしいことがある」
「なんですか?」
彼が何かを言いかけた時、騒がしい声が聞こえてきた。シルフィーが立ち上がるよりも先に、エントが駆け出していた。走っていくと、庁舎の建物同士をつなぐ回廊が見えてくる。エルランドがマルゴーを殴りつけていた。エルランドは怒りで顔を歪めてこう言った。
「おまえ、殺されたいのか?」
「やめて、エルランド!」
シルフィーは必死になってエルランドを止めた。エルランドはそれを振り払う。
「落ち着いてください、殿下」
エルランドを引き剥がしたのは、近衛服をまとったジャスパーだった。エルランドはジャスパーを睨みつける。
「おまえはひっこんでいろ。所詮、他人だろう」
「他人ですけど、これが役目なんで。エント、あとは頼んだぞ」
ジャスパーはエントに目配せし、エルランドを引きずっていった。シルフィーはかがみ込んで、項垂れているマルゴーに手を差し出す。
「大丈夫?」
「最悪だよ。君といると殴られてばかりだ」
マルゴーはそう言って、シルフィーの手を振り払って歩いていった。エントは野次馬を散らし、うなだれているシルフィーの肩に手を置いた。
「ほんと、恥ずかしいわ。王太子が王宮で暴れるなんて!」
エリンはそう言って、横目でエルランドを見た。エルランドは撫然とした表情で返す。
「暴れてないよ。そうする前にジャスパーがきたからね」
「そもそもは、誰かさんが婚約破棄なんてされるからよ」
エリンは蔑んだような視線をシルフィーに向けた。シルフィーはごめんなさい、と小声でつぶやく。エルランドはエリンを睨みつけ、「お望みならここで暴れてやろうか?」と尋ねた。エリンはフォークを構える。王妃はピシリと言った。
「やめなさい」
彼女は静かになったきょうだいを見比べ、シルフィーに尋ねる。
「シルフィー、どうしますか。あなたが辛いなら、マルゴーに遠方に行ってもらうこともできます」
「そんなのダメよ。私は平気だから」
「平気だなんてさすがねえ。私なら恥ずかしくて王宮を歩けないわ」
エリンはくすくす笑いながら立ち上がり、その場を去っていった。エルランドは妹の背中を見送って、「弟なら殴ってる」と吐き捨てた。
王妃は悲しげに目を伏せる。エルランドや王妃を心配させてはいけない。平気な顔をしていなければ。シルフィーはそう思って、無理やり笑みを浮かべた。
「食べましょう。冷めちゃうわ」
シルフィーは美味しいと連発したが、その日の夕食は味がしなかった。
「マルゴー」
「ああ、シルフィー……」
マルゴーはぎくりと足を止め、気まずげに視線を泳がせた。シルフィーは彼の異変には気づかずにこう尋ねた。
「とれたてのハチミツがあるのよ。一緒にお茶しない?」
「うん」
シルフィーはマルゴーを伴い、温室に向かった。マルゴーは一言も話さず、お茶に手をつけようともしなかった。お腹が減っていないのだろうか。そう思って、紅茶だけでも飲んでと勧める。彼はかぶりを振って、意を決したように口を開いた。
「君に話があるんだ」
「なに?」
「婚約を破棄したい」
シルフィーが手にしたカップが床に落ちて、パリンと音を立てて割れた。一瞬、何を言われたのかわからなかった。呆然としているシルフィーに、マルゴーはこう続けた。
「妊娠したんだ」
シルフィーは目を瞬いて、マルゴーのお腹を見た。
「えっ、マルゴーが!?」
「僕のはずがないだろう。メイドのリラだ」
リラとは誰なのだろう、とシルフィーは思った。どうしてその人に子供ができたからと言って、婚約を破棄しないといけないのだろう。そう思っていたら、マルゴーがこう言った。
「リラのお腹にいるのは、僕の子供なんだよ」
つまりは──どういうことなのだろう。シルフィーが考えているうちに、マルゴーが立ち上がった。シルフィーはつられて立ち上がる。伸ばした手を、マルゴーが振り払った。痛くはなかった。ただ胸が苦しくなった。
