【死神 × 人間】『ハッピー・ホーンテッド・マンション』【1分あらすじ動画あり】

郁雨いくううう!

文字の大きさ
上 下
10 / 16

【死神ファンタジーBL】6話(1)【あらすじショート動画あり】

しおりを挟む

○●----------------------------------------------------●○
11/1(Fri)
旅行から帰ってきたので、
また更新再開させていただきます!

〈現在レース更新中〉
↓↓以下の作品のあらすじ動画のビュー増加数に応じて、
週末に更新する作品を決めさせていただいていますm

◆『不惑の森』(ミステリーBL)
https://youtube.com/shorts/uVqBID0eGdU
◆『ハッピー・ホーンテッド・マンション』(死神×人間BL)
https://youtube.com/shorts/GBWun-Q9xOs
○●----------------------------------------------------●○


「大丈夫だった、亘!? あの淫魔に何もされなかった!?」

病院から出ると、悠輝が電信柱からしゅたっと降りてきた。体重を感じさせない動き。やはり人間ではない。
亘は複雑な気持ちでそれを見たが、やがて首を振った。

「別に何もないよ。お前に心配されるようになったら、俺も終わりだ」
悠輝は、憐れむような目で亘を見た。

「確かに亘は頭が良くてしっかりしてるけど、変なところで抜けてるじゃん。嘘も下手だし、突発的な出来事にも弱い」
亘は足を止め、目の前の男を見た。

「悠輝は、どこまであの時のことを覚えているんだ?」
「あの時……?」
「高校の時だよ。高校の時、俺たちの間に何があったのか」
「あー」

悠輝はボリボリと後ろ頭を掻いた。

「前にも言ったけど、あんまり覚えていないんだよ。死んだ時の衝撃で、すっかり生前のことが抜けちゃって」
取り繕うように悠輝は付け足した。

「でも安心してくれ。俺たちが仲の良い友達だったってことは覚えているぞ!」
「仲が良い……?」

思わず怪訝な顔で、相手を見つめてしまう。仲がいいだって?
高校時代、悠輝はムードメーカーの不良で、亘は神経質な優等生だった。

そんな対照的な二人が仲が良くなるなど、ありえないことだ。悠輝が亘に近づいてきたのだって、一時の暇つぶしみたいなものだ。
目を閉じると、今でもあの時のことを鮮明に思い出すことができる。


「何度言ったら、わかるんだ」
亘は我慢しきれずに、ついに声を上げた。

せいぜい六畳ほどしかない狭い物置スペースには、高校二年の生徒たちがたむろしていた。全員携帯を片手に音楽をかけながら話に盛り上がっている。
最近話題になっている動画の話。誰と誰が付き合い始めた等。
亘にとっては意味のない、実にくだらない話だ。

「あ? お前、誰だ?」
一番近くにいた角刈りの男子生徒が、ずいっと身体を近づけてきた。

「俺らがどこにいようとお前には関係ないだろう。ここには入っちゃいけないルールでもあるのかよ」
「ここに入っちゃいけないルールはないけど、非常階段の前にそんなに物を置いて座っていたら、いざという時使えないだろう!」

亘は今までため込んだ言葉を吐き出した。
一度我慢の箍が壊れてしまうと、もう引っ込めようがない。

「それに緊急の時を除いて、校内での携帯の使用は禁止されている。見たことろ緊急ではなさそうだけど……」
「ちっ……携帯なんて誰でも使ってるだろう、頭が硬い奴だな」

頭が硬い。今まで何度も言われてきた言葉だ。
亘は小さい頃から几帳面で正義感が人一倍強かった。ルールと言われたものに関しては絶対的に遵守し、それが出来ていない人にも強くあたってしまうことがある。
母親から「ASD(自閉スペクトラム症)みたいね」と心配されていたこともある。

そのせいか小さい頃から、学校でなじめたことはない。だが、それなりに人と衝突しない術は学んできた。

——我慢する。
誰がルールを破っていても説教などはせずに、黙っているのが何よりもいい。

○●----------------------------------------------------●○
「郁嵐(いくらん)」名義で
ブロマンス風のゆるい歴史ファンタジー小説も書いています。
新連載を始めましたので、気軽におこしくださいませ~

◆あらすじ動画
https://youtu.be/JhmJvv-Z5jI
※本編情報は概要欄にございます。

良い週をお過ごしください!
○●----------------------------------------------------●○ 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司と俺のSM関係

雫@更新予定あり
BL
タイトルの通りです。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...