vamp"D"

物書未満

文字の大きさ
上 下
2 / 37
第一章

アラフォー、次の都市へ

しおりを挟む
——一週間後
「ふぅ。今日も大漁でしたね」
「ああ。だがここの迷宮は攻略し尽くしてしまったな」
 毎日毎日潜り続け、ついに最深、第七層を攻略してしまった。資金も装備も何もかもが序盤でいい感じに揃っている。
「でもあの迷宮って最深でもBランク装備しか出ないんですね」
 この世界には装備にランクがある。FからA、次にS、SS、SSS、最後にP。
 それを考えるとあの迷宮はあまり美味しくない迷宮ということになる。
「でもDさんの装備はランクが不明なんですよね……」
 アイナは「鑑定」のスキルを持つ。私の武器……ハンドガンとリボルバーを鑑定してもらったが不明だそうだ。
「とにかく、この街にいる旨みはなくなったし次の街へ行こうか」
「次の街……街というよりは都市というべきですね」
 目指すは鉄工都市メタラシア。珍妙な武器があると噂で聞いた。もしかすると私に合う武器かもしれない。
 メタラシアまでは馬車を乗り継いで3日。昼間の移動になる。できれば夜に行きたいところだが危険なために馬車が出ていない。
 ギルドへ行き、リィンに挨拶してイレイナの街を出た。

——

「かっ……はぁ……」
「Dさん、大丈夫ですか……?」
 馬車で移動中、いくら幌がついているとはいえ昼間は辛い。夕方になり小さな宿場町で宿を取ったが息切れが激しい。同乗者にも可哀想な老人を見るような目で見られてしまった。
「さながら私はおじいちゃんを介護する孫みたいに見えたでしょうね」
「ああ……そうかもな。すまない」
 マイナスステータスの影響で昼間はまるでやつれた老人に見えている。しかも死にかけの。街で多少買い物する分にはいいが長距離移動はやはり辛かった。
 とにかく完全に日が暮れるまではおとなしくしていよう。
——夜
「Dさん。落ち着いてきましたね」
「ああ。やはり夜がいい」
「でも昼間は本当に辛そうです……なにか解決策はないんですか?」
「む……ある事にはある。だが永続的な解決ではないし、何より手に入れ難い」
「そうですか……私に何か協力できることがあれば……言って下さい。力になりたい……! あんな辛そうなDさん、見ていられない……」
……くっ、いい子だな。だが余計に言いづらい。しかし言わねば引き下がらないだろう。言うしかない。

「……処女の血とその処女を奪い眷族にすることだ」
「えっ……」

 言ってしまった。だがどうしようもない。これは事実だ。

「……嘘を言っている目ではありませんね」
「ああ。薄気味悪いなら……」

「どうして早く言ってくれなかったんですか!!」
「は?」

 アイナの剣幕に呆気を取られる。んん?

「あのドラゴンから私を助けてくれた時から私は……私は……貴方のことがっ!」
——ドサッ!
「アイナ、一体なにを……!」
 思い切りベッドに押し倒されてしまう。アイナ、なかなかにパワーが……とそれどころではない。状況が混乱している。
「アイナ、落ち着いて……」
 アイナの頬が赤くなっている。興奮状態? いや、ちょっと待て。私もこの滑らかな首筋を見せられて興奮しかけている。おかしい。私は……
——
「ED」
——
 このマイナスステータスにより性的な興奮はしないはずだ。だが今感じているそれは性的であり、かつ食欲的だ。まるで性欲と食欲をごった煮にしたような感覚。
 ダメだ。抑えきれない……!
「アイナ、これ以上は私が……」
「いいんです……早く噛み付いて……!」
 もう、戻れない……!
——ガブッ……
 う、うおお! 血だ、人間、それも処女の血だ。なんて美味さ。数滴で身体が満たされてゆく。枯れ果てた大地に恵みの雨! とうに機能を失ったと思えたそれが完全に復活する。
——ドサッ!
「アイナ、もう……」
「来て、Dさん……」
 私はアイナを押し倒して激しく求めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

人妻の日常

Rollman
恋愛
人妻の日常は危険がいっぱい

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】淫魔の道具〈開発される女子大生〉

ちゅー
ファンタジー
現代の都市部に潜み、淫魔は探していた。 餌食とするヒトを。 まず狙われたのは男性経験が無い清楚な女子大生だった。 淫魔は超常的な力を用い彼女らを堕落させていく…

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。

雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。 ——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない) ※完結直後のものです。

処理中です...