思えばマルゴーは、シルフィーが触れようとするといつもこういう反応をした。温室を出ていくマルゴーを見送ったシルフィーは、椅子に座り込んだ。婚約破棄……。その言葉が自分に降りかかってきたということを、まだ完全には理解できていなかった。とりあえず、話をしないと。温室から出たシルフィーは、マルゴーの姿を探して視線を動かした。
「マルゴー!」
その言葉に視線を動かすと、一人の少女がマルゴーに駆け寄るのが見えた。彼女は親しげな様子でマルゴーに話しかけている。ブラウンの髪をポニーテールにした可愛らしい子だった。あの子がリラなのだろうか。マルゴーは優しく彼女の髪を撫でている。シルフィーにはあんなこと、一度もしてくれたことはないのに──。一度、エリンに聞かれたことがある。あなたたち、どこまでいってるの、と。
「どこまでって?」
「かまととぶるんじゃないわよ。マルゴーとキスとか、それ以上とかしてるんでしょ」
シルフィーがかぶりを振ると、エリンが信じられない、と言った。
「マルゴーって、本当にあなたのこと好きなの?」
好きでいてくれると思っていた。そうでなかったら、婚約などしないはずだ。でも、違ったのかもしれない。マルゴーは本当は、シルフィーのことをどう思っていたのだろう? リラは手を振って去っていった。シルフィーに気づいたマルゴーは、ひどく気まずそうな顔になって、ぼそぼそと言った。
「いたのか」
「ええ。私、あなたと話がしたくて……」
シルフィーの言葉を遮るようにして、マルゴーが言った。
「リラは、ただの侍女だよ。性格がいいわけでもないし、特別かわいいわけでもない」
「でも、好きなんでしょう?」
「普通の子だからね。僕は普通がいいんだ」
好きになった相手のことを話しているのに、マルゴーはどこか暗い顔をしていた。シルフィーは震える声で尋ねた。
「私は、普通じゃないってこと?」
「普通の女は虫なんかに夢中にならない」
「それだけ? 虫が好きだから、私のことが嫌なの?」
「君はメロニアの娘だ。いつか俺を殺して、金持ちの男のところに行くかもしれない」
「そんなことしない。私はマルゴーが好きなの。あなたは違うの?」
マルゴーはシルフィーと目を合わさず、ごめん、とだけ言った。それから逃げるように去って行く。
マルゴーと別れたシルフィーは、庭でぼんやりクヌギの木を眺めていた。雨の匂いがすると思ったら、雨粒がぽつぽつと頬を叩き始めた。こんな天気じゃ虫取りもできない。手を伸ばし、濡れた葉にそっと触れると、かすかに温かい気がした。そんなわけないのに──。ふと、頬や髪を濡らしていた、冷たい感触が途切れた。顔を上げると、エントが傘を差し掛けていた。
「あ、エント」
エントは怪訝な表情でこちらを見ている。
「ずぶ濡れじゃないか。何をしてるんだ」
「私、この木が好きなんです」
「だからって、傘もささずに見とれてるなよ。風邪をひくぞ」
エントは傘を錬成し、シルフィーに差し出してきた。
「本当に、変わってる」
変わっているとみんなに言われてきたが、気にしたことはなかった。でも今日はその一言が応える。黙り込んだシルフィーの顔を、エントが覗き込んでくる。
「シルフィー?」
「私の母親は、悪い人だったわ」
「そうらしいな」
エントもメロニアのことを知っているのだ、いや、知らない人間はいないだろう。
「エントも、私が怖い?」
そう尋ねたら、エントが怪訝な顔でこちらを見た。
「何があった?」
シルフィーは泣きながらエントにしがみついた。彼は何も言わずに、シルフィーの頭を撫でた。雨が小降りになってきたころ、シルフィーが顔を上げると、「落ち着いたか」と尋ねてきた。うなずくと、彼はシルフィーを促して庁舎に向かった。エントは食堂でお湯をココアを頼んで、シルフィーに差し出した。シルフィーはココアを飲んで、ほっと息を吐いた。いきなり泣いたりして、びっくりさせてしまっただろうか。そう思ってエントを伺ったが、エントは何も聞かずにコーヒーを飲んでいる。
