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物書未満

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第五章

アラフォー、オークション出品

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「うーむ、城の調度品はこれくらいか」
「宝物庫も全部見ましたね」
「武器、防具、金塊銀塊、宝石、装飾品、様々じゃな」
「鑑定も全て本物と出ています」
 あれから三日間、私たちはとにかく資金繰りを考え、妖精メイド、みにでびるたちを総動員し、城の財宝をかき集めた。小悪魔曰く、城主の好きなように処分すればよいとのこと。調度品も財宝もあまり私の趣味ではないため全て売ってしまうことにした。アイナやヴィルベルは宝石や装飾品を欲しがるかと思ったが趣味ではないらしい。
「こんなもの我の宝物庫の品に比べれば石ころみたいなものじゃ」
 そう豪語するが嘘に聞こえないのが凄いところだ。
 商人ギルドに流そう。オークションでもかければいい値がつくかもしれない。

——夜
「よし、到着」
 着いたのは商人ギルドの裏口。アイナの鑑定によるなら表からではダメだ。裏から回す必要がある。
——キィ
 扉を開け、三人で地下に降りる。いかにもいかにもという感じだ。
「ちょっと待ちな。見ない顔だが会員証はあるのか?」
「ない。だがこれを見てくれ」
 差し出したのは一枚の金貨。特に何ともない、と一般人なら思うだろう。だが知っている人が見れば……
「あ、あんた……これをどこで!? いや、今は聞かない。とにかく通ってくれ!」
 番人が血相変えて奥に入っていく。私たちはソファで一休み。
 と、お偉いさんが出てきたな。
「お待たせした。商人ギルド長のミハイルという。ここではなんだ、奥の部屋へ行こう」
 案内されたのは防音室。なるほど、情報漏洩防止か。
「ここから先、嘘は意味をなさない。正直に答えてくれ。どこで手に入れた?」
「北にある常闇の城からだ。というより今は城主をしているが」
「水晶に反応なし……嘘ではない……」
「それは失われた古代文明の金貨だ。オークションでいくらになる?」
「ズバッとくるな。これなら開始100万Gは……」

「嘘ですね」

 ズバリとアイナが言う。そう今のアイナは……
「私の目を見てもう一回言って下さい。意味が分かります」
「ぐっ……開始はひゃくま……なにっ! これは!」
「商人ギルドの長ならわかるでしょう? 私の鑑定スキルは最大レベル。嘘は意味をなしません」
 そう、三日間あらゆる物を鑑定したアイナの鑑定スキルはとんでもない事になっている。物の鑑定において、真贋看破、適正価格把握、なんでもごされだ。およそ並の……いやベテラン商人が鑑定する以上の経験値をあの宝物庫で得ている。
「なるほど……これは敵わない。開始は1000万Gだ」
「そうか。ならオークションの代行を頼もう。手数料は?」
「ついた値段の一割だ」
 完全にこちらの流れだ。あらゆる嘘、謀りがアイナの目にはお見通しなのだから。その後も色々出していく。数が数、全ては出さない。それぞれのジャンルの真ん中くらいのグレードの物を出す。余りに出せば市場が混乱するだけだ。それに定期的に顔を出した方がいい。
「ではこれで」
 三時間に及ぶ交渉。とはいっても一方的なものであったが。会員証を受け取り帰るとしよう。
「ねぇ、Dさん。私頑張ったから……」
「うん。致そうか」
「相変わらずお熱いのう」
 帰ってやることやる。
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