「エントって、優しいわね」
「──気が利かないとよく言われるけどな」
「そんなことないわ」
シルフィーはマルゴーに好きな女性ができて、婚約破棄されたことを話した。マルゴーの相手が妊娠しているということも。エントは黙って話を聞いていたが、口を開いた。
「で、どうするんだ」
「どうするって?」
「王妃様に頼んで、マルゴーってやつを地方に飛ばすか」
シルフィーは驚いてエントを見た。
「そんなことしないわ」
「君はそれぐらいのことをされたんだ」
シルフィーは黙ってかぶりを振って、ココアの入ったカップを手のひらで包み込んだ。
「このココア、全然冷めないわ。これも錬金術なの?」
「いや、特に何もしてないけど?」
「じゃあ、きっとあなたの心の温かさが伝わったんだわ」
「よくそんな恥ずかしいことが言えるよな」
エントは呆れた目でこちらを見た。
「恥ずかしくなんてないわ。みんな誰かのためとか、世の中をよくしたいとか、そう言う思いで何かを作り出すんだもの。錬金術だって、きっと心が作用するんだと思います」
「確かに、ないとは言い切れない」
エントはそう言ってシルフィーを見つめた。
「君さえよければ、協力してほしいことがある」
「なんですか?」
彼が何かを言いかけた時、騒がしい声が聞こえてきた。シルフィーが立ち上がるよりも先に、エントが駆け出していた。走っていくと、庁舎の建物同士をつなぐ回廊が見えてくる。エルランドがマルゴーを殴りつけていた。エルランドは怒りで顔を歪めてこう言った。
「おまえ、殺されたいのか?」
「やめて、エルランド!」
シルフィーは必死になってエルランドを止めた。エルランドはそれを振り払う。
「落ち着いてください、殿下」
エルランドを引き剥がしたのは、近衛服をまとったジャスパーだった。エルランドはジャスパーを睨みつける。
「おまえはひっこんでいろ。所詮、他人だろう」
「他人ですけど、これが役目なんで。エント、あとは頼んだぞ」
ジャスパーはエントに目配せし、エルランドを引きずっていった。シルフィーはかがみ込んで、項垂れているマルゴーに手を差し出す。
「大丈夫?」
「最悪だよ。君といると殴られてばかりだ」
マルゴーはそう言って、シルフィーの手を振り払って歩いていった。エントは野次馬を散らし、うなだれているシルフィーの肩に手を置いた。
「ほんと、恥ずかしいわ。王太子が王宮で暴れるなんて!」
エリンはそう言って、横目でエルランドを見た。エルランドは撫然とした表情で返す。
「暴れてないよ。そうする前にジャスパーがきたからね」
「そもそもは、誰かさんが婚約破棄なんてされるからよ」
エリンは蔑んだような視線をシルフィーに向けた。シルフィーはごめんなさい、と小声でつぶやく。エルランドはエリンを睨みつけ、「お望みならここで暴れてやろうか?」と尋ねた。エリンはフォークを構える。王妃はピシリと言った。
「やめなさい」
彼女は静かになったきょうだいを見比べ、シルフィーに尋ねる。
「シルフィー、どうしますか。あなたが辛いなら、マルゴーに遠方に行ってもらうこともできます」
「そんなのダメよ。私は平気だから」
「平気だなんてさすがねえ。私なら恥ずかしくて王宮を歩けないわ」
エリンはくすくす笑いながら立ち上がり、その場を去っていった。エルランドは妹の背中を見送って、「弟なら殴ってる」と吐き捨てた。
王妃は悲しげに目を伏せる。エルランドや王妃を心配させてはいけない。平気な顔をしていなければ。シルフィーはそう思って、無理やり笑みを浮かべた。
「食べましょう。冷めちゃうわ」
シルフィーは美味しいと連発したが、その日の夕食は味がしなかった。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる